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「彼氏よりまずお金」年収300万円で1000万円貯めたアラサー女子を待ち構える「幸せになれない」2つの罠

プレジデントオンライン / 2022年8月30日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/shih-wei

節約上手な人の中には20代、30代で貯蓄1000万円を達成する人が少なくない。ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは「彼女たちの金銭感覚や資金管理は、お金のプロである私も驚くほどですが、ある大事な視点が欠けていて心配になることもあります」という――。

※この連載「高山一恵のお金の細道」では、高山さんのもとに寄せられた相談内容をもとに、お金との付き合い方をレクチャーしていきます。相談者のプライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

■20代で貯蓄1000万円を超える節約術とは

私のところには、女性のお客様が数多くマネー相談にいらっしゃいますが、中でも驚くのは、年収300万~400万円台なのに、若くして1000万円を貯めている女性たち。そこで今回は、中でも印象的・象徴的だと思った3人のアラサー女性をご紹介したいと思います。

平成生まれのアラサー女性、水野文さん、佐々木亜子さん、竹中紋子さん(すべて仮名)。皆さん正社員の独身で一人暮らしを満喫されていること、そして「節約上手」であることが共通しており、すでに1000万円以上の貯蓄があります。

<今回の登場人物>
水野文さん(仮名)28歳 金融機関勤務 年収450万円 貯蓄1000万円
佐々木亜子さん(仮名)29歳 メーカー勤務 年収300万円 貯蓄1000万円
竹中紋子さん(仮名) 33歳 サービス業 年収460万円 貯蓄2000万円

■Instagramを利用して美容院代を浮かせるのは常識

金融知識が豊富なこともあり、投資信託に力を入れているのが銀行勤務の水野さん(28歳)。他の2人も水野さんほどの知識はないものの、お金に関する情報を入手するのが日課になっていると言います。

よく見るのは成田悠輔さんや中田敦彦さんの動画で、世界情勢や金融知識もタダで仕入れるのが基本。本を買うことはなく、YouTubeやInstagramなどを見て勉強し、3人全員、アメリカの代表的な株価指数「S&P500」に連動した投資信託を運用していました。

SNSの活用は金融知識の入手にとどまらず、美容院代を浮かせるのにもInstagramを駆使しているとのこと。どういうことかと思えば、カットモデルの募集をInstagramで見つけ、さまざまな美容師の卵を渡り歩いてヘアカット代もタダで済ませると言います。

私はこの奥義(?)を水野さんからお聞きしましたが、節約術界隈では知られた方法だそうで、その後も節約上手の女性たちから「私もカットモデルで切ってます!」と何度かお聞きしました。

■4人家族の食費を月2万円で抑える強者インスタグラマーも

そもそもInstagramでは「節約系インスタグラマー」たちがしのぎを削っており、私も何度かコラボした経験があります。子ども2人を育てている駆け出しのインスタグラマーの主婦の方は、4人家族の食費を月2万円で抑えていて驚愕しました。

彼女はプチプラのキッチングッズを駆使し、お手頃な旬の野菜を使った“かさ増し”料理を多数紹介。「企業案件も舞い込むようになってきたので生活の足しにしている」と話していました。

3人のアラサー女性しかり、節約系インスタグラマー主婦しかり、皆さん上がらない給料の中で一生懸命、節約術に励んでいます。

現在29歳で年収300万円の佐々木さんは、手取りにすると月約20万円。学生時代から貯蓄に励んでいたおかげですでに1000万円の貯蓄を達成していますが、お金を使う時は「消費」「浪費」「投資」のどれにあたるかを常に考え、シビアにジャッジ。

将来のキャリアアップにつながる飲み会なら「投資」、生活に関わる食費は「消費」といったかたちで、無駄をとことん省く。「コンビニでの買い物は数年したことがない」と話していました。

女性に散髪を与える美容師
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maroke

■恋愛への興味は薄く「彼氏よりまずお金」

やはり大学時代から節約をしていた33歳の竹中さんは、すでに貯蓄額2000万円をクリア。「朝まで飲んだりカラオケで散財していつも金欠の同級生を冷めた目で見ていました」と語り、「しっかりした金銭感覚を持っていない人とは絶対に結婚したくない」と語気を強めていました。

