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35歳になるまで気づけなかった…心理カウンセラーが行き着いた人生を好転させる「3つのコツ」

プレジデントオンライン / 2022年10月18日 14時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/FrankyDeMeyer

生きづらさを解決するにはどうすればいいのか。心理カウンセラーの中島輝さんは「人生を楽しむには、心の余裕がいる。これには『知らんがな』という言葉が有効になる。目の前の問題にとらわれすぎてはいけない」という――。

※本稿は、中島輝『「知らんがな」の心のつくり方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■35年間、森のなかを彷徨っていた

わたしは、これまでの人生で「あいまいさ」を見失っていた時期がとても長く、35歳になってはじめて、ようやく本来の自分を取り戻すことができました。それまでは、まるでうっそうとした森のなかを彷徨っている感じで、ただ目の前に現れる木だけを見て生きていたと振り返ることができます。

つまり、ものごとを大局的に見られなくなっていたわけです。

目の前の木(=他者、出来事、問題など)だけを見て、「どうやってこの木に勝てばいい?」「どうやってこの木から逃げようか?」とばかり考えていました。

本当は、森のなかにはいろいろな木が生えて豊かな生態系が広がっているはずなのに、それらには目が行かず、ただ自分を追い詰めて、そんな自分を守るために何重にも鎧を着けていました。自分や他人の「あいまいさ」に立ち向かう勇気がないから、必死に鎧で身を守っていたのです。

当時のわたしを知る人に聞くと、いまと比べて話し方もかなり違っていたと指摘されます。異様なまでに早口で、それこそ誰かが「あいまい」なことをいうと、「それ論理的におかしいよ」「その意見は矛盾している!」と、ばっさり切り捨てるような態度だったそうです。

■物事を多面的にとらえられなかった

35歳になるまで、心のなかにある本当の思いをいちども人前でいったことがなく、ただ目の前の木に反応しているだけの人生を送っていたような気がします。

また、わたしはものすごく頑固でした。趣味や関心事が偏っていて、興味があるものに徹底的にこだわるのはいいものの、内実はものの見方が狭いだけで、凝り固まった視点を変えることができませんでした。

例えば、ある時期にフランス映画を熱心に観ていましたが、ほとんどのフランス映画を観てフランス語を勉強し、好きな映画の台詞も話せるようになるなど、ちょっと極端なのめり込みようでした。それだけならまだしも、フランス映画以外のものは、「ダサっ!」と切り捨ててしまうほどです。

つまり、ものごとを多面的に見ることもできませんでした。

ここに、水が半分入ったコップがあるとします。すると、本来人間は「まだ半分も水がある」「コップの空いた部分でなにができるだろう?」などと発想できる、「あいまいさ」を持っています。

でも当時のわたしは、ただ「水が半分しかない!」としか考えられませんでした。自分で「これしかない」と思ったら、もうそれだけにとらわれてしまっていたのです。

■「ゼロかイチか」では本質を見失う

わたしは、人間は「あいまいさ」がなくなると、精神的に「自立」できなくなると考えています。どういうことかというと、「あいまいさ」がなくなって「ゼロかイチか」で考えてしまうと、人と無駄な競争ばかりしてしまい、ものごとの本質が見えなくなってしまうのです。

たとえていうと、生きていくために手当たり次第に獲物を獲ってばかりいて、獲物の上手な「獲り方」に意識が向かないイメージでしょうか。本来人間は、獲物をみんなで分け合ったり、そのために自分の意見を言葉でていねいに伝えたり、あるいは自分が本当に好きな獲物だけを探し出したりすることができます。

でも、そうした「獲り方」のスキルが身に付かなければ、どうにかこうにか食べて生きていくことはできても、日々不満やストレスが溜まり心のバランスも乱れて、自分の足でしっかりと立つことが難しくなってしまいます。

■「あいまいさ」を身に付けるための3つのコツ

そんな「あいまいさ」を見失った35年のつらかった経験から、見えてきたことがあります。それは、そのつらい状態を逆からとらえると、そのまま「あいまいさ」を身に付けるコツになるということです。

