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いつでも使える便利な言葉…クレーム対応のプロが「究極のかわし術」として教える"K言葉"とは

プレジデントオンライン / 2022年9月13日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fizkes

悪質なクレーマーにはどう対応すればいいのか。クレーム対応に詳しいエンゴシステム代表の援川聡さんは「私が究極のかわし術として教えているのは『困りましたね』『苦しいです』『怖いです』のK言葉。特に『困りましたね』はのらりくらりとかわすあいづちとしては、何でも使える便利な言葉だ」という――。

※本稿は、援川聡『職場の困った人対応マニュアル』(WAVE出版)の一部を再編集したものです。

■仕事熱心だが周りを振り回してくるタイプの困った人

仕事に対して熱心で実績もあり、会社にとって必要な人であることは間違いないけれども、自分の仕事のペースを周りの社員にも強く求めたり、面倒な仕事や細かい作業は他の人に丸投げする。仕事の速さや量だけでなく「自分も頑張っているんだから、周りの人も頑張るべき」という考え方まで押しつける人がいます。

決め台詞は「自分も頑張っている」「会社のため」「あなたも成長できる」「一緒に頑張ろう」と、もっともらしいことを言って説得をしてくるのです。「確かに熱心な努力家であることは認めるし、言うことについてはわかるけど、こちらにだって事情があって、やることはやっているんだから、それ以上は求めないでほしい」と内心では思いつつ、振り回されてしまうのが現状でしょう。

困った仕事は受けずにかわし、急かされても自分のペースを守れる方法をお伝えします。

■きちんと断ればクレーマーは寄ってこない

どんな押しつけ型でも、できない相手にはそもそも頼むということをしません。あなた自身にその能力があって、引き受けてくれるだろうと思っているから依頼をしているということを、まずは覚えておいてください。クレーマーが窓口に駆け込むのも「何か対応してくれる」と思っているからです。

「断れないのをわかってて押しつけるんだ」「本当は対応するなら誰でもいいんだ」と落ち込む必要はありません。逆に言えば、きちんと断りさえすれば、押しつけ型はターゲットを変えます。悪質クレーマーが「難癖つけてもムダだった」と他所の店舗へと移っていくのと同じです。「無理な要求には応えてもらえない」と知った上で、それでもまたクレームをつけるのは、信頼の証です。

■一旦、相手の話を受け止めてからこちらの都合を伝える

しつこい悪質クレーマーかもしれませんが、実はホワイトなクレーマーということもあるのです。自分の仕事も手一杯で、無理難題を言われたときは、断るのは当たり前のことと思って断ってみましょう。断るのが苦手という人も一定数います。でも、お互いに頼り合えるし、断り合えるというのが、良い人間関係といえるのではないでしょうか。

断って途切れてしまう関係なら、それまでのこと。断ることに対して、もっと気軽になってほしいと思います。とはいえ、押しつけ型は相手が受けるまで説得にかかる場合も多いです。そこで、断り方を身につけましょう。

「私も頑張っているんだから、あなたもやってよ」「こういう理由で急ぎの案件なんだって」と説明してくる相手に対して「こっちにだって仕事がある」「今はムリです」と伝えても、言い合いがヒートアップするばかりです。一旦、相手の話を受けるようにしましょう。

議論するビジネスマン
写真=iStock.com/nortonrsx
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/nortonrsx

「○○さんも頑張っているんですね」「こういう理由があったんですね」と伝えた上で、「私も今、別のこんな仕事があって手一杯なんですよ」と自分のやらなければいけない仕事を話します。「それよりも、優先してやってよ」と言われたら、「私のこの仕事よりも、こっちの仕事を先にやるということですか」と受けて「私の仕事も△△さんから頼まれた仕事ですし……」「私の仕事もいつまでにやるという期限もあって……」と期限のことを話します。

