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「エジソンの成功は1万回の挑戦より、9999回の"やめる決断"から」成果を出す人の"やめる基準"

プレジデントオンライン / 2022年7月10日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/BraunS

各企業の人事評価で高い評価を受ける「トップ5%社員」には共通する行動習慣があるという。AIを駆使した調査・分析を主導したクロスリバー代表の越川慎司さんは「彼らは常に『何をするか』ではなく『何をやめるか』を決めています。すべては、成果を出すべく、ゴールに向かうことに集中するためです」という──。(第4回/全4回)

※本稿は、越川慎司『AI分析でわかった トップ5%社員の時間術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

■「続けること」と「あきらめること」

「エジソンは1万回の実験をあきらめずに行って電球を発明した」という史実は良く知られています。しかし、残念なことに世間一般には「間違った解釈」がされています。この史実でもっとも重要な点は、「同じ実験を1万回繰り返した」ではなく、「違う実験を1万回行った」ところです。

つまり、エジソンは「9999種の実験をあきらめた」のです。9999の方法を捨てたからこそ、その都度、次の実験(やり方)に移ることができたともいえます。

もし、エジソンが1つの実験手法にこだわり続けていたら、電球は永遠に発明されなかったでしょう。

各企業の人事評価トップ5%社員も同じように、「続けることの大切さ」と「あきらめることの大切さ」の両方を理解しています。新しい挑戦をするときは、何かをやめてからスタートしています。

ある5%社員は、「過去のやり方に固執してしまうと初動が遅れてしまう」とも発言していました。

■やめられない「ムダ習慣」

こう書くと、「やめること」を決めるのは簡単そうに感じるかもしれませんが、実行するのは簡単ではありません。

たとえば、ビジネスシーンにおいて、凝ったパワポ資料をつくったり、「メール見ました」と返信したりするなどの“習慣”があります。やめても業務にはなんら影響はありませんが、なくならないムダ習慣です。

では、5%社員がどうやって「やめること」を決めているのか。個別ヒアリングから、私たちは次の4つの手法を見出しました。

■5%社員はメリットとデメリットを天秤にかけている

【やめるコツ①】「トレードオフ」で考える

5%社員は「何かを得ると何かを失う」という、トレードオフの考えを持っています。

時間管理はプライオリティ・マネジメントであって、何にエネルギーを注入して、どこで手を抜くかが大切です。

5%社員は、最大のインパクトを残す成果を出すために、エネルギーをかけるポイントを見出し、そこに注力することで、有限の時間を最大活用しています。

「手の抜きどころを決める」という意味では、5%社員の時間術は「ずるい」ともいえます。しかし、こうしたある種「ずる賢い」考え方が、やめる決断を後押ししてくれるのです。

■何かを得ることは何かを失うこと

また、これだけ変化の激しい時代に、リスクをゼロにすることはできないので、「何かを失うと何かを得る」と考えることがより大切です。

失敗を避けて何も行動しないと安全ですが、新たな機会を見つけることはできなくなります。デメリットよりもメリットが大きければ動くこと。かすり傷程度のリスクであれば、前に出てチャンスをみずからモノにしないといけません。

たとえば、軽快なセールストークで営業成績を伸ばしていた人が、「ITは苦手だから、オンライン営業はしない。確実に成果を上げられる対面営業だけに注力する」ということを不変のポリシーに据えてしまうと、オンライン対応を望む顧客から受注するチャンスをみすみす逃してしまいます。

「やめること」「リスクに飛び込むこと」には、引き換えとなる「メリット」「チャンス」が隠れています。それを見過ごさない判断ができれば、必ず成果がついてきます。

■5%社員は「人生の優先順位」を決めている

【やめるコツ②】いきなり解決策ではなく、まず「理想」を掲げる

大量の仕事を片づけるための解決策は、「とにかく早く片づけること」と考えられがちです。しかし目の前の解決だけを考えていると、同じ問題が繰り返されて、根本解決ができません。

それに加えて、意外なことに、仕事の時間をうまくコントロールしている5%社員は、仕事よりも家族の時間を優先していたり、自分の余暇を楽しみたいから早く仕事終わらせていたりしました。

この結果について、該当する5%社員にヒアリングしたところ、「人生の優先順位を決めると、目の前の課題を根本解決しやすくなる」との返答があり、ハッとさせられました。

■「仕事」「愛」「学習」「余暇」の4つで考える

ミネソタ大学の名誉教授で、アメリカにおけるキャリア・カウンセリングの発展に貢献したサニー・S・ハンセン博士は人生の役割を、次の4つ(通称「4L」)に分けました。

越川慎司『AI分析でわかった トップ5%社員の時間術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
越川慎司『AI分析でわかった トップ5%社員の時間術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

