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なぜ食べてないのに太るのか…管理栄養士が「やせたいなら、ちゃんと食べるべき」と指摘するワケ

プレジデントオンライン / 2022年6月28日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AkiraIto

なぜダイエットはうまくいかないのか。管理栄養士の岸村康代さんは「食事制限をすると、身体が『省エネ体質』になってやせにくくなる。効率よく脂肪を燃焼させるには、ちゃんと食べることから始めたほうがいい」という――。

※本稿は、岸村康代『続食べ 結果が出る食べ方がカンタンに続く方法』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■「食べてないのに太る」は、量よりもバランスに原因がある

「全然食べてないのに太るのよ」
「水を飲んでも太るから困っちゃう」

1万人を指導してきてそういう人たちに共通しているのが、食べたことを忘れているか、バランスが悪いか。ほとんどのケースでは、そのどちらかが原因です。

その気持ちは私も痛いほどわかります。「おにぎり1個しか食べていないのに太ってしまう。いっぱい食べてる友達はやせてるのに……。人生なんでこんなに不公平なの?」と、思わず悲鳴を上げたくなるような毎日を送っていたからです。

「おにぎり1個のカロリーは200キロカロリー程度。なんでやせないんだろう?」「確かに、ダイエットに水がいいって聞いて水ばかり飲んでるから太るのかしら?」と、栄養学を学んだのに、そんなことを真剣に悩むほど、私も迷信に振り回される日々でした。

でも私の失敗も、バランスの悪さが原因だったことにあとになって気づくのでした。

ちゃんとした食事をしているつもりなのに結果が出ない原因の1つ目は、食べたことを忘れているケース。これは、日々食べているものを、一度、3日間だけでも書き出してもらうことで9割が解決します。何時に何を食べたか、それを書くことを3日やってみるのです。

中には、「やっぱり食べていないのに太るじゃない」と反論する方もいましたが、それは書くことを単に忘れていただけ。

書いてみると、意外にも普段何かと気づかないうちに口にしていたり、飲みものから糖分やカロリーをたくさん摂取していたり、小さいけどダメージの大きい脂肪や糖分を摂っていたり、ということがあります。

書き続けるのは大変という人も、3日だけやってみてください。人生の中で72時間だけ。面倒に見えてもたった3日やってみることが、遠回りのようで近道となります。ここをやらないから、みんな遠回りをするのです。

■脂肪を燃焼できない「省エネ体質」

もう1つが、先の私の例のようにバランスが悪いというケース。このケースでは、食べている量は本当に多くないことが往々にしてあります。

食べていないのに太るなんて、こんなにつらいことはありません。頑張っているのに結果が出ない、頑張っている努力が水の泡だなんて、もったいないことです。

食べる量は少ないのにカロリーばかり摂っていて、脂肪を燃焼するために必要な栄養素や、吸収を遅らせたり排出を促したりする栄養素が摂れていないことで起きてしまっています。

このような食事を長年続けた結果、自らのカラダを省エネにしてしまう省エネ体質になっている、ということです。

省エネ体質はある意味、飢餓にも耐えられるようにカラダが正しく反応してしまった証拠。でも、今からでも決して遅くはありません。今日から正しく、燃焼して、排出するカラダをあらためて作るようなイメージで、新築の家を建てるくらいの気持ちで食生活を見直しましょう。

脂肪を燃焼するためには、たんぱく質食品、それも脂質が少なくたんぱく質が多いことが必須ですので、バラ肉ばかり選んでいたり、肉ばかり毎日食べたりということではなく、部位や種類も考えつつ、魚や大豆からもたんぱく質を摂る必要があります。

また、便秘など排出力が衰えているケースでは、食物繊維がカギ。きちんと燃やしたり排出したりすることが、健康なカラダへの第一歩。食物繊維はあれこれ考えるのが面倒なら、いつも食べているごはんを玄米や大麦ごはんに変えたり、コンビニでも買えるメカブや納豆をプラスしたり、そんなことからでも十分です。

省エネ体質から脱却して、まずは燃焼体質、排出体質を作っていくことを意識しましょう。

冷蔵庫の前でサラダとチキンを持っている女性
写真=iStock.com/YinYang
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/YinYang

