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これまでのキャリアは関係ない…周囲から「厄介な人」と思われている中高年が根本的に勘違いしていること

プレジデントオンライン / 2022年7月19日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maroke

50歳を過ぎても成長を続けるにはどうすればいいのか。作家の有川真由美さんは「自分自身の強みを見つけ、それを伸ばすことだ。そのために、人の意見を聞き、失敗や過ちを認めるなど、自らを客観視する目を持つことが大切になる」という――。(第1回)

※本稿は、有川真由美『50歳から花開く人、50歳で止まる人』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

■50歳からは自分自身を客観視することが重要なワケ

50歳からは「努力に頼らず、成果の出る仕組みをつくること」が不可欠です。精神力や体力に期待する年代ではありません。

そのために重要なのが、自分自身を“客観視”する目です。「こうしたい」「こうなりたい」という主観的な思いを叶えるためには、自分はどんな人間で、どんなスキルがあって、なにをどうすれば成果が出るのか、という客観的な目がどうしても必要なのです。

50歳から客観視ができる人と、できない人では、ものすごく大きな差が生まれます。

実際、自分を客観視できない人は、服装がチグハグだったり、話がかみ合わなかったり。仕事でも自分の“商品価値”がわかっていないので、強みを生かせず、努力の方向性を間違ってしまいます。

人の意見を聞かず、失敗や過ちを認めないので、悲しいほど成長がありません。「デキない人」と言われてしまう人は、自分を客観視できない人でしょう。

■自分のやりたいことを見つける方法

「自分のことは自分がいちばんわかっている」という人にかぎって危うい。

客観視できる人は「自分が見えていない部分もある」と素直に認めるものです。自分を客観視できる人は、他人にむやみに合わせたり、対立したりするのではなく、自然体でまわりとの折り合いをつけていくのがうまいのです。

仕事においても自分は「なにができて、なにができないか」「どの程度のレベルか」「自分がこれをすれば、どうなるか」など現実的にわかっているから、自分の役割を見つけてそこで力を発揮したり、人に頼ったり、譲ったりすることもできます。

客観性があることは、柔軟性があることとイコールであることがわかります。

自分を客観視できる人は、自分を素直に、謙虚に受け入れている人でもあります。自分のやりたいこともちゃんとわかっているから、柔軟に自分の強みを伸ばしていくことができるのです。

■自分の強みをわかっている人の成功例

台湾在住の日本人で、かつて自分でつくったアクセサリーを販売していた友人がいます。現地の彫金の学校に通って、委託販売、通信販売、フリーマーケットなどで売っていましたが、収入は多くありませんでした。

私を含めてまわりから「台湾で生きていくなら、大学院に行って日本語教師になる道もある」とすすめられて、40代で実行。中国語、台湾語も話せたため、在学中から、あちこちの大学から引っ張りだこで、卒業後はあっさり大学講師になりました。

ここからが彼女らしいところで、専任講師になってほしいという就職の話がいくつもあったのに、「自由でいたいから」とすべて断って非常勤講師のまま。友だちのカフェでつくっていた和菓子の評判がよかったことから、日本の通信講座で和菓子の技術を本格的に習得しました。

もともとデザインのセンスがあったため、見た目が美しい和菓子が台湾人の心をとらえたのでしょう。やっているうちに力をつけて、大学の夏季休暇中はパリに出店して大好評……と、つくづく自分を生かして、人生を楽しんでいる人だと思います。

彼女はいつも、ちょっと変わった服を着ているけれど、決して不快にはなりません。むしろ「それ、いいね」と称賛されます。自分を押し売りしなくても、人を喜ばせたり、感動させたりすることで結果的に認められていく。そんなところからも「なにが受け入れられて、なにが受け入れられないか」をわかっている人だと理解できます。

