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タワマンだけはありえない…そう断言するひろゆきの「東京に住むならどこか?」への意外な回答

プレジデントオンライン / 2022年7月1日 18時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ImageGap

日本の不動産市場はこれからどうなるのか。実業家のひろゆきさんは「日本に住んでいる頃から地震への危機感は薄いほうだったが、不動産を買う気にはならなかった。特にタワーマンションはありえない」という――。成毛眞さんとの共著『考えて生きる 合理性と好奇心を併せもつ』(集英社)より一部をお届けする――。(第1回)

■年を重ねるほど自然災害への恐怖心は高まる

【ひろゆき】そもそも僕は「未来を予想しても、基本的に外れる」と思ってるんです。大きく外れないのは人口動態くらいですよ。

【成毛眞】そのとおり。僕は『2040年の未来予測』という本を出していますけど、ベースは人口動態と自然災害です。このふたつは確実ですが、ほかは不確実ですからね。

【ひろ】実際「20年後の20歳の人口」は、今年の0歳の人口でほぼ決まりますからね。

【成毛】話はいきなり変わりますが、僕は、明るい未来を予想する人は精神年齢が若くて、年を取ると悲観的になると感じています。未来予測でわかるのは、未来じゃなくて、その人の精神年齢だと思いますよ(笑)。

【ひろ】若いときって体力もあるし、給料もポジションもどんどん上がっていく。でも、ある程度の年齢になると体力は落ちて、定年になって退職したり、収入もポジションも低くなる。亡くなる知人も出てくる。そういうことが影響してるのかもですね。

【成毛】若者特有の無鉄砲さは、物を知らないからできるんです。年を重ねると経験も増えますが、よけいな知識も増えますから、やることが慎重になる。

【ひろ】新規事業の立ち上げも、年を取ると「昔似たようなサービスがあった」とか「あのサービスはうまくいかなかった」とか、やらない理由も増えますからね。

【成毛】あと、年を取ると自然災害に対する恐怖心を持ちますよね。それも人生で何度も経験しているからでしょう。でも、実際に10~20年後の日本の未来を考えたら、最大の問題は地震ですよ。地球科学者の鎌田浩毅・京都大学名誉教授によると、首都直下地震は今日起きてもおかしくないし、南海トラフ地震は2035年±5年で起きると予測されているそうです。しかも、両方とも東日本大震災よりも規模は大きいとも。僕も含めてですが、よく日本から逃げないなと思いますよ。

■タワマンはついのすみかとしてはありえない

【ひろ】僕は、日本に住んでいる頃から地震への危機感は薄いほうでしたけど、不動産を買う気にはならなかったですね。特にタワーマンションはありえない。建設から50年とかたって、老朽化したときにどう建て替えるのか。老朽化の前に売り抜けるならまだしも、ついのすみかとしては厳しいですよ。

【成毛】僕も「不動産は買うな」と言ってます。間違いなく人口は減っていくし、今後は空き家も増えるわけですから。一方で、ここ1、2年はタワマンの価格は上がって、土地の価格は上がっていないんですよ。

【ひろ】タワマン人気は、相続税対策だといわれていますよね。ただ、法律が改正されて高層階に行くほど固定資産税が高くなった。今後はもっと不利になるかもしれないので、節税系の商品としては微妙そう。

■日本に暮らすなら土地の安定した賃貸の低層階

【成毛】人口減少や空き家の急増、将来的にやって来る建て替えやリフォーム、税制の改正リスク、そして天変地異を考えると恐ろしくて不動産は買えないですよ。

【ひろ】買うとしたら、まだ転売の可能性が残っているJR山手線内のマンションのペントハウスとか。まあ、自分が住むというより、金融商品としてですけど。多くの人が金融商品としてのマンションと、自分が住むマンションとをごっちゃにしているんですよ。

【成毛】われわれがこういう話をしていると「じゃあどこに住めばいいんだ!」とツッコまれそうですね。

【ひろ】災害のことも頭に置いておくなら、低層階なら都内でも問題ないと思います。東日本大震災のときも都内で住めなくなるマンションはあまり出ませんでしたよね。低層階なら階段も使えますし。あとは、古くからある神社があるところは安全っていいますよね。

【成毛】東京工業大学のグループが「東日本大震災の津波被害における神社の祭神とその空間的配置」を調査したところ、自然災害を治めるスサノオを祭る神社の被害はほとんどなかったようですね。神社は数百年から1000年単位で続くものもあるので「歴史の古い神社は天災に強い説」は割と信憑性があると思いますよ。

