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メディアに追いかけ回され、「セレブ妊活」と揶揄される…小室眞子さんがこれから一発逆転する唯一の方法

プレジデントオンライン / 2022年10月12日 13時15分

『プリンセス・ダイアナ』は全国公開中。『スペンサー ダイアナの決意』は10月14日から全国ロードショー

■パパラッチの標的となったダイアナ妃と眞子さん

ダイアナ元皇太子妃がパリで亡くなったのは、1997年8月31日。それから25年という節目に合わせ、ダイアナ妃にまつわる2本の映画がつくられた。日本でも9月30日に公開されたドキュメンタリー映画『プリンセス・ダイアナ』と、10月14日に公開される『スペンサー ダイアナの決意』だ。

一足早く見ながら、ニューヨークで暮らす小室眞子さんのことを思った。ダイアナ妃と眞子さん、共通点が多いのだ。

一番わかりやすい共通点は、「王室(皇室)を出た後も、パパラッチに狙われている」だ。1981年、19歳でチャールズ皇太子(当時、現国王)と婚約以来、ダイアナ妃はパパラッチに追いかけられる人生だった。その過剰さに比べればましかもしれないが、眞子さんと夫の圭さんも十分に追われている。

■有名人と一般大衆をつなぐメディアの問題

アーカイブ映像だけでつくられた『プリンセス・ダイアナ』の大きなテーマが、「パパラッチとダイアナ妃」だ。パパラッチのこんな発言がある。「俺たちは撮るだけ。買うかどうかは編集者。買うのは読者のため。こうなる原因は読者だ」。

パパラッチの向こうに国民がいる。その視点が貫かれている。だから街頭での録画や視聴者が参加するテレビ番組などを多用し、国民の声を伝える。夫妻の不仲が明らかになり、国民も支持が二つに分かれた。カミラ夫人(現王妃)の存在をめぐり、非難するダイアナ支持派と防戦から攻撃に転ずるチャールズ支持派。どちらもメディア批判を口にする。映画のパンフレットにはこうある。

ダイアナのドキュメンタリー映画を<なぜ、今>、製作する必要があったのか? それは、彼女の死が私たちに突きつけた有名人と一般大衆の関係、そしてその両者をつなぐメディアの問題が、SNSの発展によって、ますますエキセントリックになったからだ

これこそ眞子さんの問題だ。2021年10月1日、結婚の日取りと共に宮内庁が発表したのが、眞子さんの複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)。「誹謗(ひぼう)中傷と感じられるできごとを、長期にわたり反復的に体験した結果」だという。

■「汚スーツ」「セレブ妊活」ににじむ悪意

日本にいたらこの状況は変えられない。眞子さんはそう悟ったのだろう。結婚し、皇籍離脱した10月26日、記者会見で「圭さんの留学については、圭さんが将来計画していた留学を前倒しして、海外に拠点を作ってほしいと私がお願いしました」と語った。

だが、ニューヨークでも2人は放ってはおかれない。圭さんが3度目の司法試験を受けた2022年7月、英国のデイリー・メール紙が有名な食料品店を出て、手を繋いで歩く2人の写真を配信した。日本の週刊誌がその写真を使い、2人のことを報じる。

ニューヨークの街中を歩く小室眞子さん・小室圭さん夫妻
写真=ABACA PRESS/時事通信フォト
ニューヨークの街中を歩く小室眞子さん・小室圭さん夫妻 - 写真=ABACA PRESS/時事通信フォト

記事の見出しから近況をまとめると、圭さんは「汚スーツ」で出勤、眞子さんは「皇族ビジネス」の野望を持ちつつ「セレブ妊活」中――となる。悪意はダイアナ妃に向けられたものより上では? そう思うほどだ。

