「学校でイヤなことがあって…」落ち込んで帰ってきた子供に絶対してはいけない"NGな声かけ"
プレジデントオンライン / 2022年10月15日 11時15分
※本稿は、須合啓『自分で考えて動ける子の育て方 「早くして!」「勉強しなさい!」「片づけなさい!」はもう言わない』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■親が不安なとき、子どもはその何倍も不安に思っている
受験に挑戦している家庭では、親御さんの不安が子どもによくない影響を及ぼしてしまうことがあります。たとえば、子どもが勉強を重ね、成績も予定通り右肩上がりになっているにもかかわらず、親御さんが不安なあまり、不確かな情報に惑わされて、子どもに適切でない教材を与えてしまったり、通っていた塾をやめさせてしまったりするのです。
親だって人間ですから、不安に思うもの。そのことじたいは決して悪いことではありません。でも知っておいてほしいのは、「親が不安なとき、子どもはその何倍も不安に思っている」ということです。
受験に限らず、未知のことへのチャレンジには必ず不安がともないます。もちろん、子どももおとなも関係ありません。では、子どもとおとなの違いは一体どこにあるのでしょう?
それは、自分の不安におびえてただ右往左往するのか、それとも、同じようにおびえている目の前の人の不安を想像し、手を差しのべる勇気を持てるかです。年齢は関係ありません。この勇気こそがおとなの証しであり、ゆくゆくは子どもにも身につけてほしい「共感」への第一歩になります。心の矢印を「内向き」ではなく「外向き」にすることが大切です。自分ではなく、まず人を助け、人を喜ばせましょう。
不思議なことですが、自分の不安を脇に置き、人のことを気にかけていると、自分の不安や恐れがいつの間にかやわらいでくるものです。ですから、自分のことには目をつむり、まずは子どもの不安に思っていること、子どもが気がかりになっていることに手を差しのべてください。そうした勇気ある行動によって、子どもの抱える不安はもちろん、自分の気持ちもだんだんやわらいでいくことを実感できるでしょう。
■ときには厳しく叱ることも必要だが…
夜ふかしをしてYouTubeを見たり、宿題を放り出して外に遊びに行ったりして、子どもが羽目をはずしすぎだと感じたときは、厳しく叱っていいと私は思います。ただし、子どもの「やりたいこと」を気にかけず、「ふつう」はこうとか、これが「正しい」などと「正論」ばかりで叱るのは避けたいものです。
こういう叱り方や指導がすぎると、子どもは「世間」や人の目ばかり気にするようになり、「自分のやりたいこと」に対してだんだん鈍感になっていきます。さらに悪いことには、「他人のやりたいこと」を感じとるセンスも育ちません。ところが、子どもに「うれしい」のインタビューをしていくと、自発的な「やりたい」、つまり内発的動機の自覚が促されて子ども独自の価値観が育まれていきます。
「うれしい」に注目してもらいながらおしゃべりしていると、子どもの話しぶりは自然と生き生きしてくるのです。それは「ちゃんと向き合ってもらえている」という実感を持てるからです。この経験が、思いや意見の一方的な「述べ合い」ではなく、「聞き合い」でもある「対話」への第一歩になります。
■信頼関係を築くために役立つ「オウム返し」
こうした対話は、自分だけではなく、人の「うれしい」や「やりたい」への、子どもの自然な興味を引き出します。
生き生きとした対話を親子で続けることによって、いつの日か、今度は子どものほうから親御さんの「うれしい」や「やりたい」についてインタビューが始まります。「正しい」は、ほどほどにして、「うれしい」に注目していくと、子どもの自己肯定感だけでなく、人の喜びや望みを察する力、共感力も育まれていくのです。
私は子どもたちと話をする際、意識的に相手の言葉の「オウム返し」をしています。
【私】「ああ、イヤなことがあったんだね」
【子】「テストで満点がとれてうれしかった」
【私】「そう、うれしかったんだね」
このように相手の言葉をシンプルにくり返す「オウム返し」は、相手に「話を聞いてもらえている」という実感を与えやすく、相手との信頼関係を築くのにとても役立ちます。また、相手の話を不用意にさえぎることを防ぐ効果もあります。
