1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「両手にシェービングクリームを塗りたくる」GAFA社員がわが子を入れるスタンフォード大学付属幼稚園の正体

プレジデントオンライン / 2022年8月26日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Mladen Zivkovic

世界最高峰の頭脳と富が集まり、新しい人材を輩出しているアメリカ西海岸のシリコンバレー。この地の親は子供にどんな教育をしているのか。現地の事情に詳しい2人に聞いた――。(前編/全2回)

※本稿は、『プレジデントBaby 0歳からの知育大百科2022完全保存版』の一部を再編集したものです。

■シリコンバレーの親たちが望む教育とは

スタンフォード大学を中心に、AppleやIntel、Google、Meta(Facebook)などに代表される多数のIT、スタートアップ企業が本社を構える、アメリカ西海岸のシリコンバレー。

エンジニアや研究者、起業家など、世界から最高峰の頭脳と富が集まり、新しい人材を輩出し続けるこの地の親たちは、子どもにどのような教育を望んでいるのか。

Google本社に勤務後、シリコンバレーで起業している石角友愛(いしずみともえ)さんと、シリコンバレー屈指の名門校「ヌエーバスクール」に勤めた経験がある川崎由起子さんに伺った。

世界のトップエリートが考える、最先端のシリコンバレー式進路マップとは?

■0歳からの知育

ナニーを雇って、語学教育に熱心な家庭も

シリコンバレーの赤ちゃんたちは家庭でどのように過ごすのだろう。

両親ともにハイテク産業の最前線で働く家庭では、乳幼児期の子育てをナニー(家庭訪問型の保育のプロ)や、中南米やヨーロッパ出身のオペア(ホームステイ先の子どもの世話をして報酬を得ながら学ぶ留学生)に任せるケースが多い。

「0歳からできることとして、語学に投資する親が多い。中国人のナニーを雇って子どもとの会話で中国語を使わせる親を何人も知っています」と石角さんは話す。

【図表】これが「シリコンバレー式」進路マップだ!
出典=『プレジデントBaby 0歳からの知育大百科2022完全保存版』

同様に、スペイン語を母語とするオペアの需要も高いという。幼児期から多言語に触れさせたいという希望は幼稚園選びにも反映され、バイリンガル教育をうたい文句にしているところも多い。

自らはテクノロジーを知り尽くし、使いこなしているが、子どもは小さいうちからテクノロジー漬けというわけではない。「ナニーやオペアには子どもの前でスマートフォンやタブレットなどを使わないでほしいという親が一定数存在する」(石角さん)というのが興味深い。

そんなシリコンバレーのエリートたちが意識的に実践しているのが、子どもが主体的に考え、決めるプロセスを大切にする子育てだと、石角さんも川崎さんも口を揃える。

「例えばデザートにはイチゴがいいのかリンゴがいいのか。今日着る服は何色がいいのか。親子の対話を通して子どもに主体性を持たせることは、3歳でも十分にできます」(石角さん)

「大事なのは、イエスかノーで答えられる質問はなるべくしないこと。答えを求めるのではなく、なぜそう考えるかという根拠や意見を考えさせるようにしていると、問題解決能力のある子どもに育ちます」(川崎さん)

■幼稚園選び

出産直後に予約が必要な、名門大学付属の大人気プレスクールもあり

アメリカの多くの子どもは、0〜2歳期を家庭やデイケアと呼ばれる保育園で過ごし、オムツの取れる3歳ごろから幼稚園(プレスクール)に入園し、幼児教育をスタートさせる。

石角さんによると、シリコンバレーの幼稚園は、一般的なものを除き特徴的なところとしては、

・中国語やスペイン語などの外国語に没入させる「イマージョン系」
・自立心を育む「モンテッソーリ系」
・感性を育む「シュタイナー系」

などに大別されるという。

シリコンバレーの親たちは、子どもの特性や家庭の方針に合ったスクール選びのため、リサーチや見学に力を注ぐという。またコロナ禍の影響もあり、今まで以上に自然体験型の幼稚園が注目されているそうだ。

「最近は特に、乗馬をしたり、教科書やノートを使わずに屋外で数学を学んだりという自然体験型のスクールが人気です」(石角さん)

水遊びをする子供たち
写真=iStock.com/SolStock
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SolStock

なかでも注目されているのは、シリコンバレーの中心パロアルト市内に広大なキャンパスを持つ名門スタンフォード大学の敷地内にあるBing Nursery School。スタンフォードの教職員や研究員の子弟が多く通う。大学関係者以外は、出産直後に入園の申し込みをしておかないと入れないほどの人気だという。

青い芝生と果樹に覆われた園庭には、ジャングルジムとうさぎ小屋。園庭に直接出入りできる教室には、カリフォルニアの明るい日差しがさんさんと降り注ぐ。

『プレジデントBaby 0歳からの知育大百科2022完全保存版』
『プレジデントBaby 0歳からの知育大百科2022完全保存版』

夫がスタンフォード大学のビジネススクールで学んでいたという川崎さんはこの幼稚園に、娘を2歳で入園させた。

「Child-centered(子ども主体)」と「Play-based(遊び中心)」を理念に掲げる同園のプログラムは、「ハンズオン(体験学習)が豊富で、シェービングクリームを手にいっぱい塗ったり、水や砂で遊んだりして五感を刺激する仕掛けがたくさん用意されています。登園してから2時間はプレータイム。子どもたちそれぞれが興味のある場所で遊びます」と川崎さん。

シリコンバレーの親たちには、このように、アートや音楽、体操、自然などをプログラムに取り入れた「遊び中心」の幼稚園が人気。遊びを通して、子どもたちに主体性を育んでもらいたいと希望しているからだ。(以下、後編)

川崎由起子さん

東京・八王子にある「東京ウエストインターナショナルスクール」最高執行責任者。2015年までアメリカのシリコンバレーに住み、その間、IQ130以上の子どもを対象にしたギフテッド専門の私立一貫校ヌエーバスクールで、15年間教師を務め、多くのギフテッドの子どもたちの教育に関わる。自らの子どももヌエーバスクールの卒業生。NHKクローズアップ現代「知られざる天才“ギフテッド”の素顔」に出演。

石角友愛さん
AIテクノロジーカンパニー「パロアルトインサイト」CEO。16歳で単身渡米し、ボーディングスクールに留学。2010年にハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得したのち、Google本社で多数のAI関連プロジェクトを担当する。日本企業に対してシリコンバレー発のAI戦略提案からAI実装まで一貫した支援を提供。11歳と6歳の子どもがいる。子育て関連の著書に『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)がある。

----------

恩田 和(おんだ・なごみ)
子育て・教育ライター
1977年生まれ。東京大学文学部英語英米文学専攻課程卒業。読売新聞記者を経て、カリフォルニア大学バークレー校でジャーナリズム修士号取得。配偶者の海外赴任に伴い、アメリカ合衆国(カリフォルニア、テキサス)と南アフリカ共和国に10年近く滞在。2人の帰国子女を育てながら、子育て・教育ライターとして活動中。

----------

(子育て・教育ライター 恩田 和)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください