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世界一マスクを着用しているのに、陽性者数は世界最悪…日本人はいいかげん「忖度マスク」をやめるべきだ

プレジデントオンライン / 2022年8月25日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Michele Ursi

今年7月中旬以降、日本の1日あたりの新型コロナ陽性者数は世界最悪となっている。ライター・編集者の中川淳一郎さんは「無意味な感染対策をいつまで続けるつもりか。いいかげん、『忖度マスク』はやめるべきだ。『もとの生活に戻りたい』という機運は確実に高まっている。事業者も感染対策からの『一抜け』をしたほうがトクするだろう」という――。

■コロナ後を真剣に見据えて、ビジネス施策を打つべき局面に入った

新型コロナ騒動が始まって2年7カ月ほど経過した8月上旬、日本では「陽性者数が過去最高!」なんて報道が連日伝えられた。この期に及んでもまだ「えらいこっちゃえらいこっちゃ!」と陽性者の人数に右往左往し、大騒ぎを続けている状況だ。

だが、企業や各種施設はそろそろ「コロナ後」を真剣に見据えるべきである。この騒動が収束していく過程で競合他社をいかに出し抜くか、PR展開やサービス開発を加速させる段階に入ってきているのではないか。

日本感染症学会など4学会は8月2日に記者会見をおこなった。そこで同学会の四柳宏理事長は「(新型コロナに罹患(りかん)しても)順調に経過をされた場合には、いわゆる普通の風邪とあまり大きな差はございません」と述べた。もう諸外国と同様に、コロナは終わりでいいのだ。基礎疾患を持っているとか、妊娠中であるとか、高齢者であるとか、要は「ハイリスク」とされる人々が、自主的に感染予防を心がけることは否定しない。ただ、それ以外の一般人は、もう通常どおりの暮らしに戻ればいい。

日本の場合、世間の「空気」が人々の行動や考え方を左右する。では、いまの空気はどうか。「コロナ、もういいんじゃないの……」的な空気は、間違いなく色濃くなってきている。

その空気が大きな流れをつくり出す前に「一抜け」をして儲けを出し、空気が決定的になったときにはしっかりと先行者利益に浴している……そんな立ち回りをするための施策を本稿では提案していきたい。

■コロナ関連の感染対策はもはや無意味である

2022年8月現在、公共交通機関、商業施設では「感染対策の徹底のため、マスクの着用、アルコール消毒をし、会話は控えましょう」といったアナウンスが流れ続け、人々はマスクで鼻と口と頬を隠してぞろぞろと歩いている。正直、不気味な光景だ。2019年までの感覚でいえばもはや不審者の列であり、1970年代であれば「口裂け女」だらけという状況である。

とはいえ、本気でコロナを恐れている人はいまや少数派ではなかろうか。30%いるかどうかもわからない。多くはただただ「忖度(そんたく)マスク」を着けているだけである。

指示待ち人間が多い日本では、「感染対策は不要です」と首相や厚労省、知事、上司、そして親から言われない限りは続けなくてはいけない、と頑なに信じている。もう断言するが、コロナに関連した感染対策は全部意味がなかった。マスク、アクリル板、アルコール消毒、レジのビニールカーテン、学校の机の覆い、旅行自粛、無観客試合、県境をまたぐ移動の自粛、席はひとつずつ空けて座る、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置(マンボウ)の発出、花見の禁止、花火大会の中止、祭りの中止――いずれも「感染対策ごっこ」である。

なぜプロ野球ではスタメン選手はマスクを外し、控え選手と監督・コーチはマスクをしているのか?

なぜ、テレビのスタジオに登場する芸能人はマスクをせず、一般人はマスクなのか?

なぜ、『紅白歌合戦』などの歌番組で、大人数の演者がステージにひしめき合ってマスクをせず歌うのか?

なぜ、飲食店では入店時・便所へ行くとき・退店時だけマスクをし、それ以外は外しているのか?

そしてこれが最大の謎なのだが、なぜ海外の多くの国ではもうマスクをしていないのに、日本は着用し続け、世界最高の1日あたり陽性者数を達成した(詳細は後述)というのに鎖国を続けているのか?

