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スマホ、重いランドセル、運動不足…もはや形状記憶された「子どものねこ背」を一瞬で直すひと言

プレジデントオンライン / 2022年8月26日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/TATSUSHI TAKADA

子どものねこ背は、どうすれば直るのか。猫背矯正マイスターの小林篤史さんは「子どもに『背筋を伸ばしなさい』と注意しても直らない。それは猫背がラクだから。よい姿勢のままでもラクだと感じる方法を教えてあげてほしい」という――。

※本稿は、小林篤史『10秒で治る! 子どものねこ背のばし』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■ねこ背になりやすい現代の子どもたち

スマホやタブレット、携帯ゲーム機の普及、運動不足、ソファ中心の座り生活、重いランドセル……現代の生活には、子どもたちが「ねこ背」になりやすい原因がたくさんひそんでいます。

「ねこ背」だけでなく、腰が反ってお腹がぽっこりと前に出た「反り腰」の子もいます。

こういったねこ背や反り腰は、見た目だけの問題ではありません。

身長の伸び率や運動神経、さらには脳の状態にも影響を及ぼします。腰痛や肩こりといった体の不調はもちろんのことです。

とはいえ、子どもに「背すじを伸ばしなさい!」と口で言っても、それでねこ背が治る子は、残念ながらほとんどいません。

注意された直後は背中をまっすぐにしても、1分後には忘れてしまうからです。

そもそも、なぜ子どもの姿勢が悪くなってしまうのでしょうか。端的に言うと、実は「その姿勢がラクだから」です。野性で生きている猫やゴリラといった動物たちも、やはり背中は丸いですよね。つまり、いい姿勢を保つのは理性のなせる技。それを本能全開の子どもたちに求めても効果は期待できないのです。

では、いったいどうすれば子どもたちはスッキリ伸びた背中を取り戻せるのでしょうか? 整骨院を営み、整体とストレッチ・歩き方などのセルフケアを交えた「持続する猫背矯正」として3万人を超える患者をケアしてきた私がたどり着いた結論は、こうです。

「よい姿勢のまま、子どもがラクだと感じる方法を教えてあげればいい」。

つまり、「姿勢をよくできない事情や環境」を解決してあげれば、勝手に姿勢は整うのです。

今回は、大人にも子どもにもストレスの少ない方法で、ねこ背を改善する方法をお伝えしましょう。

■勉強の時にねこ背になったら「脇をしめようか」

「子どもがねこ背になっているのはどんなときですか?」と質問するとよく返ってくる答えの一つが、「勉強しているとき」です。

たしかに、大人でも仕事に夢中になっているときは、パソコンや机に向かって前のめりの姿勢になりがちです。子どもはパソコンよりもプリントや問題集に向かっている時間のほうが多いですが、基本的には大人と一緒で、夢中になると前のめりの姿勢になります。

『10秒で治る! 子どものねこ背のばし』より
イラスト=『10秒で治る! 子どものねこ背のばし』より

実を言うと、この姿勢になってしまうこと自体を「やめる」のはなかなか難しいです。姿勢を気にするあまり、集中力を欠いてしまっては元も子もないからです。

ただ、集中時のこのねこ背姿勢を少しでもマシな状態にするためにできることはあります。それが、「脇をしめ、体の傾きを腕でロックする」方法です。

夢中になって机に向かっていると、自然と脇は開き、肘が外側に向かいます。その上に上半身が倒れ込むような姿勢になっている子がほとんどです。

体の傾きを物理的にロックすることができれば、姿勢はかなり改善されます。そのためには「前腕(ぜんわん)」を使います。前腕とは、腕のうち、肘から手首までの間のことです。

次のイラストのように、両腕の前腕を机のふちにあてるようにすれば、体が前に倒れ込むのをいくらか抑えることができます。ポイントは脇をしめることです。

『10秒で治る! 子どものねこ背のばし』より
イラスト=『10秒で治る! 子どものねこ背のばし』より

この姿勢は子どもにも無理がなく、いたって自然な体勢です。少しずつ脇が開いて体が前に倒れ込んできたら、「脇をしめようか」と一声かけてあげましょう。すぐによい姿勢に戻れるはずです。

