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「あなたは将来、人の役に立つ人になる」池江璃花子選手の才能を開花させた4つの魔法の言葉

プレジデントオンライン / 2022年9月30日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/lisegagne

子どもの才能を引き出すには、どうすればいいのか。水泳の池江璃花子選手の母親で、東京経営短期大学特別講師の池江美由紀さんは「子どもの伸びる力をアシストするのが大切。親は普段からポジティブな言葉をかけ、子どもの才能を引き出すような関わり方をするといい」という――。

※本稿は、池江美由紀『子どもの心と才能が育つ【池江式】魔法の言葉』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

■才能を引き出すのは「親の役割」

すべての子どもは、無限の可能性を持って生まれてきます。

ただ、その可能性は、何もせずに放っておいて開花するものではありません。

周囲の大人が、その子の才能を生かし、引き出すような関わり方をしてあげることが大切になってきます。

子ども、とくに就学前の幼児と最も濃密な時間を過ごせるのは、親をおいてほかにありません。子どもの才能を引き出す一番大事な役割を担っているのは、お母さん、お父さんです。

幼児教室は、子育てのための知識をお伝えしたり、短い時間にさまざまな手法のトレーニングを行ったりして、多様な能力を効果的に引き出そうとします。

そのために、親御さんに学んでいただくノウハウがたくさんあります。それを家庭で繰り返していただくことが大切なのです。

重要なのは、毎日続けること。そして、楽しく取り組むことです。大人でも、楽しくなければ長続きしません。子どもなら、なおさらです。

親御さんから、「子どもが全然やりたがらないんです」という相談を受けることがあります。やらせたいことを、ただ杓子定規に与えているだけだとそうなりがちです。

やはりそこは、ゲーム性を取り入れるとか、いっぱいほめてあげるとか、子どもが「楽しい!」と思えるような工夫が必要です。

■知能は運動から育つ

では、楽しく取り組むための工夫には、どんなものがあるでしょうか。

たとえば、「競争」や「ゲーム」の要素を取り入れてみるのも1つです。

私の幼児教室には「うんてい」を設置しています。小学校の校庭などにある、はしごを横にしたような体育機器です。

うんていをする子供
写真=iStock.com/andresr
知能は運動から育つ - 写真=iStock.com/andresr

アメリカの幼児教育研究者であるグレン・ドーマン博士は、「知能は運動から育つ」と述べています。なかでも、「うんていをさせるとよい」と提唱されているのを知って、教室でも取り入れることにしました。

最初は、うんていにぶら下がるだけです。幼児にとっては、まず「握る」という力が運動能力の発達の起点になる、と私は考えています。

そこで、教室では毎年、うんていにぶら下がってタイムを競う「鉄棒ぶら下がり大会」を開催しています。みんなで競争すると、とても盛り上がります。そして次は、「もっと長い時間ぶら下がりたい」と、自分から思うようになります。

■池江選手を育てた「うんてい遊び」

家庭のなかなどに競争相手がいない場合は、「記録会(タイムトライアル)」とか「発表会」みたいにする方法もあります。親がちょっとした工夫をすることで、子どものなかにある自発性やチャレンジ精神が育ってくるものです。

璃花子が小学生のときには、自宅のリビングにもうんていを設置しました。すると、璃花子は、毎日のようにぶら下がっていました。ぶら下がったままテレビを見たり、キッチンとリビングを往復するときに、うんていを使って移動したり。

次第にうんていを上手にこなせるようになる姿を見て、私は、「こんなことはできる?」「こんなことしてみたら?」と提案してみました。

すると、後ろ向きに移動したり、1段とばし2段とばしをしたり、今つかまっている棒から両手を離して次の棒に飛びつくことを連続でしたり、連続50本移動したり……と、いろいろな技を披露するようになりました。

もちろん、私は、下から璃花子を見上げながら、「がんばれ!」「すごい!」「もう少し!」と、応援や声かけを続けていたのです。璃花子の身体能力は、子どもの頃のうんてい遊びが大きく貢献していると思います。

■「握る力」で脳が発達する

握ることは、脳にたくさんの刺激が伝わって、脳の発達によい影響を与えるといわれています。「握る力」は、赤ちゃんの頃から鍛えることができます。

私は、璃花子が生まれたとき、おむつを替えるたびに両手で私の親指を握らせるようにしていました。

母親の指をつかむ赤ちゃん
写真=iStock.com/west
握ることは脳の発達によい影響を与える - 写真=iStock.com/west

そして、私の指をつかませながら、身体を起こしたり、そのまま上に引き上げて立たせたりしました。握る力が強くなってくると、指をつかませたまま、身体を吊り上げられるようにもなりました。

