「こんな人と絶対友人になってはいけない」他人の自己肯定感をどんどん下げる人の特徴
プレジデントオンライン / 2022年9月5日 10時15分
※本稿は、加藤俊徳『脳の名医が教える すごい自己肯定感』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
■SNSやインターネットは脳科学的に不健全
新型コロナの蔓延で、このところめっきり外に出る機会が減ったという人は多いのではないでしょうか?
「おうち時間」が増え、SNSやインターネットを活用する時間が増えています。
情報ツールが発達し、さまざまなコンテンツが普及しています。
TwitterやLINE、YouTubeやTikTokを見たり、Zoomなどでリモート飲み会など、「おうち時間」をむしろ楽しんでいるという人もいるでしょう。
ただし、脳科学的に見ると、そこに一つの落とし穴があることを指摘しておかねばなりません。
それは、情報が文字や写真、動画といった2次元のものばかりになってしまうことです。
あらゆる情報がいまやスマホやパソコンの画面を通じて入ってきます。しかも自宅の椅子やソファーに座って、端末を操作するだけです。
じつはこのような状況は、脳科学的には、決して健全だとは言えません。
■知識はあるのに自信はない人の特徴
というのも、2次元情報というのは文字や画像によって得たものです。このような体験を「知識経験」と呼んでいます。
一方、体を動かし、実際に何かを体感して得た経験を「体感経験」と呼びます。皮膚感覚など、五感をフル回転させて得た経験です。SNSやインターネットの発達で、端末情報ばかりになってしまった私たちは、「知識経験」ばかりが肥大して、「体感経験」が激減しているのです。
このことを「脳番地」で解説すると、「視覚系」「聴覚系」「理解系」などがフル回転しているのですが、「運動系」がまったく働いていないということになります。
いずれにしても、脳の働き方のバランスが崩れていて、それによって脳の働きが悪くなっている状態と言っていいでしょう。脳の働きが悪くなれば、やはり自己肯定力も次第に下がってきてしまいます。
実際、自己肯定感の低い人を診断すると、ほとんどの人が体感経験が乏しいことに気づきます。
中にはオタク系の人がいて、それこそ知識経験は豊富なのですが、実体験が乏しいので、なかなか本当の自信を持てないようです。五感をフル活動させ、肉体を通じて得た経験は、生命体として一つの自信につながるのだと思います。
膨大な2次元情報に取り巻かれている私たちは、意識的に知識経験を減らし、体感経験を増やす必要があります。
■「体感経験」を増やす簡単な方法
夜寝る前に枕元にスマホを置いて、LINEでやり取りしたり、YouTubeやTikTokを見ていませんか?
電磁波の悪影響を指摘する人もいますが、つねに文字情報や動画によって脳の視覚系や聴覚系、伝達系が刺激され、一部の脳だけが興奮状態が続いているのは、決していい状態ではありません。
![ベッドに横たわりスマートフォンを使用している女性](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/8/b/1200wm/img_8bbc710a2dfcde56c1792cacb9e3c75e127710.jpg)
「スマホ断ち」という言葉を耳にしませんか?
寝る前は手元に端末を置かないなど、1日のうちで数時間はスマホやタブレットから距離を置くことをお勧めします。
同時に、「体験知識」を増やすことを考えましょう。散歩や公園などの広い野外を散策したり、密にならない状況で人に会うなど、外に出て体感経験を意識的に増やすことが必要です。
新型コロナが落ち着いたなら、たとえば地域のさまざまなサークル活動や趣味の集まりなどに参加し、新しい人間関係を築いてみるのです。
新しい環境と人間関係は脳には大変刺激的で、そこでのコミュニケーションやさまざまな実体験が貴重な体感経験になるはずです。
■自己肯定感が低い子どもが増えている原因
自己肯定感の低い人は体を動かすことが苦手な人が多いようです。
逆にスポーツなどでつねに体を動かしている人は、自己肯定感が明らかに高い傾向があります。東京成徳大学の深谷和子教授らの調査(「運動の苦手な子」2000年度VOL.20-1/ベネッセ教育総合研究所)によれば、運動が得意な子どもは自分自身をポジティブに評価する傾向があることがわかりました。
運動が得意だとする子どもと、苦手だとする子どもにそれぞれ15項目の質問をしたそうです。すると、「自分は頑張ることができる」という項目で、運動が得意な子どもの61.3%が「とてもそうだ」と答えたのに対し、苦手な子どもは17.0%だったそうです。
逆に「気が弱い」とする項目では、得意な子どもの5.4%、苦手な子どもの22.1%が「とてもそうだ」と答えたという結果を報告しています。
ちなみに、スポーツ庁による令和3年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果では、「体力合計点については、令和元年度に比べ、小中男女ともに低下した」と報告されています。
体力低下の原因として、①運動時間の減少、②学習以外のスクリーンタイムの増加、③肥満である児童生徒の増加を挙げ、さらに新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う学校の活動が制限されたことが指摘されています。
■人間は動物であることを忘れてはいけない
大人の場合でも、「筋トレ」や「ランニング」をしている人ほど自己肯定感が高いという傾向があります。
とくに「筋トレ」は自分の肉体が明らかに変わっていきます。貧弱な身体や太ったお腹が、分厚い胸板や引き締まった腹筋、シャープで力強い肉体に変わっていきます。
肉体が視覚的にかっこよく、美しくなることは、それだけでも大変な自信になります。しかもそれは、日々の自分の努力のたまものです。その「達成感」が、さらに自己肯定感を高めることにつながるのです。
脳科学的にも、「運動系」を刺激し活性化することが、自己肯定感を高めるポイントだと考えられます。
![公園で柔軟体操をする親子](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/f/6/1200wm/img_f6ce8a63850547af2e1a19627eaef856320084.jpg)
人間もまた動物であることには変わりません。
動物として運動能力が高く、それに関する脳が発達している方が、生存適性が高いことは言うまでもありません。
「しっかりと運動している」「思うように体を動かしている」という実感は、生存そのものの本能に直結しています。
それゆえに、自信や自己肯定感にもつながっていくのです。
■人間関係は量ではなく質を重視する
あなたは友だちが多い方でしょうか?
