単純に「おもしろかった」と言いたいときにプロの芸人が使っている"プラス一言"という飛び道具
プレジデントオンライン / 2022年7月5日 12時15分
※本稿は、芝山大補『おもろい話し方 芸人だけが知っているウケる会話の法則』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。
■好かれる人は、リアクション上手
おもしろい人は、自分のトーク以外でも会話を盛り上げます。リアクションで相手の話のおもしろさを際立たせたり、意外性のある一言を返して笑いを取ったりし、場を盛り上げるのです。
リアクション・返しがうまいと、みんなに好かれます。
リアクションのうまい人と話しているとおもしろいですし、気分がいいからです。次の会話を見てください。
「うんうん」(大きく相づちを打つ)
「急におじいちゃんに声をかけられたんですよ」
「おじいちゃん?」(オウム返し)
「はい。そしたら『おれの嫁にならないか』って言われて」
「えええ! 怖ああああ!」(オーバーリアクション)
「そうなんです(笑)。怖くなって予定より前の駅で降りました」
「いや、それ私でも降りるわ(笑)」(共感する)
いかがでしょう。良いリアクションが入るだけで、相手が気持ちよく話し、場が盛り上がっている光景が目に浮かぶと思います。良いリアクションは、会話の最高のアクセントになるのです。
テレビやYouTubeなどでも、芸人たちがトークで場を盛り上げていますが、ここでも聞き手のリアクションが大きく貢献しています。良いリアクションが入ると、話は3倍も4倍もおもしろくなります。
■相づちは大きく、わかりやすく
では、良いリアクションとはどんなものか?
ここでは、代表的な5つの良いリアクションを紹介します。芸人たちも話を盛り上げるために使っているものです。普段の会話に役立つものばかりなので、ぜひ覚えておいてください。
![同僚と談笑するビジネスマン](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/1/5/1200wm/img_1594fd326e94e05ce77bd02c17812b9b126674.jpg)
良いリアクションのコツ1 大きく相づちを打つ
まず、「相づちは大きく、わかりやすく」が基本です。「うん、うん」「なるほど」など、大きくわかりやすくリアクションするほど、相手に「しっかり聞いてくれている」という安心感を与えられます。基本的なことですが、意外とできていない人は多いものです。いつもより意識的に、大きく、わかりやすく相づちを打つだけで相手からの印象はグッとよくなるでしょう。
また、相づちを相手の話すテンポに合わせることも大切です。ときどき、食いぎみで相づちを打つ人がいますが、これだと話を聞いていない感じが出てしまいます。相手が気持ちよく話せるよう、相手の話すスピードに合わせた相づちも心がけましょう。
良いリアクションのコツ2 オーバーリアクションぎみに気持ちを伝える
自分の感じた気持ちをオーバーリアクションぎみに伝えると、会話は一気に盛り上がります。たとえば、「怖いな」と思ったなら「ええええ、怖ああああああ‼」、「痛そうだな」と感じたなら「痛い痛い痛い痛い!」と、少し大げさに自分の感じたことを伝えます。芸人もよく使っている手法ですが、これによって話に引き込まれている感じが出て、相手は気持ちよく話せ、会話も盛り上がります。
表情もつけると、なおよいでしょう。
「うわぁああ怖あああ~!」
「人によってはハイヒールの踵(かかと)で踏みつけますよ」
「痛い痛い痛い痛い!(表情も痛そうに)」
良いリアクションのコツ3 共感を伝える
話し手の発言の意図を汲(く)みとり、共感してあげる。これができると、ワンランク上の好かれる聞き手に近づけます。たとえば、こんな感じです。
「うわあ、きまずいな(笑)」
「私さ、店員さんにタメ口使う人がめちゃくちゃ苦手なんだよね」
「わかるわかる、礼儀がない感じで嫌だわ」
「……それでめちゃくちゃイラッとしたんですよ!」
「それはたしかにキレるなあ(笑)」
このような「共感の相づち」が入ると、話し手は「この人はわかってくれる」「もっと話したい」と思えて、好感をもちます。相手の話に共感できるポイントがあるなら、積極的にそれを示しましょう。
良いリアクションのコツ4 「オウム返し」で話のポイントを際立たせる
話を聞くときは、相手の話のポイントを際立たせるリアクションも大切です。代表的なのが、千鳥のノブさんなどもよく使っている「オウム返し」です。
千鳥の漫才には「寿司屋」のネタがあります。大悟さんが経営する寿司屋にノブさんが来店したところ、「ハンマーヘッドシャーク」「スパム」「チョウチンアンコウ」などの変わり種の寿司ばかり出されるというネタです。
この漫才では、次のようなやり取りが繰り返されます。
ノブ「スパム⁉」
大悟「どうぞ、イカ2貫です(変わり種の流れだったのに、急に普通のネタを出した)」
ノブ「イカ2貫⁉」
こうやって、違和感のあるおもしろポイント・ワードをノブさんが大げさに繰り返すことで、笑いが増しています。
