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20代で1億円を貯めた元会社員が断言…「厚切りジェイソンを批判した人たち」が投資で勝つことはない

プレジデントオンライン / 2022年7月15日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SunnyVMD

投資で損しないためにはどうすればいいのか。『投資をしながら自由に生きる』(ダイヤモンド社)を書いた投資家の遠藤洋さんは「インフルエンサーに勧められるがまま投資をしないほうがいい。他人の意見を鵜呑みにしてしまう人は要注意だ」という――。(構成=フリーライター・有井太郎)

■株式投資で損する人の共通点

昨年まで絶好調だった米国株が、今年に入り大きく下落しています。米国のナスダック総合指数は年初来から20%以上も下落しています。

そんな中、米国株の下落で含み損を抱えた個人投資家は、SNS上で投資系インフルエンサーやユーチューバーを叩きました。例えば、盛んに米国株を推奨していた厚切りジェイソンさんが標的にされ、厚切りジェイソンさんはこれまでのツイッター投稿をすべて削除しました。

しかし、これはインフルエンサーが悪いのではなく、厳しい言い方をするなら、批判している方が「思考停止」の状態で米国株を買ってしまった結果だと考えています。

「米国株はずっと上昇しているから大丈夫だろう」
「しかも株に詳しい人が言っているから大丈夫だろう」

と、深く考えずに買ってしまったのでしょう。

そもそも、なぜこれまで米国株が上がってきたのか。自分が買った株や投資商品はどんなものか――。そんなこともよくわからずに投資してしまい、薦めた人を批判してしまうのだと思います。

本来なら、インフルエンサーを批判するのではなく、これを機に自分の投資行動を見つめ直すべきです。

私は、投資で失敗しないためには、少なくとも2つの点が重要だと考えています。一つは先述の通り「思考停止をしないこと」。もう一つは「時間軸を決めること」です。

人は損失を避けようとする傾向があります。投資した株価や指数が予想外の動き、特に下落で含み損を抱えてしまうと心理的に耐えられず投げ売りをしてしまいます。これを繰り返せば投資で資産形成は不可能です。2つの点は投資のリスクと向き合う上で重要な点になります。

■「厚切りジェイソンさんは間違っていない」

厚切りジェイソンさんは「VTI」という米国の上場投資信託(ETF)を勧めていました。VTIはたくさんの米国企業を集めて福袋にしたような商品で、約4000銘柄に分散投資できるインデックス投資(市場平均や指数に連動する)のひとつです。

2022年のVTIの値動きを見ると、確かに年初来20%ほど下落しています。今年から投資を始めた人は含み損を抱えているのでしょう。しかし、厚切りジェイソンさんは何も間違っていません。そもそも彼は数カ月の時間軸でこの投資を考えていたのでしょうか。彼は短期間で大きなプラスを得るためにVTIを推奨していたわけではありません。

人生100年時代の資産形成手段として、長期投資を前提にVTIにコツコツ積み立てをすることを勧めています。その間には今回のような下落相場もありながら、10年、20年、あるいはもっと長い時間軸で考えていたでしょう。

彼の薦めるVTI投資が正解かどうか、その結果が出るのははるか先のことですが、私自身もVTI投資をするなら10年以上の時間軸で考えるべきだと思います。

VTIのような「インデックス投資」の利回りは平均で年4~5%と言われています。「10年で資産を一桁増やしたい」といった人にはマッチしませんが、貯金代わりのイメージで、最低10年、できれば一生続けるくらいで良いかなと思います。

アメリカドルやユーロなどの紙幣
写真=iStock.com/enjoynz
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/enjoynz

■サラリーマン投資家にとっての最適解

私は中小型の株式投資で資産形成をしてきました。ただ仕事で忙しいサラリーマン投資家には、米国株のインデックス投資は最適解の一つでしょう。

VTIはさまざまな業種の4000社に分散投資する金融商品だと説明しました。これらの企業は同時期に成長する企業もあれば、失速する企業もあります。ただ、市場全体で見れば日本よりアメリカが成長しやすい環境にあると思います。

日本は少子高齢化が顕著であり、市場規模は小さくなるでしょう。また、医療費や社会保険もかさみ、いずれ増税が必要になります。法人税も重くなると予想されます。企業活動をする環境として厳しくなると感じています。もちろん、個別に見ればこの中でも伸びる企業はありますが、市場全体ではネガティブにならざるを得ません。

一方、アメリカの人口は3.3億人と多く、また米国企業のサービスは世界全体をターゲットにするのが基本で、自然と市場規模も大きくなります。

VTIなどのETFを通して米国市場全体に投資すれば、日本に投資するより長期的にはより多くのリターンが見込めると言われるのはそのためです。

■「思考停止」が危険なワケ

最近の米国株ブームの中で、「VTI」と同じように注目された投資信託があります。

レバレッジ型の投資信託です。特に、米国の株式指数であるナスダックに2倍の値動きをする投資信託(レバナスと呼ばれています)が注目を集めました。

レバレッジ型の金融商品は大きなリターンを得られる可能性もありますが、2倍上がることもあれば、もちろんその逆に2倍下がることもあります。

しかし、投資の初心者でレバレッジ商品を選ぶ方は、上がることしかイメージしていないケースが多々あります。ブームに乗り遅れまいと高値掴みをしてしまい、今の下落相場で含み損を抱えている方や含み損に堪えかねて投げ売りをした方も大勢いるのだと思います。

