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「大企業CEOの高給は、信用の複利効果の結果である」シリコンバレーの最重要思想家が説く"富の稼ぎ方"

プレジデントオンライン / 2022年10月6日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/DNY59

経済的自由を手に入れるには、どうすればいいのか。「シリコンバレーの最重要思想家」と呼ばれる起業家のナヴァル・ラヴィカント氏は「富、人間関係、知識。すべて複利で考えるべきだ。たとえば上場企業のCEO職が高給を得ているのは、信用の複利効果の結果だといえる」という――。

※本稿は、エリック・ジョーゲンソン著、櫻井祐子訳『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

■人間関係やお金は、何十年も続けてこそ大きな見返りが得られる

Q「富であれ人間関係であれ知識であれ、人生の見返りは複利で殖える」とおっしゃいましたね。複利の利益を得ているかどうかは、どうやってわかるんですか?

複利はとても強力な概念だ。複利が働くのは資金だけじゃない。資本の複利効果はほんの入り口だ。

仕事上の関係の複利効果はとても重要だね。社会の上に立つ人たちを考えてみよう。たとえば、なぜ上場企業のCEO職や、数十億ドルの資産運用を任される人たちがいるんだろう?

それは、彼らが信用されているからだ。なぜ信用されているかといえば、これまで築いてきた人間関係や業績が複利化されているからだ。事業を続け、高潔な人となりを(目に見えるかたちで、かつ説明責任を果たしながら)示してきたからだ。

複利効果は評判にも働く。もし君に輝かしい評判があって、それを10年、20年と積み上げていけば、みんなが君に目を留めるだろう。才能豊かだが評判を複利化していない人に比べて、君は文字通り千倍、万倍の価値の評判を得るだろう。

仕事相手にもこれが当てはまる。君が誰かと5年、10年と仕事をしてきて、今も一緒に働くのが好きなら、当然君はその人を信頼していて、多少の欠点は気にしないだろう。

ふだんのビジネスの交渉は、お互いを信頼しているというだけでうまくいく――うまくいくという確信があるからだ。

たとえば私が仕事をするのが好きなシリコンバレーのエンジェル投資家に、イラッド・ギルという人がいてね。

私がイラッドと仕事をしたいのは、ディールをするときイラッドがいつも私にプラスアルファをつけようと手を尽くしてくれるのを知っているからだ。追加の配分があれば、私に有利に計らってくれる。支払うべき費用があれば、さっさと自分で負担して、それを私に知らせもしない。

こんなにも尽くしてくれるから、手持ちの案件は全部彼に任せている――どんなことにも絡んでもらっている。そして私も精一杯恩返しをする。こういう関係の複利化はとても貴重だ[※1]

大切なのは意図ではない、行動だ。だから倫理的であることは難しい。

君が「これは」ということを見つけ、「これは」という人を見つけたら、思いっきりそこに投資しよう。人間関係やお金に関しては、何十年も続けてこそ大きな見返りが得られるんだ。

だから、複利は本当に大切だ[※1]

■努力のうち「1%」が実を結ぶ

努力の99%は無駄になる。

といっても、完全に無駄になってしまうことなんて1つもないよ。すべてが学習の機会になるのだから。どんなことからも学習できる。

でも、たとえば君の学生生活を振り返ってみると、君の書いた学期末レポートや、君のやった演習、君の学んだ物事の99%が、あまり役に立っていないだろう。君は地理や歴史を専攻したが、まったく活かしていないかもしれない。

外国語を学んだが、もう話すことがないのかもしれない。数学の一分野を学んだが、忘れてしまったのかもしれない。

そうは言っても、これらは学習経験だ。君が何かを学んだのは間違いない。勤勉の大切さを学んだ。学んだことが深層心理に根づいて、君が今やっていることの一部になっているのかもしれない。

