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手取り54万円があっという間に消える…「毎晩のレジ横浪費、貯蓄型保険加入、FX失敗」40歳妻の直らない悪癖

プレジデントオンライン / 2022年10月12日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Asobinin

エンジニアとして働き、夫より月10万円以上多く稼ぐ40歳の妻。残業が多い分、ストレスもたまる。その解消法は仕事終わりにコンビニのレジ横で買うホットスナック。食費は月12万円超だ。保険セールスの押しにも弱く、保険料は月7万円超。3人の子供の教育費や老後資金のため資産を増やそうとFXに手を出したが失敗。散財家計の立て直しを相談されたFPの横山光昭さんが打ち出した作戦とは――。

■“一家の大黒柱”で仕事・育児・節約に奔走する妻の弱点

夫(40歳)と子3人(中2、小6、小2)の5人家族の中で、最も稼ぐ“大黒柱”として遅くまで残業する、東北地方在住の福田明子さん(仮名・40歳)。エンジニアの明子さんの手取り月収は33万円。同い年で事務職の夫は手取り月収が21万円。世帯手取り月収54万円のうち支出は約52万円で、1万8000円程度しか残りません。黒字分をうまく資産運用したいものの、過去にはFX(外国為替証拠金取引)で50万円を失ったことも。ボーナスは、妻のみ年間120万円、相談当時の貯金は100万円です。

「自分としてはがんばっているつもりなのに、月7万円の生命保険料など、どうしても支出が高くなるんです。家計を見直して、できれば月3000円でも投資をしたいのですが……」

そういって相談にきた明子さんは、仕事に子育てにと奔走する日々で疲れた様子。同じ子育て世帯として、なんとか力になりたい。そんな思いで家計を見せてもらうと、食費、保険、投資などお金の使い方に課題があることがわかりました。以下に挙げていきましょう。

■貯蓄型保険にハイリスクな投資「資産倍増計画」は裏目

最初に目についたのは、外食を含む食費です。夫は平日9時~17時勤務で余裕があるものの、妻は多忙でコロナ禍前は深夜残業や土日出勤も多く、今も毎日疲労困憊(こんぱい)。夕飯は、帰宅途中のコンビニで買ったお弁当がメインでした。たまの休日はレジャーに出かけますが、疲れてお弁当を作る気力体力も残っておらず、出先で食べたり買ったりするのが常態化。そのため、食費は5人家族で12万円に達していました。

ただ、基本的には節約意識がある明子さん。お弁当や出先で食べるものはせいぜい1人1食数百円なので、月12万円になるのは他の支出もあるはず。よくよく聞くと、コンビニでお弁当を買う際に、レジ横のホットスナックや新商品のスイーツなどを“ついで買い”してしまう悪癖があることが発覚しました。日々のお弁当を買うたびに、プラスアルファで余計なものを買ってしまえば、食費が上昇するのは無理もありません。

肉まんを取り出すコンビニエンスストアの店員
写真=iStock.com/TAGSTOCK1
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/TAGSTOCK1

恥ずかしながら、私自身も、仕事で疲れた空腹の体でコンビニに入ると、新商品のビールやアイスクリームについ手が伸びてしまうので、明子さんの気持ちはよくわかります。

さて次の問題点は、生命保険料です。以前、将来の不安から、自宅に訪問した営業マンに勧められるまま高い保険に加入したそうです。見直しをしようと相談に行くと、さらに重複して追加契約するはめに。結果、死亡保障と医療保障合わせて7万円もの保険料を払っていたのです。商品を見せてもらうと、「ここにこんな保障、こんなに必要?」といった手厚すぎる保障。ドル建ての貯蓄型で、使わなかった保険料が将来的に戻ってくる仕組みのため、保険料設定も高めです。聞けば、保険会社自体が高額な商品を扱うことで有名な会社でした。

明子さんは投資に関して、人の意見に影響を受けやすいタイプ。周囲には、ハイリスクだけどリターンの高いアクティブ型の投資を勧める人もいれば、ネットでは「これからの時代は金だ」と声高に言う人もいる。またある人は不動産投資の利回りを強調する。さまざまな考え方に振り回されながら、FXで50万円を失った失敗経験もある明子さんは、「結局、どれを信じたらいいんでしょうか?」と混乱を極めていました。

