「あなたはジャニーズのメンバーになれる」わが子を東大生にした親150人の声かけ絶対法則
プレジデントオンライン / 2022年10月14日 11時15分
※本稿は、『プレジデントFamily2022年秋号』の一部を再編集したものです。
■親の日々の働きかけが子供のがんばれる力に
どんな時代になっても自分の頭で考え、主体的に行動できるような本当の意味での賢さを身につけるために、家庭でできることはなんだろう?
そのヒントを探るべく、東京大学の学生へのアンケートを行った。東大生に「小学生時代の親との関わり」をさまざまな角度から聞くと、東大生の親に共通する言動が浮かび上がってきた。
「アンケート結果を見ると、親から“いい育てられ方”をしているとわかりますね」
こう話すのは、EVOL株式会社代表取締役の前野マドカさんだ。日本におけるウェルビーイング(幸福学)の第一人者である前野隆司さんの妻で、2人の子供を育てる中で、子供の可能性を伸ばすための幸福学の実践研究を行ってきた。
「なんでもやってみようと思える『ポジティブな姿勢』、感謝の言葉を素直に言える『ありがとうの心』、失敗を恐れない『チャレンジ精神』、そしてありのまま『自分らしくいられる』こと。この四つの因子を意識して育てることで、挑戦心を持ち、困難があっても柔軟に対応して乗り越えていける人になることがわかっています。四つの因子を持っていると、心が安定し、学びも吸収しやすく、学力が高くなる傾向があるんですよ」(前野さん、以下同)
「がんばれる子」が持っている4つの力
「ありがとう」の心
チャレンジ精神
自分らしくいられる
今回の調査からは、東大生の親はこの四つのポイントを伸ばしてきたことが明らかになった。
「東大生の育ちというと直接学力を伸ばす働きかけが注目されがちですが、子供の心をサポートするいい関わりが行われていることがわかりました。それが彼らのがんばる力の土台になっているのでしょう」
目標に向かってがんばり通せる力があることは、受験や進学だけに限らず、人生を生き抜くうえでかけがえのない武器になる。
「がんばれる子を育てるには、親自身が四つの因子を持っていることが大事です。親の心の状態は子供に伝染することが学術研究でもわかっています」
本稿では、東大生の家庭がやっていた具体的な声かけ、働きかけを紹介しよう。子供とのいい関わりを意識しつつ、親自身も四つの因子を持てるような言動を心がけたい。
■東大生の親の共通点:子供の「ポジティブな姿勢」を育てる
プロセスをほめる言葉で子供は伸びる!
アンケートで「親は前向きな声かけをしてくれましたか?」と聞いたところ「よくしてくれた」「まあまあよくしてくれた」と合わせて72%がYESと回答した。
「私の感覚としては半数くらいかと思っていたのですが、高い割合ですね。子供の意欲を高める声かけをしている方が多いと言えます」と前野さんは言う。
では具体的にはどんな声かけをしてもらったのか。「勉強だけでなくゲームの成績もほめてくれた」「塾の帰りによくがんばっているねと言ってくれた」のようなほめ言葉が多かった。
前野さんの印象に残ったのは次の回答だ。
「『朝、出かける前に“今日もいいことがたくさんあるよ!”と言ってくれた』というのはいいですね。子供は視野が広がり、何かいいことあるかなといいこと探しをするようになる。“魔法の言葉”ですね」
また東大生の親は子供のミスを責めない親が多いというのにも注目したい。「親は、あなたのちょっとしたミスを責めましたか?」の質問には「責められなかった」「あまり責められなかった」を合わせて47%が責めないという結果が出た。弊誌が一般の若者(19~25歳)にWEBアンケートで同じ質問をしたところ「責められなかった」と答えたのは31%だったので、16ポイントも東大生の親が高いことがわかる。
「親は、子供を心配してついミスを指摘してしまうもの。でもミスや失敗を責められると、次も失敗したらどうしよう……と挑戦をしないようになっていきます。ミスをしても『じゃあ、次どうしようか』などと、“失敗してもどうにか挽回できる”というメッセージを伝えてほしいです。たとえば、子供が料理を作って焦がしてしまったとき、『焦げちゃったけれど、いい挑戦だったね!』などと言うのがいいですね」
さらに「親はあなたのできていないところよりもできているところに注目してくれましたか?」の質問にも78%が「よく注目してくれた」「まあまあ注目してくれた」と答えた。日々子供と接していると、どうしても欠点や短所に目を向けがちだが……。
「人間は本来、ネガティブなことに意識が向きやすいというのが心理学の研究でわかっていますが、子育てではこの性質は厄介。子供に『なんでこれができないの?』『何回言ったらわかるの?』などと小言を言ってしまう人も多いでしょう。子供の悪いところ、足りないところ探しばかりしていては、不安や不満ばかり抱えることになってしまいます。1回叱ったら3回ほめる、ポジティブ3:ネガティブ1くらいの比率で行動しましょう」
■東大生の声【親からかけてもらった「ポジティブな言葉」】
●小説をノートに書いていたら、クラスメートから「紙の無駄」と言われた。それを母に伝えると、手紙で励ましてくれた。当時、ジャニーズのメンバーになることが夢だったのだが「なれるよ」と言ってくれた(文科三類2年)
●小2のときに作ったアルバムにもうけた家族からのコメント欄に、母が「わが家の太陽です」と書いてくれた(農学部5年)
●普段から「すごい?」と聞いたら「すごい!」、「かわいい?」と聞いたら「かわいいね!」と答えてくれていました(文科三類2年)
●何をするにしてもネガティブな言葉をかけられた記憶はありません。どんな挑戦でも「あなたならできる、自信を持って」と声かけされていました(文科一類2年)
■東大生の声【ミスしたとき「親からかけられた言葉」】
●「人間誰でもミスすることはあるから。2回目に同じことをしないよう」と言われた(理科一類1年)
●責めても何も変わらない、ミスをして悔しいのは誰よりも本人だとわかってくれていたからだと思う。「次がんばりな」と言ってくれた(理科一類1年)
●ミスしたときに反省していなければ忠告はされましたが、反省していたり改善しようとしている姿勢が見えるときは、責めの言葉は受けませんでした。「今後どうすれば防げるのか、具体的に考えて行動しなよ」と言って“こうあるべきだ”のような概念をあまり持っていないからだと思います。失敗したときは「どんまい」程度でした(文科二類1年)
前向きな声かけをした 72%
ミスをしたときに責めなかった 47%
できないところよりできるところに注目した 78%
※アンケート:2022年7月にトモノカイの協力を得て、現役の東京大学の学生・大学院生150人にWEBアンケートを実施。
EVOL株式会社代表取締役CEO。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科附属SDM研究所研究員。IPPA(国際ポジティブ心理学協会)会員。夫の前野隆司・慶應義塾大学大学院SDM研究科教授とともに、ウェルビーイングを研究し、ワークショップやコンサルティング、研修や執筆活動などで幅広く活躍。著書に『最新の「幸せの研究」でわかった しなやかで強い子になる 4つの心の育て方』など。
(プレジデントFamily編集部 文=浦上藍子)
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