■スポーツジムに通うより、まずは食事の改善から

「運動してせっかくカロリー消費したのに、ついつい食べ過ぎちゃった……」

これまで何度もクライアントさんたちから聞いてきたこの言葉。面倒くさがりで運動が特に好きなわけでもない私にも、痛いほど気持ちがよくわかります。

20代の頃にスポーツクラブに入会して、「さあ今日は頑張ってランニングするぞー」と張り切って20分間もランニングをして息切れするほど頑張ったのに、ショートケーキたった1個分のカロリー消費しかしていない……。愕然として、消費カロリー測定器が故障したんじゃないかと二度見三度見してショックを受けたものです。

運動が大好きな人なら別ですが、運動嫌いな人が頑張って嫌いな運動をしたのに、ストレスや空腹感からドカ食いに走るのでは本末転倒。せっかく運動したのに、疲れと罪悪感だけが残るこの方法は、あまりにも悲しすぎます。

そこで生活改善は、絶対に食事から始めること。食事でカラダが軽くなったりしてから、元気な時だけ、無理なくできる運動から始め、ストレスのない範囲で続けていくのが正解です。

重度の運動嫌いなら、1日に3カ所くらい用事を作るだけでも、意外と移動中に歩いたり階段を使ったりして消費エネルギーが自然と増えるのでおすすめです。

その代わりいつも気をつけてほしいのは、姿勢だけ。おへその5cm下(下腹)の力を抜かず、一方で肩の力は抜く。すると思いのほかインナーマッスルを使い、いわゆる天然のコルセットをしているような状態になります。

■運動後に欠かせない栄養素

私は20代の頃、毎日腹筋を無理やり30回していた時にはびくともしなかったお腹まわりが、この姿勢をよくすることを意識しただけで、40歳を過ぎてもお腹が出なくなりました。ポイントは、真上に伸ばすイメージ。最初のうちは意外に大変でも、慣れればだんだん楽勝になってきます。後ろに反らすと腰を痛めるので真上を意識しましょう。

嫌々行う運動は、ハードルが高いもの。メタボの指導にいらしたクライアントさんたちもこれを意識してもらうだけで、皆さん1カ月で5cmほど腹囲が減少します。それほど姿勢のチカラは侮(あなど)れません。

ヨガやストレッチなど、ストレスを緩和する自律神経を整えるような運動もおすすめですが、これも無理のない形で行うこと。そして、もっと動きたいな、動いてもいいかな、とカラダが整ってきたら、そこが頑張り時。ぜひそれも無理のない形で続けてみてください。

運動後の食事では、絶対に死守してほしいことがあります。それは吸収したいものから摂ること。たんぱく質やビタミン、ミネラル、抗酸化成分を優先してください。それも消化のよいもので摂るのが正解。豆乳やトマトジュース、キウイフルーツや柑橘類のフルーツとヨーグルトなど、手軽なもので構いません。

最初から糖分や脂肪分たっぷりのものを食べてはカラダへのダメージが計り知れません。こういった運動の効果を台無しにする食べ方は卒業して、ぜひ無理のない形でストレスをかけずに、運動を味方につけてください。

ジョギング
写真=iStock.com/nycshooter
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/nycshooter

■自己流のダイエットは危険

栄養相談に来る方は、頑張っていない人ではありません。

一番多いのは、かなり頑張っている人。ただし、“自己流”で……。

ついつい、流行りの糖質オフに流されたり、「○○だけダイエット」を信じすぎたり、筋トレとプロテイン摂取だけで大丈夫とばかりに偏った頑張り方をしている人が意外にも多いのです。

それでも、自分に合っていて効果が出ているなら否定はしませんが、自己流を頑張り続けて体調を壊していらっしゃる方が多いのも事実。

自己流で一番気をつけなければいけないのは「偏り」。当たり前のことですが、何かを極端に減らすと、他に偏りが出ます。例えば糖質オフは、死亡率や動脈硬化のリスクを上昇させます。なぜならば、動物性食品の偏りによって血管や心臓などへのダメージの進行や、腸内環境の悪化が起こるからです。

一方で、植物性食品を意識して摂っている人は、同じ糖質オフでもカラダへのダメージや死亡率が上がらないという研究報告があります。何かに偏りすぎなければ起きない問題も、何かに偏ることでカラダへの弊害を伴うのです。

「○○だけダイエット」を一時的にしても、そのあとにバランスのよい食事を続けてキープできるならいいでしょう。

メジャーでぐるぐる巻きにされたフォークとスプーン
写真=iStock.com/MarianVejcik
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/MarianVejcik

■「健康番組を時々観る人」が不健康になるワケ

一番危険なのは、バランスを無視した自己流を続けてしまうこと。厄介なのは「カラダにいいことをしている」と本人は思い込んで、気づけないことです。

以前、あるアンケート調査で、当時流行した超人気の健康番組を「毎日観ている人」「時々観ている人」「全く観ていない人」どれが一番健康的だったか? というのがありました。そこで一番不健康だったのは、なんと「時々観ている人」だったのです。

一概にはいえないこともありますが、時々観ることで逆にバランスを崩してしまっていることがあるということ。毎回観てバランスよく摂れている人が健康的というのはわかりますが、全く観ない人よりも時々観ている人のほうが不健康というのは何だか悲しいもの。それほど、時々聞きかじってやることのアンバランスさが侮れないということです。

自己流で頑張っている人は、本当に頑張り屋さんの人がとても多くなっています。だからこそ、その頑張りを成果が出るほうに役立ててほしいのです。

今日から、無駄な頑張りは、もう卒業。ぜひその頑張りを無駄にせず、時々、自分のバランスをチェックしてみてください。

■健康的にやせるのに年齢は関係ない

「40歳を過ぎたらやせにくくなる」
「60歳を超えると肉を受けつけない」

誰もが一度は耳にしたことがある情報かと思います。これらは一理あるかもしれませんが、真実ではありません。

なぜなら、私がこれまで落とした脂肪は10トン以上ですが、そのクライアントさんはほぼ40~50代の方だから。20代以下の方ももちろんいますが、70代以上の方もしっかりといます。

40歳を過ぎたら代謝が落ちるというのがその一因かもしれませんが、これまで多くの方の基礎代謝を測って気づいたことがあります。20代でも40代の方より低いこともあれば、50代でも30代の方ほどの基礎代謝がある方もいます。

その違いは何でしょうか? 筋肉量が多いほど基礎代謝は高くなりがちで、動いている時間が多い人ほど1日の消費エネルギーは高くなります。

思い返してみてください。10代の頃、学校では階段を上ったり下ったりして教室まで向かい、初めて見る数式に対し頭をフル稼働して勉強をし、カラダをたくさん動かす体育の授業を受けたり、部活動をしたり。バス代や電車代がもったいないからといって少し手前で降りて歩いてみたり、自転車を使ったり。

でも年を重ねると、思いのほか自分でも気づかないうちに、若い頃と比べてそういった「活動量」が減りがちなのです。それを逆手にとって、あえて活動量を増やしたり、筋肉量を増やすことでその問題は解決します。

■「40歳過ぎたらやせない」という思い込みを捨てよう

運動は面倒という方も心配無用。運動がかったるいのなら、食べ方に気をつけることで挽回できます。

10代の頃は「お金がないから食べるのをガマンしよう」としたこともあるでしょうし、会食も大人ほどありません。つまり、年を重ねてから、摂取エネルギーが知らないうちに増えている可能性が十分にあります。

岸村康代『続食べ 結果が出る食べ方がカンタンに続く方法』(かんき出版)
岸村康代『続食べ 結果が出る食べ方がカンタンに続く方法』(かんき出版)

もちろん、年齢を重ねるごとにやせにくい体質になるという影響はありますが、そのカラダのメカニズムを理由にしすぎている傾向がある、それが1万人以上の方を見てきた私の結論です。

「食べたら動く」「動けない時は食べ過ぎない」を頭の片隅に置きつつ、食べ方の工夫をすることで、40歳以上になってからも10kgや20kgの減量だって可能なのです。ただし、10代や20代の頃よりも、工夫が必要にはなります。でも工夫さえすれば、たとえ40歳以上になっても、「ストレスなくできた!」と皆さん口をそろえて言ってくれるほど、工夫次第でストレスなく結果が出せるのです。

「40歳過ぎたらやせない」というのは思い込みだと信じて、だまされたと思って、ぜひ自分の辞書から一度、真剣に外してみてください。「50歳を過ぎようが、楽しくやせられる!」それくらいに思ってちょうどいいです。ぜひ諦めずにできることからチャレンジしてみてください。

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岸村 康代(きしむら・やすよ)
管理栄養士
野菜ソムリエ上級プロ。一般社団法人大人のダイエット研究所代表理事。NHK「あさイチ」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、テレビ朝日「林修の今でしょ!講座」などに出演。著書に『落とした脂肪は合計10トン! 伝説のダイエット・アドバイザーが教える最強のやせ方』(東洋経済新報社)、『続食べ 結果が出る食べ方がカンタンに続く方法』(かんき出版)などがある。

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(管理栄養士 岸村 康代)

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