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夢を叶えた「ノート」大公開…MVP大谷翔平が高1で、金メダル伊藤美誠が幼稚園時代に書いていたこと

プレジデントオンライン / 2022年7月8日 11時15分

米大リーグの球宴に投打で出場したエンゼルスの大谷=2021年7月13日、デンバー(写真=時事通信フォト)

二刀流の大谷翔平選手や卓球の伊藤美誠選手……一流アスリートは無名だった頃からノートをつけていることが多い。メンタルトレーナーの高畑好秀さんは「体を使った練習を、頭を使って定着させるんですね。それが次の練習に活きていく。書くことで論理的に考える力も養われます」という――。

※本稿は、「プレジデントFamily2022年夏号」の一部を再編集したものです。

■高1の大谷翔平、幼稚園児の伊藤美誠が書いたノート

大谷翔平選手のマンダラチャート、伊藤美誠選手の師弟ノートなどなど、一流アスリートの書くノートやメモ帳が話題になることが多い。ノートを書くと、なぜ夢が叶い、目標が達成されるのだろう。勉強や習い事にもノート効果はあるのだろうか。

フィギュアスケートの羽生結弦選手が書いた「発明ノート」、サッカーの元日本代表・中村俊輔選手の「サッカーノート」、卓球の伊藤美誠選手がコーチと書いた「師弟ノート」など、一流アスリートが書いたノートやメモには、練習内容だけではなく、自分を見つめ、今足りないもの、目標を達成するために必要な課題、やるべきことが詳細に綴(つづ)られている。

メジャーリーグで活躍中の大谷翔平選手が高校1年生の時に書いた「マンダラチャート」。中央に「ドラフトで8球団から1位指名を受ける」という夢を書き、それを達成するために必要な八つの要素(「体づくり」「コントロール」「キレ」「スピード160km/H」「変化球」「運」「人間性」「メンタル」)と、それをさらに具体化した項目が81マスにマンダラ状に記されている。

大谷翔平君が高校1年生のときに書いたOW64
出典=『PRESIDENT』2018年7月30日号
●大谷翔平選手の「マンダラチャート」

MLBロサンゼルス・エンゼルス所属の野球選手。投手と野手の二刀流として活躍中。花巻東高校野球部時代に書いたマンダラチャートといわれる「目標達成シート」には、野球に関することだけでなく、「人間性」や「運」を書き入れているところにスケールの大きさがうかがえる。

■強調するのは「可動域」「下肢の強化」「体幹強化」

「ドラフトで8球団から1位指名を受ける」という夢を達成するために必要な八つの要素をそれぞれ具体化した項目を抽出した。

米大リーグの球宴に投打で出場したエンゼルスの大谷=2021年7月13日、デンバー(写真=時事通信フォト)
米大リーグの球宴に投打で出場したエンゼルスの大谷=2021年7月13日、デンバー(写真=時事通信フォト)

「体づくり」:①体のケア、②サプリメントを飲む、③FSQ(スクワット)90kg、④RSQ(同)130kg、⑤食事 夜7杯朝3杯、⑥可動域、⑦スタミナ、⑧柔軟性

「コントロール」:①インステップ改善、②体幹強化、③軸をぶらさない、④不安をなくす、⑤メンタルコントロールをする、⑥体を開かない、⑦下肢の強化、⑧リリースポイントの安定

「キレ」:①角度をつける、②上からボールをたたく、③リストの強化、④下半身主導、⑤可動域、⑥回転数アップ、⑦ボールを前でリリース、⑧力まない

「スピード160km/H」:①軸でまわる、②下肢の強化、③体重増加、④肩周りの強化、⑤ピッチングを増やす、⑥ライナーキャッチボール、⑦可動域、⑧体幹強化

「変化球」:①カウントボールを増やす、②フォーク完成、③スライダーのキレ、④左打者への決め球、⑤奥行きをイメージ、⑥ストライクからボールに投げるコントロール、⑦ストレートと同じフォームで投げる、⑧遅く落差のあるカーブ

「運」:①あいさつ、②ゴミ拾い、③部屋そうじ、④審判さんへの態度、⑤本を読む、⑥応援される人間になる、⑦プラス思考、⑧道具を大切に使う

「人間性」:①感性、②愛される人間、③計画性、④感謝、⑤継続力、⑥信頼される人間、⑦礼儀、⑧思いやり

「メンタル」:①はっきりとした目標目的をもつ、②一喜一憂しない、③頭は冷静に心は熱く、④雰囲気に流されない、⑤仲間を思いやる心、⑥勝利への執念、⑦波をつくらない、⑧ピンチに強い