「ねこ背になっているよ!」「背中を伸ばしなさいってば!」と口うるさく言いすぎると、反発する子もいます。

ねこ背を責めるのではなく、「こうするとラクだよ」「こうするといい姿勢でいられるよ」と具体的な方法を教えてあげられると、子どもは案外素直に言うことを聞きます。

■背中をさすってねこ背の形状記憶をリセット

もうひとつ、おすすめなのが「背中シュッシュ(背中さすり)」。

勉強中の子どもにしてあげると気分転換になるうえ、自律神経が活性化されてやる気スイッチが入りやすくなります。勉強中に眠くなってきた子には、とくに効果的です。

ねこ背の子どもは、その姿勢を「当たり前」として身につけてしまっています。このような現象を「ねこ背の形状記憶」と呼びます。もともとねこ背なのではなく、筋肉や骨格が「ねこ背仕様」になってしまっているのです。

ねこ背を形状記憶してしまっている状態から、「元の正しい姿勢」を一瞬で思い出させる方法が、「背中シュッシュ」です。

やり方はとてもかんたん。立っている子どもの背中を、大人が片手で上から下へと強めに「さする」だけです。

コツは、強めの力で上から下に勢いよく、シュッ! シュッ! とさすることです。

この背中さすりが効果的な理由は、背中を上から下へさする手の動きに連動して、背中の「筋膜(きんまく)」が正しい方向に誘導されるからです。

「筋膜」とは、筋肉をはじめとする骨や血管や組織など皮下組織に存在するものを包む白い膜のようなもので、体全体を包み込んでいます。ねこ背によって位置がずれ気味だった筋膜に、皮膚の上から刺激を与えて物理的に正しい場所へ戻すというわけです。

図表1を見てください。ねこ背の子どもは、体の皮膚や筋膜が全体的に前側へ下がってきています。「背中シュッシュ」をすることで、前側に下がっていたものを元に戻すイメージです。

背中シュッシュ
出所=『10秒で治る! 子どものねこ背のばし』より

■朝の見送りに行うのがおすすめ

背中を上から下へ勢いよくさすられると、子どもの背中は反射的に伸びます。「あ、これが正しい背中だった」と思い出すのです。

小林篤史『10秒で治る! 子どものねこ背のばし』(かんき出版)
小林篤史『10秒で治る! 子どものねこ背のばし』(かんき出版)

また、背中に触れると自然と背骨にも触れることになります。背骨の中(脊椎)には自律神経の大きな束があるため、そこに刺激を与えることで自律神経の働きを活性化することにもつながります。ほとんどの子どもは「気持ちいい」「スッキリする」と感じるはずです。

「背中シュッシュ」を試してもらったご家庭では、お子さんのほうから「背中のあれやって!」とせがまれることもあったとか。

なお、この背中さすりは、勉強中だけでなく、朝、子どもが園や学校に行く前に行うのもおすすめ。

「背中シュッシュ」をして「いってらっしゃい!」と見送ってあげれば、スイッチの入った子どもはスッキリした気持ちとよい姿勢で、1日のスタートを切れそうです。

■指圧効果のある「腰枕」は大人にも有効

また、こわばった背中の状態をリセットするためのストレッチのひとつとして「背中のびのびタオルストレッチ」があります。

このストレッチでも使う丸めたタオルを、勉強中の子どもの腰とイスの背もたれの間に挟んであげるのもおすすめです。

背中のびのびタオルストレッチ
出所=『10秒で治る! 子どものねこ背のばし』より

自然と背すじがスッと伸び、指圧と同じ効果があるため腰の疲れにもよいです。ねこ背になるとタオルはすぐにポロッと落ちてしまいますが、逆に「落とさないようにしなきゃ」という気持ちが無意識のうちに働き、いい姿勢をキープしやすくなります。

なお、このような「腰枕」をあてておく時間は1~2分で十分です。外した後もなんとなく余韻が残り、効果が持続します。

大人にも有効ですので、仕事中などにぜひお試しください。

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小林 篤史(こばやし・あつし)
宮前まちの整骨院代表、猫背矯正マイスターⓇ
柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師。日本大学文理学部体育学科に入学し、トレーニング理論、機能解剖学などを研究する。2006年、宮前まちの整骨院を開院。整体とストレッチ・歩き方などのセルフケアを交えた「持続する猫背矯正」として30,000人を超える患者をケアする。 2015年に株式会社ボディスプラウトを設立。整骨院・整体院の施術、商品企画開発及び販売、姿勢の専門家の育成、各種情報発信などを行う。テレビ・雑誌などメディア出演も多数。『10秒で治る! 子どものねこ背のばし』(かんき出版)ほか、著書累計は20万部を突破。

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(宮前まちの整骨院代表、猫背矯正マイスターⓇ 小林 篤史)

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