でも目的志向の人生という点から見ると、君の努力のうち実を結ぶのは1%ほどだということだ。

もう一例が、君が夫や妻と出会う前につきあった人たち全員だ。これは、目的という意味では無駄になった時間だ。

指数関数的な変化があり得るという意味では無駄になっていないし、学習という意味でも無駄になっていないが、目的という意味では間違いなく無駄になった。

私がこんなことを言うのは、人生の99%が無駄で有益なのは1%だけだなんて、軽々しく言うためじゃない。私がこう言うのは、君にとにかく慎重になってほしいからだ。

そして(人間関係、仕事、学習など)何に取り組むのであれ、その究極の目的は、複利を得るために全力を傾ける対象を見つけることだとわかってほしいからだ。

君が誰かとつきあっていて、結婚に至るような関係じゃないとわかったら、その瞬間に別れて前へ進むべきなんだろう。

君が何かを学んでいるとき、たとえば地理や歴史の授業を受けていて、その情報をこの先使わないとわかったら、授業に出るのはやめたほうがいい。時間の無駄だ。脳力の無駄だ。

無駄になる99%をやるな、とは言わない。だって残りの1%を見極めるのはとてつもなく難しいんだから。

私が言いたいのはこういうことだ。君のやっていることの中で無駄にならない1%が見つかったら――君が残りの人生を傾けられる対象、君にとって意味のある対象が見つかったら――ほかのことは忘れて、それに全身全霊を傾けよう[※1]

■自分の「名」のもとに失敗するリスクを張れるか

説明責任を引き受け、自分の名のもとに事業リスクを取れ。社会はその見返りとして、君に責任、エクイティ、レバレッジを与えてくれる。

リッチになるには、レバレッジが絶対に欠かせない。

レバレッジの形態には、労働、資本、そしてコードやメディアがある。でもそのほとんどは、労働と資本のように、誰かから提供を受ける必要がある。労働なら、誰かに従ってもらう必要がある。資本なら、誰かに資金や運用資産、機械の提供を受ける必要がある。

だからそれらを得るために、君はできる限り君の名前で信用を築かなくてはならないんだ。それにはリスクが伴う。説明責任は諸刃の剣、というやつだ。成功すれば君の功績になるが、失敗すれば君が矢面に立たされる[※2]

明確な説明責任がカギだ。説明責任を負わなければ、やる気を持てない。説明責任を負わなければ、信用は築けない。でも説明責任にはリスクが伴う。失敗のリスクが伴う。恥を掻くリスクが伴う。君の名前で失敗するリスクが伴う。

ありがたいことに、現代社会には債務者監獄というものはなくなった。他人のカネを失っても投獄や処刑に遭うことはなくなったが、それでも自分の名のもとに公に失敗したくないという社会的本能が働く。

でも、自分の名のもとに失敗するリスクを張れる人が、莫大(ばくだい)な力を得るんだ。

個人的な話をしよう。2013年か2014年まで、私は世間的にはもっぱら「スタートアップや投資界隈の人」と見られていた。

超高層ビル
写真=iStock.com/PPAMPicture
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PPAMPicture

私が哲学や精神性など幅広い物事について語り始めたのは、2014年か2015年頃になってからのことだ。それを自分の名のもとに語ったから、多少不安はあった。業界でも心配して、「何してるんだ? キャリアが終わるぞ。ばかなことをするな」なんてメッセージをこっそりくれる人もいた。

それでも、とにかくやってみた。リスクを取ったんだ。仮想通貨への投資も同じだ。早い時期にリスクを取った。でも自分の名前を出せば、リスクを負う反面、リターンが得られる。恩恵が得られる[※2]

かつて船長は船と運命をともにした。船が沈むとき、最後に船から下りるのは船長だった。説明責任には重大なリスクが伴う。

でも私がここで言っているリスクは、ビジネス環境で取るリスクのことだ。

ここでのリスクは、君が自己資金を回収する順番がおそらく最後になるということだ。君が自分の時間に対する報酬を得る順番が最後になるということだ。君が会社に費やした時間と、費やした資金――それを失うリスクがあるということだ[※2]

言っておくが、現代社会では下方リスクは限られている。優れた経済システムでは、債務でさえ自己破産で帳消しになる。私が一番くわしいのはシリコンバレーの事情だが、それでも一般的に、正直で誠実に努力する人は失敗しても許されるものだ。

失敗に関してはそう恐れることはないのだから、説明責任をもっと果敢に引き受けよう[※2]

■事業を小さくてもいいから「所有」する

事業の一部を所有しない限り、経済的自由への道はない。

Qなぜリッチになるためには、事業の一部を所有することが欠かせないのですか?