■体を使った練習を頭を使って定着させる

これは、大谷選手の母校・花巻東高校野球部の佐々木洋監督が、自身の経験から「夢と目標と決意を明確にさせるため」に、部員全員に書かせた「目標達成シート」だ。

『プレジデントFamily2022年夏号』
『プレジデントFamily2022年夏号』

「中学や高校の運動部では、達成シートや練習ノートを書かせるところが多いですが、やはり大谷選手のものはスケールが違います。『スピード160km/H』とありますが、その時点でそこに手が届きそうだったということでしょう。すでに大物だったことがうかがえます」

こう語るのは、多くのプロアスリートをサポートしてきたメンタルトレーナーの高畑好秀さんだ。

「達成シートに夢と目標を書いて可視化させ、練習ノートでその日を振り返る。これが大事です。ノートに書くためには練習内容やコーチに言われたことを思い出し、それを言葉として整理する必要があります。体を使った練習を、頭を使って定着させるんですね。それが次の練習に活きていく。書くことで論理的に考える力も養われます」

■卓球金メダルの伊藤美誠が幼稚園児時代に書いた言葉

ノートを見れば、伸びる選手かどうかがわかるという。コーチの言葉を理解しているか、それを自分の課題につなげているか。

卓球の伊藤美誠選手
【写真1】卓球の伊藤美誠選手(『プレジデントFamily2022夏号』より、撮影=徳田洋平)

「それができている子は、しっかり自分と向き合えている。次に何をすべきかがわかるので意欲的にもなります。そうして自分を磨いて、夢や目標に近づいていくのです」

文化部の子や習い事をしている子にもノートはお勧めだと言う。

「最初はうまく書けないかもしれませんが、そこは親がリードしてやってください。自分がどうなりたいのか、そのために今必要なことは何かを書かせるといいでしょう」

3歳から卓球を始めた伊藤美誠選手は、母・美乃りさんと一緒に幼稚園の頃から「試合ノート」や「卓球日記」をつけてきた。

伊藤美誠選手が幼稚園の頃の「試合ノート」
【写真2】『プレジデントFamily2022夏号』より(ノート=本人提供)

幼稚園児の時に書いた「試合ノート」
どうしたらいっしあいめから、
よいたっきゅうが、できるのか
①あしをうごかす。
②さーブをおんなじところや、
そればっかりは、やらない。
③じぶんのしあいの、まえのしあいをみる。
④さーブをだすとき、あのたついちをみてからだす。
⑤できればなわとびをやる
うしろ50と、まえ50をやる。
⑥てくびとひざをやわらかく。
⑦じゃんぷをしとく。
⑧ひとりでしあいのいめーじをしとく。
⑨しあいのまえ

親に見てもらうことが支えになり、それが美誠選手の強くなりたいという意欲を高めていったのだろう。

伊藤美誠選手の「卓球日記」
【写真3】『プレジデントFamily2022夏号』より(ノート=本人提供)
●伊藤美誠選手の「卓球日記」

スターツ所属の卓球選手。小学生の頃から多くの大会で優勝を果たしてきた。日本代表として出場した2021年の東京オリンピックでは、混合ダブルスで金、シングルスで銅、女子団体では銀を獲得。松﨑太佑コーチと書き続けた「師弟ノート」の以前も、幼稚園時代から日記を書いていた。【写真3】は、小学4年生の時に出場した国際大会の後の日記の一部。

■【ノートを書いている一流アスリートの一例】

高木美帆 スピードスケート選手
「気づきメモ帳」

長谷部誠 プロサッカー選手、元日本代表キャプテン
「監督ノート」「読書ノート」「トレーニングノート」

菊池雄星 メジャーリーガー
「野球ノート」

高梨沙羅 スキージャンプ選手
「沙羅ノート」

朝比奈沙羅 柔道選手
「野望ノート」

羽生結弦 フィギュアスケート選手
「発明ノート」

中村俊輔 プロサッカー選手
「サッカーノート」

丸佳浩 プロ野球選手
「丸ノート」

早田ひな 卓球選手
「たっきゅうノート」

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高畑 好秀(たかはた・よしひで)
メンタルトレーナー
1968年、広島県生まれ。早稲田大学人間科学部スポーツ科学科スポーツ心理学専攻卒。日本心理学会認定心理士資格取得。同大学運動心理学研修生終了後、プロ野球、Jリーグ、Vリーグ、プロボクシング、プロゴルファーなどの多くのプロスポーツ選手やオリンピック選手などのメンタルトレーニングの指導を行う。日本コンディショニング&アスレチック協会公認スポーツ心理学講師。

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(メンタルトレーナー 高畑 好秀)

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