■まわりに責任を押し付けてしまう人が学ぶべき3カ条

【50歳から客観視ができて花開いていく人の特徴】として次の3つがあります。

1 「自分がどうありたいか」をわかっている
2 自分の「強み」をわかっている
3 まわりの視点に立って“貢献”を繰り返す

とくに3が大事で、「どうしたら喜ばれるのか」と考えているうちに、成長はついてきます。相手が喜ばないときは、修正を加えていけます。

「自分は一生懸命やっているのに」と、まわりに責任を押し付けるのは、客観性がない証拠。50歳からは自分で変化していく力が問われているのです。

■「なんでもできます」ではなく「これができます」

50歳から“即戦力”として生きている人の特徴を見ると、なんらかの専門性をもっている人がほとんどです。「なんでもできます」というのではなく、「これができます」という一目置かれるものがあるから、声もかかるのでしょう。

年を重ねるほど上の立場になる人も多いですが、実際の社会では、その役割は限られています。会社の部長や役員をしていても、よほどの実力がないかぎり、別の場所では即戦力にはならないものです。

ほんとうの意味で実力を発揮するためにも、人生の幸福の面からも、「自分にできること」を集約して深めていったほうが求められやすいのです。

■早いうちから「この人がいないと困る人」を意識する

会社で働いている人は、先を見据えて早い段階から「なにかの専門家として声がかかる自分」を意識しておくことをおすすめします。

「人が認めてくれる強み」とは、あなたがしたことに対して、相手が心を動かしたということ。それをヒントに専門性をさらに深掘りしようとすることで、努力の方向性も見えてきます。

小さな会社でも、退職した人に「これまで通り、経理はやってほしい」「○○の担当はずっとお願いしたい」などと頼むことがあります。

以前、働いていた編集プロダクションには、ときどきやってくる60代の校正者がいて、だれも気づかない間違いを指摘してくれていました。以前、弁護士事務所で働いていた経験もあって、法律にも詳しくて契約関係も担当。いなくては困る人になっていました。

会社を辞めても、「この人に頼みたい」「この人がいないと困る」という必要な人になることは可能なのです。

オフィスのガラスボードにメモを書いて若者に説明をする高齢の男性
写真=iStock.com/Dean Mitchell
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Dean Mitchell

「専門性」というと、高度な技術とか、深い知識とか、むずかしく考えがちですが、そんな大げさなことではありません。最初は“にわか専門家”でも、求めている人がいれば、“立派な専門家”に成長していけます。会社で培(つちか)ったスキルを、会社外で通用するものにしていくこともできるでしょう。

■70代80代になっても声がかかる人の特徴

【一目置かれて、声がかかりやすい人の3つの特徴】は……。

1 専門性を“言語化”できていること

すでに専門職であれば、道も開けやすいものですが、「会社で事務をやっていました」「管理職でした」など、ぼやっとしたスキルは、声をかけたくても、その人を生かすイメージができないのです。

人に紹介されるときも「この人は○○をやっている人」「○○ができて、△△に詳しい人」など一言で表現できると、「じゃあ、こんなことできる?」と声もかかりやすくなります。

2 すぐに対応して最後までやり切ること

あたりまえのことのようですが、「いま忙しいので」となかなか取り掛からなかったり、引き受けても放置したりしていると、声はかからなくなってきます。

相手が必要としている場面で、すぐに対応して最後までやり切ることが信頼につながります。途中で「報連相(報告・連絡・相談)」をマメにして風通しのいい関係をつくっておくことも大事です。

3 人の期待を超え続けること

会社の中でも外でも、頼まれた仕事に対して、相手の期待を超えて心を動かせば、かならずといっていいほど「またお願いしたい」となります。

少々むずかしいことにも挑戦してまた期待を超える。この繰り返しで、専門性を認めてくれる人が広がって、あちこちから声がかかる人になるのです。

70代の雇われ社長で、次々に新規プロジェクトを任されている人が、こんなことを言っていました。「自分自身の目標はないけど、人に期待されて、喜んでもらうことがたまらなく好きなんだよね。その繰り返し」

70代80代になっても、声をかけてもらう自分、しかも身近な人だけでなく、社会から声がかかる自分のイメージを、頭の片隅に置いてみてはいかがでしょう。

■40代からスキルを伸ばす方法

人生後半のステージに向けて、スキルアップしたり、新しいスキルや学びを始めたりしようとしている人もいると思います。

しかし、40代50代でなにかを身につけるのは、容易なことではありません。

たとえば、外国語の学習でも、40代50代でやろうとすると、10代20代の倍以上の時間と労力とお金がかかるでしょう。

「いくつになっても、できるはずだ!」という気持ちはもっていたいものですが、現実的にできること、できないことがあり、努力の“方向”と“方法”を間違っては、徒労に終わることになります。

