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サイコロを振ると最大2万4240円のお得…鉄道ジャーナリストが本気で勧める"超お得きっぷ"大公開

プレジデントオンライン / 2022年8月30日 14時15分

館山名物「くじら弁当」を販売している館山駅構内の喫茶店「マリン」。 - 写真提供=東香名子

休日に使えるお得な切符はないものか。鉄道ジャーナリストの東香名子さんは「2022年夏と秋のシーズンにJRから発売されているものでは、『北海道&東日本パス』がすごい。あまりのお得さに感動の涙がでるほどだ。JR西日本から発売された変わり種の切符もお得すぎて鉄道ファンがざわついている」という――。

■定番は「青春18きっぷ」

夏休みやシルバーウィークなど長期休暇が迫り来ると、鉄道ファンたちは、こぞって旅行計画を立て始める。鉄道旅をするときの欠かせない存在といえば「お得なきっぷ」だ。エリア内フリーパスはもちろん、旅先の施設がお得になるもの、食事が楽しめるものまで、各社さまざまな切符を発売しており、旅好きの人や筆者のような乗り鉄の鉄道ファンの強い味方だ。

こうしたお得な切符は、通年発売されているものがほとんどだが、今回は2022年夏と秋のシーズンにJRから発売されているものをいくつか紹介しょう。まずは「青春18きっぷ」。JR全線が乗り放題になる切符で、春・夏・冬に発売される。発売額は5日分で1万2050円。利用は連続した5日間である必要はなく、期限内であればどの日に使ってもいい。また1人で5日分使ってもいいし、1日分を5人で分けてもいいのが、青春18きっぷの特徴だ。

ただし、乗り放題にはなるが、新幹線や特急列車は利用できない。つまり各駅停車や快速にしか乗れないと理解しよう。

■熱海に行くのも房総半島に行くのも、やっぱりお得

青春18きっぷは、単純計算で1日2410円以上かかる場所に行けばお得になる。たとえば5人グループで東京から熱海に日帰りで行ってみよう。東京―熱海は往復で3960円。通常より1550円お得になる。

より乗り鉄気分を楽しみたいなら、房総半島一周コースもいいだろう。東京から総武線や京葉線で千葉へ、そこから外房線と内房線に乗り、房総半島を縁取るように旅するコースだ。途中、安房鴨川で寿司を食べたり、館山の「くじら弁当」という珍しい駅弁を買ってもいい。東京から安房鴨川、館山で途中下車して東京に戻ってくる場合、運賃は5210円。通常より2880円お得になる。

長距離の乗車に慣れてきたら、距離を延ばし、東京から名古屋まで行ってみるのもいい。片道6時間ほどかかり、旅慣れている筆者でも連続乗車はかなりきつい。毎回座れるという保証もなく、シーズンはキッパー(18きっぷを利用する人々)で混んでいるだろう。

だが途中下車など、うまくプランニングすれば楽しい旅になる。東京を出発し、熱海で足湯につかり、沼津で寿司を食べ、静岡でサウナに入り、浜松でうなぎを食べるなど、上手にリフレッシュしながら名古屋までの道中を楽しもう。

館山駅からの景色。
写真提供=東香名子
館山駅からの景色。 - 写真提供=東香名子

青春18きっぷ2022年夏季用の発売は8月31日まで。利用は2022年9月10日までとなっている。

※編集部註:初出時、「青春18きっぷ」の値段を誤って記載していました。発売額を「1万2050円」に修正しました。(8月30日18時10分)

■1日で元が取れる

続いて紹介するのはシルバーウィークも楽しめる「北海道&東日本パス」。JR北海道と東日本、青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道、北越急行が乗り放題になる切符だ。料金は1万1330円で、7日間連続が利用のルール(7人で1日分を分けるのは不可)。広大な北海道での鉄道旅において尊いパートナーである。

この切符は青春18きっぷと同じく、新幹線・特急列車を利用できない。しかし、オプション券なるものが存在し、6110円を課金すれば1日だけ特急列車の自由席が乗り放題になる。広大な北海道を特急で駆け抜けることができるのは貴重だ。効率的で旅の幅が広がるし、普通列車より快適なシートなので、長時間乗っても体力の消耗を防げる。北海道&東日本パスとオプション券を合わせると、合計で1万7440円となる。

たとえば札幌から最北の地・稚内を日帰りで目指そう。朝一番の特急宗谷で稚内へ行き、宗谷岬など5時間ほど現地を堪能し、再び夕方の特急に乗れば札幌に帰ってこられる。通常料金は乗車券・特急券あわせて往復2万1120円となり、3680円得をする。すでに3000円以上お得なのに、まだまだ6日間のフリー期間が残っている。そのお得さに、感動の涙が出るではないか。

あるいは道東を目指してもいい。朝一番の特急オホーツクで網走を目指し、網走監獄など5時間ほど現地を堪能し、再び夕方の特急に乗れば札幌に帰ってこれる。通常料金は乗車券・特急券あわせて往復2万20円となり、2580円お得となる。

またはこの日は網走に泊まり、翌日に釧網本線で釧路(通常は片道4070円)を目指すのもいい。これもフリーエリアに含まれているから、乗れば乗るほどお得になる。車窓からオホーツク海を望めるし、釧路湿原を突っ切るときは、運がよければタンチョウの姿を愛でられる。また摩周で下車して摩周湖に行けば「ウソでしょ」と思うほど美しい湖面にため息をつけるし、川湯温泉で降りて宿泊してもいい。