所有と賃金労働の違いだね。

時間を切り売りしているようでは、たとえ弁護士や医者であっても、ある程度は稼げるが経済的自由が得られるほどには稼げない。休暇中も君の代わりに事業がたたき出す、不労所得は得られない[※1]

おそらくこれが、最重要ポイントの1つだね。「勤勉に働けば富を得られる、十分な金を稼げる」という誤解があるようだが、たぶんそうはいかないよ。理由はいろいろある。

所有権を持たないと、インプットとアウトプットが密接に連動するんだ。つまり君が投入した時間や労力に比例した報酬しか得られない。給料制で働く人のほとんどは、時間を売ってその対価として報酬を得ている。時給が高い弁護士や医者でもそうだ。

所有権を持たなければ、寝ている間は稼げない。引退後は稼げない。休暇中は稼げない。働いた時間に比例した、線形的な稼ぎしか得られないんだ。

ガラスの砂時計
写真=iStock.com/Zffoto
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Zffoto

医者でもリッチに(それもかなりリッチに)なる人がいるが、それは開業するからだ。医院を開業する。医院がブランドを築き、ブランドが人を集める。または医療機器や手順、プロセスを開発して、知的所有権を取得する。

君が誰かのために働くときは、その誰かがリスクを背負い、説明責任を引き受け、知的所有権とブランドを所有している。彼らは君に十分な報酬を払おうとしない。

君を働かせるために必要な最低限の報酬しかくれない。最低限といっても高額かもしれないが、それでも君は引退後も稼げるような、真の富は得られない[※2]

企業のエクイティ[持分、株主資本]を所有するというのは要するに、アップサイド[潜在的な成長余地]を君のものにするということだ。負債の所有者(債権者)は、利回りを保証され、ダウンサイド[潜在的な損失]を負担する。

君が所有したいのは、エクイティだ。エクイティを所有しない限り、君がリッチになれる見込みはほぼない。

だから事業のエクイティを所有できるようになろう。株式を購入して少額株主としてエクイティを所有してもいい。会社を立ち上げて、オーナーとして所有するのもいい。

所有権が本当に大事なんだ[※1]

財をなす人はみんないつかの時点で、必ずプロダクトや事業や何らかの知的所有権の一部を所有している。君がテック企業の社員なら、ストックオプションを通じて所有することもできるね。それも手始めとしてはいい。

でも一般に、本当の富は自分で会社を始めるか、投資を行うことでこそ生み出される。投資会社なら、投資先企業の株式を購入する。これらが富への道だ。時間を切り売りしていては富は決してやってこない[※2]

■「レバレッジ」を効かせてインパクトを最大化する

無限のレバレッジが手に入るこの時代、純粋な知的好奇心がかつてないほどの莫大なリターンを生むようになっている[※3]

だから今儲かっているものを追いかけるよりも、君の純粋な知的好奇心を追求したほうが、キャリアの基盤としてはずっといい[※3]

不思議なことだが、君だけ、または君を含む少数の人だけしか知らない知識は、君の情熱や趣味から生まれるんだ。知的好奇心が高じた趣味を持つ人は、そういう情熱を育むことが多い[※4]

今は楽しくてもいつか飽きてしまうものは、気晴らしでしかない。探しつづけよ。

私は何かをやるときは、純粋にそれ自体を目的としてやりたい。これは芸術の定義の一つだね。運動、恋愛、友情など何であっても、それ自体を目的として行うことにこそ、人生の意味があると私は思っている。

不思議に思えるけれど、ただ楽しいから何かをするときにこそ、最高の仕事ができる。たとえただの金儲けだったとしても、楽しいからやるときに最高の成果を上げられる。

私が個人として人生最大の富を生み出した年は、最も働かず、未来のことを最も気にかけなかった年だった。ただ楽しみのためだけにいろんなことをやっていたよ。「もう引退したよ、働くのはやめた」なんて触れ回っていた。