仕事でも学習でも「努力の方向性を間違っていないか」を見極める方法があります。

ひとつは、「やっていて楽しいか、夢中になれるか」ということ。

楽しいこと、夢中になれることなら、続けることも苦にならず、結果はどうであれ、それはそれで意味があります。

鍵になるのは“好奇心”で、知りたいことへのエネルギーは自然にわいてきて、努力を努力とも思わなくなります。50歳からは、やっていて楽しくないこと、夢中になれないことは、ばっさりと捨てる覚悟をもったほうがいいでしょう。嫌々やってもうまくいきませんから。

ときどき、「努力はかならず報われる」と、使うあてがない資格や語学の勉強をやっている人がいますが、苦痛になる努力であれば、時間と労力を無駄にすることになりかねません。

そして、もうひとつは、「人に喜ばれることか」、または「人に認めてもらえることか」ということ。

人が「助かる」「すごいね」「さすが」などと評価してくれることは、自分の「強み」。努力の方向性は間違っていないはずです。

50歳からは、苦手なことを人並みにする努力をしている場合ではありません。得意なことにさらに磨きをかけたり、「+α」の価値を加えたりすることで、「求められる人」になっていくのです。

■「学ぶ→実践」ではなく、「実践→必要なことを学ぶ」

次に、努力の“方法”ですが、残念なことに、かつての私も含めて多くの人がスキルや知識を身につけるために無駄な努力をしてきたと感じます。

有川真由美『50歳から花開く人、50歳で止まる人』(PHP研究所)
有川真由美『50歳から花開く人、50歳で止まる人』(PHP研究所)

私たちは、学んでから、実践しようとしますが、まったく逆なのです。実践してから、学ぶのです。

つまり、アウトプットが先で、インプットは後。そんな意味では、会社というのは、ほんとうにありがたい学習の場といえます。

私が写真や書くスキルを身につけたのも会社の仕事として。なんの知識やスキルがなくても、やらなければいけない状況にいると、必死になってやり、否が応でも上達します。上司からの評価や叱責(しっせき)というフィードバックもついてきます。

口下手だった人が、営業の仕事をするうちに社交的になるのも場数を踏んだからでしょう。50歳から自力でスキルアップするときも、勉強する前に「やらざるを得ない」という態勢をつくってしまうのがいちばん、いえ、それが唯一の方法でしょう。

たとえば、語学なら、少しできる程度でその国の人と友だちになったり、その言語で知りたい情報の本を読んだり。必然的に上達していくはずです。

■会社にいるうちにやっておくべきこと

会社のなかにいる人は、いまやっているスキルが外でどの程度、通用するか、試してみるといいでしょう。

最初はお試し価格やサービスでいいのです。やっていれば、足りないこと、必要なことが見えてきます。そんな流れで資格を取るなら、試験勉強も身になり、努力も無にならないはずです。

才能とは続けること。「才能(強み)=能力×時間」といえます。まず使う機会をつくって、必然的に時間をかける仕組みをつくることが、自分のスキル(能力)を伸ばしていく、唯一の方法です。大切な労力と時間は、大切なところで使い、身になる学びを重ねてください。

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有川 真由美(ありかわ・まゆみ)
作家
鹿児島県姶良市出身、台湾国立高雄第一科技大学応用日本語学科修士課程修了。化粧品会社事務、塾講師、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリー情報誌編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性へのアドバイスをまとめた書籍を刊行。内閣官房すべての女性が輝く社会づくり推進室「暮らしの質」向上検討会委員(2014-2015)。著書に『感情の整理ができる女(ひと)は、うまくいく』(PHP研究所)、『30歳から伸びる女(ひと)、30歳で止まる女(ひと)』(PHP文庫)、『好かれる女性リーダーになるための五十条』(集英社)、『遠回りがいちばん遠くまで行ける』(幻冬舎)などがある。

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(作家 有川 真由美)

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