「やってくれないと困る」と言われたら「やらないと困るんですよね。そう言われている私も困ってしまって」と、相手の言われたことを、そのまま返しながら、自分の仕事のことを話します。もし現時点で対応できる時期の見込みが立てられるなら、「○時頃なら対応可能なのですが」「明日でも良ければ」と打診をして、受けられるなら受けてもいいと思います。

■相手が黙り込んだら、こちらも黙り込んでしまったほうがいい

しつこく説得してくる相手には、このように、相手の話をくりかえしながら、時間をかけてうやむやにするという“復唱のテクニック”があります。そのときに相手が黙ってしまうようであれば、あなたも「さて、どうしたものか」という顔で黙ってしまいましょう。

こうなると相手がじれて「じゃあいいよ」と引くか、「いいからよろしく」と押しつけてくるかのどちらかです。実際には受けてはいないのですから、「あれどうなった?」と聞かれても、「あの場で『困りましたね』とお伝えして中断したままでしたよね」と確認をしてもいいですし、すぐに進められないことを伝えたほうがいいのであれば、メールで、「お伝えしたように別の仕事がありますので、他の方にお願いをしてください。もしくは、終わってから取り掛かります」と送りましょう。

相手の話を受け入れつつ、できることとできないことを明確にするというのは、クレーマー対応においてよくやる手法です。理不尽な攻撃を押し返すのではなく、のらりくらりとかわしたあとに「しかしながら私共はこうです。一生懸命検査しても、検査機関に出して結果が出るのは1週間後になってしまいます」などと説明をして納得をしていただくほかはありません。

■“K言葉”を使った究極のかわし術

クレーム対応をする際に、究極のかわし術として教えているのは「困りましたね」「苦しいです」「怖いです」のK言葉です。特に「困りましたね」はのらりくらりとかわすあいづちとしては、何でも使える便利な言葉です。

援川聡『職場の困った人対応マニュアル』(WAVE出版)
援川聡『職場の困った人対応マニュアル』(WAVE出版)

気まずい場合や話が長期化してきたときには「大変心苦しい思いです」と、どうしても受けられないことを示し、相手からおどされるようなことがあれば正直に「怖いです」と、それぞれのシチュエーションに合わせて、使い分けましょう。このようなかわし言葉をいくつも持っていることで、仕事を引き受けず、相手に諦めてもらうことができます。

もし断ったあとに、罪悪感や申し訳なさがあるのであれば、自分の仕事が終わって余裕ができたあとに「こちらの仕事が一段落ついたのですが、今からでもお手伝いできることはありますか」とフォローを入れるといいでしょう。「断ったのは忙しかったからで、あなたとの人間関係を壊したいからではない」というメッセージにもなります。

相手が不機嫌そうに「もういいよ」となったら、「私も忙しいので必ずしも受けられるわけではないのですが、何か困ったことがあればまた相談してください」と伝えましょう。これでもまだ、不機嫌でいるようなら、わざと不機嫌な態度をとって、あなたを困らせようとする“グレーな攻撃型”も兼ねている場合があります。

■断ったことではなく、忙しくしていたことを謝ったほうがいい

こういうときに効果的なのが、“いつも不機嫌な相手には気づかないふり”です。「断ってしまって申し訳ない」「気まずい」といつまでも悩むくらいなら、たとえ翌日以降になってしまっても「先日は忙しくてごめんなさい。今からでも何かありますか?」と聞いてしまったほうが、スッキリします。

謝るときのポイントは「断ったこと」よりも「忙しくしていたこと」を謝りましょう。断ることは悪いことではないので、謝り方にもそういう意識を持つと良いです。

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援川 聡(えんかわ・さとる)
エンゴシステム代表取締役
1979年大阪府警察官を拝命。95年に大手流通業マイカルに就職し、元刑事の経験を生かしたトラブルやクレーム対応にあたる。2002年エンゴシステムを設立。

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(エンゴシステム代表取締役 援川 聡)

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