すると目の前のプロジェクトの中で、自分にとって一番価値のあるものに取り組む時間ができたんだ。それ自体を目的としてやることで、最高の結果が出せた[※5]

何かを求めなければ求めないほど、君はそのことを考えなくなり、執着が薄れて自然な方法でやるようになる。君自身のためにそれをやる。君が得意な方法でやりつづける。そのうちに、君の仕事の質が高まったことが誰から見てもわかるようになる[※4]

だから何であれ今流行りのものを追いかけるより、君の知的好奇心を追求しよう。君が好奇心のおもむくままたどり着いた場所が、社会が向かおうとしている場所と一致したそのとき、君は莫大な見返りを手にできるはずだ[※6]

君がこの方法で身につけたスキルは、どうやって訓練するかを社会がまだ知らない可能性が高い。訓練する方法を社会が知っていれば、社会は誰かに君の代わりをさせることができる。

代わりがいる限り、君は大した報酬を得られない。どうやって身につけるかまだ知られていないスキルを、世の中が必要とするそのときに活用する方法を考えよう[※4]

人を訓練してやらせることができるなら、やがてコンピュータを訓練してやらせるようになる。

■「限界費用ゼロで複製できるプロダクト」の強さ

社会が求めているがどうやって手に入れるかがわかっていないものを君が提供すれば、社会は君に見返りをくれる。学校に行けば金儲けの方法を学べると思っている人が多いが、実際には「ビジネス」という名のスキルなんて存在しない[※4]

だから、社会が求めているがどうやって手に入れるかがわかっていないプロダクトやサービスを考えよう。そしてそれを提供する人に、それも大規模に提供する人になろう。

これこそが、金儲けの最大の難関だ。

さて問題は、何であれ「それ」を提供する方法をどうやって磨くかだ。「それ」は世代によって変わるが、テクノロジー界にあることが多い。

世界に何かが起こり、何かのスキルセットが必要になり、それを提供できるのが世界中で君だけしかいない――そんな瞬間を君は待っている。

その瞬間が訪れるまでの間、ツイッターやYouTubeで、または仕事を無償で提供することによって、君というブランドを築いておこう。君の名前を売り、その過程でリスクを取るんだ。

そしてとうとうその瞬間がやって来たら、レバレッジを――最大限のレバレッジを――効かせながら、君にしかないスキルを思う存分発揮しよう[※4]

レバレッジには大まかに分けて次の3種類がある。

第一が、「労働」だ――君のために働くヒトだ。これは最古のレバレッジだが、現代社会ではありがたみが薄れている[※4]

私に言わせれば、労働は利用可能な全形態のレバレッジの中で最悪のものだ。人を動かすことはとんでもなく難しい。とてつもない統率力が必要だ。一つ間違えば反乱を起こされ、餌食にされ、暴徒に引き裂かれてしまう[※2]

「カネ」もレバレッジの一形態だね。君が何かの決定を下すたび、その効果をカネで増幅させるということだ[※4]

資本は扱いに注意を要する、より現代的なレバレッジだ。20世紀に莫大な富を築くために利用されたのが、このレバレッジだった。20世紀にはこの形態のレバレッジが主流だった。

大富豪を見ればそれがわかる。銀行家や、腐敗した国でカネを印刷する政治家といった、大金を動かす人たちだ。テック企業を除く巨大企業や多くの老舗企業のトップを見れば、CEOの仕事は実質的に資金管理だとわかる。

お金はとても簡単にスケールできる。資金運用のスキルがあれば、動かすヒトをどんどん増やすより、動かすカネをどんどん増やすほうがずっと簡単にできる[※2]

レバレッジの最後の形態は、まだ生まれて間もない、そして最も民主的なもの。それは、「限界費用ゼロで複製できるプロダクト」、つまり追加の複製コストがゼロに近いプロダクトだ。本、メディア、映画、プログラミングコードがこれにあたる。

