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「あの人はもう終わった人だから…」周囲から避けられてしまう中高年が根本的に勘違いしていること

プレジデントオンライン / 2022年7月28日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/metamorworks

「若い人たちにどう接すればいいのか分からない」と悩む中高年には、どんなアドバイスが有効なのか。作家の有川真由美さんは「彼らよりも少し長く生きているだけの『ただの人』と意識するのがいい。話しかけられやすい雰囲気を作ることで、良い関係を構築できる」という――。(第2回)

※本稿は、有川真由美『50歳から花開く人、50歳で止まる人』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

■どうやって年下の同僚と接するべきなのか

40代50代でも「若い人たちとどう接していいかわからない」という声はよく聞かれます。

例えば、「新しい情報やIT系に弱い、無知な人扱いされる」「話しかけてくれない。下の世代で固まって、仲間外れにされている気がする」「まったく尊敬されず、見下しているような発言をされる」「昔の人、終わった人のような扱いを受ける」というように。

どの時代も世代間の分断はいくらかあるものですが、いまの時代は、先輩が後輩を注意しても「余計なお世話」となったり、反発されたりするような“冷たい上下関係”が生まれているようです。

「年上は敬わないといけない」という文化や、「年に関係なく、結果がすべて」という成果主義、社会構造の変化などが複雑に絡み合って、歪な“冷たい上下関係”はできているのでしょう。

■「年下から話しかけるべき」と思ってはいけない

ただ自分のまわりだけでも心を開いて、心地いい関係をつくる方法はあるのです。

まず、年下の同僚とのつき合い方についても大切なのは、無理をしないことです。

話を合わせるのも、見栄を張るのも疲れるので、自然体でいきましょう。だからといって「若い人たちが自分たちに合わせろ」というのも傲慢(ごうまん)な考えです。

ここは“冷たい上下関係”ではなく、“あたたかく対等につき合える関係”を目指してはいかがでしょう。

「話しかけてくれない」「尊敬してくれない」というのは、「年下から話しかけるべき」「年上を尊敬するべき」と思っているからです。

自分が年齢を意識しすぎているから、相手にもそれが伝わるのです。彼らよりも少し長く生きているだけの“ただの人”でいいのです。自分の息子、娘ぐらいの年齢でも、仕事ができる人は尊敬する。波長の合う人とは雑談を楽しむ。知らないことは教えてもらう……。70代80代でも、若い人たちとうまくつき合っている人は、そんな空気を醸し出しています。

肩の力を抜いているから、だれでも安心して懐に入っていけるのです。

年齢を意識する気持ちを取り払うと、自然にその場に馴染むようになります。「終わった人」と扱われず、なにかと頼りにされるようになります。

昨今は、上司が年下ということも多くなりました。相手が気を使っているときは、自分から「なんでも言ってね」と、ざっくばらんな空気をつくってあげましょう。

■年下と仲良くなる5つのテクニック

「認めてくれない」と相手に期待するほど心の器は小さくなります。こちらから「認めてあげよう」と大人の度量を見せてあげましょう。

すべての人と打ち解けられなくても、冷たくなった心はだんだんほぐれてくるはずです。ここでは【年下の同僚や仲間と互いに心を開くコツ】を5つご紹介します。

1 会話に名前を散りばめる

心の距離があるときは、つい名前を省略してしまいがちですが、「○○さん、おはようございます」「今日は○○さん、早いですね」など名前を呼ぶことで、相手に心を開き、大切にしている気持ちが伝わります。

2 小さなことでも教えてもらう

「ITに詳しいなら、教えてくれる?」「この人、有名なの?」「この企画、どう思う?」など些細なことでも頼られると嬉しいもの。頼ることは「ありがとう!」と感謝して相手を認めるための呼び水でもあります。

3 ちょっとした共通点を見つける

「同じ野球チームのファン」「同じ店によく行く」「同じテレビ番組が好き」「出身地が近い」「趣味が同じ」などからぐっと距離が近くなることも。共通点があれば、会話のきっかけづくりや情報交換になります。

4 相手を観察してプチほめ

わだかまりがあるときは、相手のことがよく見えていないもの。ちゃんと目を向けて「いいな」という点があればすかさず、「おしゃれだね」「仕事が速い」「字がきれい」など小さなこともほめて。

5 ちらりと本音と自己開示

年下には弱みは見せたくないと考えがちですが、「じつは会議の内容がわからなかった」「前に失敗しちゃってね」など本音や失敗談なども話して。「○○さんはどう?」と相手にも振ると、少しずつ理解が深まります。