先のわたしのエピソードから、3つのコツとして取り出しましょう。

「あいまいさ」を身に付けるためのコツ
1 大局的に見ること
2 多面的に見ること 
3 本質を見ること 

まず1は、「森を見てから木を見る」視点を身に付けることです。目の前の出来事や問題に一喜一憂するのではなく、まるで宇宙から地球を眺めたり、空から地表を眺めたりするようなイメージで、視野を広くして状況をとらえるトレーニングをしてください。

すると、それまで見えていなかった森のなかにあるものに気づけ、いま自分が置かれている状況に対処するヒントを得やすくなります。また、それによって心にゆとりが生まれ、心理的な安全性がつくられていきます。

2は、ひとつの見方にとらわれたり、こだわったりするのではなく、「ものの見方を変える」ことです。他人の立場を想像するなどいったん視点を切り替えてみると、ものごとにはいろいろな側面があることが見えてきます。

それこそ、コップ半分の水をどう見るかによって、ものごとのあり方はまったく違う姿を現すでしょう。ものの見方を変えることで心が前向きになり、すべての事象に自由な発想やユニークな観点からアプローチすることができます。

■本質をつかむことは精神的な自立につながる

3は、先に述べたように、獲物の「獲り方」を覚えることです。獲り方を知ると、獲物によって調理方法が異なることもわかります。「この肉は焼くのが美味しい」「この魚は刺身に向いている」というように、ものごとの本質を見つめて、状況を正しく把握できるようになります。

すると、人と無駄な競争をすることがなくなり、むしろ人と助け合うことができるようになります。心の柔軟性が高まり、ものごとの本質がわかることで意思決定力も強くなります。それによって、精神的に自立することにもつながります。

これら3つが「あいまいさ」を身に付けるためのコツです。これから少しずつマスターしていきましょう。

「あいまいさ」を身に付けると、なにより心に余裕が持てます。いまあなたが抱えている問題に対して、これまでとは違った発想で対処できるようになります。

また、他人の考えや行動を「白か黒か」で判断しなくなり、他人の気持ちに思いを馳せられるようになります。そのため、あなたをめぐる人間関係はどんどん好転していくでしょう。

海辺の小道を走る若い女性
写真=iStock.com/Margaryta Basarab
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Margaryta Basarab

■「知らんがな」は心に余裕が持てる魔法の言葉

ここまで、人間が本来持っている「あいまいさ」のパワーについてお伝えしてきました。そして、この「あいまいさ」を簡単に身に付けることができる、まるで魔法のような言葉があります。

それが、「知らんがな」という言葉です。

ご存知のように、「知らんがな」は関西弁で、関西では多くの人が日常で頻繁に使う言葉のひとつです。相手に「そんなん、知らんがな」といわれると、関西人以外の人はちょっと突き放されたように感じるかもしれませんが、関西ではそんなニュアンスはありません。

確かに、自分にとってどうでもいいことに対して、「知らんがな!」と反論する言い方もありますが、わたしが関西の人たちにヒアリングしたところ、「知らんがな」はどこか笑いのニュアンスがある、ほんわり温かいイメージがある言葉なのです。

わかりやすくいうと、なにかあったときに「知らんがな」とつぶやくだけで、心に余裕が持てて、視点や発想をうまくチェンジすることができます。つらい気持ちだったとしても、「そんなん、知らんがな」と力を抜けば、「まあ大変だけど、そんないまの時間も楽しんでみよっか」と思えてしまうから不思議です。

■つぶやくだけで発想を切り替えられる

自分が置かれた状況を、自分でちょっとした笑いに変えて、これまでの考え方や行動、結果に至るまでのプロセスすべてを、いい方向へと切り替えてくれます。

それはまるで、人生を楽しめるように、自分で自由自在に切り替えられる「幸せのスイッチ」のようです。つまり、「知らんがな」は自分の力で勇気を高めて、自信をつくることができる究極の言葉なのかもしれません。