相手の話に「おもしろポイント」があれば、その単語をピックアップして繰り返してあげる。それだけで相手の話のおもしろさが際立ち、話がいっそう盛り上がります。たとえば、ふだんの会話だとこんな感じで使えるでしょう。
「イグアナ⁉」
「そう、イグアナ(笑)。めちゃくちゃかわいくて」
「すみません、山盛りポテトフライ3つください」
「3つ⁉ 一人で山盛りを3つ⁉」
簡単なテクニックですが、まわりで聞いている人もおもしろく感じますし、話し手も話していて気分よくなれます。
良いリアクションのコツ5 話し終わりに「余韻」をつくる
意外と気を抜きがちなのが「話し終わり」です。相手の話が終わったら、「心に響いた」「おもしろかった」という余韻(よいん)をつくることが大切です。
相手が話し終わったときに、「なるほどね! そういえばこの前私も……」と間髪をいれずに自分の話を始めると、話し手は「私の話、おもしろくなかったかな……」と思ってしまいます。すぐに話を切り替えたりせず、話が心に響いたことを伝えるリアクションが大切なのです。
・はあ~……それはすごいなあ
・いやあ、めっちゃおもろいなあ~
こうやって、話し終わりに余韻をつくると話し手の満足度は劇的に上がります。相手に「もっと話したい」と思ってもらえ、いっそう会話がはずむはずです。あなたの話ももっと聞いてあげたいと思ってくれることでしょう。
■「どう感じたか」より「どうしたいか」が相手に響く
リアクションでよくある悩みが、「感想」をどう伝えるかです。
たとえば、友だちに「この前、彼女と間違えておかんに『愛してる』ってLINEしてしまった」という話をされたとしましょう。そんなおもしろ話をされたとき、どうリアクションするかは意外と難しいものです。「うわっ、恥ずかしい!」だと少し普通ですし、相手の話のポイントである「気まずさ、恥ずかしさ」もいまいち際立ちません。
では、こう返すとどうでしょう。
こうやって「(恥ずかしいと思ったから)自分ならどうしたいか?」まで落とし込んで伝えることで、より話し手が満足できる強い感想に聞こえるようになります。つまり、行動にまで落とし込んで感想を伝えるのです。
これは映画や食事をオススメされたとき、プレゼントをもらったときなどにも使えます。単に、「おもしろかった!」「美味しかった!」「うれしいです!」と伝えるよりも、「もう一回見に行きたくなったわ!」「誰かにオススメしたくなりました」「(プレゼントに)頬ずりしたいくらいです!」と、ここでも「どうしたいと思ったか?」で伝えるほうが心に響く感想となるのです。
■月並みな感想をパワーアップさせる「プラス一言」
なにかをオススメされて感想を伝えるケースでは、ありきたりな感想にちょっとした一言を付け加えるという方法もオススメです。たとえば、先輩にオススメされた映画を見たとき、
こう絶賛されると、相手もうれしくなるでしょう。
![芝山大補『おもろい話し方 芸人だけが知っているウケる会話の法則』(ダイヤモンド社)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/4/3/1200wm/img_43742d2b846e5bf545020bf8ea5ed0e1130961.jpg)
元は「おもしろかった」というありきたりな感想ですが、ちょっとした一言を付け加えたことで心により響く表現となっています。
これは芸人もよく使っていて、恥ずかしい行為をした人に「人生で一番冷たい目で見られてたで」、くだらないことを言った人に「番組始まって以来、一番しょうもないこと言うてたで」など、独特な言い回しで印象に残る感想にしている光景をよく見かけます。
ちなみに、これを使えるのは良い評価のときだけではありません。「まずい」「おもしろくない」など、悪い評価を伝えたいときにも使えます。
・地球が誕生して以来一番すべったんじゃない?
など、ちょっと言いづらいコメントでも、おもしろさが加わって相手も受け入れやすくなるでしょう。悪い評価を言われたほうも、単純に「マズっ」「すべってるぞ」と言われるよりは、よっぽどいいですし、笑いも生まれます。
上半期(下半期)で一番~/2022年(その年)のベスト~/令和一~/渋谷区(地域)で一番~/地球上でもっとも~/○○史上一番~/人生で一番~/○○(有名人)も驚くくらい~/地球が誕生して以来一番~
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ネタ作家
1986年兵庫県生まれ。2007年、NSC大阪校に入学。2009年、2011年には、それぞれ別のコンビでキングオブコント準決勝進出。2015年にはフワちゃんと「SF世紀宇宙の子」を結成。同コンビを解散後は、ネタ作家に転身。賞レースのファイナリスト、セミファイナリストなど、芸人300組以上のネタ制作に携わる。2019年からは、「笑いの力で人間関係に悩む人を救いたい」という想いから、お笑いの技術を言語化して伝える「笑わせ学」に取り組む。
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(ネタ作家 芝山 大補)
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