北海道のローカル線はいつどこが廃線になってもおかしくない。美しい絶景が見られなくなる前に、今のうちに乗っておくことをおすすめする。北海道&東日本パス、およびオプション券の2022年夏季用は発売が9月24日まで、利用は9月30日までとなっている。

釧網本線から臨む釧路湿原。
写真提供=東香名子
釧網本線から臨む釧路湿原。 - 写真提供=東香名子

■サイコロを振って割引率8割超えも

この夏にJR西日本から変わり種の切符が発売され、鉄道ファンがざわついている。その名も「サイコロきっぷ」。サイコロを振り、出た駅まで往復で利用できるきっぷだ。料金は1回5000円だ。切符はすべて大阪市内発着の往復で、目的地は北陸から九州まで全7駅。サイコロは6面しかないのに、7駅から選べるあたり、すでにお得感があるではないか。

行き先、通常料金、お得率は次の通り。

・芦原温泉 1万3380円 62.6%
・餘部 1万2060円 58.5%
・東舞鶴 9180円 45.5%
・白浜 1万1400円 56.1%
・倉敷 1万3360円 62.6%
・尾道 1万7300円 71.1%
・博多 2万9240円 82.9%

驚くべきは博多。なんと2万4240円もお得になる。割引率が8割超えなんて、こんな幸せなことがあっていいのか。サイトによれば、博多の当選確率は36分の1。36人に1人の幸運な人が、博多行きの大当たりを手にできる。ほかは白浜、餘部、東舞鶴、倉敷、芦原温泉が6分の1、尾道が36分の5とのこと。

それにしても元来、旅行とは行きたいところに行くものだ。お得になるのは置いといて、JRに行き先を決められるなんて前代未聞じゃないか! しかし、これに救われた思いになっているのは筆者を含む乗り鉄たちだろう。われわれは休みのたびに苦しめられるのだ。「嗚呼、どの路線に乗ったらいいのだ」このような毎度の悩みに「ここに行ってきなさい」と他から指令があると、案外楽ちんだったりする。

■実際に試してみたら…

このサイコロきっぷ、是非ともやってみたい。と思ったが、筆者は都内在住である。利用するには、東京からまず新大阪まで出なければならず、すでに新幹線代が往復で2万7740円かかることになる。さらに、万が一、博多を引いてしまった場合、東京からいったん新大阪で降りて、また博多まで行く羽目になり「だったら東京から飛行機で行ったほうがいいじゃん!」という事態になりかねない。と文句を言いつつも、こうした妄想も楽しむ自分がいる。

というわけで、ごちゃごちゃ言わずにやってみた。クレジットカードを登録後、JR西日本のアプリでサイコロ画面を開き、STARTボタンをタップする。すると、サイコロがくるくる回り始める。ドキドキ。

JR西日本の「サイコロきっぷ」でサイコロを振っている最中の画面。
写真提供=東香名子
JR西日本の「サイコロきっぷ」でサイコロを振っている最中の画面。 - 写真提供=東香名子

ほどなくして

ジャーン!

JR西日本の「サイコロきっぷ」の行先決定画面。
写真提供=東香名子
JR西日本の「サイコロきっぷ」の行先決定画面。 - 写真提供=東香名子

「餘部に決定しました」

ど、どこ? よ、読めない……。と思った皆さんに説明しよう。餘部(あまるべ)駅は、兵庫県北部に位置するJR山陰本線の無人駅である。地上から高さ約40mのところに位置する駅で、美しい山陰の海を拝められる鉄道ファンに人気の駅だ。

■サイコロに導かれて最高の温泉旅に

「ほほう、餘部か」と表示が出た瞬間から、筆者は時刻表および鉄道地図をペラペラとめくり、頭の中で旅のプランがどんどん膨らんでいった。東京からあの辺りは行きづらく、「何かのついでに乗ればいいや」と後回しにしていたエリアである。こうしてサイコロで餘部に導かれるとは、なにか運命的であろう。

運賃をみれば大阪―餘部の往復は1万2060円だから、7060円得をしたことになる。お得率は下から3番目の58.5%、まずまずの結果だ。この切符では、途中の城崎温泉駅で下車ができるとのこと。旅の宿は城崎温泉で決まりである。最高かよ。

お得に旅をしたい方はもちろん、「どこでもいいから、どっかに乗りたい」と思っている乗り鉄たちは、是非この一大イベントに乗っかってほしい。サイコロを振れるエントリー期間は9月30日まで。切符の発売期間は10月29日まで、利用は10月31日までの連続する3日間まで可能だ。

さまざまなお得なきっぷが発売され、鉄道ファンとしてはうれしい限りだ。10月には、JR東日本全線と民鉄7社の列車が3日間乗り放題になる「鉄道開業150年記念 JR東日本パス」の発売が予定されている。秋の行楽シーズンが待ち遠しい。

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東 香名子(あずま・かなこ)
コラムニスト
鉄道コラムニスト。メディアコンサルタント。外資系企業、編集プロダクション、女性サイト編集長を経て現在フリー。編集長時代、月間アクセス数を650倍に伸ばす。All About旅行ガイド。メディア出演多数。著書に『超ライティング大全ー「バズる記事」にはこの1冊さえあればいい』ほか。

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(コラムニスト 東 香名子)

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