こうした問題点を整理すると、明子さんの弱点は、営業マンや周囲の人やネット上のオススメに流されるままに財布の口を開けてしまう傾向です。明らかに“押し”に弱い。

そんな傾向がありながらも、このご家庭はお小遣いを少なめに設定していたのはいいのですが、これにはデメリットも。実は、化粧品や洋服、交際費などを夫婦それぞれが持つ“家族カード”から出していたのです。定期的に必要になるものをそれぞれの小遣いからコントロールして出すか小遣い以外の家計から出すか、迷う人は多いですが、家計から出す方式だと結果的に自由に使ってしまいザル家計になりがちです。特に意志が弱い人は、家計から出すのは危険。必要な分を確保した上で小遣いの枠を増やす方がうまくいきます。

■約11万円の削減成功の裏には、夫婦の話し合いが

さて、こうした問題点を把握した上で、次のように家計にメスを入れていきました。

まずは最も削減しやすく、効果が持続しやすい固定費から。月7万円の保険料は会社ごと見直し、内容も貯蓄型をやめて割安の掛け捨てにすることで、今は2万4000円に。4万6000円の削減に成功しました。

通信費は、妻だけがドコモの格安料金プラン「ahamo(アハモ)」を契約していましたが、ご主人もahamoのプランにするよう説得し、さらに妻自身ももう一段階低いプランに。家のネット代も含めて通信費は合計2万2000円から1万円まで見直しができました。

福田さん家のメタボ家計Before⇒After

一方、水道光熱費は、東北地方ということもあり、冷え込む冬は特に電気代が高め。戸建てで部屋数も多いため月7万円にのぼりますが、これは削減の余地がないとのことで、そのまま継続。

家族カードであいまいになっていたブラックボックス的な支出を廃止。その分、小遣い額を増やしました。

最大の関門である食費は、忙しくて減らしにくい中、なんとか自炊したり、レジャーの際にはおにぎりを持参したりして、レジャー費とともに削減に励んでいます。

そうした努力のかいあり、10万8000円もの削減に成功。ここまでの努力は並大抵のことではありません。固定費は一度見直せばその後は努力なしに削減が続くのですが、食費や日用品、娯楽費などの変動費は、意識と行動を根本から変えなければ続きません。それには当然ながら、家族の協力が不可欠になります。

そこで明子さんは、まず私に毎月家計簿を提出するように。その都度、夫婦で「うちはコンビニでお菓子を買いすぎだよね。これにこれだけかけるのは、見合っているのか」などと話し合い、ともに分析する習慣をつけました。

実はそれまでご主人は家計にノータッチで、家計がうまく回っていると信じていたそう。ところがふたを開けてみれば実態は貯金100万円のみ。将来的にかかる3人の子の教育費や老後資金が不足することに初めて焦りを感じて、土日休みのご主人が休日の自炊などをがんばってやるようになった。ここが一番大きな改革だったそうです。

■投資は比較的安全性の高いつみたてNISAを

そして相談から2年後――。明子さん夫婦の節約は続き、貯金は相談当時100万円でしたが、現在は540万円へと順調に貯まっています。もともと妻は「資産倍増」意欲が高く行動力もあるので、方向性さえ定まれば、強い。これから教育費がかかるとはいえ、順調にいけば3年後には貯金1000万円も夢ではないでしょう。

明子さんが強く望んでいた投資の方は、勉強も兼ねて明子さんのみ「つみたてNISA」を5000円からスタート。将来的にはiDeCoも始めたいそうですが、まずは投資への信頼回復のために比較的安全性の高い商品がそろい、生活が苦しくなれば中断しやすいつみたてNISAから始めてもらった次第です。

本来のセオリーだと、月約40万円で生活しているなら生活費一年分の約500万円の預貯金ができるまで投資は控えるべき。ただし明子さん宅の場合、500万円を貯めるまで2年くらいはかかるだろうということで、その期間、5000円でも1万円でも少額で投資を始めた方がいいと考えました。

かくして、今のところ順調に節約・貯金・投資ができている明子さん一家。今後は、変動費である食費、つまりコンビニ買いをいかに我慢できるかポイントに。夫が多忙な妻の代わりに自炊をする、妻が“押し”に負けないよう見守るなど、夫婦間のチームワークがカギになりそうです。

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横山 光昭(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表
お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は2万3000件を突破。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。著書は60万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』(アスコム)や『年収200万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を代表作とし、著作は143冊、累計330万部となる。オンラインサロン「横山光昭のFPコンサル研究所」を主宰。

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(家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表 横山 光昭)

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