■「自分らしくいたい」と望んだ2人の覚悟

眞子さんとダイアナ妃のもう一つの共通点は、「自分らしくいたい」という思いの強さではないだろうか。

ダイアナ妃には有名なインタビューがあって、もちろん『プリンセス・ダイアナ』にも登場する。1995年、イギリスの公共放送BBCに出演、「この結婚には3人が関わり、少し窮屈でした」と語った。噂になった男性とは「友情以上の関係?」と聞かれ、「はい、そうです」と答えた。不倫行為をしたのかという質問には、「彼を愛していましたから」と答えた。

日本で言うならNHKで、双方の不倫を語るとは。離婚はこの翌年だから、王室を離れることが念頭にあったのかもしれない。逆に大胆に自分をさらけ出すことで、離婚への踏ん切りをつけたのか。いずれにしても「ここでない、自分らしい道」への思いが強くなければできない行動に違いない。

だから眞子さんに重なる。「納采の儀」も「一時金」も辞退して、結婚を選んだ。先述した会見で眞子さんは、「結婚は、自分たちの心を大切に守りながら生きていくために必要な選択でした」と語った。心を守って生きていくとは、自分らしく生きていくということだろう。

『スペンサー ダイアナの決意』はドキュメンタリーではなく、「実際の悲劇に基づく寓話(ぐうわ)」をうたっている。描かれたのは、ダイアナ妃が王室を出ることを決めるクリスマスの3日間。タイトルの「スペンサー」は彼女の旧姓で、「本来の自分」の象徴でもあるのだろう。

実際にダイアナ妃が告白した摂食障害や自傷行為をリアルに見せ、皇太子妃であることの苦しみを描く。苦しみの本質が描かれたのが、エリザベス女王との会話のシーンだった。

■「天皇の初孫」という身分から離れた眞子さん

ダイアナ妃が女王に声をかけ、女王がこう返す。「随分、撮られてるわね。でも大事なのは紙幣に使われる肖像だけ。あなたも使われる頃には理解できるわ」。それだけだ。そして、ここでも「撮られること」が話題だった。

エリザベス女王は「王の長女」だ。いつか紙幣になるのが、人生の前提。だからこの言葉の延長線上に「王室にいるのだから、夫の浮気くらい目をつぶれ」があることは容易に想像がつく。だが、ダイアナ妃は外から来た人、目はつぶれない。それがよくわかるシーンだった。

話を『プリンセス・ダイアナ』に戻すなら、アンドリュー王子と離婚するセーラ妃のインタビューも登場した。「なぜ豪華な暮らしを手放すのか。言うことを聞いて、適当に合わせておけばいいのに」と聞かれ、こう答えていた。「そういう生き方もあると思う。でもダイアナや私は、それが我慢できない」

「天皇の初孫」として生まれた眞子さんは、ダイアナ妃より女王に近い立場だ。だが、日本の皇室は「男系男子による継承」と定められている。女性は生まれた時から非主流で、「スペンサー」に例えるなら絶対に紙幣にならない存在だ。

とても熱心に公務をしていた眞子さんが、皇室にどんな違和感を覚えていたのかはわからない。だが、結婚を強く希望した。それはつまり、身分を離れることを強く希望したことになる。なぜなら、女性皇族について皇室典範が定めているのは「天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」ことだけなのだから。

■「良妻賢母になりたい」と語るダイアナ妃の表情

ダイアナ妃の映画が死後25年たっても成立するのは、その存在感が衰えていないからだ。それはなぜか、2本を見ながら考えた。

ダイアナ妃を取り上げた雑誌
©Michael Dwyer / Alamy Stock Photo
ダイアナ妃を取り上げた雑誌 - ©Michael Dwyer / Alamy Stock Photo

結婚当初から夫の心には、ずっと別の人がいる。そんなひどく理不尽な状況への同情、共感が根底にはあるように思う。そして、離婚からわずか1年での突然の死。あまりにも劇的な人生が、忘却を許さないようにも感じる。だがそれだけではない。生き直したから。そんなふうに思った。

