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「うちは0歳から英語教育始めてるけどおたくは?」そんなマウンティング母を成仏させるとっておきの一言

プレジデントオンライン / 2022年9月28日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/itakayuki

なぜマウンティングはなくならないのか。脳科学者の黒川伊保子さんは「女性は群れの中で優位に立ちたいという生殖本能を持っている。女性社会でマウンティングがなくならないのはむしろ自然なことだが、この格付けの連鎖は受け手次第で浄化することができる」という――。

※本稿は、黒川伊保子『女女問題のトリセツ』(SB新書)の一部を再編集したものです。

■マウンティングの4つのタイプ

マウンティングとは、本来、動物が自分の優位性を表すために、相手に乗りかかり、押さえ込む行動をいう。女女関係においては、「私のほうがあなたよりも幸せである」「裕福である」「頭がいい」「魅力がある」などと、勝手に格付けをして、自分のほうが立場は上であるとアピールすることをいう。

女性は、生殖本能において、群れの中で優位に立つことが、生存可能性を上げる条件なので、マウンティングはごく自然な行動と言える。

マウンティングには、以下のような技がある。

・「○○すべき」などのアドバイスタイプ
・皮肉を言うタイプ
・謙虚なふりして、結局自慢になるタイプ
・ひたすら自慢タイプ

原始の社会では、群れの中で優遇されることこそが、自分と子どもの生存可能性を上げる大事なファクターだったので、女性脳は、自分がより優位であることを示さなければいけないという衝動にかられやすい。

また、女性の仲よしグループは、本来、子育て共同体として形成されるため(学生のそれであっても)、「愚かな女」を置いておくのは危ないので、著しく劣る者は疎外しなければならない。

この2つの本能によって、女性たちは、日々マウントし、マウントされて、生きていく。

ここでは、マウントされた側の対処法を伝授しよう。

■アドバイスのふりには感謝と謙虚でやり過ごす

ケース1:アドバイスタイプ

0歳の子を持つママに、「0歳からの英語教育」を勧めるのは、本気のアドバイス。それにしたって、言われたほうはマウントに感じることもある。言われた側が従わないと(しかもその相手を下に見ていると)、その後は、本気のマウンティングに転じることもあって厄介だ。

けど、世の中には、アドバイスのふりしたマウンティングもあるらしい。

「うちは0歳からバイリンガル保育園に通わせてる。0歳からやらないと手遅れだからさぁ。○○ちゃんも急いだほうがいいんじゃない」と5歳の子どものママにマウンティングするケース。

これはもう、「ありがたいアドバイス」のていで、受け止めちゃうのが一番。「ありがとう。本当にいつも気遣ってくれて」と、笑顔で答える。

そのうえで、「でも、うちは、外国語は急がないの。日本語を完成させるのに精いっぱいだから」と言えばいい。

マウティングし返してやりたかったら、「黒川伊保子が、母語に専念するほうが理系力が伸びるって言ってるし。将来困ったら、AIに同時通訳させるからいいわ。ほほほ」と言ってやればいい。けど、そこまで言ったら、宣戦布告。あらゆることで絡んでくるから、お勧めできない。心の中でそうつぶやいて、ストレス解消してね。

アドバイス風味のマウンティングは、向こうの脳の中でも、アドバイスのつもりなのかマウンティングのつもりなのか、けっこう曖昧なので、「ありがたいアドバイス」として受け止めちゃうのが一番。そうすれば、マウンティングが成立しない。

でも、感謝しただけだと、言うことを聞かないときにムカつかれるから、「しない理由」は言ったほうがいい。「うちは、○○で精いっぱいだから」と、謙虚なふりをするのが一番だ。

■皮肉には気づかないふりが一番

ケース2:皮肉タイプ

「昨日は忙しかったからコンビニのお惣菜で済ませちゃった。けっこうおいしいよね」に対して、「え~コンビニのお惣菜、うまく使えるんだ。えら~い。私、どうしてもビニールに入ってるお惣菜、我慢できなくて、鰹節削るところから始めるから時間かかっちゃって」みたいな、上げて下げるタイプ。

これは、マウンティングだなんて思わないのが、一番。本当に困っている人だと思って、優しくしてあげよう。

「いやいや、あなたのほうがずっと偉いよ。毎日、鰹節削るだぁ? やば」って言ってあげたら、相手はマウンティング成功して、気持ちよ~く成仏してくれる。調子に乗って、お料理自慢をはじめたら、「けど、それじゃ、生きてくの、大変だよね~」とひたすら同情してあげると、ブレーキをかけられる。

■謙虚なふりして自慢するタイプには「仲間扱い」が効く

ケース3:謙虚なふりして自慢するタイプ

70キロ超級の友人がダイエットの話をしてるのにかぶせて、「私も先週、大台に乗っちゃってぇ。50キロになっちゃったぁ」なんて、自分を卑下して話を合わせてくるも、結局自慢話、というマウンティングもある。まぁ、これも、無邪気な発言であることも多いのだが、言われたほうは、まじムカつく。

マウンティングのつもりで言ったとするなら、マウンティングに気づかないふりをして仲間扱いするのが、一番がっかりさせてやれる。「そうなの!? 油断しちゃだめよ。大台に乗ったときに、取り戻すのが肝心なんだからね」なんて、先輩としてアドバイスしてあげたりしたら、「あなたと同じにしないで~」と心の中で泣くはず。

ケース4:ひたすら自慢するタイプ

シンプルに自慢されたら、祝福してあげたらいい。そんなの可愛いもんでしょ。

「娘が医学部に入ったの」「うわぁ、頑張ったね」

「彼氏から、豪華客船の上で、サプライズ・プロポーズしてもらった」「ひゃ~、おめでとう~」

単なる自慢話は、受け手がマウンティングだと思うから、マウンティング成立しちゃうのである。

笑顔で祝福しちゃえば、こちらに余裕があるように見える。それが、「言わないけど、こっちは、もっといい思いしてるんだよね~」という余裕に見えて、彼女をひとり勝ちさせないのである。

■いっそ負け札を出すという手も

とはいえ、「おたくは、どうなの?」なんて言われたら、何か言い返してやらなきゃならない気持ちになるよね。

勝ち札を持っていたら(「うちの娘はオックスフォードに留学して、外交官試験の準備をしてるわ」「うちの娘は、モデルになって、今パリコレ出演中」)、気持ちよく叩きつければいいけど、それができない場合は、いっそ、わが家のひどい負け札をだすのも一興。

「うち? 下の子が二浪して、やっと滑り込んだと思ったら、中退しちゃってフリーター。もう、親子して大笑い」なんてね。

イタリア旅行の話をされて、「いいわねぇ。私なんか隅田川を超えたのは3年前」と暗い顔で返したら、相手も話が弾まない。聞きたくない話を終わりにできるという意味で、負け札は有効なのだ。

ちなみに、うちのおよめちゃんには「ジョーカー」があるらしい。子育てに関する余計なお世話は、すべて「姑が、脳科学的にこれでいいって言ってるから~。あ、姑、脳科学者なんです。黒川伊保子」でやっつけられるからだとか(苦笑)。

母と息子が窓から外を見て
写真=iStock.com/Kaan Sezer
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Kaan Sezer

■マウンティング沼は、あなたの心の中にある

それにしても、友人知人に起こった「嬉しい話」に、なぜザワつくのだろう。

友だちの子が東大医学部に合格? よかったじゃん。知り合いに優秀なお医者様が増えて、頼もしい限りである。

イタリア旅行で、本格シチリア料理にナポリのお菓子を堪能したあげくイタリア男に言い寄られたなんて話、面白すぎない?

そう考えると、自慢話を、心がザワついて聞いていられないのは、向こうの問題じゃなくて、こちらの問題なのがわかるはず。「それを手に入れたかったのに、手に入らなかった(あるいは先を越された)」という思いが、あなたをさいなむのではないだろうか。

黒川伊保子『女女問題のトリセツ』(SB新書)
黒川伊保子『女女問題のトリセツ』(SB新書)

皮肉だって、余計なお世話だって、無邪気に感謝したり謝ったりしてやればいいだけなのに、なぜか、心がかたくなに抵抗する。真面目で、向上心があって、常に「理想の私」を描いて努力する人は、この沼に落ちやすい。

結局、マウンティングは、片方が「マウンティングされた」と感じたときに成立するものだ。

こっちがイラッとしても、向こうはマウティングの意図がないなんてことは、山ほどある。たとえ、マウンティングのつもりで仕掛けても、こちらが受けて立たなければ、マウンティング不成立。仕掛けた側は、肩透かしを喰らったり、きまりの悪い思いをするだけだ。

つまりね、マウティングの沼は、あなたの心の中にあるということ。

反射的に、誰かと自分を比べて、勝ち負けをはっきりさせようとする本能。生存にまつわる大切な本能なのだが、対人関係では、これを休ませることも知らなくてはね。こういうのを、大人の教養と言うのである。

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黒川 伊保子(くろかわ・いほこ)
脳科学・AI研究者
1959年、長野県生まれ。人工知能研究者、脳科学コメンテイター、感性アナリスト、随筆家。奈良女子大学理学部物理学科卒業。コンピュータメーカーでAI(人工知能)開発に携わり、脳とことばの研究を始める。1991年に全国の原子力発電所で稼働した、“世界初”と言われた日本語対話型コンピュータを開発。また、AI分析の手法を用いて、世界初の語感分析法である「サブリミナル・インプレッション導出法」を開発し、マーケティングの世界に新境地を開拓した感性分析の第一人者。近著に『共感障害』(新潮社)、『人間のトリセツ~人工知能への手紙』(ちくま新書)、『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』(講談社)など多数。

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(脳科学・AI研究者 黒川 伊保子)

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