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まじめに働いているのに人事評価が低い「95%社員」に共通する"残念な行動特徴"

プレジデントオンライン / 2022年7月6日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ronstik

「まじめに働いているのに全然評価されない人」は何が足りないのか。ビジネスパーソン約2万人を調査し、AI分析をしたクロスリバー代表の越川慎司さんは「『人事評価トップ5%社員』と『95%社員』を分ける“ダメ習慣”“良い習慣”が見つかった」という──。(第3回/全4回)

※本稿は、越川慎司『AI分析でわかった トップ5%社員の時間術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

■95%社員と5%社員の“違い”とは何か

ビジネスパーソン約2万人を対象にした調査とAIによるデータ分析で、人事評価トップ5%社員と95%社員の「行動と成果の“違い”」を生み出す原因を究明しました。

そこから、「まじめに仕事に向き合っているけど評価されない」という95%社員は、次の3つのパターンに分かれることがわかりました。

■95%社員の「行動特徴」3つ

①「スロースタート」パターン
・取りかかりが遅く、ギリギリになって間に合わないことを自覚
・困った事態になってから初めて周囲に助けを求めるため、相手に迷惑をかけてしまう
・周囲の力を借りて期限には間に合うが、ヘトヘトになって次の仕事へのスタートが遅れる
②「慎重さが負の連鎖につながる」パターン
・物事を進めるときは、納得いくまで丁寧に調べる。気になったら途中でまた調べる
・確認と修正を何度も繰り返し、前へ進まない
・その後も悩みながら仕事をすることになり、処理スピードが落ちる
・期限に間に合わるために、最後の詰めが甘くなり、品質にムラがある
③「スタートダッシュで息切れ」パターン
・モチベーションが高いときは、スタートダッシュを切ることに成功
・作業を進めるとさらに意欲が高まり、休むことなく続けられる
・ところが、途中で体力と精神力が尽きて休み、回復に時間がかかって進捗が遅れる
・スローダウンしたペースで作業を続け、気がついたら期限を過ぎている

■5%社員だけが持つ「特異点」6つ

一方で、各社の5%社員に共通し、かつ95%社員にはない「6つの特異点」もありました。具体的には、次のとおりです。

①仕事を受けてから初動までが早い
②相手(上司や顧客など)とアウトプットのイメージを合わせる
③ゴールから逆算して必要最低限のプロセスを決める
④プロセスにおける作業を小分け(細分化)
⑤長時間作業をせず、こまめに休憩する
⑥期限より少し早く完了させて、次の仕事の初動も早い

■5%社員は「事前準備が9割」

まず、5%社員の特異点①~④は「仕事の事前準備」にまつわることです。

①仕事を受けてから初動までが早い

5%社員の決定的な特異点は、初動が圧倒的に早いことです。仕事を受けてから間髪容れずにスタートします。

②相手(上司や顧客など)とアウトプットのイメージを合わせる

初動が早い5%社員ですが、いきなり手を動かして作業するのではなく、アウトプットのイメージを明確にします。5%社員は、アウトプットの品質に齟齬(そご)があると修正に時間がかかり、評価されないと考えているのです。

たとえば設計図面であれば、提出者に質問をして完成イメージをすり合わせてから実作業に入ります。

③ゴールから逆算して必要最低限のプロセスを決める

納品先の相手とイメージをすり合わせたら、期限から逆算して必要最低限のプロセスを組みます。いつまでに○○を終えておく、といった手順をつくっているのです。

④プロセスにおける作業を小分け(細分化)

プロセスが明確になったら、作業を細切れ(細分化)して、隙間時間や移動時間でも処理できるようにしています。

5%社員は、このようにして「仕事の準備」を整えています。

■5%社員は「集中上手」

次に、特異点⑤~⑥は、「作業中」に関連することです。

⑤長時間連続作業をせず、こまめに休憩する

ゴールとプロセスがクリアになったら、集中力を維持して作業をします。「ゾーン」に入るような感覚で神経を研ぎ澄まし、質の高い仕事を短時間でこなしていきます。

越川慎司『AI分析でわかった トップ5%社員の時間術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
越川慎司『AI分析でわかった トップ5%社員の時間術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

そして、集中力を維持するために、邪魔する要素を絶ちます。イライラせず、また深く悩まずに、集中した時間を継続させていました。また、集中時間を何度も持てるように、95%社員より休憩を頻度多く取っていました。

⑥期限より少し早く完了させて、次の仕事の初動も早い

5%社員は、仕事を期限ギリギリで終わらせるのではなく、時間に少し余裕を持たせて完了させます。

期限ギリギリで仕上げようとすると、チェック時間を十分に設けることができず、作業ミスを見逃してしまいます。また、期限直前で体力と集中力を使い切ってしまうと、次の仕事に取りかかるのが遅れてしまいます。そうした理由からの行動です。

■マルチタスクをうまく回す「5%社員のコツ」

5%社員は、複数のタスクを抱えていますが、同時に進めるのではなく、それらを1つずつこなしていきます。

一見非効率に思える進め方ですが、1つの仕事を完了させてから次の仕事に移るときの切り替えスピードが非常に早いため、効率よく仕事が進んでいきます。

この切り替えスピードを落とさないために、5%社員は期限に余裕を持って仕事を終えるようにしているのです。

■5%社員の時間術を「ちょいスイッチABC」で再現

では、こうした「5%社員の6つの行動習慣」を95%社員がマスターするために、どのようなトリガー(きっかけ)があればいいでしょうか。それを解明すべく、AIと人間による膨大なデータ分析と行動実験を繰り返しました。

6つの行動を誘発する「トリガー(きっかけ)」は何か分析したところ、5%社員に共通して「スイッチ」となる、3つの小さなアクションがあることを発見しました。

そして、3つの“ちょっとしたアクション”を採り入れることで、5%社員でなくても作業時短を実現できることも明らかになりました。

私たちは、3つのスイッチの頭文字をとって「ちょいスイッチABC」と名づけることにしました。

「ちょいスイッチABC」
【Accept】過去の浪費を受け入れる
ポイント1/よかれと思って続けてきた浪費行動を、否定せずに受け入れる
ポイント2/過去の浪費行動から改善ポイントを探す
【Build】行動を早め、継続する仕組みをつくる
ポイント/仕事前のルーティーンを持つ
【Concentrate & Continue】成果につながる作業に集中して継続する
ポイント1/感情コントロール
ポイント2/作業ショートカットの活用(ITツールを使いこなす)

■95%社員にも「成果につながる」時短効果が

2万1659人の95%社員に、この「ちょいスイッチABC」を日々の業務の中で実践してもらったところ、89%の人から「時短効果を実感した」との報告がありました。

時短につながったのは、そもそも5%社員は「成果につながる仕事を見極めている」という点にあります。これは、「成果につながらない仕事がわかる」という意味でもあります。

成果につながるかどうか、やってみないとわからないタスクが多いことも事実です。しかし、5%社員は、「思考停止して惰性で仕事をすることによって、無駄な仕事が無駄でないように思えてしまうことが最大のリスクだ」と発言していました。

つまり、「ちょいスイッチABC」には、「仕事の無駄」をなくすコツが凝縮されていて、そのため、実践することで、95%社員たちにおいても時短効果につながることになったのです。

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越川 慎司(こしかわ・しんじ)
株式会社クロスリバー代表、株式会社キャスター執行役員
元マイクロソフト役員。国内および外資系通信会社に勤務し、2005年に米マイクロソフト本社に入社。2017年にクロスリバーを設立し、メンバー全員が週休3日・完全リモートワーク・複業を実践、800社以上の働き方改革の実行支援やオンライン研修を提供。オンライン講座は約2万人が受講し満足度は98%を越える。著書に『AI分析でわかったトップ5%リーダーの習慣』、『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』(共にディスカヴァー・トゥエンティワン)、近著に『「普通」に見えるあの人がなぜすごい成果をあげるのか 17万人のAI分析でわかった新しい成功法則』(KADOKAWA)がある。

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(株式会社クロスリバー代表、株式会社キャスター執行役員 越川 慎司)

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