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帰宅するたびにやる気がなくなる…子供の成績を下げる母親が玄関でやっている"最悪の声かけ"

プレジデントオンライン / 2022年7月13日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/chameleonseye

勉強を頑張る子供に、親はどんな声をかければいいのか。進学塾・浜学園の橋本憲一副理事長は「無理解な親の言動は、子供のやる気を奪ってしまう。とくに、帰宅した子供に『今日のテスト何点だった?』と聞くべきではない」という――。(第1回/全2回)

※本稿は、橋本憲一『中学受験に合格する子の学んだら忘れない勉強ルーティーン』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。

■受験勉強中の小学生に立ちはだかる「親という壁」

小学生というのは勉強するだけで偉いと、私はいつも思います。

毎日朝起きて学校に行って、さらに塾に行って。おそらく彼らがご両親から入塾をすすめられたときは、塾というものに入っても「塾に行くだけでいい」と思っていたはずです。ところが、塾には計画表があり、それに従って勉強して、テストを受けたらその直しを家でしなければいけない。子どもたちは塾というものに、そんなにたくさんのオプションがついているとはゆめゆめ思っていなかったでしょう。

それが子どもたちの本音だと思います。だから何カ月も、子どもによっては何年も通塾するなかで、本来ならそんなに苦労せず乗り越えられたはずの問題なのに、すごく分厚い壁が立ちはだかっているように見える時期が、何度もあるのです。

浜学園では能力別クラス編成になっていますが、テストの成績によってクラス替えがあるので、塾に入った当初は低いクラスからのスタートでも、努力して自分なりに勉強のコツをつかんだ子どもたちは必ず階段を上がっていきます。

でも、その前に立ちはだかるのはいつも「親」という壁なのです。

まだ入塾して日も浅いうちから「子どもの成績が伸びない」と嘆く保護者がいます。でも目を凝らすと、塾に入ってからの子どもたちは、それ以前の生活と比べていろんなことが少しずつ変化しているはずです。

■子供たちは矛盾と戦っている

例えば、以前は読めなかった漢字が読めるようになったとか、計算が少し速く正確になったとか、長時間落ち着いて机に向かっていられるようになったとか、毎日一緒にいる親の目には留まらないほどの小さな変化かもしれませんが、その小さな変化が次の変化を招き、子どもたちはひとつひとつ階段を上がって、自分なりの勉強のコツをつかんでいくのです。

その道のりを経てやっと「成績の変化」が目に見える形で現れてきます。そこに至るまでの変化の過程では決して焦ってはいけないのです。ところが、大半の保護者の子どもに対する評価軸は最初から「成績」だけです。

子どもが頑張って小さな変化を続けていても、その「頑張り」を評価することはなく、「成績」が変化しなければ子どもに向かって「頑張らないのだったら、もう塾はやめなさい」という言葉を口にする。

親からそう言われたとき、子どもも最初は「自分が悪いことをしてるのかな」と思います。でも考えてみると、自分は毎日学校に行って、塾に行って勉強して、課題をやって、テストを受けている。そのテストもそれなりにできたから「今回のテストはどうだったかな?」と少し楽しみに思っていたのに、返却されたらあちこち「×」になっていて点が悪い。憂鬱な気持ちで家に帰ったら、お母さんに「成績が悪い」と怒られる。「あなたは塾でちゃんと勉強してるの⁉」と怒鳴られる。

「どうして学校に行って、塾にまで行って勉強して、怒られなきゃいけないのか?」。

子どもたちにとっては、矛盾との戦いなのです。

子どもというのは、一度レールに乗ったら、実に見事に進んでいきます。でも大半の子どもは、道半ばに立ちはだかる分厚い壁の前で行き場を失い、足を止めてしまいます。そこで足を止めずにトライできるかどうか? 挑戦する気持ちを奮い立たせることができるかどうか? 一番の早道は、親という壁のほうが変化することではないかと思います。

鉛筆で漢字を練習する子供
写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hakase_

■弱点を責める前に「いい部分」を褒めるべき

最難関中学に合格した子どもでも、小6生で勉強方法が「完成」する子はなかなかいません。みんな何かしらの弱点を持ちながら、結果として中学入試に合格していきます。世の中に弱点のない受験生などいないのですから、弱点を完璧に潰すことを夢見るよりも、弱点は弱点で持っていけばいいのです。大事なのは入試本番までに弱点の単元を少しだけレベルアップさせることです。

