これは大人としての最低限の身だしなみ…銀座ママが必ずチェックする「出世する人の臭い」
プレジデントオンライン / 2022年7月11日 11時15分
※本稿は、伊藤由美『スイスイ出世する人、デキるのに不遇な人 銀座のママが教える「リーダーになる人」28の共通点』(ワニブックスPLUS新書)の一部を再編集したものです。
■身だしなみ以上に出世を左右している「臭い」
リーダーになれる人の共通点として「臭くない人」という特徴があります。出世に臭いが関係あるのか――そう驚かれた方もいらっしゃるでしょう。これが大アリなんです。といっても出世する人、しない人が嗅ぎ分けられるわけではありません。「臭いに対する意識」から、その人の本質がうかがえるということなのです。
ビジネスマンのマナーとして常に取り沙汰されるのが「身だしなみ」。清潔感のある身だしなみに気が遣える人は、社内外、オンタイムオフタイム、性別世代などを問わず、周囲からの印象もいいものです。ところが目に見えないものだからでしょうか、服装や持ち物、髪型には注意を払っているのに、臭いには無頓着になるか、つい見逃してしまいがちです。
汗の臭いに足の臭い、口臭や二日酔いによるお酒の臭い、腋臭症(ワキガ)などの疾患による体臭や寄る年波の加齢臭。こうした自分が出している臭いに、自分で気がつかない人は少なくありません。「こればかりは体質だからどうしようもない」「ワキガは病気なのだから仕方ない」という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし問題なのは、自分が臭いかどうかではなく、「臭わない努力をしているか」にあります。それはすなわち、「他人に不快感を与えていないか」という気配りができるか、そのために何をしているかです。具体的には、
●汗をかいたらすぐに拭いたり、制汗スプレーを常備しておく
●臭いの強いものを食べたら歯を磨く
●口臭予防のタブレットなどを常備する
●ムレないように通気性のいい靴や靴下を選ぶ
といったこと。
「今さら何を」という当たり前のことばかりでしょう。でもその当たり前ができている人が、実はあまりいません。だからこそ世の男性の多くは中年になると「オヤジ臭い」などと揶揄(やゆ)されるのです。また逆に、おしゃれだと勘違いして、頭からかぶったのかと思うくらいにオーデコロンの香りを発散させている人もいます。過ぎたるは猶及ばざるが如しの言葉どおり。
食事の席にきつい香水をつけてくる女性が白眼視されるように、周囲の人をむせ返らせるほどの香りは、はた迷惑な“異臭”でしかありません。
■「臭くない人=自己管理ができている人」
さらに言えるのは、「臭くない人=自己管理ができている人」だということです。例えば口臭にしても、お酒や食べた物の臭いだけではなく、虫歯や歯周病などが原因となっている場合もあります。さらに体臭や汗の臭いには、胃腸や肝臓系の疾患、糖尿病などが原因となっているケースも考えられます。
「臭くない人」とは、こうした自分の体調管理ができている人のことであると言ってもいいでしょう。もちろんこの自己管理には、「大事な商談がある前夜は、二日酔いになるまで飲まない」という社会人として当たり前の自己節制も含まれます。また今は喫煙者の肩身が狭くなる一方の時代です。
タバコを吸うなとは言いませんが、タバコの臭いをプンプンさせて平気な人は、臭いそのものが迷惑なだけでなく、健康管理を疑問視されてしまう可能性だってあります。そもそも「臭い人」は、奥さんや親しい知人・友人などから、「臭いよ」と指摘されたことがあるはずです。
指摘されて改善しようと努力する人は、その段階ですでに「臭い人」ではありません。問題なのは指摘されても一向に改善しない人なのです。この人は言っても聞かない人、つまり人のアドバイスを素直に聞き入れられない頑(かたくな)な人だという印象になってしまいます。
■デキる男は見えない部分に気を遣い、見えないものを大事にする
臭いだけでなく、一事が万事、そうやって生きている人だと思われてしまうんです。そういう姿勢の人が、会社の中で他人を差し置いて出世するとは思えません。
また職場で「あの人、何か臭わない?」などといったイメージがつくと、困るのは本人だけではありません。「奥さんはちゃんと洗濯しているのか」「きっと奥さんもだらしのない人に違いない」など、奥さんのイメージも悪くなってしまいます。これだって立派な迷惑行為でしょう。
奥さんにしてみれば、「言っても聞かない」旦那のために、自分まで「ズボラな嫁」のレッテルを貼られてしまうのでは、たまったものではありません(奥さんがイメージどおりの人の場合もありますが)。本人は気にしていなくても、そのことが他の誰か、身近な誰かにマイナスの影響を及ぼしている。それに気づかないようでは、大勢の人の上に立つ資質を疑われても仕方のないところです。
デキる男は、見えない部分に気を遣い、見えないものを大事にし、見えないところで他人に与える影響を考慮し、そして人の助言を聞き入れる素直さを持っているもの。「臭くない人」とは単に「変な臭いのしない人」というだけでなく、周囲への気遣いができるか、目に見えない大人としての最低限の身だしなみに意識を向けられるかという、人としての“生き方”の問題なのです。
臭い人は出世できない
身だしなみの欠如は言うに及ばず。周囲に不快感を与えているということに気づかない鈍感さと、気づいていても改善しないという頑なさは、人の上に立つものとしての資質を疑われてしまいます。
■「声の大きな人間が勝つ」というのはどういう意味か
よく「声の大きな人間が勝つ」と言いますが、このフレーズには「言ったもの勝ち」「押しが強いもの勝ち」的な否定的な意味合いが多分に含まれています。また、「声が大きい人は自己中心的で人の話を聞かない」などとも言われているようです。
