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私自身は縁が切れたが…鈴木宗男「旧統一教会との関係を指摘されて狼狽する政治家の共通点」

プレジデントオンライン / 2022年10月9日 11時15分

撮影=原貴彦

旧統一教会と政治家の関係が問題視されている。参議院議員の鈴木宗男氏は「かつては関係を持っていたが、旧統一教会のほうから離れていった。『支援したい』と言われれば、それを断るのは難しい。ただし、選挙に強い政治家であれば、相手に利用されることはないはずだ」という――。

■議員秘書時代は関係団体と懇意にしていた

9月27日は、「安倍総理晴れ」と言いたくなるような秋晴れでした。安倍晋三元総理の国葬については、いろいろな意見や批判もありました。しかし日本の総理として最長の在任期間8年8カ月の功績を、素直に称えるべきだと私は思います。

粛々と国葬を執り行ったことには、テロや暴力に毅然として立ち向かう日本の姿勢を、内外に示す意味もあったと考えます。

私が秘書としてお仕えした中川一郎先生は、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の関連団体である国際勝共連合と懇意にしていました。中川先生は、日本の社会を共産主義にしてはいけないという強い決意と覚悟をもっていましたから、反共という目的が一致したのです。中川先生と志を同じくする石原慎太郎さんや渡辺美智雄さんと一緒に、昭和48年に結成した政策集団「青嵐会」は、右翼だのタカ派集団だのといわれたものです。青嵐会のメンバーも、反共という価値観を勝共連合と共有していたんです。

ですから中川先生の事務所には、勝共連合や統一教会系の新聞・世界日報の人たちがよく出入りしていました。いつも親切に対応したのは私です。ところが中川一郎先生亡きあと、それらの人は息子の昭一さんのほうへなびいていきました。詳しくは言いませんが、私を人とも思わぬようなひどい扱いもされました。

鈴木宗男事件を経て私が参議院議員に復帰してから、彼らは接近してきました。私も反共ですから、勝共連合にすれば使い勝手がよかったはずです。しかし過去の経緯があるので、相手にしませんでした。縁がなくなってよかったと、いまは思っています。

■「祝電を打ったから」で糾弾するのはいかがなものか

ひと口に宗教といっても、いろいろあります。私はごく普通の宗教団体と、社会通念上認められないような悪徳商法を、一緒に議論してはいかんと思います。国が認めた宗教法人として活動していることは、認めなければいけません。ただし、その宗教法人が霊感商法などのあるまじき行為をやっているのなら、その部分を法律できちっと処理することです。信仰とは別の問題のはずだからです。

信仰の自由は憲法で認められているのですから、誰しも口が挟める話ではありません。信仰と社会的な問題の間に、きっちり線を引いて議論すべきです。

政治家が反社会的な団体や行為に加担することは、あってはなりません。しかし最近の風潮は、霊感商法の片棒を担いだというならともかく、祝電を打ったくらいで糾弾する。これは、いきすぎではないでしょうか。

■政治家が有権者を選ぶことはできない

一般論として、政治家の元にはいろいろな人が出入りします。さらに言えば、「応援しますよ」と言われて「うちは間に合っていますから、結構です」と断われる政治家は、そうそういないでしょう。「よろしくお願いします」と答えるのが常です。

なぜなら、有権者は政治家を選べますが、われわれ政治家は有権者を選べないからです。政治家というのは1票でも欲しい。1票差でも負けるときは負けるんですから、「選挙の手伝いに行きますよ」と言われたら、「ありがとうございます」と受けるものなんです。

いわんや「反共産主義」を掲げて、「自由と民主の社会づくりに協力します」と言われれば、保守の政治家なら歓迎するのが自然です。政治家にはそれぞれ思想・信条があり、政党は同じ考えや同じ目標・目的をもつ者同士のつながりです。「私はあなたの考えに共鳴します」「あなたの党のビジョンに賛同します」と近寄って来られたら、なかなか拒めるものではありません。