このオウム返しも、ロボットのように子どもの言葉を機械的にくり返すだけだと逆効果になります。音楽を聴くときのように、言葉の意味だけでなく、言葉のトーンや調べ、リズムなども味わって、デュエットするように返していくとより効果的でしょう。
慣れてきたら、「テストで満点がとれてうれしかった」「そう、うれしかったんだね、天にも昇るような気持ちだった?」こんなふうに、より高度な表現、言い換え表現を添えてあげるようにすると、子どもの表現力がどんどん豊かになっていくのでおすすめです。
■「また**して!」という叱り方は絶対にNG
子どもたちの「今・この瞬間」への集中力にはいつも感心させられますが、その反面、とくに幼い子は、何かに気をとられると肝心なことを忘れてしまいがちです。その結果、同じ失敗や忘れ物をくり返してしまうこともめずらしくありません。
子どものそういう様子にイライラして、思わず「またこんなことして!」と叱りつけてしまうのも無理のないことです。ただ、こういう叱り方は、あまり子どもにいい影響を与えないもの。そこで私は、別の叱り方を提案しています。
「また**して!」と叱られている子は、友だちに同じことをしてしまいがちです。たとえば、隣の席で勉強している子に、「○○ちゃん、またコンパス忘れたの?」とやってしまうのです。「また**して!」は、要するに相手を見下した伝え方です。この叱り方だと、子どもに人を見下す癖がついてしまうことがあるのです。相手の心情への思いやりを含まないこの行為からは、共感力は育まれません。
もしも、子どもが何度もコンパスを忘れてしまうなら、「コンパス忘れちゃったの? コンパスは小さくて軽いから、いつもランドセルのこのポケットに入れておいたら?」と、事態を改善するための、具体的な行動の選択肢を示してあげましょう。「だったらこうしてみたら?」という「提案型」の叱り方を心がけることが大切なのです。
■「あなたはどう思う?」という問いかけが共感力を育てる
「○○ちゃんもノド乾いてるよね? 一緒に自販機行こうか?」
「○○ちゃんもここわからないでしょ? 一緒に先生のところに聞きに行かない?」
私の塾で、生徒たちからこういうセリフが聞こえてくることがあります。誘っている子が、誘われている子の気持ちや考えを確認したうえで出てきた言葉なら何の問題もないのですが、じつはそうでないこともあります。いかがでしょう、子どものこういう言い方に「ちょっと強引かな?」と違和感を覚えたことはありませんか?
少しでも思い当たるところがあれば、親御さん自身の日ごろの話し方を振り返ってみることをおすすめします。
子どもからの相談に対して、「それは**でしょ」と、驚くほどあっさりと決めつけるような答え方をしている親御さんがいます。きっと親御さんの中に、すでに確固たる回答や解決のイメージがあるのでしょう。子どもから何を言い返されても、びくともしません。
私の塾で、周囲の人たちにも気づかいのできる子の親御さんは、子どもに対して、「お母さんはこうだと思うけど、あなたはどう思う?」「これは○○かもしれないけど、△△っていうこともあると思うけど、あなたはどう感じる?」といった話し方をしています。
たとえ子どもとのやりとりでも、「あなたはどう思う?」「あなたはどう感じる?」という問いかけと確認をおろそかにしないのです。「答え」を押しつけるような話し方は、共感の大敵です。子どもに真似をされないように、ぜひ気をつけてください。
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学習塾STUDYHOUSE代表
秋田県生まれ。城西大学卒業。20歳から塾講師をスタートさせ、教員生活25年。これまで指導した生徒数は延べ1万人を超える。2012年、自宅の机1つでオンライン教員採用試験受験予備校「教採スクール」を起業。2015年、地元秋田で、小中高を対象にした塾経営をスタート。自らも指導を開始して3年目の2021年3月には、医学部、難関公立大学、大学推薦組、中学受験組、高校推薦入試組、高等専門学校(高専)受験組、高校私立組が全員合格。中学3年生の秋田県模試で3年連続総合順位1位の生徒を輩出中。
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(学習塾STUDYHOUSE代表 須合 啓)
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