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「延々と右側を走るクルマ」を左側から追い抜いてもいいのか…近づいてはいけない「危険なクルマ」の3大特徴

プレジデントオンライン / 2022年7月16日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/scyther5

運転中のトラブルを回避するにはどうすればいいのか。モータージャーナリストの菰田潔さんは「危険な運転をするドライバーには車間距離が短い、ハンドルを切るのが速いといった特徴がある。また、『延々と右側の追い越し車線を走るドライバー』も自分の目の前しか見えていないので、近づいてはいけない」という――。

■欧米ドライバーの常識は「車間距離は2秒間」

クルマを安全に走らせるかどうかは、クルマのせいではなく運転しているドライバーが鍵になる。つまり同じ車種でもドライバーによって危ないクルマにも安全なクルマにも変身するということだ。

ここでは危ないドライバーのそばに寄らないようにするために、危ないドライバーの見分け方を研究してみる。この見分け方を知るだけでも安全運転に大きく貢献するはずだ。

1.車間距離が短いドライバー

いま世界では「車間距離は2秒間あける」ことが常識になっている。アメリカでもイギリスでもドイツでも教習所で車間距離は2秒間と教わる。

最初の1秒の間に危険を察知してどのように行動するか決め、残りの1秒でブレーキを踏む、ハンドルを切るなどの事故回避の運転をする。

「私は0.3秒で反応する」とか「0.1秒でブレーキを踏めます」という人がいるかもしれないが、何かあることを前提とした緊張状態ではなく普通に運転しているときの反応時間は1秒間と言われているので欧米では2秒の車間距離が標準化している。もちろん脇見やら居眠り運転をしていたらもっと時間がかかる。

前のクルマが橋桁の下を通過するときに、ゼロ、イチ、ニとゆっくりカウントするとほぼ2秒になる。ニという前に自分が橋桁の下に入らないようにする。

100km/hのときには1秒間に約28m進むから2秒だと約56mという計算になる。

余裕があれば2秒以上の車間距離が安全運転には良いのだが、交通量の多い高速道路では車間距離を2秒にすることで単位時間あたりの通過台数を増やすことで渋滞を作らないようにしている。4秒あけるより約2倍のクルマが通過できる計算になる。ようするに安全と交通の流れの両方を満足するのが2秒の車間距離なのだ。

■車間距離が短いクルマに近づくと良いことはない

危ないドライバーは1秒前後の車間距離で走っているケースが多い。

こんなドライバーはその前のクルマがスピードを緩めたらすぐにブレーキを踏まないとぶつかりそうになる。だからスピード変化が大きくて急になる。本来2台から3台先のクルマの様子を見ながら運転することが望ましいが、車間距離が足りないドライバーはその先が見えないから目の前のクルマの動向に左右され、いつでも急な操作になってしまう。

そんなクルマについて走っていると、こちらも急ブレーキや急なハンドル操作をしなくてはいけなくなり、安全性は確保できない。さらに頻繁にスピードが上下するということは燃費の悪化にもつながるから、良いことはひとつもない。

車間距離が短いクルマのそばには寄らないようにしたい。しかし自分のクルマの後ろに車間距離が短いクルマがついてきたらどうすればいいのか? そのときには左に避けて先に行かせてあげるのが賢いドライバーだ。

■5秒に1度はミラーで周囲のクルマをチェック

2.バックミラーを見ないドライバー

クルマには後方確認のためのバックミラーがついている。ルームミラーと呼ばれる室内中央にあるミラー、左右の窓の外についているドアミラーがある。

走行中は前方を見るだけでなく、ルームミラーもドアミラーもときどき見たほうがいい。だいたい5秒に1回くらいは意識するといいだろう。

運転中はどこかを凝視するより、全体を見渡すように見て情報を広く集めるようにする。凝視するとそこだけ集中して見てしまい周りが見えなくなってしまうからだ。全体を広く見ていると、バックミラーに映る後方のクルマの変化も意識してミラーを見なくても目に入ってくるようになる。

バックミラーとドアミラーから見える周囲のクルマの様子。ヘッドライトを点けないクルマはトンネルの中では目立たない
写真提供=筆者
バックミラーとドアミラーから見える周囲のクルマの様子。ヘッドライトを点けないクルマはトンネルの中では目立たない - 写真提供=筆者

バックミラーを見て、すぐ後ろにいるクルマ、右側にいるクルマ、左側にいるクルマがわかっていれば、自分が走っている位置と周囲のクルマとの位置関係を俯瞰で捉えることができる。全体のクルマの流れの中のどの位置にいるかを把握することは、いざというときの緊急回避でも役に立つはずだ。

■延々と右側を走るドライバーは目の前しか見ていない

しかし現実には自分の目の前しか見ないで運転しているドライバーが結構多い。一般道でも高速道路でも、突然車線変更しようとウインカーと同時にハンドルを切るドライバーが、クルマが隣にいることがわかって慌てて戻ったりするのはバックミラーを見ていなかった証拠だ。

右側の追い越し車線を延々と走っているドライバーもバックミラーを見ていない。自分の前にはクルマがいないのに後ろは数珠つなぎになっているなら、自分が交通の流れを悪くしている張本人なのにバックミラーを見ないから気がつかない。

「自分は高速道路の法定速度の100km/hで走っているから、それを抜くのは違反だ」という主張もある。でもそういう人は、追い越し車線を延々と走ることは「通行帯違反」になることを知らない。さらに、制限速度内で走っていても、後続車に追いつかれたとき道を譲らないのも「追い付かれた車両の義務違反」になる。