それとも少ない方でしょうか?
多いと答えた人の方が、一見幸せそうに見えます。ですが、自己肯定感という観点で考えたとき、必ずしもそうとは言い切れません。
大切なのは「数」ではなく、「質」なのです。
じつは昨今の新型コロナによって、いろんなものを見直すきっかけになったという人がいます。新型コロナで世の中が厳しくなると、平時よりはずっと本来の人間性が明らかになります。
今回の危機は、ふだんの生活では表に出てきにくかった、その人の性格や考え方、人となりを照らし出すことになりました。
このことをよいきっかけに、つき合う人たちを絞り込んだという人もいるのではないでしょうか。
SNSでのつながりも、やり取りするのに疲れてしまう人が急速に増えているそうです。突然アカウントを消して、連絡を絶ってしまう人もいるとか。
いきなりすべての関係を断つのは行き過ぎと思いますが、無理をしてつき合うような関係なら、思い切って見直すことも必要でしょう。
相手に合わせるために自分を抑え、それによって時間も費やし、気持ちもすり減らしてしまうなら、それはもはや友だちとは言えません。
これからの人間関係は数ではなく、質を重視するといいでしょう。
■絶対に避けるべき友人のタイプ
その際、自分の自己肯定感を上げてくれる相手を選ぶことをお勧めします。
たとえば前向きで、明るく人生を生きている人。あなたを受け入れてくれる人。あなた自身が心を開いて向き合える人。会っていると心から楽しいと感じられる人。一緒に何かを学ぶことができ、成長できると考えられる人……。
これらのポイントから、友だちを選ぶことが大事だと思います。
一番避けるべきは自己肯定感が低く、いつも恨み言ばかりで、他人の悪口ばかり言う人です。
マイナス思考の波動があなたにも確実に伝わり、あなた自身の自己肯定感をどんどん下げてしまうことになります。
■他人に依存した自己肯定感を持つ人は多い
他者の評価や基準に合わせているだけでは、本当の自信や自己肯定感=自律性自己肯定感は生まれません。
企業の経営者だとか、会社の役員のような要職に就いている人でも、本当の意味での自己肯定感が低い人がいます。地位や肩書といった社会的な評価に依存して、自分自身の価値基準で自分を認めているわけではないのです。
こういう人にありがちなのが、誰か他の人を否定することによって、自分の価値を上げようとすることです。
比較する相手を限定し、自分の土俵の中で相手を否定してマウントを取ろうとする……。こういうことは、ビジネス社会の中だけではなく、一見仲良しの主婦たちの関係の中でもよくあるのではないでしょうか?
いずれにしても、評価の基準を他者の評価、他者との比較に置いています。相手がいなければ自分を評価できない。
他人に依存した自己肯定感ですから、他者の評価や存在がなくなると、たちまち消えてしまう儚い幻想のようなものなのです。
■他人に振り回されないための5つの価値基準
自分の中にしっかりとした価値観と基準を築き、それに合わせて自分で自分を認め受け入れることが必要です。
●自分が生きる上で、何を一番大事な価値として考えるか?
●自分の人生のテーマは何か?
●自分がこれだけは絶対にしない、したくないことはどんなことか?
●どんなことが善悪や美醜であると感じるか?
●どんなことをしているときが一番楽しく、幸福感を感じるか?
以上のような価値基準を自分の中で明確に持つことが、大前提になります。
■「相手の欠点ではなく、よいところを見るようにしなさい」
ちなみに、子どもの頃の親からの教育が、これらの自己基準を作る上で大きな影響を与えることがわかっています。
![加藤俊徳『脳の名医が教える すごい自己肯定感』(クロスメディア・パブリッシング)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/2/6/1200wm/img_26b734da8e3f4c2758531362979aa7b1107882.jpg)
私自身のことを言うなら、幼少の頃、母親は私の音読困難症状や成績不振に対して、否定的なことは一切言いませんでした。
ただし、「自分だけの得や利益を考えてはいけない」ということと、「相手の欠点ではなく、よいところを見るようにしなさい」ということだけは、口酸っぱく言われて育ちました。
「自分だけのことを考えてはいけない」という教えは、後年人間関係や仕事をする上で、私自身の大きな行動基準となりました。それを守ることが、自己肯定感につながったと思います。
また、「欠点ではなく、よいところが必ずある」という教えは、人に対して寛容になれただけでなく、自分が自分を評価するときにとても大きな影響を与えたと思います。
人にできて自分ができないことが、じつは自分だけの特異な能力であり個性である。他人に対してよいところを見るという教えは、じつは自分自身をそのように見ることができるための教えでもあったのです。
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脳内科医
医学博士。加藤プラチナクリニック院長、「脳の学校」代表、昭和大学客員教授。『1万人の脳を見た名医が教えるすごい左利き 「選ばれた才能」を120%生かす方法』など著書多数。
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(脳内科医 加藤 俊徳)
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