■専門家ですら「普通の風邪」と言い出した

私は2020年の5月から、コロナ騒動については「これはそこまでヤバいウイルスではない。この騒動はインチキくさいな」と思っていた。そして同年8月、週刊ポストで『コロナ論』著者である漫画家の小林よしのり氏と対談した際には、「これは史上最大のバカ騒動になる」と発言している。

もちろん、2020年夏までのコロナ騒動初期ともいえる時期には「未知のウイルス」ということで、想定し得る効果的な感染対策を講じる必要はあったと思う。安倍晋三首相(当時)が命じた全国一斉休校とアベノマスクについても、いまでは愚策だったとわかるものの、当時は仕方がなかった面もある。

ただ、それから2年以上経っても「医療逼迫(ひっぱく)だ!」「マスクをピタッと着けてください!」「密です!」とやり続けるのは、もはや「コロナ恐怖症」という精神疾病ではないか。

当初の設定では「人が次々に死んでいく、恐怖の殺人ウイルス」ということになっていたが、いまや重症化率は第6波(2021年12月17日~2022年6月24日)で0.11%(大阪府の発表)、致死率は全世代で0.2%、40代以下は0.0%(厚労省の2022年8月16日発表時点)である。「ワクチンを打てば重症化は防げます!」と政府や厚労省、専門家は国民に訴えまくるが、そもそも重症化するのが難しいウイルスであることを、なぜ国民は理解しないのか。

そして冒頭でも述べたように、ついに専門家ですら「普通の風邪」と言い出してきているのである。普通の風邪に効くワクチンって、一体なんなのだ?

それでも日本政府は、3回目接種、4回目接種を絶賛推進中である。4回打っても感染した岸田文雄首相は、8月22日の復帰会見において「ワクチンを4回打ったおかげで、軽症で済んだ」と述べ、国民に3回目、4回目の接種を勧めた。まぁ、8億8800万回分もワクチンを買ってしまった厚労省の担当者と厚労大臣、菅義偉前首相、岸田氏、元ワクチン担当相の河野太郎氏、前ワクチン担当相の堀内詔子氏、そしてワクチンを礼賛したメディアや医者の保身のためだろう。

■数字を見れば、感染対策に効果がないことがわかる

また、「これまで講じてきた感染対策、そしてワクチン接種は間違いなく効いている」という言説もあるが、これは嘘である。

以下は今年7月、私が『デイリー新潮』に寄稿した際に用いた数字である。わかりやすいので再掲しよう。出典元になっているのは厚労省の発表を基にした「東洋経済オンライン」のデータだ。

陽性者数
2020年:23万1409人
2021年:149万5581人(累計172万6990人)※前年比6.46倍
2022年: 802万8691人(7月12日時点=193日・累計952万4272人)※前年比1日あたり10.15倍

死者数
2020年:3459人
2021年:1万4926人(累計18385人)※前年比4.32倍
2022年:1万6531人(7月12日時点=193日・累計3万1457人)※前年比1日あたり2.09倍

ご覧のとおり、陽性者数も死者数も増加の一途ではないか。陽性者数は爆増といっても過言ではない。

さらに今年7月中旬以降、日本は連日世界一の陽性者数を達成。札幌医科大学のサイトでは、過去7日間における国別の陽性者数をグラフで見ることができるが、8月19日の時点で日本は他国に圧倒的な差をつけての1位である(図表1参照)。

過去7日間における国別の陽性者数(2022年8月19日時点)

日本は141万4122人、2位の韓国は89万3032人、3位のアメリカは65万6429人、4位のトルコは37万6031人、5位のドイツは27万2836人となっている。この数字を見て、それでも「マスクを含め、いまの日本の感染対策にはどれも確実に効果がある」と断言できる人がいるなら、良識を疑うレベルである。もしくは、単に引っ込みがつかなかくなっているだけなのだろう。「自分は日々、律義にマスクを着け、活動自粛もして、飲み会も旅行も我慢し、ワクチンも打った。それなのに感染するなんて報われない」などと悔しさを感じているのかもしれない。だから意地になって「マスクをせず、ワクチンも打たない不届き者が感染を広げた」と言い出すのである。

■「早くコロナ前の暮らしに戻りたい」というニーズに応えるべき

ただ、冷静に考えてみてほしい。マスクを絶対に着用しない人間など、全人口の0.5%程度だろう。そんな少数派が毎度スーパースプレッダーになり、全国を覆い尽くすほどの「波」を発生させているとでも言うのか? 陽性者が増えたら「マスクをしない不届き者のせい」、減ったら「われわれがマスク着用を励行して、対策を頑張った結果」──いちいち、都合がよすぎるんだよ! いい加減、現在の感染対策には意味がないことを認めなくてはならない。