そのために大切なことは、ご両親が弱点を責める前に、わが子の「いい部分」を見て、まず子どもを褒めることです。

例えば、算数は得意だけど国語が弱いという子どもなら、「算数が得意だ」というのがいい部分です。算数という強みがあるから、親から見ると国語が弱点に感じてしまうわけです。そして弱点を気にするあまり、わが子が算数という「強み」=「いい部分」を持っていることを親は忘れがちなのです。

■子供は褒められることで「聞く耳」を持つことができる

もしも子どもに弱点対策をひとつ立てさせたいと願うならば、子どものいい部分を少なくともふたつ、みっつ褒められるような準備をしてください。「わが子のいい部分が見つからない」ということは絶対にないと思います。

私の教育相談を例にするなら、成績はあまり冴えなくとも「始業時にテキストとノートを出すスピードがクラスで一番速い」子どもがいます。ほかにも「授業中によそ見をすることがない」「鉛筆が非常に速く動く」、これもそれぞれのいい部分です。

何も成績に限らず、その子どもが頑張っていることを見つければいいのです。毎日一緒に暮らしているご両親なら、ふたつ、みっつの褒めポイントはすぐに見つかるでしょう。そしてしっかり褒めるのです。

子どもは褒められたら元気になります。モチベーションもアップします。その状態になれば子どもに「聞く耳」ができ、弱点対策も素直に前向きに受け入れられるようになります。

■玄関で「今日何点だった?」と聞くのは絶対にNG

子どもの「いい部分」を収集するには、日常生活で常に目を光らせるのではなく、わが子に対する観察眼を持つことが有効だと思いますが、昨今、仕事を持つお母さんもたくさんいらっしゃいますし、毎日とても忙しく、なかなか細かく子どもを気遣っていられない、というのも本音かもしれません。

長時間子どもを見ている必要はありませんが、ただ少なくとも「子どもは学校に行ったあとに塾まで行って頑張っている」ということを常に頭のどこかに置いておいてほしい。そして、できれば子どもが塾から帰宅したら「ああ、お帰り。よく頑張ったね」という一言をまずかけてあげてください。

よくあるのは、玄関で「今日は何点だった?」といきなり尋ねるお母さんです。そして「平均点は?」とたたみかける。子どもは長い1日が終わってやっと家にたどり着いたのに、「お帰り」もなく点数を尋ねられてはホッとする間もありません。親が子どもをこういうふうに評価していくと、多くの子どもはだんだん疲弊し、その日常に潰されてしまいます。

そして安全策をとるようになり、自分がある程度余力を持ちながらやれるところで学力が止まってしまうのです。浜学園を例に挙げると、自分がそこそこの努力で無理なく平均点をとれるクラスで満足してしまう。そうなってしまうと、せっかく貴重な時間を割いて塾に通っているのに、そのままの状態で、子どもは開花せずに終わってしまいます。

橋本憲一『中学受験に合格する子の学んだら忘れない勉強ルーティーン』(ポプラ新書)
橋本憲一『中学受験に合格する子の学んだら忘れない勉強ルーティーン』(ポプラ新書)

玄関で子どもに点数を尋ねるお母さんに悪気はないのかもしれません。子どもを心配し、四六時中それが気になって仕方がないから、無意識に口に出てしまうのでしょう。

しかし、疲れて帰ってきた子どもにとっては違います。「自分が悪くない成績をとっていたときは何の声もかけてこなかったのに、悪くなったらそればかり言われる」。

子どもは追い詰められていきます。そのうちに疲れ切って勉強に面白みを感じられなくなり、平均点をとれるクラスのど真ん中という安全なぬるま湯から出なくなるのです。

子どもは本来プラス思考です。周囲の大人はそのプラスの力をうまく生かさなければなりません。子どもがやる気を失いかけていたら褒めて励まし、子どもがやろうかなという気になったタイミングでうまく声かけをする。わが子の性格を一番知るのはお母さんやお父さんです。声かけひとつで、子どもの学力は急に変わるのです。

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橋本 憲一(はしもと・けんいち)
浜学園 副理事長
創立1959年以来、関西でトップをいく進学塾として実績を重ねる「進学教室 浜学園」にて2003年より2022年春まで19年の長きにわたり、学園長を務める。2022年春、副理事長に就任。浜学園は兵庫県西宮市に本部を置き、復習主義、テストで学力を伸ばすなど、独特の指導方法を展開。2005年春入試から2022年春入試まで18年連続、灘中合格者数日本一を達成し、特に2019年春から2022年春入試で4年連続灘中合格者数90名突破を達成する。担当教科は算数。著書に、『中学受験に合格する子の学んだら忘れない勉強ルーティーン』(ポプラ新書)がある。

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(浜学園 副理事長 橋本 憲一)

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