コードは非許可型の(パーミッションレス)レバレッジの中でおそらく最強だ。必要なのはコンピュータだけ――誰の許可も必要としない[※4]

富める者と貧しい者、ホワイトカラーとブルーカラーの区別はもう古い。今や、レバレッジを持つ者と持たざる者の区別だ。

■一人で発揮できる「力」が高まっている

これらの中で一番興味をそそる、一番重要な形態のレバレッジが、「限界費用ゼロで複製できるプロダクト」という概念だ。これが新形態のレバレッジだ。

発明されてまだ数百年しか経っていない。活版印刷に始まり、放送メディアによって加速し、現代ではインターネットとコーディング[プログラミングコードを書くこと]によって爆発的に拡大している。今や他人を介さずに、他人のお金も使わずに、君の取り組みを何倍にでも拡大できるんだ。

この本もレバレッジの一種だね。大昔なら講堂に座って一人ひとりに語りかけなくてはならなかった。数百人に言葉を届けられたかもしれないが、せいぜいそれが限界だった[※2]

新たな富を生み出し、新たな億万長者を生み出しているのは、すべてこの最新形態のレバレッジだ。ひと昔前は、資本が巨万の富を生み出した。莫大な富を築いたのは、世界のウォーレン・バフェットたちだった。

でも新世代の富はすべて、コードかメディアを通じて生み出されている。ジョー・ローガンはポッドキャストで年に5000万ドルや1億ドルを叩き出している。

それにユーチューバーのピューディーパイがいる。彼がいくら稼いでいるかは知らないが、ニュースメディアをしのぐ影響力の持ち主なのはたしかだ。

ジェフ・ベゾス、マーク・ザッカーバーグ、ラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリン、ビル・ゲイツ、スティーヴ・ジョブズはいうまでもない。彼らの富は、すべてコードというレバレッジが生み出した[※2]

これら新形態のレバレッジの一番おもしろい点は、非許可型(パーミッションレス)という点だろう。これを覚えておいてほしい。それを使って成功するのに、誰の許可もいらないということだ。

労働力のレバレッジは、他人に従ってもらう必要がある。資本のレバレッジは、他人から投資やプロダクト生産のための資金の提供を受ける必要がある。

でもコーディング、本の執筆、ポッドキャストの収録、ツイート、YouTube動画の作成――こういったことは非許可型だ。誰の許可も必要なく、だからとても平等主義的なんだ。レバレッジの強力な平等化装置だ[※2]

優れたソフトウェア開発者は、今やロボット団を従えているようなものだね。コードを書いてしまえば、あとは夜寝ている間もロボット団がせっせと働いてくれる[※2]

■時間の「切り売り」を断つ――インプットとアウトプットを分断する

時間を切り売りしているようではリッチになれない。

人生ではどんなときでもできる限り、賃金労働ではなく独立を選ぼう。独立して、インプットではなくアウトプットに説明責任を持つ――これをめざそう[※1]

人間はレバレッジのない社会で進化した。薪割りや水くみをしていたときは、8時間分のインプットが8時間分のアウトプットにほぼ相当した。今やわれわれはレバレッジを発明した――資本、協働、テクノロジー、生産力、こういった手段だ。

現代はレバレッジの時代だ。君は労働者として、それほど時間と肉体的な労力をかけずに莫大なインパクトをおよぼせるように、最大限のレバレッジを効かせたい。

レバレッジを持つ労働者は、持たざる労働者の千倍、万倍の成果を上げる。そしてレバレッジを持つ労働者にとって、仕事に費やす時間や労力よりはるかに重要なのが、「判断」だ。

生産性10倍のプログラマはもう古い。1000倍のプログラマが実在する――ただよく理解されていないだけだ。@ID_AA_Carmackや@notch、サトシ・ナカモトなどを見ればわかる。

優秀なソフトウェアエンジニアは、正しいコードをさっと書いて正しいアプリをさっとつくるだけで、文字通り5億ドルの価値を会社に提供できる。

10人のエンジニアがその10倍の労力を費やしたとしても、間違ったモデルや間違ったプロダクトを選び、間違った方法でコードを書き、間違ったクチコミを利用すれば、その時間はすべて無駄になってしまう。