栃木県日光市に誰もいない石鳥居を眺めながら地元の匠町神社
写真=iStock.com/ablokhin
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ablokhin

【ひろ】なので、答えとしては、昔の地形とかハザードマップを参考にして、土地が安定している所を選ぶってことですかね。でも、そういう土地は高いので、賃貸のほうがいいんでしょうけど。

【成毛】僕も若かったら賃貸を選んでいたでしょうね。

■「それなりの給料」がもらえる職場の徒歩圏内に暮らす

【ひろ】編集さんから「おふたりならどこに住みたいか」と聞かれてますけど、僕的には地震のことはあまり気にしないですね。それよりは職場から徒歩圏内の物件を選んじゃいます。通勤時間が短いほど可処分時間が増えるので。

【成毛】首都直下地震が怖いから東京を避けるとは考えない?

【ひろ】10年に1回のペースで日本のどこかで大きな地震が起きるのは事実でしょうけど、自分が直接大きな被害を受けるかどうかは、運の要素がだいぶ大きい。それよりも、おもしろい仕事ができて、それなりに高い給料がもらえる都市ってなると、日本の場合はどうしても東京になるかなと。

【成毛】僕はマイクロソフトの社長時代に浜松町にあった本社のオフィスを笹塚に移したんですよ。移転後にビル・ゲイツが来て、ニヤニヤしながら僕にこう言ったんです。「おまえ、オフィスを自宅の近くにしたんだろ」と。ビックリしましたね。なんでバレたのかと(笑)。

【ひろ】まじすか(笑)。

【成毛】でも、ビルも「それが正解だよ」と言ってくれました。「おまえは日本法人の指揮官なんだから、自宅を職場の近くにするか、職場を自宅の近くにするか。まあ、職場の隣に住むのがベストだけどね」と。実際に会社を自宅の近くに持ってきたことで、通勤時間が1時間くらい短縮できました。開発センターやデータセンターも京王線沿線に設置したら、乗り換えなしで行けるから便利ですし、社員も職場の近くに集まってきた。

【ひろ】てなわけで、成毛さんと僕と、そしてあのビル・ゲイツの意見が「職場から近い場所に住むべき」だと一致しました(笑)。

■田舎に行きたいなら土日に行けばいい

【成毛】リモートワークもじわじわ増えていますが、僕は東京以外に住むつもりはないですね。

【ひろ】僕も田舎に行く考えはないっすね。職場が都心にある場合、結局、平日の5日間を過ごすのは都心。田舎に行きたいなら土日に行けばいいわけですよ。1週間を平日と休日で分けたとき、どっちにいたほうが効率的かと考えたらおのずと答えは出るかなと。

【成毛】僕にとってそれが熱海の仕事場なんですよ。基本は都内の自宅にいますが、たまに熱海に行きたくなる。ひろゆきさんも帰国した際にはぜひ来てくださいよ。

【ひろ】ぜひぜひ。熱海いいですよね、魚もおいしいですし。

【成毛】実はそうでもないんですよ。本当においしい魚は豊洲に集まるので。北海道の魚介類や大間(青森)のマグロだってそうです。

【ひろ】確かに昔、大間でおいしいマグロを食べようと思ったら、現地の人に「東京に行ったほうがいいよ」って言われました(笑)。

【成毛】あれ? 結局なんの話をしてるんでしたっけ(笑)。

【ひろ】10~20年後の未来ですね。だいぶそれちゃいましたが(笑)。

■「東京圏」の人口はまだまだ増え続ける

【ひろ】最近はリモートワークの普及もあって、東京から地方に移住する人が増えているようですが、それは一時的なものだと思います。結局、仕事があるのは都会ですし、不景気になればその傾向も加速するので、僕は将来的には東京にもっと人が集まると思っています。

【成毛】僕も東京の人口は増えると思っています。ただし、東京都というよりは“東京圏”。千葉や埼玉など“東京のような街”に人が増えると思います。例えば今、千葉県の印西市に若い人が多く移住しているそうです。彼らは勤め先が千葉市だったりするので、家から職場が近く、満員電車に揺られなくていい。また、都心で遊ぼうと思えば40分程度で行ける。同じような例が東京周辺の街でたくさん起きるんじゃないですかね。

【ひろ】茨城県の取手市に若い人が増えているって話もありますよね。電車に乗れば秋葉原まで約1時間だし、1000万円台で庭付きの一軒家が手に入る。30代で子供が生まれて、庭付き一軒家が欲しければ取手市のような地域も選択肢に挙がるようです。

【成毛】これから増えていくと思うのが「ZOZO」のようなパターン。本社が千葉市にあって多くの社員が会社の近くに住んでると聞きます。10年もすればたくさんの企業が、さいたま市や立川市といった郊外に移っていくと思います。

【ひろ】僕的には、もうちょっと都心信仰みたいなものが続くと思います。例えば、多くのアメリカ人にとって「ロサンゼルス」で働くのも「ニューヨーク」で働くのも同じだと思うんですよ。でも、日本人は「東京」か「千葉」かでだいぶ違う。千葉にある施設なのに東京と名称をつけるパターンもありますし、世間の評価も「東京で働いている」のと「千葉で働いている」のではけっこう違う。“東京ブランド”って、思っている以上に評価が高いので、東京一極集中は10年くらいじゃ変わらないかなと。

【成毛】まあ、江戸時代からさかのぼれば東京一極集中は、300年近く続いていますからね。明治維新も薩長土肥という地方出身者が江戸に来て革命を成功させたわけですし。

東京
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maroke

【ひろ】逆に、あの勢いのまま薩長あたりに大きな都市をつくろうとは思わなかったんですかね。

【成毛】江戸時代の薩長は地方すぎて難しいでしょう。

■3000万人規模の都市は世界でも稀

【ひろ】東京は規模もすごいですよね。首都圏の人たちは東京で好きなアーティストのライブがあったら1時間かけても普通に見に行くじゃないですか。そういうふうに「東京に行くことが当たり前」な人が、首都圏に3000万人近くいるわけです。3000万人の都市って世界でも稀有ですよね。パリは車で1時間走ると街が終わって森になりますよ。

【成毛】ニューヨークもロンドンもそうですよ。

■観光政策とインフラ整備が融合したフランス

【ひろ】ってなわけで、今後も東京に人が集まるのは変わらないと思いますね。一方で、インフラの整備っていう面でいうと、フランスの道路ってめっちゃ整備されているんですよ。しかも、高速料金は基本的に無料。

【成毛】それはフランス特有の事情かもしれません。フランスは高速道路だけでなく、一般道もちゃんと整備されているんですよ。自転車ロードレースの「ツール・ド・フランス」の影響があるからといわれています。

【ひろ】あー、なるほど!

成毛眞、ひろゆき『考えて生きる』(集英社)
成毛眞、ひろゆき『考えて生きる 合理性と好奇心を併せもつ』(集英社)

【成毛】ちゃんと整備しないと自転車レースにならないでしょ。ツール・ド・フランスは「フランス一周」の意味です。それを100年以上やっているのでマニアックな山道も舗装されている。ツール・ド・フランス以外にも自転車のレースはたくさんありますしね。

【ひろ】それは、ある種の参勤交代ですね。江戸時代は参勤交代のために地方から江戸につながる道が整備された。それで宿場町ができたり、流通が活性化したり、すごくよくできた仕組みだと思います。同様に、ツール・ド・フランスも道路を整備しつつ、観光客を呼び込むこともできる。

【成毛】だから、街を挙げてコースになるように誘致するわけですよ。単なる名誉のためだけじゃない。

【ひろ】スタッフや観光客など何万人単位で人が移動するので、宿とかも整備されますしね。そうやって、観光政策とインフラの整備を合わせたことを日本でもやればいいんですけどね。でも、日本はなかなかそういう発想にならない。

【成毛】まあ、自治体が自分たちで金を使いたいんでしょう。地方議員の利権なんかも絡んでくるでしょうし。

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成毛 眞(なるけ・まこと)
HONZ代表
1955年、北海道生まれ。中央大学商学部卒業。自動車部品メーカー、アスキーなどを経て、1986年、日本マイクロソフト入社。1991年、同社代表取締役社長就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社インスパイア設立。2010年、書評サイト「HONZ」を開設、代表を務める。

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ひろゆき(ひろゆき)
2ちゃんねる創設者
東京都北区赤羽出身。1999年、インターネットの匿名掲示板「2 ちゃんねる」を開設。2015年に英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。YouTubeチャンネルの登録者数は150万人。著書に『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)など。

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(HONZ代表 成毛 眞、2ちゃんねる創設者 ひろゆき)

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