いまこそ、企業や商業施設は「現在のアホ過ぎる状況に呆れている人(ただし、公言するのは憚られるので黙っている人)」「もはや感染対策に意義を感じないので、暮らしをコロナ前の状況に一刻でも早く戻したいと思っている人」をターゲットに、PR施策を打ち、販促活動を展開するべきである。

■独自に「コロナ対策終了宣言」を出してしまおう

絶好の商機を逃すな──ひと言でいうとそういうことなのだが、まずやらなければならないのは、コレである。

「自分たちは感染対策をしない企業・施設・サービスである」と公表する

これだけで間違いなく「快適に、ストレスなく利用したい」と望んでいる客はやってくる。実にお手軽かつ余計な経費がかからない販促策だ。とりあえず「お客様のマスク着用は自由です」「スタッフは一切着用しません」と宣言するだけでいい。施設の入り口にこの旨をデカデカと掲示し、ツイッターやインスタグラム、公式ウェブサイトにも明記する。クレームを受けた場合は「当社の方針です」というだけで押し通す。これまで「なぜマスクを着けないと利用できないのだ!」という少数派からのクレームに対して、定番の「他のお客様の安心のためです」という回答のほか、「当社の方針です」のひと言でもさんざん乗り切ってきたではないか。であれば、逆の状況でも可能である。

そして、これまでスタッフにマスク着用を義務化してきたのだから、着用禁止だって義務化できる。それを「怖い」というスタッフには辞めてもらえばいい。コロナ脳はしょせん、無能である。そんな人材は不要だ。むしろ新たに採用をするにあたっての条件に「職場ではマスク非着用」と書き加えておけば、自分の頭で合理的に考えることができる人材を採用できるだろう。

マスクをしない客やスタッフを恐れる人は利用しなくなるだろうが、前述のとおり、いまだにコロナを本気で恐れている人間など30%程度だろう。残る70%の人間が「あの店は快適だ」となれば、客は増える。いま「コロナ対策終了宣言」を率先しておこなうことには、メリットしかない。

ちなみに先行事例をひとつ挙げておくと、星野リゾートは今年5月「屋外でのマスク着用を施設側からは求めない」ことを発表している。あくまで屋外のみなので限定的ではあるが、「マスクをする自由があるなら、しない自由もある」という姿勢を事業者側が明確にした点は評価したい。実際、「マスクを強制されないのが嬉しいので、夏休みは星野リゾートに泊まることにした」といった利用者の声もあったと聞く。同社は過去、透明な巨大提灯のなかに参加者一人ひとりが入った状態で会食をする「提灯会食」なるプランを発表。その絵面の間抜けさが失笑を呼んだが、もともと賢い企業のため、今回はまともな判断ができたのだろう。

■「感染対策を強制しない店」に対して抱く忠誠心

現在、私はあるスーパーをときおり利用しているのだが、マスクをしない私が入店すると、数分後には「新型コロナウイルス感染拡大防止のため、お客様はマスクの着用、入口でのアルコール消毒をお願いします。他のお客様の安心安全なお買い物のため、ご協力をよろしくお願いします」といったアナウンスが流れる。恐らく「ノーマスクボタン」でも用意されていて、マスクをしない客が入店したらそのアナウンスを流すようにしているのだろう。なぜなら、マスクを着用して入った日には流れないからだ。

以前は上記の店に毎日のように行っていたが、いまは週に1~2回しか利用しなくなってしまった。そのかわり、このスーパーよりは若干遠いが、マスク着用を要求するポスターもアナウンスも一切ないドラッグストアを頻繁に利用するようになった。

豆腐や卵、野菜や各種調味料も販売されているこの店の注意喚起アナウンスは、「万引きをする人物を見かけたら通報をお願いします。われわれが商品をお安く提供していくために重要です」という、店にとっても客にとっても実にメリットのある呼びかけのみである。同店はチェーン店だが、店名を挙げずにこのことをツイッターに書いたところ、別の店舗に勤めるツイッターユーザーの店員が自身の勤務するチェーンだとピンと来て、「マスク着用の強制は、本部からはされていない」との情報を教えてくれた。私は同店を今後も利用し続けることだろう。一度感じた恩義は返し続けなくてはならない。