とくにレバレッジを持つ労働者は、ほんのわずかなインプットで莫大なアウトプットを生み出せるんだ。

君が人生に望むこと、それは自分の時間を自分の手に取り戻すことだ。

君は自分の時間をコントロールでき、アウトプットで評価されるような、レバレッジの効く仕事に就きたい。

君が事業を前進させるようなすばらしい仕事をすれば、彼らは君に見返りを与える必要がある。とくにその仕事が、君のこだわりやスキル、生まれつきの才能を活かしたものなら、彼らはそれをやる方法がわからないから、君にその仕事をさせるために見返りを与えつづけなくてはならない。

君に特殊知識と説明責任、レバレッジがあれば、君の価値にふさわしい報酬が手に入る。そして君の価値に見合う報酬が手に入れば、君は自分の時間を取り戻せる。

時間を超効率的に使える。形だけの会議も、仕事がデキるアピールも、働いているふりも必要ない。実際の仕事のことだけを考えていればいい。

仕事だけに集中すれば、生産性も効率性もグッと高まる。気分が乗ったときや気力が充実しているときだけ働いて、そうでないときに無理して働かなくていい。自分の時間を取り戻せるんだ。

週40時間労働は産業革命時代の遺物だ。知識労働者はアスリートのように働く――訓練と全力疾走、それから休息と再分析だ。

エリック・ジョーゲンソン著、櫻井祐子訳『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』(サンマーク出版)
エリック・ジョーゲンソン著、櫻井祐子訳『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』(サンマーク出版)

たとえば営業、とくに最高級品(ハイエンド)の営業を考えてみよう。もし君が普通の住宅を販売する不動産業者なら、それは必ずしも望ましい仕事とはいえないね。競争が激しすぎる。

でも、もし君が自分を売り込むノウハウと住宅を売るノウハウを持っている一流の不動産業者なら、普通の業者が10万ドルのアパートやマンションを売ろうと四苦八苦する時間の10分の1で、500万ドルの豪邸を売ることだってできる。不動産業は、インプットとアウトプットが分断された仕事の一例なんだ。

プロダクトをつくる仕事と売る仕事も、この説明に当てはまる。実際、それ以外にやるべき仕事なんてないだろう?

必ずしも望ましくないのは、顧客サービスのような支援業務だ。顧客サービスは、残念ながらインプットとアウトプットがかなり連動していて、働いた時間で評価されるからね[※1]

インプットとアウトプットを分断するのが、ツールとレバレッジだ。また、創造的要素が多い仕事ほど、インプットとアウトプットが分断していることが多い。

インプットとアウトプットが密接に連動する仕事をしているようでは、富を生み出し、その過程で自分の富を獲得するのはとても難しい[※2]

(出典)
※1 “Naval Ravikant was live.” Periscope, April 29, 2018.
※2 Ravicant, Naval. “How to Get Rich: Every Episode.” Naval, June 3, 2009.
※3 Ravikant, Naval. Twitter, Twitter.com/Naval.
※4 Ravikant, Naval. “Naval Ravikant Was Live.” Periscope, January 20, 2018.
※5 @Naval. “Naval Ravikant was live.” Periscope, February 2019.
※6 Ferriss, Tim. Tribe of Mentors: Short Life Advice from the Best in the World. New York: Houghton Mifflin Harcourt, 2017.

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エリック・ジョーゲンソン プロダクト・ストラテジスト/作家
2011年に住宅所有者と信頼できるサービス提供業者を結びつける会社、ザーリー(Zaarly)の創業チームに参画する。ビジネスブログ「Evergreen」を運営し、100万人を超える読者に、ためになる情報や楽しい情報を提供している。エリックは完璧なサンドイッチをつくること――そして食べること――をめざしている。ミズーリ州カンザスシティに世界一すばらしい女性ジニーンと暮らしている。ツイッターで@Ericjorgensonをフォローするか、ブログで彼の新しいプロジェクトをチェックしてほしい。

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(プロダクト・ストラテジスト/作家 エリック・ジョーゲンソン)

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