最近のブームを見ると、SNSなどでインフルエンサーの発信を目の当たりにし、仕組みをよく理解しないまま投資を始めた方も少なくないという印象です。これらは投資で損する人に共通する行動パターン「思考停止」の典型例です。

その理由は、自分でもよくわからないものに投資をすることは、リスクを高めるからです。株式投資は「リスクが高い」とよく言われますが、初心者の方ほどリスクを誤解している傾向があると感じています。

街頭で株式株価表示板を見ている人
写真=iStock.com/monzenmachi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/monzenmachi

■リスクとは、想定外の値動きをすること

リスクとは「株価が下がって資産が減ること」ではなく、「想定外の値動きをすること」なのです。想定内の値動きであれば、下落相場で一時的に含み損を抱えても冷静に対処することができますよね。

逆に想定外の値動き(急落)をした場合は、狼狽売りをして損失を確定させる行動をしてしまいます。高値で買って安値で売る――。これでは資産を失ってしまいます。

冒頭で「思考停止をしないこと」「時間軸を決めること」は、投資で失敗しないためのポイントだと説明しました。これは「リスク」と正しく向き合うためにも必要不可欠なのです。

リスクを抑えるにはどうすればいいのでしょうか。それは自分がよく理解していないものに投資をしないこと。もう一つは「想定外の値動き」を事前に想定しておくことです。

過去から学べることもあります。株価の値動きをさかのぼれば、2008年のリーマンショックや2020年のコロナショック、バブル崩壊時にどれくらい下落したのかが分かります。過去に下落したケースの値動きを確かめて、もし同じだけの下落が起きた場合、自分が痛手を負わないラインを確かめておくべきです。

想定外を可能な限り減らすこと、それがリスクに備える方法です。

■「下落相場で何をすればいいんですか?」は思考停止

いずれにせよ著名人の推奨する商品であっても、その金融商品がどんなものか、どのような理由で推奨しているかをきちんと調べなければいけません。自分がよく理解していないものに投資をする「思考停止の投資」は一番やってはいけない行為です。

とにかく投資では自分で調べて考えることが大切です。最初の話に戻れば、米国株を薦めたインフルエンサーが悪いのではなく、それを素直に信じてしまった自分の責任なのです。

タブレットで投資の情報を得る人
写真=iStock.com/Hiraman
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hiraman

投資を始めると「この商品がいいですよ」と、証券会社や金融機関に薦められるケースも増えてきます。もちろん、本心からその商品を薦めていることもありますが、中には手数料目当てや自分たちの利益を優先した提案になっていることがあるのも事実です。

残酷ですが、資本主義は何も考えない人からお金を奪う仕組みです。自分で考えることをせず、勧められた株などの金融商品を買っても高値を掴まされ、投資信託や全自動型の資産運用サービスに高い手数料を毎月払わされることになります。

最近は「この下落相場でどうすれば良いんですか?」「何に投資をすればいいですか」とよく聞かれます。この問いに対して私は「まずは自分の頭で考えてください」と答えるようにしています。

他の人にどうすれば良いか尋ねること自体、考えることを無意識に放棄しているのです。何より、そういった質問を第三者にしても返ってくる答えは人それぞれでしょう。当然、相手のポジショントークや利益になることに話が展開する恐れもあります。

だとすると自分で勉強するしかないのです。投資で失敗しないためには、それが遠回りに見えて一番近道です。

■成功する投資家が下落相場でやっていること

自分で調べるのがどうしても苦手な場合、誰かの助言を参考にするのなら、最低でもその助言者を徹底的に調べることです。

遠藤洋『投資をしながら自由に生きる』(ダイヤモンド社)
遠藤洋『投資をしながら自由に生きる』(ダイヤモンド社)

その人の資産規模や投資で目指しているリターン、ライフスタイルや価値観など。これらが自分と一致するなら信頼するのもひとつの手だと思います。または、1人の意見を信じすぎず、いろいろな人の意見を聞くのも大切です。

本当に良い投資の商品があれば、人に薦めるより自分で買うはずです。そういったことに気付くためにも、自分で調べることが大切でしょう。

私から下落相場の心構えをひとつ言うとしたら、本当の投資家は、この下落局面で割安になった優良株を買っているか、もしくは今後買うために現金を作っているか、そのどちらかでしょう。

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遠藤 洋(えんどう・ひろし)
投資家・自由人
1987年埼玉県生まれ。東京理科大学理工学部電気電子情報工学科在学中、家庭教師のアルバイトで貯めたお金を元手に投資をはじめる。大学卒業後、ベンチャー企業に入社し、新規事業の企画・広告・採用等を経験。その約4年後、26歳のときに投資で得た資金を元手に独立。投資コミュニティixi(イクシィ)主宰。著書に『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円』『投資をしながら自由に生きる』(いずれもダイヤモンド社)などがある。

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(投資家・自由人 遠藤 洋 構成=フリーライター・有井太郎)

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