心地よく話せる関係になれたら、若い人たちは最強のサポーターにもなるのです。

■無理して付き合う必要はない人の特徴

50代になると仕事でもプライベートでも「付き合う人が限定されてきた」という人も多いのではないでしょうか。

「新しい人間関係をつくるのが億劫だし、苦手」「学生時代の同級生と生活環境や価値観の違いで、話が合わなくなった」「仕事も子育ても一段落したのに、だれからも声をかけられない」など、交友関係が広がるよりも、狭まる人のほうが圧倒的に多いのです。

20代~40代は仕事、結婚、育児、住む環境など人生のステージで人間関係が変わるものですが、50代からは、自分で人間関係を選んでいく時期になります。

「友だちはいらない」と断言する人もいるし、「たくさんの人と交流したい」「悩みを話せる人が数人いればいい」という人もいます。どれが正解というのはなく、自分が満足する人間関係であればいいのです。

ただ、「新しい人間関係をつくるのが面倒」というのは、これまで職場やママ友など相手に合わせる関係が多くて、ありのままの自分で関係を築くことに慣れていないのかもしれません。合う人とは付き合えばいいし、合わない人とは付き合わなくてもいいのです。

自分は「どう生きたいのか」「どんな人と、どんな付き合いをしたいのか」といった“自分軸”があれば、不思議なもので、その軸に合った人が、いいタイミングでやってきますから。

■無理に友人関係になろうとしてはいけない

私は出逢いが多いほうですが、そのなかで続いていく人は、ほんの一握りに過ぎません。それでも一度だけしか会わない人にも、意味はあると思うのです。最初に会うときは、仕事や友人関係につなげようと気負わず、ただ「どんな人かな」と人間ウォッチングのような感覚で会うと、気も楽。

物書きの性分もありますが、もともと人に興味があるので「へー。そんな見方があるんだ」「こういうところ、素敵だな」などと考えながら、人の話を聞くのが面白くてたまらないのです。

「相手が自分をどう思うか」は、あまり考えないことにしています。よく思われるに越したことはないけれど、相手の気持ちは相手の問題。

「最低限、失礼なことはしないでおこう」という程度で、その場を一緒に楽しむことのほうが大事。続いても続かなくても、ひとつの出逢いは自分の世界を少しだけ広げてくれます。

先日出逢った、70代後半の会社社長がこんなことを話してくれました。

「コロナの影響で仕事や家がなくなった20代の女性たちがいてね。3カ月間、50歳離れた女性5人と私の6人で暮らしたんだ。あれは私の革命だった。いまの20代女性はこんな考え方をするんだと、毎日、驚きの連続で、ものすごく勉強になったよ」

若々しい外見と、パワフルな活躍はそんな柔軟性からもくるのかもしれません。同じぐらいの年齢で似た価値観の人とつき合うのは楽ですが、うんと年上・年下、まったく違う価値観の人などはすんなりいかない分、パンチの効いた刺激があります。

なにより新鮮な出逢いは、気持ちにもハリが出て楽しいではありませんか。

オフィスで若者に笑顔で挨拶する中年男性
写真=iStock.com/Edwin Tan
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Edwin Tan

■「ちょっとお試し」ぐらいの感覚でいい

人との出逢いの場は、仕事、同業者の集まり、趣味のサークル、習い事、ボランティア、地域の活動、オフ会、紹介、行きつけのお店などさまざまです。

新しい人間関係のなかに入っていくときは、「ちょっとお試し」くらいの軽く、ゆるい感覚で入っていけばいいのです。心地いい関係になれば幸運だし、合わなくても、目的がある場合は、それなりの距離でつき合えばいいでしょう。

会社や家族などのほかに契約やルールがない場所をもつと、それを継続しようとする緊張感も生まれて、コミュニケーションをトレーニングしていく場にもなります。

昨今は、SNSなどで自分発信の会をつくる人も増えてきました。自分が好きなものを好きな人、似た目的をもつ人とは気が合うものです。

人間関係が狭くなってくると、心も考え方も柔軟性がなくなり、仕事にも影響が出てきます。できるだけ早いうちから、軽い気持ちで一歩を踏み出してみましょう。

■仕事や人に縁がある人とそうでない人の違い

なぜか人が集まり、仕事や縁が生まれていく人は、なにか困ったことを耳にすると「それ、手伝えるよ」「この情報、役立つかも」「いい人がいるから紹介しようか」というように、自分ができることを見つけて提供しようとする人です。