コロナ騒動初期の頃「笑顔の鼻まわりと口元」を印刷したマスクや、笑顔の顔写真を添えた名刺が開発された。世間には「笑顔需要」というものがあるのだろう。だったら、接客においても、そして客同士でも、笑顔でいられるような施設にすればいいのだ。その障害となるのがマスクである。だから、客が少々減ることは覚悟のうえで、従業員からマスクを外させればいい。

■ライバルを出し抜くチャンスは、いまだ

結局、コロナ騒動が終わらないのは、メディアや専門家、政治家が感染対策の徹底と自粛を訴え続けるのに対して、庶民は「これって意味ないのでは……」「いくらマスクをしてワクチンを打っても、陽性者は増えるじゃん」と不信感を募らせているにもかかわらず、企業・施設・教育機関等が「感染対策の徹底をー!」といつまでもやり続けているからである。

カフェのテーブルに設置されたアクリル板
写真=iStock.com/Kayoko Hayashi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Kayoko Hayashi

メディアや専門家、政治家のあおりは、たしかにひどかった。ただ、そのあおりを盲目的に受け入れ、律義に守り続けた企業や教育機関などの組織、そして一般人が、結果的に「コロナ恐怖の演出役」を担う形となり、騒動を終わらせなかったのだ。こんなバカ騒動から「一抜け」したい人、そして組織はさっさと「コロナ対策終了」を宣言してしまったほうがいい。そうすれば、他に先んじて“果実”を得ることができる。

過去に目を向けると、感染対策緩和とは逆の動きで顧客に訴求する例もあった。ワクチン接種が始まった後、居酒屋チェーンの「和民」は2021年の6月1日~11月30日まで、ワクチンを2回接種した人にビールやハイボール、ソフトドリンクなどが1杯無料になるキャンペーンを展開。「白木屋」「魚民」「笑笑」などを展開するモンテローザは、同年6月21日から2回接種者を対象に、最初のドリンク1杯を1円で提供するキャンペーンを実施した。

このときは間違いなく「感染対策に積極的な店ほど利用したい」という空気があった。だからワタミとモンテローザのこのやり方は、商売としては正しい(ワクチン接種の是非はさておき)。ただ、もう風向きは変わったのだ。「感染対策をしない施設」としてのアピールを開始するならいましかない。8月~9月上旬あたりまでに動き出せば、間違いなくメディアが取り上げるはずだ。いまこそライバルを出し抜くチャンスなのである。

■「脱感染対策」宣言に関連した施策の具体例

それでは、具体的にどのような施策が有効になるか、アイデアを紹介していこう。対象は小売店、飲食店、理髪店、ネイルサロン、温泉施設・銭湯、テーマパーク、プール、海の家、プロスポーツ(まぁ、対策強化推進派の専門家が属するNPBとJリーグは期待できないだろうが)、ショッピングモールなどを想定している。銀行のように手続き上、いやが応でも利用者は店舗に出向くことが必要な機関や、利潤追求を目的としていない役所といった公的機関は、組織の体質もお堅くて柔軟な対応がとりづらいだろうから、ひとまず様子見をしておけばいい。

◆アクリル板、ビニールカーテン、アルコール消毒液の廃止+マスク不要をうたう「脱感染対策宣言」

◆「当社・当店は、コロナは収束したものと考えております」という「コロナ収束宣言」

◆マスクなしで入店し、最後まで貫いた人・グループは5%値引き

◆感染対策をしていないことにクレームをつけ、営業を妨げるような言動をとった場合には、「ツイッターでモザイク付き写真を晒す」と宣言

◆施設などの利用時に撮影した「この日最高の笑顔」写真をSNSに投稿してもらうキャンペーンを展開。ハッシュタグ「#この日最高の笑顔」をつけたうえで、自社の公式アカウントをフォローすると、抽選で次回利用時に使える割引券をプレゼント

◆他の初対面グループと合流をし、交流を30分以上した場合は両グループに5%割引

◆「これまでの感染対策に不満を持っていた人」の思いをノートに書いてもらい、それをウェブサイトやSNSで公開。その思いを見たい人がサイトにアクセスすることで「こんな店があるんだ!」と知り、新たに来店して、思いを書く……という循環を起こす

