寝室にスマホを持ち込んではいけない…自己肯定感をみるみる下げてしまう3つの悪習慣
プレジデントオンライン / 2022年10月3日 18時15分
※本稿は、加藤俊徳『脳の名医が教える すごい自己肯定感』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
■ちょっとした習慣や行動パターンで自己肯定感は上がる
自律性の自己肯定感を高めるにはどうしたらいいのでしょうか? 何か大きな成果や、大きな変革が必要なのでしょうか?
私自身の経験からしても、また、クリニックを訪ねて来てくれる人や、周囲のいろんな人を見て感じることがあります。それは、自己肯定感を持つのに、大きな成果や劇的な変化は必要ないということです。
たとえば生きている幸福感はどこにあるかと聞いたら、答えは100人100様に返ってくるはずです。
ある人は、好きな仕事でお金を稼ぐことができるのが幸福と感じるかもしれません。ある人は、家族と自分が健康に日常を送っていけることで、幸せを感じるかもしれません。
また、別な人は自由に生きることが幸せと感じるかもしれないし、悩みや苦しみを感じない瞬間が幸福と感じるという人もいるでしょう。
たしかに、社会的に成功したり、有名人になったりすることで幸福感を味わう人もいるでしょうが、意外にささやかなことに幸せを感じる人は多いのです。
同じように、ものすごい成績を挙げたり、社会的に賞賛されずとも、ちょっとした日常のことをクリアするだけでも自己肯定感を得ることができるという人は多いのです。
この稿では、自己肯定感を得るための、ちょっとした習慣や行動パターンを挙げてみたいと思います。
■悪習慣① 睡眠不足
睡眠不足は、脳の最大の敵だと考えてください。
ジョンズ・ホプキンス大学で睡眠を研究しているアダム・スピラ氏らは、睡眠時間を「6時間以下」、「6から7時間」、「7時間以上」の3つに分けると、脳の老廃物が一番溜まっているのは「6時間以下」という研究結果を報告しています。
オックスフォード大学の脳機能MRIセンターのクレア・セクストン氏によると、長期的な睡眠不足は脳サイズの縮小と関連性があるそうです。
睡眠の質の低さが脳の縮小を招くのか? 脳が縮小して睡眠不足が起きるのか?
どうやらその両方がスパイラルになって、どんどん脳が萎縮し、睡眠の質が悪くなるそうです。
脳の働きが悪くなれば、自己肯定感を生み出すことは難しくなります。
■睡眠不足が招く負のスパイラル
集中力や注意力が落ち、パフォーマンスが落ちるので仕事で成果を上げることが難しくなります。
また、脳の働きが落ちることで、精神的にも悪影響が出るでしょう。「思考系」や「感情系」の脳番地の働きが弱くなるので、感情をコントロールすることが難しくなります。一言でいうと、怒りっぽくなるのです。
イライラして気持ちに余裕がなくなるので、幸福感が薄らいできます。そして何より人間関係が悪くなってしまいます。さらにイライラが募るという悪循環に陥ってしまう。自己肯定感は当然低くなるでしょう。
睡眠時間はしっかりと取りましょう。1日7時間の睡眠時間がもっとも脳がクリアになることが知られています。それも深夜の零時前に寝ることが大事です。
私も数年前から就寝時間を夜の10時半にし、翌朝6時に起床することで、7時間の睡眠を確保するようにしました。その結果、とても脳がクリアに働くようになったと実感しています。
最近イライラする、集中力が続かないという人は、自分の睡眠時間を振り返ってみて下さい。しっかり睡眠をとることが、自己肯定感を生み出す基本中の基本なのです。
睡眠時間を決められた時間帯でしっかり取るということも含めて、規則正しい生活をすることが自己肯定感の基本になります。
■規則正しい行動→自己肯定感アップのワケ
寝る時間や起きる時間を自分で決め、朝起きたら散歩をするとか、寝る前に日記をつけるという決まりごとを作り、それをこなすということが、自己肯定感につながります。
それは「自分で自分をコントロールしている」という実感があるからです。
自己肯定感と似た言葉に、「自己効力感」というのがあります。
自分がある状況の中で、必要な行動を遂行できるという能力と、その可能性を認識することです。
1日を自分の計画に基づき、自分の意志で主体的に生活しているという実感は、強い自己効力感をもたらします。
それは自分で自分の力を信じることができる、ということですから、当然、自律性の自己肯定感につながっていきます。規則正しい生活が自己肯定感の基本と言えるのです。
■悪習慣② スマホを片手にベッドに横になる
就寝の際、スマホを片手にベッドに横になっていませんか? YouTubeやTikTokなどを見たり、ゲームをしながらでないと寝付けない、という人が増えています。電磁波による悪影響を指摘する人もいます。
![夜、ベッドでスマホを使用する女性](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/e/c/1200wm/img_ec550470143a12ea632d04d80b91b94283875.jpg)
しかし、私から言わせると、スマホを見ながらでないと寝付けないという、依存体質にまず問題があるのです。
依存というと、ギャンブル依存症やアルコール依存症などがあります。いずれにしても、これらに共通しているのが「覚醒レベルの低下」です。
賭けごとなどをしているとき、私たちは一見興奮していて、覚醒している状態に思えます。
しかし脳科学的な観点からすると、ギャンブルに熱中しているときは、むしろ脳の覚醒レベルが落ちていて、正常でクリアな判断力を失っていることが多いのです。
このことは、他の依存症に関しても同様です。
YouTubeで毎日同じ番組を繰り返し見てしまう、同じゲームを延々と繰り返している……。そんな人はいませんか?