『プリンセス・ダイアナ』に映るダイアナ妃の顔は、どんどん変わっていった。結婚前に「チャールズが隣にいれば安心です」と言っていた顔。ハリー王子の出産当日に、チャールズがポロに出かける様子が映り、そこにカミラ夫人もいる。その後に、公式インタビューに応じるダイアナ妃の顔は大人のそれで、少しかげりが感じられる。「あなたの役割は何だと思いますか」と尋ねられ、「夫を支えること」と答えている。「何より、良妻賢母でありたい」と。

■「ダイアナ妃」という影響力を最大限に発揮した

公務でイギリス初のエイズ病棟に行った様子も映る。「赤いメガネが素敵」と患者に話しかける。明るく楽しげな顔。それが完全に自信に満ち溢れた顔になるのは、離婚後だ。路上で眠るホームレスと会話し、病院で子どもたちと触れ合い、南アフリカのネルソン・マンデラ大統領と並んで質問を受ける。有名なアンゴラでの地雷除去映像が映る。困難な地にあって、ダイアナ妃は美しかった。

アンゴラの地雷敷設区域で防弾チョッキを着るダイアナ妃
©Kent Gavin
アンゴラの地雷敷設区域で防弾チョッキを着るダイアナ妃 - ©Kent Gavin

自分らしく生きれば、人は輝く。それを見せてくれたのがダイアナ妃だから、多くの人が今も心魅かれる。そう感じた。王室という世界で苦しみ、そこを出てからも「ダイアナ妃」の称号を得て影響力を駆使した。自分のためでなく、恵まれない人のためという枠組みをきちんとつくった上で、力を発揮した。

ここがたぶん、メーガン妃と違うところだと思う。王室への違和感をメーガン妃が唱えても、共感が起こりにくい。人種差別の問題など今日的な指摘にも、支持が広がらない。感じた「苦しみ」より先に「自分のため」が見えてしまうからで、そこがダイアナ妃と違うのだ。

■眞子さんの自分らしさはどこにあるのか

最後に眞子さんの話だ。実は眞子さん、結婚後の会見で在日外国報道協会から「オプラ・ウィンフリーさんのような方からのテレビインタビューに応じるお気持ちはあるでしょうか」という質問を受けている。ウィンフリーさんは、メーガン妃が「王室で受けた差別」について語った相手だ。眞子さんの回答は「現在のところ、インタビューに応じることは考えていません。新しい環境で心穏やかに生活を送りたいと考えています」だった。

それから1年。新しい環境は、まだ「心穏やかな生活」とは言い難いだろう。パパラッチに追いかけられ、圭さんの望みも叶えられていない。それを承知の上で、「心穏やかな生活」のその先が知りたいと思ってしまう。眞子さんの自分らしさはどこにあるのだろう。それが国民に伝われば、「夫の司法試験」ばかりが注目されることもなくなるのではないか。

10月23日、眞子さんは31歳になる。31歳は、ダイアナ妃が夫と別居した年だ。そこからどんどん変わっていったダイアナ妃。眞子さんは、これからだ。まだまだ変わっていける。

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矢部 万紀子(やべ・まきこ)
コラムニスト
1961年生まれ。83年、朝日新聞社に入社。宇都宮支局、学芸部を経て、週刊誌「アエラ」の創刊メンバーに。その後、経済部、「週刊朝日」などで記者をし、「週刊朝日」副編集長、「アエラ」編集長代理、書籍編集部長などをつとめる。「週刊朝日」時代に担当したコラムが松本人志著『遺書』『松本』となり、ミリオンセラーになる。2011年4月、いきいき株式会社(現「株式会社ハルメク」)に入社、同年6月から2017年7月まで、50代からの女性のための月刊生活情報誌「いきいき」(現「ハルメク」)編集長。著書に『笑顔の雅子さま 生きづらさを超えて』『美智子さまという奇跡』『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』がある。

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(コラムニスト 矢部 万紀子)

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