そういえば3人とも恋愛への興味は薄く、「彼氏よりまずお金」と断言。なぜそこまで貯蓄や節約を大切に考えるのかと聞けば、水野さんは早期退職を考えて若いうちからお金を作っておきたいとう人生設計がありました。

佐々木さん、竹中さんは目標のためというより、「漠然とした将来不安」が消えないのだと言います。

■お金を使うことで育つ財産もたくさんある

都心から少し離れた埼玉や千葉で家賃を5万以内に抑え、洋服はフリマアプリで買って月3000円。日用雑貨はセリアやダイソーといった100円ショップを中心に購入して数千円。贅沢は年に1、2回の旅行だけで、あとは預金や投資でお金を増やす――。

数年前に「ミニマリスト」という言葉が流行りましたが、現代の若者たちはナチュラルに節約志向で、自然とミニマリストになっているのかもしれません。プロのファイナンシャルプランナーの私の方がよほど計画性のないお金の使い方をしているなと反省したほど、彼女たちの金銭感覚・資金管理は揺るぎなく、“信念”のあるものでした。

一方で、私が一点だけしたアドバイスがあります。それは「お金をもっと使って」。ファイナンシャルプランナーはあまり口にしない言葉かもしれません(笑)。でも、出費を控えるだけでなく、お金を使うことで育つ財産もたくさんあると思うのです。

■お金を使う人が少ないほど賃金は減る

実際、私のお客さまの働き世代の女性たちも、今は圧倒的に堅実派が多い。月100万単位で稼いでいる方ですら、ものすごく貯蓄をします。日本に対する不安が強いのでしょう。しかし、当たり前ですが、お金を使う人が少なければ少ないほど経済は縮小し、それが自分の賃金にも跳ね返ってきます。そんな負のループの中にいる今、お金を使うことが怖い気持ちも本当によくわかります。

ただ、彼女たちのように若くして1000万円以上の貯蓄ができたツワモノなら、もっと自分に投資してもいいと思うのです。

たしかに、意味のない飲み会も多いでしょう。でも、なにもかも「コスパ」のものさしだけでジャッジしてしまうと、結局は大きなところで損をするような気がします。お金を使うことも、人と出会うことも、すべては経験。それを「浪費」にするか「投資」にするかは、自分の心持ちともいえます。

■「浪費」こそが明日への「投資」になる場合も

私は離婚を経験していますが、それを「失敗」だとは思っていません。離婚するかどうかという悩みの中で出会った職業がファイナンシャルプランナーであり、今はそれが私の天職です。辛い経験が私にとって「投資」になり、それによって現在の「消費」や「浪費」が可能になっているように思います。

また、一見無駄なように思える「浪費」こそ、ストレス解消や心の潤いという意味でとても意味のある明日への「投資」ではないでしょうか。「推し活」なんてまさにその代表ですよね。

私のお客さまで70歳で亡くなった方がいるのですが、彼女はミニマリストの先駆け的な方で、亡くなる時には1億円も貯蓄がありました。ただ独身だったことや交友関係も狭かったことで、結局その1億はほとんど国のものになったそうです。

このまま家と会社の往復を続ければ、順調に水野さんたちのお金は増えていくでしょう。でも、まだ彼女たちは若い。そして、本気になればいつだってお金が貯められるスキルがあります。であるなら、「経験値」という財産をもう少しお金を使って貯めていってもいいのではないでしょうか。

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高山 一恵(たかやま・かずえ)
Money&You 取締役/ファイナンシャルプランナー(CFPR)、1級FP技能士
慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。全国で講演・執筆活動・相談業務を行い女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。著書は『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)、『やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方』(きんざい)など多数。FP Cafe運営者。

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(Money&You 取締役/ファイナンシャルプランナー(CFPR)、1級FP技能士 高山 一恵 構成=小泉なつみ)

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