道路はみんなで使うもので、交通の流れを円滑にするために道路交通法はあるのだ。

■左側から「追い抜き」するときには要注意

もしバックミラーを見ないで走るドライバーがいても相手にしてはいけない。後ろから必要以上に近づいたり、ホーンを鳴らしたりするのは「あおり運転」になる。

それでは、右側を延々と走るクルマにはどう対応すればいいか。車線変更をして前走車の前に出る「追い越し」は右側からしなければいけないが、車線変更をせずに前走車の先に行く「追い抜き」は日本では違反にならない。前走車が右側車線をノロノロと走っているのであれば、左側車線から追い抜いてもいいわけだ。

もちろん、この時に制限速度を超えてはいけない。また、前走車に追いついてから左側に車線変更をし「追い抜き」のあと再び右側に車線変更して前走車の前にでると、左側車線からの「追い越し」とみられ違反になる。注意してほしい。

■同乗者の頭が動くような急ハンドルは下手な証拠

3.ハンドルを速く切るドライバー

高速道路でも一般道でもスパッスパッとハンドルを速く切るドライバーには寄らないほうがいい。

ハンドルの切り方は同乗している人が気づかないように、切り始めが穏やかで角の出ない操作が理想だ。高速道路での車線変更なら直線を走るときのハンドルの微小な修正の範囲で車線を移ることができる。

直進時にはハンドルにほんの少しの遊びがあるが、その遊びを微修正しながら車線内を走っている。その遊びの修正をもう少し大きめにする程度で車線変更できるということだ。

だから高速道路の車線変更で乗員の頭が動くようなハンドルの切り方は相当雑な運転ということになる。

一般道だと高速道路の半分くらいのスピードになるから高速道路ほどシビアではないが、車線変更、交差点の右左折などでスパッスパッとハンドルを切ると同乗者が不快になるだけでなく、周囲のクルマとの接触の危険性が高まる。隣のクルマがゆっくりハンドル切って寄ってくる分にはこちらも対応できるが、速いハンドル操作だと急に寄ってくるので対応は難しく衝突してしまう可能性が高まる。

ドライバーが急カーブでドリフトしている
写真=iStock.com/undefined undefined
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/undefined undefined

■先読み運転ができていれば安全で燃費も良い

スパッスパッとハンドルを速く切るドライバーは、行き当たりバッタリの人生のような運転で先読みをしていないケースが多い。その場になってから急に右だ左だとハンドルを切り、そういう運転をするドライバーはブレーキもアクセルも急に踏むことが多い。すべて先読みができていないせいだ。

先読み運転ができてくると、運転が穏やかになり同乗者も楽に乗れる。また燃費が良くなり安全にもつながる。

ハンドルを速く切るドライバーのそばにいるとクルマの動きが予測できないので、こちらも危険に晒される。先の予測ができていないということは、危険の察知も遅くなるから事故の可能性も高まる。だからこんなドライバーのそばに寄らないことが一番だ。

■「サンキューハザード」に潜む事故リスク

最後に付け加えたいのは、「合図は最小限にする」ということだ。

もちろん車線変更はその3秒前からウインカーを点けるとか、右左折の場合には30m手前からウインカーを点ける、夕方は早め(日没前)にヘッドライトを点けるという道路交通法を遵守することは大前提として、その他の余計な合図は出さないドライバーがいい。

例えばホーン(警笛(※))は、お礼のプッ、挨拶のプッ、威嚇のプップーーーーッと鳴らすドライバーがいる。こういうドライバーはホーンの使い方を間違えている。あくまでも危険が迫っていてそれを避けるために使うのがホーンなのだ。

※筆者註:「クラクション」はフランスのホーン製造会社名(Klaxon)の名残で、道路交通法では警音器と呼ぶ。海外ではクラクションでは通じないがホーンは通じる。

ハザードランプの使い方にも間違いがある。「サンキューハザード」などと呼ばれ、クルマの前に入れてくれたときに出すお礼のハザードが広まっているが、ハザードランプの片側だけ見た後方のドライバーはこちらの車線に出てくるウインカーかと勘違いする。

ハザードランプを押す手元
写真=iStock.com/watthanakul
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/watthanakul

街中では、タクシーが止まる前に走りながらハザードを点けるのを見かける。これも間違った使い方だ。タクシーは止まるためのハザードだと思っていても、後ろのクルマはお礼のハザードだと思ってそのまま走行する。すると急にタクシーが止まって、衝突事故につながることもある。

パッシングライトにも注意が必要だ。右折車が直進車の通過を待つシーンで、直進車がパッシングライトをピカピカッと点けたら、「出てくるな」という意味と「お先にどうぞ」という2つの意味に取れる。これも誤解を招くので使わないほうがいい。

つまり他の意味にとれる合図はしないのが正しい運転なのだ。ぜひ気をつけてほしい。

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菰田 潔(こもだ・きよし)
モータージャーナリスト
1950年生まれ。自動車レース、タイヤテストドライバーの経験を経て、84年から、新型車にいち早く試乗して記事を書くフリーランスのモータージャーナリストになる。日本自動車ジャーナリスト協会会長。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。JAF交通安全・環境委員会委員。著書に『あおり運転 被害者、加害者にならないためのパーフェクトガイド』(彩流社)、『あなたの“不安”をスッキリ解消! クルマの運転術』(ナツメ社)など。

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(モータージャーナリスト 菰田 潔)

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