そのときの脳の状態は、覚醒レベルが低く、脳全体の働きが低下しています。代わりに脳の中で、刺激に対して興奮する「報酬系」だけが働いて、アドレナリンやドーパミンが出る仕組みになっています。
脳内物質の一つであるアドレナリンやドーパミンは、強い「覚醒作用」と「興奮作用」があり、別名「快感物質」と呼ばれています。刺激の強い脳内物質に脳がさらされ続けると、その刺激をつねに求める依存体質になるだけでなく、ふだんの覚醒レベルが落ちてしまうのです。
何かしらに依存している人の脳は、自分の覚醒レベルの低さを補うべく、より強い刺激を求めます。それを繰り返すのが、依存症ということになります。
就寝前にスマホでダラダラとネットサーフィンやSNS、ゲームをしている人は覚醒レベルが下がった状態です。それゆえ刺激を求めて、さらにスマホにのめり込んでいく、という悪循環に陥っているのです。
そのような依存体質にならないようにするために、就寝前はスマホの電源をオフにして、枕元から2メートル遠ざけておくようにすることを勧めます。
最初はつらいかもしれませんが、読書をしたり、音楽を聞いたり、あるいはアロマテラピーなどでリラックスすることで、スマホなしでも入眠することができるようになります。
■悪習慣③ 「他人からの感謝」を振り返らない
とくに気分がマイナスに向きがちな人は、1日の終わりに「ほめ言葉ノート」や「感謝ノート」をつけることをお勧めします。
ほめ言葉は、あなたの脳を幸福感で満たします。
まずは就寝前にその日、何かに対して感謝したことを思い出して、ノートに書き記しましょう。
「朝、通勤途中で落とした切符を拾ってくれた人がいた。感謝」
「昼に職場で先輩から、来週のプレゼンの貴重なアドバイスをいただいた。感謝」
「今日、友人からゴルフの誘いがあった。感謝」
「夕日がとても美しかった。感謝」
誰かに何かをしてもらったことや、思いがけず感激したことに対して、感謝の言葉を書き留めるのです。
特段、大きな出来事ではなくてもいいのです。
むしろ、日常のちょっとしたありがたい気持ちを言葉にすることに意味があります。
心のちょっとした心象風景として、いずれ流されて記憶から消えてしまいそうなことも、こうして書き留めることで「感謝の蓄積」となります。
後で振り返ると、じつは自分は多くのありがたいことに囲まれていることに気がつくでしょう。
「感謝」を「幸せ」と変えてもよいでしょう。
1日を振り返り、ちょっとした幸せな気持ちを感じたことを書き留めるのです。庭に花が咲いていたとか、天気がよくて気持ちがよかったことも、ちょっとした幸せを感じることがあります。
そういう断片を書き留めてつなげておくのです。
■ネガティブ思考→プラス思考になる方法
また、自分に自信がないという人は、1日の最後に自分をほめる言葉を書き出してみましょう。
「今日はいつもより30分早く起きて活動を始めた。よくやった!」
「今日は仕事で新規の顧客開拓に励んだ。よくやった!」
「今日は、誘惑にうち勝って夜寝る前に間食しなかった。よくやった!」
![加藤俊徳『脳の名医が教える すごい自己肯定感』(クロスメディア・パブリッシング)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/2/6/1200wm/img_26b734da8e3f4c2758531362979aa7b1107882.jpg)
自分で自分をほめるのは、最初は照れ臭かったり、馬鹿らしく感じたりするかもしれません。
ですが、しばらくこれを続けると、自然に自分をほめる癖がつきます。マイナス思考だった人は、気がつくとプラス思考に変わっている自分に驚くかもしれません。
いずれにしても、これも後で振り返ると、結構自分はよくやっているなと思えるようになります。
自分で自分をほめるのは、行き過ぎると自信過剰になりますが、自分に対してマイナスの評価をしがちな人は、あえてこのやり方でプラス評価の癖をつける必要があると思います。
ささやかな感謝と幸せの言葉、自分をほめる言葉が、あなた自身を変えていくのです。
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脳内科医
医学博士。加藤プラチナクリニック院長、「脳の学校」代表、昭和大学客員教授。『1万人の脳を見た名医が教えるすごい左利き 「選ばれた才能」を120%生かす方法』など著書多数。
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(脳内科医 加藤 俊徳)
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