反対にあまり仕事や縁がつながらない人は、話をしても「そうなんだ」で終わってしまう。なにか与えようとすることを遠慮しているのかもしれません。なかには何歳になっても「付き合って得になる人かどうか」という目で見定めてつき合おうとする人もいます。そんな人は、残念ながら、だんだん人が離れていくはずです。

50歳からは一個人として「与えること」「貢献すること」でつながるステージに入ります。知恵と経験を重ねてきた年齢だからこそ、「それ、手伝えるよ」という機会は山ほどあります。それがあれば年齢、立場、国境を超えて人とつながれます。

特に話を聞くこと、見守ること、教えること、人と人をつなげることなど人間ならではの力は、若い世代より、AIよりもずっと得意なはずです。

ただし、大事なポイントは相手に「喜ばれるかどうか」ということ。喜ばれなければ、ただの押しつけや、ありがた迷惑になってしまいますから。

■見返りを求めず与え続けるべき

「求められていること」で「自分のできること」を見つけようとするクセがある人は仕事だけでなく、あたたかい関係や心の充足など、さまざまな恩恵が雪だるまのように大きくなってきます。

かつて限界集落に近い農村で暮らしたとき、不便な分、まわりの70代80代にずいぶん助けられました。「バス停まで送るよ」「草刈りしようか」「お漬物つくったけど、いる?」「タケノコの茹で方、教えるよ」という具合に。

トマトやナスなど野菜を収穫して嬉しそうな農家の男性
写真=iStock.com/kazoka30
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazoka30

それを喜んで感謝すると、次もまたなにか提供してくれる。

「それはいりません」と言うと押しつけない。互いに無理に合わせようとしないことが大事で、違うからこその助け合いが生まれるのです。

こちらもなにか恩返しがしたくなって、若い世代とも協力して住民が郷土料理などを振る舞うイベントを開催したこともありました。しかし、農村で私のできることは限られていて「いつもしてもらってばかり……」と恐縮すると、「喜んでもらえるだけで嬉しいから」とあたたかい言葉。

人のために尽くそうとする人のなかにいると、ほんとうに心強いものです。また、与え合うことで小さな「交換経済」が生まれます。この「交換経済」こそ、人生の後半で意識したい、最先端で持続可能なシステムではないかと思うのです。

■50代からは「喜ばれる人」になる

農村で物々交換するように、身近なコミュニティで互いにできること、相手が喜ぶことを提供し合えたら、お金以上の価値が生まれます。

仕事や趣味などやりたいことをサポートしてもらえるだけでなく、日常生活で手を借りたいとき、病気になったときなど困ったときも心強いもの。

有川真由美『50歳から花開く人、50歳で止まる人』(PHP研究所)
有川真由美『50歳から花開く人、50歳で止まる人』(PHP研究所)

とくに情報社会のなかで、自分の知らない情報を教えてくれる人はますます必要になります。人とつながることやなにかのコミュニティに属することで、お金で買う部分を大きくカバーできるのです。

私は必要のなくなった服やバッグは、友人のチャリティショップに持ち込んで、代わりに新しいものを調達するようになってから、衣服にあまりお金がかからなくなりました。

昨今は個人の仕事サイトも増えてきました。近所の家事や育児を手伝う、荷物を運ぶ、片付けをするなどだけでなく、インターネットを通して、遠方の人の話を聞く、相談にのる、海外の人と日本語で話すといったことも仕事になる時代です。

大昔に山奥の人が「この野菜をどうやったらいい魚に換えられるか?」と考えていたのと同じように、自分の提供する物やサービスの価値を上げようとする人は、たくましく生き抜けるのではないでしょうか。50歳からは「喜ばれる人」になることが、いちばん恩恵を受ける道なのです。

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有川 真由美(ありかわ・まゆみ)
作家
鹿児島県姶良市出身、台湾国立高雄第一科技大学応用日本語学科修士課程修了。化粧品会社事務、塾講師、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリー情報誌編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性へのアドバイスをまとめた書籍を刊行。内閣官房すべての女性が輝く社会づくり推進室「暮らしの質」向上検討会委員(2014-2015)。著書に『感情の整理ができる女(ひと)は、うまくいく』(PHP研究所)、『30歳から伸びる女(ひと)、30歳で止まる女(ひと)』(PHP文庫)、『好かれる女性リーダーになるための五十条』(集英社)、『遠回りがいちばん遠くまで行ける』(幻冬舎)などがある。

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(作家 有川 真由美)

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