しかし企業という組織のなかで出世する人、偉くなる人、人の上に立つ人には、声が大きい人がとても多いというのは紛れもない事実です。声が大きいと、話の内容はたいしたことがなくても、イマイチ意味がわかりにくくても、ちゃんとした主張のような気がしてくるもの。同じことを話しても、声が小さい人より大きい人のほうが真実味も増して聞こえるものです。
確かに声が大きければ、その人の存在感や説得力が増して、会議や議論の場でも自分の意見が通りやすくなるという傾向はあるでしょう。でも、「意見が通りやすくなる」のは声の大きさがもたらすメリットであって、そのメリットをどう生かすかとはまったく別の問題。声がどれだけ大きかろうが「通りやすくなったから、自分の意見を何でも押し通そう」と考える人に、人はついていきません。
私がここで言う「声が大きい」とは、うるさくて騒々しいだけの雑音的大声ではありません。いうなれば「声に張りがある人、声がよく通る人」に近いニュアンスです。
テレビのバラエティ番組で、お笑い芸人さんたちがよく「もっと声を張れ」と言っているのを見かけます。声を張れとは、もっと大きな声で話せということです。私もこれまでに何度もテレビに出させていただいていますが、声が小さいと収録もスムーズに進みません。
小さな声ではマイクでも声をうまく拾えず、結局は何を言っているかわからない。せっかくおもしろいことを言っても、それが聞こえなければ意味がありません。結果として、その番組内での存在感も薄くなってしまうでしょう。「そんなことで、芸人として大丈夫かよ?」という冗談を込めた「声を張れ」なのです。
■声の大きさは積極性と自信の表れ
そして、これは芸人に限った話ではありません。ビジネスマンにとっても声の大きさ、声の張りというのは、その人自身の存在感に直結する非常に重要なファクターです。
自分の意見を、自分が思っていることを堂々と発言できるか。「自分は今、ここにいます」と自己の存在をアピールできるか。声の大きさとは、その人の自信と積極性と前向きさに比例して表れる身体現象だと思うのです。
また、声が大きい人にはバイタリティに満ちあふれているイメージがあります。そして実際にエネルギッシュな人が多い。体温が高いというか、血が熱いというか、力がみなぎっている感じを周囲に与えてくれます。
■欧米の政治家や大物ビジネスマンは発声の訓練をしている
さらにイメージといえば、声が大きい人には、隠し事ができないイメージもあります。私はひそひそ話が大嫌いで、お店でも女の子たちに「小声でひそひそ話すのは絶対にやめてね」と言っているんです。お店の女の子同士がひそひそ話をしているのを見ると、陰口を言われているみたいで気分が悪いというお客様も少なくないんですね。
その点、声の大きい人は、耳のそばに口を寄せてひそひそ――などというマネはできそうにないイメージがあります。あの大きな声では、内緒話などできないだろう。声の大きさを自覚していれば、人に聞かれてまずい話はしないだろうという印象を持たれることも少なくないと思います。
「声が大きい人はバイタリティに満ちていそう、隠し事がなさそう――これは単なるイメージで、必ずそうとは限らないだろう」とおっしゃる方がいるかもしれません。
でもこのイメージがとても大切なのです。欧米では政治家やビジネスのエグゼクティブなどには、みな専門のボイストレーナーがついて、「声や発声の指導」をしています。声の印象によって、その声を発している人の印象が大きく左右されるというのは当たり前の常識として広まっているんですね。
もちろん、ただ声が大きいだけでは必ずしも好印象を与えられるかどうかはわかりません。でも聞き取れないような小さな声よりも、押しが強いかなと思われても大きくハッキリ聞こえる声のほうが、イメージ的にプラスになるはずです。
■声はビジネスにおける強力な「武器」になる
一方、日本ではまだまだそうした考え方が定着していません。
ミュージシャンや俳優、アナウンサーといった特殊な仕事に就いている人以外で、声を意識する、発声の訓練をするという人はまずいないでしょう。でも、間違いなく声はビジネスにおける強力な「武器」となります。それを知っていて声をコントロールできる人はもちろんですが、知らなくても自然とそうした声の振る舞いができる人は、組織でも偉くなれると思います。
「クラブ由美」にお見えになるお客様で、それなりの地位にいらっしゃる方(企業の社長や会長、政治家の方など)も、みなさん大きくてよく通る声をしていらっしゃいます。でも、そういう方が大勢集まっても決して「やかましくない」んですね。それは、「オレがオレが」という強引な自己顕示ではなく、相手に自分の思いをきちんと届けようとしている声だからです。
人の上に立てる人の声は、大きいけれど、やさしくて気遣いが感じられる声なんですね。
小さな声でボソボソと話す人
声は自分の印象を左右する重要な「自己表現ツール」でもあります。声の大きさと張りは、自分の自信や信念の表れ。主張するときは大きな声でしっかり主張する。ここぞというときには声を張る。リーダーにはそうした資質も求められています。
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銀座「クラブ由美」オーナー
東京生まれの名古屋育ち。18歳で単身上京。1983年4月、23歳でオーナーママとして「クラブ由美」を開店。以来、“銀座の超一流クラブ”として政治家や財界人など名だたるVIPたちからの絶大な支持を得て現在に至る。本業の傍ら、「公益社団法人動物環境・福祉協会Eva」の理事として動物愛護活動を続ける。
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(銀座「クラブ由美」オーナー 伊藤 由美)
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