「Labor(仕事)」「Love(愛)」「Learn(学習)」「Leisure(余暇)」、人生の理想像を考えるときは、この4Lにどんな順番をつけるかが大切です。「4Lの優先順位を決めることで、仕事の仕方も変わってくる」と発言する5%社員もいました。

仕事の中の優先順位ではなく、仕事を含めた人生の優先順位をぼんやりと考えることでエネルギーのかけ方が見えてくることもあります。

家族との「Love(愛)」を優先させるなら、残業しないように無駄な業務をやめることができます。「Learn(学習)」を優先させるなら、目の前の小さな成功に固執することなく失敗を積み重ねて学習し、大きな成功に近づく戦略を考えられます。

このように考えれば、外部要因などに惑わされず、自分軸で「やめること」を決められるのではないでしょうか。

なお4Lの優先順位は、半年に1回の頻度で再考することをおすすめします。

■5%社員は「目的」と「手段」を混同しない

【やめるコツ③】手段が目的になっていないかチェック

実現したい理想が明確だと、目的につながらない手段はすぐに切り捨てることができます。そこで、仕事と人生の優先順位が整理できたら、さらに重要な仕事を絞り込むために、手段と目的の切り分けをします。

とくに、やるべき仕事がいっぱいで、あっという間に時間がなくなってしまう人は、すぐにやるべき仕事が「目的なのか」「手段なのか」を切り分けて、力の入れ具合を計画してみましょう。

この作業では、仕事を「目的そのもの」「目的を達成するための手段」「目的につながらない手段」、この3つに切り分けます。

■5%社員は「仕事の目的」からブレない

さらに時間ダイエットするためには、「目的を達成するための手段」をコンパクトにして、目的に直結する仕事へ最大のエネルギーをかけます。

また、目的達成のための手段を行っているとき、漫然と目の前の作業にあけくれるだけはいけません。目的達成を意識しながら進めて、行動のブレをなくすことが大切です。

これは、漫然と散歩をしているだけでは山の頂上にたどり着けないのと同じです。山の頂上を見据えてあとどれくらいで到着するのか、そのためにはどういう配分で体力を使えばいいのか戦略を立てることで、頂上へとたどり着けます。

「仕事の目的(頂上)」を意識すれば、成果への道が自然とひらけてきます

■5%社員は「コントロールできないこと」に固執しない

【やめるコツ④】外円を捨て内円にフォーカス

5%社員は、自分でコントロールできないこと(外円)にエネルギーを費やしません。国の法律や会社の就業規則、社会情勢や自分の上司を変えることはできないので、そこにエネルギーやストレスをかけません。

「ライバルの足を引っ張ることや、意図的に上司を困らせたりするのはエネルギーと時間の浪費だ」「上司に対する愚痴は仕事後の居酒屋ですればいい」と発言していました。

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写真=iStock.com/tomark
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/tomark

あくまで自分が影響を与えることができる範囲(内円)にフォーカスし、その中で、時間の使い方を工夫するのです。

■「やめる基準」をつくろう

このように、自分の内円と外円の整理をすれば、自分がインパクトを与えられない外円に対して、ムダな行動をやめることができます。

以上4つのルールに沿って、「やめる基準」をつくることができれば、やめることを習慣にでき、新たな行動を増やしていけます。そして、決めたゴールに向かってまっすぐ進んでいけるようになるのです。

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越川 慎司(こしかわ・しんじ)
株式会社クロスリバー代表、株式会社キャスター執行役員
元マイクロソフト役員。国内および外資系通信会社に勤務し、2005年に米マイクロソフト本社に入社。2017年にクロスリバーを設立し、メンバー全員が週休3日・完全リモートワーク・複業を実践、800社以上の働き方改革の実行支援やオンライン研修を提供。オンライン講座は約2万人が受講し満足度は98%を越える。著書に『AI分析でわかったトップ5%リーダーの習慣』、『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』(共にディスカヴァー・トゥエンティワン)、近著に『「普通」に見えるあの人がなぜすごい成果をあげるのか 17万人のAI分析でわかった新しい成功法則』(KADOKAWA)がある。

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(株式会社クロスリバー代表、株式会社キャスター執行役員 越川 慎司)

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