旧統一教会に選挙の応援をしてもらった政治家も、民主的手続きの中で当選することが先決だと考え、善意としてありがたく受けてしまった人が多いのだろうと思います。

2016年の参議院選挙のポスター掲示板の前を通り過ぎるシニア女性
写真=iStock.com/electravk
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/electravk

■会うことなしに善悪の判断はできない

政治家といえど、近づいてくる相手の打算なり下心を、たやすく知るすべはないのです。いろいろな話が持ち込まれる中には、どんなに耳あたりがよくても詐欺めいた話だってあります。そんなとき、政治家の受け止め、器量、さまざまな判断が出てくるものです。

私の場合は、素性のわからない団体からイベントなどの案内が来たら、事務所の者に必ず調べさせます。その結果、たとえば共産党の関係団体がやっている集会だとわかれば、目的が平和活動だとしても行きません。 

いろいろな相談も持ち込まれます。私は人に会うとき、最初から「善い人」「悪い人」と決めつけません。「人には会ってみろ、添うて見よ」という感覚で、きちんと話を聞いてから、「これは危ない。乗らないようにしよう」と判断します。ひと呼吸入れて、私なりの頭作りで考えることにしているんです。

どう見ても理不尽、無理筋だと思ったときは、明解に断わります。「これはダメ。あなたのその考えは受け入れられません」すると「おまえなんか応援しない」と捨てぜりふを吐かれることもあります。はっきり断わらないと、相手に妙な期待を抱かせることになり、禍根を残すもとになりかねません。

だから中には、何年もたってから「かつて鈴木先生に依頼を断わられた。あのときは腹が立ったけれども、結果的に先生の言う通りだった。感謝しますよ」と言ってくる人もいます。

■“票乞食”になってはいけない

旧統一教会との付き合いが深い政治家の顔触れを見ると、残念ながらあまり選挙に強くない人が多い。そういう人たちほど、近寄って来る者は誰でも受け入れてしまうから、利用されやすくなります。のべつ幕なしに頭を下げたり、誰彼構わずおべんちゃらを言ったりする政治家はダメです。

表現は悪いけれども、私は若い政治家たちに「“票乞食”ではいけない」と言うんです。そりゃ私だって、1票でも多く欲しい。けれども目先の1票欲しさに「誰でもいらっしゃい」とやっていると、本当に大事な人たちが離れてしまうことがあります。

私をずっと応援してくれているのは、「鈴木教」「鈴木信者」と言われるくらい、熱心な人たちです。そこまで支えてくれる理由は、私が妥協しなかったからです。逮捕されて、裁判で負けて、刑務所まで行っても、私なりに発信力や存在意義を維持しているからです。

もうひとつの理由は、一度お世話になった人を大事にしてきたからです。人間的な結びつきや信頼関係を重んじることにかけては、自信があります。

有権者とどう付き合っていけばいいのか、1つの答えがあるとすれば、政治家一人ひとりが自分の中の筋を通す。その中で応援してくれる人がいれば、そういう人たちの中で生きていくということではないでしょうか。

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鈴木 宗男(すずき・むねお)
参議院議員/新党大地代表
1948年、北海道足寄町生まれ。拓殖大学政経学部卒業。1983年、衆議院議員に初当選(以後8選)。北海道・沖縄開発庁長官、内閣官房副長官、衆議院外務委員長などを歴任。2002年、斡旋収賄などの疑惑で逮捕。起訴事実を全面的に否認し、衆議院議員としては戦後最長の437日間にわたり勾留される。2003年に保釈。2005年の衆議院選挙で新党大地を旗揚げし、国政に復帰。2010年、最高裁が上告を棄却し、収監。2019年の参議院選挙で9年ぶりに国政に復帰。北方領土問題の解決をライフワークとしており、プーチン大統領が就任後、最初に会った外国の政治家である。

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(参議院議員/新党大地代表 鈴木 宗男)

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