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仕事能力の低い残念な人ほど「自分は同期の中では、決して悪くない」と考えてしまうワケ

プレジデントオンライン / 2022年8月13日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

「仕事のできる人」と「できない人」の違いはどこにあるのか。グロービス経営大学院客員准教授の河野英太郎さんは「仕事のできない人ほど、周囲と自分を比べて、言い訳を重ねる傾向がある。一方、仕事のできる人は、周囲と比べる必要がないので、仕事を心の底から楽しんでいる。この差は大きい」という――。

※本稿は、河野英太郎『99%の人がしていない たった1%の仕事のコツ 決定版』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

■成長を続ける人は「ダメ出し」を気にしない

知識や技能を身につけても、なかなか仕事の成果につながらない――そんなときは気持ちの持ち方(マインドセット)を少しだけ工夫してみることをおすすめします。

マインドセットは、気合や根性、誠意といった「精神論」になりがちですが、実は考え方を少しだけ変えるだけで、大きく効果が上がります。

何かに「チャレンジしたい」「こうなりたい」という思いを持ったとき、「現実には無理だろうな」「自分にとっては高望みだ」と、あきらめてしまうことはありませんか?

あるいは他人から「そんなの無理だよ」「失敗するよ」とネガティブな「ダメ出し」を受けることであきらめてしまうこともあるでしょう。

「燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや」(小人物に大人物の志などわからないという『史記』の言葉)をご存じでしょうか。

他人の高い志に対する周りの「ダメ出し」はさまざまです。嫉妬や上から目線といった「燕雀」のコメントのようなネガティブなものから、本当にあなたを心配、あるいはあなたの成長のためのアドバイスを意図したものまで、さまざまです。

ただ私は、こうした「自分へのダメ出し」は、基本的には気にしないようにしています。

■恩師が教えてくれた志望大学に行くための条件

高校時代に恩師から「志望大学に行くための条件は何か知っているか?」と聞かれたことがありました。彼はこう言いました。

「教えてやろう。簡単だ。『行きたいと思うこと』だ」。

行きたいと思っても行けるかどうかはわかりませんが、行きたいと思わない人は絶対に行けないということです。

自ら「ダメ出し」さえしなければ「チャレンジ目標」は簡単に決まります。目標が決まれば、それをかなえるための計画と努力が始まります。

そして、失敗や挫折を繰り返しながら、人は工夫・成長し、目標へと近づくのです。

■目標達成を阻むルールを疑う

新しく目標を立てて進み出しても、できない理由が次々に出てくることがあります。組織の中にそれを規制するルールがあったり、複雑な稟議があったり……。これがあるとプロジェクトは時間切れを起こしたり、骨抜きになってしまったりします。

仕事からの途中でぼやけたビジネスの人々
写真=iStock.com/AzmanL
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AzmanL

大きな組織、歴史のある組織ほど、こういうことがあるものです。

これは大失敗を防ぐ、組織の「防衛本能」です。どこかで誰かがミスや不正をすると、また一つ事前チェックプロセスが加わります。組織の大きさや歴史の長さがその数を増やすわけです。

しかしこれにかまってばかりいたのでは、物事が前に進みません。そこでここでは工夫が必要です。私は次のようなことをしています。

①(「ルールがある」と言われたら)それが本当にルールとして存在しているか調べる

「ルール」は単なるその場での思いつきや習慣、ローカルルールであることが多いものです。

②ルールには例外があると考える

「申請資格は主任以上」であれば、「主任」の人の名前を借りる、あるいはそのときだけ「主任相当」にしてもらうなどの例外対策がとれないか考える。

③ゴールに向けた最短距離を描いて走る

例えば「最終合意者」に最初に合意してもらうなど、ルールにはしたがいつつも、最短ルートを考える。

ただ今後もし、あなたが組織のルールを作ったり運営したりする立場になったら「事前チェックプロセス」を増やすのではなく、まずは物事を進めてみて問題があれば責任をとるという「結果責任プロセス」に変えられると、組織の目標達成は早まります。

来るべきその日のためにプランを温めてみてください。

■何かを始めるのに遅すぎることはない

Nothing is too late to start.

私がかつてお世話になったアメリカ人の起業家で、ベトナム戦争帰還兵の方がよく口にしていた言葉です。「何かを始めるのに遅すぎるということは何もない」という意味です。

ニューヨークのブロードウェイでミュージカルスターを目指していたのですが、ベトナム戦争に行くことになり、戦場で数年を過ごした後、彼は今、ハワイでミュージカルスクールを経営しています。そんな人の言葉なのでこの言葉には重みを感じます。

そもそも「too late(遅すぎる)」とは何を基準に言っているのでしょうか?

「20代のうちにこれをやらなければ」「もう自分は30歳を越えたから、今さら……」と、あせったりあきらめたりすることがあるかもしれません。

しかしこれは、誰かが作った「世の中基準」であって、「あなた基準」ではありません。確かに早ければ早いほどいいことも多いです。しかし、「史上最年少」と同じく「史上最年長」にだって大きな価値があるはずです。

■仕事ができる人は今から「でも」始める

目標達成は、それが「いつ」かよりも、達成「すること」にこそ意味があります。

あるいは、やりたいことがあるはずなのに、なぜか一歩が踏み出せない。そのことに「自分はダメだ」と思う人もいるでしょう。そういうとき、私はこう考えるようにしています。

「一歩踏み出せないのは、今の自分に必要ないからだ。本当に必要になったら自然に足が動くだろう。やりたくなったときが必要なときだ」

どうしても、やりたいことがあれば、そしてそれにあなた自身がやる価値があると思えば、始めるのに遅すぎることはありません。

考え方に少しだけ工夫を加えて、今から「でも」始めるのです。

■同期の出世を喜べない人は要注意

「同期で一番」という言葉は未だに色あせていないようです。

キャリアを考えるとき、同期でトップの昇進とか最年少課長といった、周りとの比較が、評価軸としては最もわかりやすいからでしょう。

しかし、周りを見てみても、10年前にトップだった人が今でもトップであり続けるケースは非常に稀です。

長い時間をかけてじっくり人を育てられる環境が続いた時代は、同期と競い合うことに意義があったと思います。「俺がお前の年のときはもう課長だった」という先輩の成功物語も意味があったことでしょう。

しかし世の中の動きが想像以上に早いのです。新卒で入社した頃に会社が行っていたことは、10年後、まったく違うものになっています。環境が時間とともに変わるため、重視される基準だって変わります。

そんな時代に、同期や先輩を基準に比較してもまったく意味のないことです。キャリアは、人生の一部を切り出しただけにすぎません。

タブレットを持つ女性
写真=iStock.com/whyframestudio
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/whyframestudio

■あせり、嫉妬、不満がペースを乱す

その意味では人生が成功かどうかという客観的基準は存在しないと思います。あえて言うなら、「本人が楽しいかどうか」が重要です。「本人が幸せかどうか」が基準である、という言い方をする人もいます。

人生の一部を同期など他の人と比べるという話自体がおかしいですし、他の人のキャリアと比べて自分が何か得をするかというと、そんなことはまったくありません。

変にあせったり、嫉妬したり不満を持ったりするだけです。

目標を決めて、それに向けて正しい努力を続けていれば、必ず自分が「楽しい」と思えるときが来るはずです。楽しみながら仕事をしている人には、他人の評価もついてきます。

あせらず自分のペースで進んでいけばいいのです。

■自分の思考のクセを把握したほうがいい

「なくて七癖」という言葉があります。これは他人にわかる口癖やしぐさなどのことを言いますが、考え方、感じ方にも人それぞれのクセがあります。

他人にわかるクセなら、それを教えてもらうことができますが、頭の中までは他人もなかなかわかりません。こればかりは自分で意識する必要があるでしょう。

意識した後は、そのクセ自体は無理に直したりせず受け入れましょう。どうせ他人には見えないのですから、受け入れた後、自分の中で対応策をとればいいのです。

例えば私自身の場合は、新しい刺激に対して防御的に反応するクセがありました。何か仕事の依頼があると「これは大変だ」「面倒だな」といった感覚が最初に持ち上がってしまうのです。

■クセの修正が、目標達成の近道になる

かつてはこのネガティブな反応を表面に出していた時期もあったのですが、これが原因で失敗するケースが続き、自分の思考のクセに気がつきました。

河野英太郎『99%の人がしていない たった1%の仕事のコツ 決定版』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
河野英太郎『99%の人がしていない たった1%の仕事のコツ 決定版』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

そこで私は、「自分が感じる最初の印象は過剰に防御的である」ことを意識し、対応策として、それを表面に出すときは修正を加えて少しポジティブに表現したり、時間を置いて客観的に見直してから判断したりするよう、変えてみました。すると今では周りから保守的に見られることはなくなりました。

その他、仕事を引き受けすぎるクセのある人や、人を過剰に攻撃してしまう思考回路の人もいるでしょう。こうした人が自分の思考のクセに気づかずに、万が一、本来とるべき行動や自分のありたい姿とは異なる行動をとってしまっていたとしたら、目標達成の機会を逃しています。

日々思考のクセをチェックし、目標達成に向け整えてみてください。

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河野 英太郎(こうの・えいたろう)
アイデミー取締役執行役員COO、Eight Arrows代表取締役、グロービス経営大学院客員准教授
1973年岐阜県生まれ。東京大学文学部卒業。同大学水泳部主将。グロービス経営大学院修了(MBA)。電通、アクセンチュアを経て、2002年から2019年までの間、日本アイ・ビー・エムにてコンサルティングサービス、人事部門、専務補佐、若手育成部門長、AIソフトウェア営業部長などを歴任。2017年には複業としてEight Arrowsを創業し、代表取締役に。2019年、AI/DX/GX人材育成最大手の株式会社アイデミーに参画。現在、取締役執行役員COOを務める。著書に『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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(アイデミー取締役執行役員COO、Eight Arrows代表取締役、グロービス経営大学院客員准教授 河野 英太郎)

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