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女性をお金で釣ろうとする客は長続きしない…銀座ママがみた「落ちる人」が本性を現す"ある場面"

プレジデントオンライン / 2022年7月12日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ronstik

「上がる人」と「落ちる人」は、飲み方に決定的な違いがある。銀座の高級クラブ「クラブ由美」のオーナー・伊藤由美さんは「リーダーになっていく人は、人によって態度を変えない。反対に、女性にはいい顔をするが、男性スタッフには横柄な態度を取るお客は、いいリーダーにはなれない」という――。(第2回/全2回)

※本稿は、伊藤由美『スイスイ出世する人、デキるのに不遇な人 銀座のママが教える「リーダーになる人」28の共通点』(ワニブックスPLUS新書)の一部を再編集したものです。

■デキる男は、女性以上に男性からの人気が高い

男性の前に出ると明らかに態度が変わる、普段はドスのきいた声で話しているのに、イケメン男性の前だと恐ろしいほどの猫なで声になる。どんなときでも男性には媚びて、女性には居丈高――そういう女性が同じ女性からは総スカンを食うのはいつの時代も同じ、世の常です。

そして、もちろんこれは女性だけに当てはまることではありません。男性が将来的に有望かどうかの判断基準はいろいろですが、「その男性がどれだけの男性に人気があるか」もその大きなひとつと言えるのではないでしょうか。デキる男は、仕事でもプライベートでも女性から人気がある、これは真実です。

実際にお店でお会いする企業で偉くなられている方々は、お店の女の子はもちろん、自社の女性社員からも人気がある“いい男”方ばかりです。ただし重要なのは、そのお客様方は、女性以上に男性からも人気があるということ。むしろ男性人気のほうが高い人がほとんどなのです。

つまり、女性にしか人気がない人、異性からしかモテない人では偉くなれない、出世できない、デきる男になれないのですね。

■男性スタッフに対する態度で人間性が見抜ける

異性からも同性からも人気がないのは問題外ですが、だからといって「女性にモテる男=デキる男」という方程式が必ずしも成立するわけでもないのです。

異性からの人気は、“恋愛対象”として見た場合の評価になりがちですが、同性からの人気は、そうしたこととは関係なく、その人自身の人間性の客観的評価、人間としての魅力の評価の証しだと言えます。これは男性と女性、異性と同性の話ですが、要するに、相手が変わったときにどんな態度で接するか。その態度によってその人の人間性も見えてくる、ということなのです。

「クラブ由美」に限らずどこのクラブでも、お店には在籍している女の子のほかに男性スタッフがいます。女性とお酒を楽しむお店ですから、男性スタッフはどうしても裏方仕事が多くなるのですが、彼らに対する対応や態度、ものの言い方などを見ると、そのお客様の人としての度量や魅力が手に取るようにわかります。

女の子たちには鷹揚(おうよう)で紳士的に振る舞っているのに、男性スタッフを相手にすると高飛車になるお客様は、残念なことに、粋人の多い銀座界隈(かいわい)でもたまに見られます。

これは他のお店での話ですが、ほんのちょっとしたミス――お預かりした荷物を間違えて出してきた程度のことだったようです――に烈火のごとく怒って、男性スタッフにその場で土下座させて謝らせたなどという、とんでもないお客様(お客様と呼びたくもないのですが)も実際にいるんです。

怒る男性
写真=iStock.com/kuppa_rock
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kuppa_rock

でも女の子だけにはやさしくて、いい格好をする。「オレは金を払っている客だぞ。何だと思ってるんだ」という態度を、男性にだけ向けるんですね。私もいままでの銀座人生で、土下座までひどくはないにしても、男性スタッフの苦労をいろいろと目にしてきているので、その分、女の子と同様に大切にしているつもりでいるのですが。

■お金を使っていればちやほやしてもらえるが…

男性スタッフはお店におけるお客様の、女の子がついてないときの顔を見ています。“裏の顔”、つまり本心を見ているわけです。ですから彼らに嫌われるような人は企業人、社会人としてダメ。出世とか人の上に立つとかそうした次元の話ではありません。

お金しか見えていないバカな女の子やしたたかな女の子もいるので、ある程度のお金を使えば女性からの人気は上がるし、ちやほやもされるでしょう。でもそれは人としての魅力ではありません。その人が使うお金がちやほやされているだけなのですから。

■男性スタッフから人気がある人は例外なく“デキる人”

そしてそういう人間性は仕事でも出てきます。自分より立場が上の人には平身低頭、ペコペコしまくり、立場の弱い相手には傲慢(ごうまん)に、居丈高になる。間違いありません。

逆に、男性スタッフから人気がある人、「あのお客様はいい方ですね」と思われる人は例外なくデキる人です。そういう方はみなさん会社でも偉くなっているし、慕われるリーダーになっています。女性だけでなく男性にも同じ態度で接する。それはつまり、相手によって態度を変えないということでもあります。

そういう人は、男性女性に限らず、どの立場の人にも同じように気配りができる人です。表舞台でスポットライトを浴びて活躍する人だけでなく、いえそれ以上にその人を陰で支える裏方さんたちを評価し、労うことができる人なんです。そんな人としての魅力を持ったリーダーなら、誰もがその人のために働きたい、ついていきたいと思うのは当たり前ですよね。

人を見て態度を変える人

強きに従い、弱きをおとしめる。上にへつらい、下に威張り散らす――相手によって態度を変える人は、いつか自分も“態度を変えられる”側の人間になります。

■恩は売るものではなく「お返し」するもの

私は、人が望んでいるものをあれこれと想像して、それを何気なく贈って喜んでもらうのが大好きです。

緑の風呂敷に包まれた贈り物
写真=iStock.com/c11yg
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/c11yg