ザッとこんなところだろうか。重要なのは「マスクをしたい人はしても構わない」「ワクチンを打っていようが打っていまいが構わない」というスタンスをとることである。これまで企業がとってきたコロナ関連の施策は、基本的に「マスクをしない人とワクチン接種しない人を拒否する、ないしは優遇しない」というものだった。そうした姿勢はとるべきではない。ただの差別である。

■緊急事態宣言、マンボウはおそらくもう発出されない

先ほど列記したような施策を打ち出した場合、ツイッターでは相当な数のRTとコメントが付き、絶賛の声が多数挙がるのは間違いない。そして、批判する者に対しては「コロナ脳は一生家にこもっておけ」といった罵詈(ばり)雑言が数多く寄せられることになるだろう。合わせて「#〇〇スーパーの英断を支持します!」などのハッシュタグが登場し、さらに拡散される可能性も高い。

おそらく、緊急事態宣言とマンボウはもう発出されない。両方とも効果がなかったことが明らかなのだ。この2つは「人流を抑えること」と「時短営業、酒類の提供を制限すること」が目的だった。だが、2021年夏の第5波の急激な収束、そして2022年初頭の第6波で懸念されたゴールデンウィーク後の陽性者激増が、実際には横這い~減少傾向だったことで、人流抑制・時短・酒類提供の制限に意味がないことはさすがに明白になった。だから第7波では発出されないのである。

緊急事態宣言とマンボウの際、飲食店はアクリル板の設置や消毒の徹底をおこない、時短営業に協力したが、これはあくまでも営業を継続するため、もしくは補助金をもらうために必要な条件だったからだ。発出されていないのであれば、本来は不要な取り組みである。もし今後、発出されるようなことがあれば、そのときだけ営業継続や補助金のために設置すればよく、普段は事務室にでもしまっておいて、なにも問題ない。

■まずは事業者から変化を起こすべき

ここまで、さまざまな一抜け施策を提案してきたが、そもそもこの2年間、飲食店に来る客で「マスク会食」「尾身食い」を徹底する者など少数派だった。大半の人は店に入るとき、便所に行くとき、退店するときだけマスクを着けていたのが実情である。

つまり飲食店に行く人は、正直なところコロナを本気では怖がっていないのだ。人目につく移動時にはマスクを着用し、ハエが手をスリスリする動きのごとくアルコール消毒を施す“儀式”をしないと、「感染対策ができていない、ふしだらな反社会勢力」と周囲に思われてしまう──それを恐れて、形式的におこなっていただけなのである。

最近は、そうした空気さえ崩壊し始めている。サービス利用者の多くは、さっさと運営者に規制を撤廃してほしいと考えているだろうし、実際に撤廃する施設が出てきたとあれば応援することだろう。まずは事業者から変わるべきなのである。

そろそろ終わりが見えてきたコロナバカ騒動の後、おいしい果実を得るための仕込み時期は、いまだ。まずは躊躇することなく、感染対策をやめるべきである。

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【まとめ】今回の「俺がもっとも言いたいこと」

・世間はもう、感染対策に嫌気が差している。「早く、もとの生活に戻りたい」という気運は確実に高まっており、それに応えるビジネス施策を打つべき局面に入った。

・コロナ後の商売でライバルを出し抜きたいなら、一刻も早く「ウチは今後、感染対策をおこないません」と宣言すべきである。それだけで利用者は増えるに違いない。

・日本人は空気を読みすぎる。政治家や専門家、医療関係者、メディアのあおりを真に受け、なかなか現在のバカげた状況から脱することができない。であれば、事業者が率先して変化を起こし、空気を変えてしまおう。

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中川 淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
ライター
1973年東京都生まれ。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライターや『TVブロス』編集者などを経て、2006年よりさまざまなネットニュース媒体で編集業務に従事。並行してPRプランナーとしても活躍。2020年8月31日に「セミリタイア」を宣言し、ネットニュース編集およびPRプランニングの第一線から退く。以来、著述を中心にマイペースで活動中。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットは基本、クソメディア』『電通と博報堂は何をしているのか』『恥ずかしい人たち』など多数。

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(ライター 中川 淳一郎)

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