「次は11月1日が狙い目」プロのスタイリストに聞いた"着ない服"を手放すベストタイミング
プレジデントオンライン / 2022年9月17日 8時15分
※本稿は、あきやあさみ『一年3セットの服で生きる 「制服化」という最高の方法』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
■「適量」を知ることが心地よさに繋がる
服を少なく持つということは、目的ではなく手段です。私は「服は愛せる数だけ持てばいい」と考えています。その人によってキャパシティは違います。クローゼットが広い、着ていく場所がたくさんある、金銭的余裕がある、手入れできる時間の余裕がある、服が大好きでひと手間かけるのが趣味、など「愛せるキャパシティが広い人」はたくさんの服を所有していても一点一点を大切にすることができます。自分が心地よく生きられる「適量」を知ることが心地よさに繋がるのです。
■「着ない服」は無用な悩みの種
お客さまの中には「生活に余裕があるので大好きな服をたくさん持っていたい!」という方もいらっしゃいます。
例えば50代で会社を経営しているAさまは、仕事だけでなくプライベートの趣味も多く、旅行や料理も趣味で経営者同士の集まりも多いそう。お手伝いさんが週3日家に来てくれるので洗濯やクリーニングも任せてしまっているとのことでした。
持っている服もアクセサリーも数え切れないほど多く、広いウォークインクローゼットがいっぱいの状況でした。何を選んでもいい状況にあっても「たくさん服がありすぎて何を着ればいいのかいつも迷ってしまう……着る服は何着あってもいいけれど、着ない服は無用な悩みになってしまうのでスッキリ手放したい」という理由で相談しに来てくださいました。
■「好きだけど着ない服」をどうするか
どんなに余裕があったとしても「着ない服は持たない方がいい」ことには変わりないですよね。Aさまは「制服化」の概念を知ることで着ない服を手放し、新しい服を買うときの基準にしてくださいました。また、「持っている服はまだまだ多いけれど、自然と手放すものが見えてきました」と言ってくださいました。
![洋服をたたむ女性](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/b/9/1200wm/img_b9d21a0054af96e3540d83e9075e9b29112855.jpg)
「この服、とても好きだけど、なぜか着ないな……」という服には何か理由があるはずです。「生地が大好きだけど太って見える」とか「洗濯が難しい」とか「冬物だけど薄手で寒い」など理由はさまざまです。もちろん無理に手放す理由はありませんが、私は服自体を愛しているので「私が上手く愛せない(着こなせない)のであれば他の人に愛して(着て)もらってほしい!」と手放すことにしています。服も、いつ来るか分からない出番を待つよりも他の人に着てもらったほうが嬉しいと思うのです。
以前愛していた服も、あまり着ていなくてまだきれいな服も、手放すのにはとても勇気がいるものです。「もうこんなに着心地の良いニットは見つからないのでは……?」「こんなに素敵な柄は二度と買えないのでは……?」と不安がよぎります。長年服のことだけを考えつづけているスタイリストから言わせていただけば「時間はかかるかもしれませんが、探せば必ず見つかります!」というのが答えです。勇気を持って手放すことができた人だけに新しい風が吹くのです。定期的にクローゼットを見渡して「好きだったけど今は着なくなった服」があったら手放す勇気を持ってくださいね。
■「季節の初め」が取捨に最適な理由
季節の始まりである3月1日、6月1日、9月1日、11月1日には着なくなった服を手放す「断服式」をするのがおすすめです。「次の季節にはもう着なくていいかも」「しばらく着ていないな」「もう満足するぐらいたくさん着たな」と感じた服は、潔く手放しましょう。どんなにシンプルな服でも2~3年周期でトレンドは大きく変わるので、全ての服が入れ替わるまで大体2年くらいを目安にしています(もちろん期間はご自身の気持ちがいいサイクルでいいのです)。
![あきやあさみ『一年3セットの服で生きる 「制服化」という最高の方法』(幻冬舎)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/f/2/1200wm/img_f263efd0a23caa556c0cf040207539fd99891.jpg)
私はできる限り服を古着屋さんやリサイクルショップに買い取ってもらうようにしています。それは「服が好きだからまた誰かに着てほしい」という気持ちがあるからです。前の年に着た春物を3月1日に見直して、さっと買取(リユース)に出せば、そのシーズンの春物として必要な方に着てもらえます。以前は、フリマアプリでのやりとりをしていましたが、個別での交渉や配送作業が面倒になってしまい最近では古着屋さんの店頭買取に出すようにしています。
購入して2年以内で大切に着ていた衣服を持っていくと、「こんなにきれいな最近の服を……次に使うお客さまが喜びます! ありがとうございます」といつもお礼を言ってもらえるので、とてもいい気分です。古着屋さんにも、次に着てくれる人にも喜ばれるので、「季節の初め」の見直しがおすすめです。
■昨年買った服が「なんか違う…」はチャンス
昨年買った服を見たときに「違うな」と感じたら「新しい自分になる」チャンスです。ブラッシュアップされた価値観に合う服を身に纏った自分は、とてもいきいきしているはずです。いい服が見つかるか不安な方は、次の服が見つかるまで残しておいてもいいのですが、手放したことで初めて新たな自分を見つけることもできるはずなのです。
「断服式」をし始めたら、数年前の服が手元に残らなくなったので毎年違うイメージの服を新鮮な気持ちで楽しめるようになりました。「一生ものだから」と思って高い服を買っても3~4年で着なくなってしまうことが多かったので、むしろ「2年で着たおそう!」と考えて服を買っている今の方がおしゃれになれたのでは? と思っています。
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一年3セットの服だけで生きる。1985年、東京生まれ。2008年、日本女子大学家政学部被服学科卒業後、都内百貨店に入社。パーソナルスタイリスト、セレクトショップバイヤーを経験後、2018年に退社しファッションスタイリストとして独立。独特のファッション論を情熱的に語るnoteが話題となる。
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(制服化スタイリスト あきや あさみ)
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