お客様のお子様や奥様のお好きなものをさりげなくお聞きして、何かの機会にプレゼントしたり、「○○のコンサートチケットを入手したいけれど、なかなか難しい」という話を聞いたら、何とかツテを使ってご用意して差し上げたり、仕事関係で「○○さんと一度、お会いしたいんだけど、機会がなくてね」というお客様には、仲介役を買って出て、お顔合わせの場をつくって差し上げることもあります。

こういうことを書くと「クラブのママがお客さんにいろいろしてあげるのは、結局、恩を売るという営業活動のひとつだろう」と思われるかもしれません。でも私にしてみれば、ただ単に「喜んでもらえたら嬉しい」という思いだけ。元来、人の喜ぶ顔を見るのが好きで、誰かのためにあれこれとしてあげることが楽しくて仕方がないという、生まれ持った性分なんです。

何かして差し上げることで「恩を売ろう」などと思ったことも一度もありません。

「恩」というのならば、売るのではなく「お返し」させていただいているという思いのほうが正しいでしょう。もちろん、お客様にご来店いただいてこそ成り立つ商売ですから、「また来ていただきたい」気持ちは大いに持っています。私はママであり、経営者でもあるわけですから、売り上げのことを考えるのも当然のことです。

でも、ただ一方的にお客様にだけ「来てください」「いらしてください」と言ったところで、長くお付き合いいただけるような関係はつくれません。お客様からも大事にしていただくためには、私たちもお客様のことを考え、大事にして差し上げなければいけないのですね。

■デキる人は恩の扱い方を熟知している

接客業という仕事に限らず、仕事でもプライベートなお付き合いでも、すべての人間関係において同じことが言えるのではないでしょうか。私がいろいろとして差し上げるのは、「クラブ由美」を大事にしてくださるお客様への「恩返し」なのです。

ですから、「チケットをとってあげたのだから――」「○○さんを紹介してあげたのだから――」という気持ちは一切ありません。だって見返りなど求めていないんですから。ビジネスの世界でも取引先などとのやりとりのなかで、「恩を売る」とか「恩を受ける」という話がでてくることが少なくありません。こうした場合の「恩」の扱い方は難しいといわれます。

あくまで気持ちの上での問題であって、金額や数字では表せないものだからでしょう。だからこそ「恩」の扱い方が上手な人というのは、仕事でも仕事を離れたところでも、一目置かれるようなデキる人になれると思います。実は、恩の扱いはそれほど難しくありません。むしろシンプルです。

要するに、「売った恩は忘れましょう。受けた恩には報いましょう」ということです。「やってあげた」「わざわざしてあげた」と思うのはやめましょう。でも「してもらった」ら、その恩は決して忘れずに何かの形でお返しをしましょう。これだけのこと。そして、デキる人は、例外なくこれを実践しているはずです。

■売った恩は忘れてしまうくらいでいい

取引先が困っているときに無理ともいえる依頼を受けて、こちらもかなり苦労をしてその場を乗り切ったというケースなどでは、相手は「恩に着ます」という気持ちでいることでしょう。

そういうときも「いやぁ大変だった。今回は特別だから貸しにしておくよ」などと恩着せがましいことを言わず、「お互い様ですから。上手くいってよかったですね」と何事もなかったようにサラリと言ってのける。そういう人には相手も自然と「この人には何かお返ししたい」と思うでしょう。いい人間関係、ビジネスを超えた信頼関係というのは、こうして築かれていくものなのです。

伊藤由美『スイスイ出世する人、デキるのに不遇な人 銀座のママが教える「リーダーになる人」28の共通点』(ワニブックスPLUS新書)
伊藤由美『スイスイ出世する人、デキるのに不遇な人 銀座のママが教える「リーダーになる人」28の共通点』(ワニブックスPLUS新書)

後々、相手より優位に立つためとか、見返りという利益を得ようとする目的でしてあげるのは、もう相手のためではなくただの計算高い取り引きでしかありません。ビジネスという視点だけで考えればそれでもいいのでしょうが、結局、そこにいるのは人間です。

人は「困っているだろうから、何とか手を貸してあげたい」という純粋な気持ちなのか、「恩を売るいい機会だ」と思っているのか、本能でわかるもの。計算ずくで売られた恩では、計算ずくの見返りしか得られません。売った恩は忘れてしまうくらいでいいんです。忘れてしまった恩は、それこそ“忘れた頃に”何かをもたらしてくれるかもしれません。

「恩」という文字は原因の「因」に「心」と書きます。「因」とは人との交わりや人間関係のこと。つまり恩とは、「さまざまな形で自分に関わってくれている人々のおかげで、今の自分があると知る心」という意味にとることもできるでしょう。デキる人は、そのことをよく知っているんです。

恩着せがましい人

「やってあげた」「無理を聞いてやった」などと恩着せがましく言う人ほど、自分が恩を受けたときには「やってもらって当然」と思うもの。そういう人に人望は望めません。

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伊藤 由美(いとう・ゆみ)
銀座「クラブ由美」オーナー
東京生まれの名古屋育ち。18歳で単身上京。1983年4月、23歳でオーナーママとして「クラブ由美」を開店。以来、“銀座の超一流クラブ”として政治家や財界人など名だたるVIPたちからの絶大な支持を得て現在に至る。本業の傍ら、「公益社団法人動物環境・福祉協会Eva」の理事として動物愛護活動を続ける。

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(銀座「クラブ由美」オーナー 伊藤 由美)

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