赤ちゃんの握る力は、意外と強いものです。おむつ替えのたびに鍛えると、みんなできるようになります。

先に述べたように、少し大きくなれば、鉄棒やうんていにぶら下がることで「握る力」を鍛えることができます。

はじめは、高いところにある棒に、自分で飛びついてつかむことはできません。大人の力を借りて、つかまることになります。

■必要以上に手出しをしない

このとき、1つ注意したいことがあります。

それは、はじめから大人が抱き上げて、つかまらせようとしないことです。こうすると、子どもは受け身で棒を握るだけになります。

子どもが、自分でチャレンジしているという意識を持てるような、ひと工夫をするとよいと思います。

まず、「どこにぶら下がりたい?」と聞いて、位置を決めます。そして、「よし。じゃあ、飛びついてみようか」と言ってジャンプさせます。子どもがジャンプしたタイミングを見計らい、引き上げるアシストをして棒につかまらせます。

こうすることで、子どもは自分から飛びついて棒につかまったという気持ちになれますし、ジャンプ力を鍛えることにもなります。親も楽です。

実際、何度かこれを繰り返していると、あっという間に自分の力だけで飛びついてぶら下がれるようになります。大人が必要以上に手出しをしないことで、子どもには自分の力を出して物事を達成しようという感覚が育ちます。

何事も「やってやる」のではなく、子どもの伸びる力を上手にアシストすることが、親の重要な役割です。

■「ポジティブな言葉」で五感と脳が発達

幼児期は、脳の吸収力が一番高い時期です。

植物が太陽の光に向かってぐんぐん伸びていくように、子どもたちは「知りたい」「学びたい」という欲求に満ちています。

この時期に、お母さん、お父さんが正しく関わることで、子どもの五感と脳が発達し、本来持っている才能を開花させることにつながります。

ここで大切なことは、「言葉がけ」です。ネガティブな言葉ではなく、ポジティブな言葉をかけることが重要です。

子どもは純粋ですから、かけられた言葉を素直に受け取ります。言葉を換えれば、暗示にかかりやすいともいえます。ですから、積極的によい暗示をかけてあげましょう。

家で仕事をしながら赤ちゃんに話しかける母
写真=iStock.com/Drazen Zigic
毎日の言葉がけが子どもの才能を伸ばす - 写真=iStock.com/Drazen Zigic

■「4つの言葉」が才能を開花させる

私たちの幼児教室では、レッスンのはじめに、次の4つの言葉をかけるようにしています。

1つめは、「お父さん、お母さんは、あなたが大好きだよ」です。

自分が親から愛されているということは、自分を認められているということです。自己肯定感が高まり、自分に自信を持つことができます。

池江美由紀『子どもの心と才能が育つ【池江式】魔法の言葉』(PHP研究所)
池江美由紀『子どもの心と才能が育つ【池江式】魔法の言葉』(PHP研究所)

2つめは、「いつも一緒だよ」です。「あなたと一緒にいるよ」というメッセージです。親や先生がいつも心は自分と一緒にいてくれるという一体感が生まれ、子どもは安心して目の前のことに取り組めます。

3つめは、「これから勉強を始めます。勉強することが、あなたのなかにスイスイ入っていきます」というメッセージです。この「スイスイ」が、子どもの耳に残るキーワードです。

これは、今日の学びが身体のなかに浸透するという学習効果を高める暗示です。教室では、みんなで両手を頭に当てて、「スイスイ」というポーズをとっています。

4つめは、「あなたは将来、人の役に立つ人になるよ」です。能力を高めて、それを発揮できるようになる。たしかに、それだけでも素晴らしいことです。

ただし、能力の使い道や発揮する方向性を誤れば、幸せにはなれません。4つめの言葉は、自分の才能・能力を発揮することで、人の役に立ち、世の中に貢献するんだという勉強の真の目的を伝えておくためです。

子どもたち自身は、今の時点ではピンときていないかもしれません。でも、意味を理解しなくても、大切なことは言葉にしてかけ続けることです。

毎日、暗示をかけることによって、知らず知らず身体のなかに「何を大切にするか」「何のために学ぶのか」が蓄積し、育っていきます。

3歳の生徒さんは、あるとき保育園の先生に、「どうして幼児教室で勉強しているの」と聞かれたそうです。その子はすぐに、「みんなの役に立つ人になるためだよ」と答えました。

あとでそのことがお母さんの耳に入り、私たちも知りました。

そのような心が育つのが、幼児教育の素晴らしさです。

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池江 美由紀(いけえ・みゆき)
東京経営短期大学 特別講師
1995年、子どものための能力開発教室を開校。約30年間子どもたちの指導に携わり、才能を引き出し、本番力、人間力、何があってもあきらめない強い心を育む指導に取り組むほか、子どもの親の子育て相談や指導を数多く行う。長年の経験に基づいた講演活動も行っている。次女は、競泳の池江璃花子選手。著書に、『子どもの心と才能が育つ【池江式】魔法の言葉』(PHP研究所)、『あきらめない「強い心」をもつために』(アスコム)がある。

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(東京経営短期大学 特別講師 池江 美由紀)

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