「知らんがな、わたしはやるよ」
「そんなん、知らんがな。わたしはわたし」

こんなふうに、「知らんがな」とつぶやきながら、いい発想の切り替えができると、自分の考えや行動に対して勇気と自信が持てるようになるはずです。

「知らんがな」と口にするたびに、発想がポン、ポンと切り替わっていき、ひとつのことにとらわれなくなっていきます。

■3つのメリット

「知らんがな」という言葉を日常で使っていると、大きく3つのメリットがあります。

「知らんがな」がもたらすメリット
1 余計な悩みが減る
2 緊張が和らぐ
3 「いまここ」を楽しめる

1は、自分がコントロールできないことに対して、余計な不安や恐れや悩みを抱えずに済みます。「もしコロナウイルスに感染したら……」「もし大地震が起きたら……」などと、未来についてあれこれ想像をめぐらし不安になることは、多かれ少なかれ誰にでもあると思います。

でも、自分の力でコントロールできる心配事ならまだしも、悩んだところでどうしようもないことはできる限りの備えをしたうえで、「あとはもう、知らんがな」と割り切ることで、心のストレスを解消できます。

2の緊張については、未来がよく見えないことの不安や、自意識が強くなって他人の言動を気にし過ぎてしまうことで生じます。例えば、「この先、わたしの仕事はどうなるだろうか……?」「新たなウイルスが出てきたらどうなるのか?」などと、わからないことが多いために、不安になって心身ともにこわばってしまう。あるいは、人前で話そうとしたとき、「あの人にどう思われるだろう?」「きっとみんなに変だと思われる」と他人の反応ばかり気にして、声や身体が震えてしまう。

確かに、いまの世の中には身動きが取りづらい、まさに緊張の連続状態のようなシチュエーションがたくさんあります。

でも、そんなときこそ、「そんなん、知らんがな」とつぶやくことで余計な緊張がほぐれ、いい意味で開き直ってしまえば、やるべきことに集中できるようになります。

■「いまこの瞬間」に目を向けられるようになる

「知らんがな」は、最高のマインドフルネスの言葉でもあるのです。

そして、1と2が重なると、3の「いまここ」を楽しめるようになります。すると、自分でも気づかないうちに抑え込んでいたたくさんの夢が、自分のなかからあふれ出てきます。

中島輝『「知らんがな」の心のつくり方』(KADOKAWA)
中島輝『「知らんがな」の心のつくり方』(KADOKAWA)

「コロナが終息したら海外旅行へ行こう」「そのためにいろいろな国の映画を観て、行きたい場所を探しておこう」「目標に向かって資格を取ってみよう」というように、具体的な目標に向かって努力を積み重ねていけるようになります。

このように、「知らんがな思考」を身に付けると、人生の生きがいや仕事のやりがい、周囲の人々とのかかわりなど、「いまこの瞬間」の幸せに目を向けられるようになります。すると、夢が叶う叶わないに関係なく、自分の力で人生を豊かにしていくエネルギーが、身体の奥底からふつふつと湧き出してくるはずです。

結果への過度なこだわりや他人との無意味な比較からも解放され、「いまここ」をもっと気楽に、軽やかに楽しむ余裕が生まれるはずです。

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中島 輝(なかしま・てる)
心理カウンセラー
自己肯定感アカデミー代表、トリエ代表。困難な家庭状況による複数の疾患に悩まされるなか、独学で学んだセラピー、カウンセリング、コーチングを10年以上実践し続ける。「奇跡の心理カウンセラー」と呼ばれメディア出演オファーも殺到。著書に『何があっても「大丈夫。」と思えるようになる自己肯定感の教科書』『書くだけで人生が変わる自己肯定感ノート』『自己肯定感diary 運命を変える日記』(すべてSBクリエイティブ)、『1分自己肯定感 一瞬でメンタルが強くなる33のメソッド』(マガジンハウス)、『習慣化は自己肯定感が10割』(学研プラス)などがある。

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(心理カウンセラー 中島 輝)

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