1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

初めて会ったときに嫉妬した…藤野英人が「藤井聡太や大谷翔平のような新時代人」と評価する25歳の名前

プレジデントオンライン / 2022年7月15日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AH86

感性や価値観が古いままでは、今起きている変化に気づけず、先を見通すこともできない。そんな問題意識から若い経営者と数多く面談する投資家の藤野英人さんは、ある20代前半の経営者について「大谷翔平や藤井聡太と同じくらいすごい。『新時代人』の経営者版だ」という――。

※本稿は、藤野英人『プロ投資家の先の先を読む思考法』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

■おじさんには見えていない変化が若い人たちには見えている

私は1966年生まれで、50代も半ばを過ぎた「おじさん」です。放っておけば頭の中はどんどん古臭くなっていってしまうでしょう。

今は令和4年ですが、同世代の「おじさん」や私より上の「おじいさん」たちの中には、「昭和97年」の世界を生きている人も少なくありません。

藤野英人『プロ投資家の先の先を読む思考法』(クロスメディア・パブリッシング)
藤野英人『プロ投資家の先の先を読む思考法』(クロスメディア・パブリッシング)

その世界に引き戻されることなく、令和時代にとどまるために私が意識的に数を増やしているのが、20代前半の若い経営者たちとの面談です。

感性や価値観が古いままでは、今起きている変化に気づけず、先を見通すこともできないでしょう。

この点、若い人たちには、おじさんやおじいさんには見えていない変化が見えているはずだからです。

例えば、私が個人で投資もしているタイミーという会社があります。

「働きたい時間」と「働いてほしい時間」をマッチングするアプリ「Timee」を展開する会社で、「テレビCMなどで見たことがある」という人も多いでしょう。

Timeeが紹介するのは、応募も面接も履歴書も必要なく働ける「スキマバイト」です。

「いますぐ人手が必要」という場面で、かつては身内で手伝ってくれる人をかき集めたり、「フロアスタッフ急募!」などの張り紙をしたりするしか方法がなかったわけですが、Timeeはそのようなときに「今すぐ働きたい人が働ける」「今すぐ働いてほしいときに働いてもらえる」仕組みをつくったのです。

ワーカー(働き手)として、Timeeを利用する人は200万人を超えるまでに成長しています。

■大谷翔平や藤井聡太のような「新時代人」の経営者版

このタイミーを創業した小川嶺さんは、現役の大学生。起業したのは2017年、彼が20歳のときです。

最初に小川さんに会って話を聞いたとき、正直に言えば、私は彼に嫉妬しました。

どうして自分がこのビジネスを思いつかなかったのだろうと悔しく思っただけでなく、ビジネスを数字で分析できること、ビジネスモデルやマーケティングに関してもいっぱしの社会人よりずっとよく勉強していること、謙遜と自信のバランスが絶妙なこと、希望に満ち溢れていて人から愛される力があることなど、「すごい」としか言いようがなかったからです。

小川さんは私にとっては令和時代を象徴する人で、将棋の世界で言えば藤井聡太さん、野球の世界で言えば大谷翔平さんのような「新時代人」の経営者版だと思っています。

タイミーは、2021年には伊藤忠、KDDI、香港を拠点とするヘッジファンドなどから53億円もの資金を調達するなど、多くの投資家がそのポテンシャルの高さを評価しています。

私は、小川さんがこれからその資金を使って大きな挑戦をし、タイミーの業績を伸ばしていく未来を確信しています。

そして小川さんをはじめ、できるだけ多く「令和型」の若い経営者と会い続けることは、私が「今、起きている変化」を知るための土台になっているのです。

■大学3年生の女性エンジニアが開発したランプがおもしろい

私は、高校生や大学生で起業した若者や起業を考えている人たちとも、どんどん面談の時間をつくっています。

最近のエピソードを1つ、ご紹介しましょう。

大学3年生のある女性エンジニアが開発したのは、心臓の鼓動に合わせて光るランプです。ドキンドキンという心臓の動きを光の点滅によって可視化し、それをイヤリングにしたりブレスレットにしたり、指輪にしたりして身につけることができるというものです。

彼女がオンライン面談で私に相談したのは、「これをどうやって売ればよいか」でした。彼女は「心臓の鼓動に合わせて点滅するランプがあったらきっと楽しい」と思い、それを作りたいという思いだけで開発に邁進したのです。

私は、彼女のエンジニアとしての高い能力と、「作りたい」という強い思いから生まれたそのランプを、とてもおもしろいと感じました。

そして彼女に、「これは自分以外の人の鼓動と連動させるのがいいと思います」とアドバイスしました。

例えば、世界で活躍する韓国のアイドル。その鼓動に合わせて明滅するブレスレットがあって、ライブ会場でそのアイドルの鼓動が手元で光るとしたら、ファンはきっとそれを握りしめるでしょう。

あるいは、自分の子どもの鼓動に連動するリングがあったら、子どもが保育園にいるときにパパやママがそれを握りしめて仕事をするでしょう。

「愛する人の代替になったら、その明滅には特別な価値が生まれるのではないか」と思ったのです。

私がそんな話をすると、彼女は「早速、開発してみます!」と張り切った様子でした。

このようなやり取りはそれだけでも楽しいものですし、さらに彼女が次の商品を開発し、それが実際に世に出て人気を集め、成功した彼女がまた次の挑戦をしていくかもしれないと考えるとワクワクします。

■先を読むために、自分を「令和型」にアップデートする

もちろん、若い起業家とたくさん面談していれば、相談されるビジネスの中にはただの思いつきとしか言いようがないものもあります。

考えが浅く、ビジネスとして成功しそうもないものの方が多いと言ってもいいかもしれません。

しかし、私はそれでいいと思っています。

何度もトライ&エラーを繰り返すことでだんだん起業家として洗練されていくことも多く、その成長も楽しみですし、数多くの若者に次々会うからこそ、ときに小川さんのような「すごい人」にも出会うことができます。

若者とシニアのミーティング
写真=iStock.com/sanjeri
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/sanjeri

そして私は、こうした面談で10代、20代の若者たちとディスカッションすることで、彼らの発想やセンスなど非常に多くのものを学び、自分を「令和型」にアップデートし続けています。

彼らと話すときに私が大事にしているのは、自分の経験にもとづいてなにかを決めつけたり、相手を否定したりしないことです。「未来は過去とは違う」ということを素直に信じる必要があります。

また、相手の言うことをなるべく聞いたまま受け止めることも強く意識しています。立場の上下、力関係、性別や国籍などのバイアスをすべて外すという姿勢が、若い経営者たちから学ぶためには必須なのです。

こうして絶えず「今」を知り、自分をアップデートし続けることが、「先の先を読む」ためには不可欠なのだと思っています。

最近、小学生が起業した会社の役員になりました。社長が彼で、私はその部下です。44歳年下の上司ができました。おもしろいでしょう? 最高に自分をアップデートできそうな気持ちがします。

----------

藤野 英人(ふじの・ひでと)
レオス・キャピタルワークス 会長兼社長・最高投資責任者
1966年富山県生まれ。1990年早稲田大学法学部卒業。国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年レオス・キャピタルワークス創業。中小型・成長株の運用経験が長く、ファンドマネージャーとして豊富なキャリアを持つ。投資信託「ひふみ」シリーズ最高投資責任者。投資啓発活動にも注力する。東京理科大学上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、叡啓大学客員教授。一般社団法人投資信託協会理事。

----------

(レオス・キャピタルワークス 会長兼社長・最高投資責任者 藤野 英人)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください