「マラソン大会で上位に入りたい」東大生の親は子供の小学生時代の目標をどうサポートしたか
プレジデントオンライン / 2022年10月16日 11時15分
※本稿は、『プレジデントFamily2022年秋号』の一部を再編集したものです。
■東大生の親の共通点:子供の「チャレンジ精神」を育てる
失敗を否定しない。自ら考えさせる働きかけをする
受験や習い事、検定試験から身近な例で言えばクラスの班長への立候補まで、子供の日常にもさまざまなチャレンジがある。
「あなたがチャレンジをするときに家族は応援してくれましたか?」の質問に東大生の85%がYESと回答した。
慶應義塾大学大学院で幸福について研究する前野マドカさんはチャレンジこそが人間力を高め、賢さを培うものだと力説する。
「これからの社会は、正解がない課題に対して自分で答えを創っていく能力が求められます。身近な家族がサポートしてくれているということは、挑戦をするための大事な土台になります」
前野さんが特にほめてほしいと思う場面は、子供が新しいチャレンジをしたときだ。
「日頃のお手伝いでも遊びでも、いままでやっていなかったことにはじめてチャレンジをするときには『いいね!』と言ってあげてほしいと思います。またさらに、子供が思いついたアイデアをほめるといいですね。『すごいアイデアね!』と。自分で考えるより、人に教えてもらったりまねしたりするほうが楽。しかし社会に出ると、自分で考えることが要求されます。自分で考える習慣をほめて注目しましょう」
アンケートの回答でも「マラソン大会で上位に入るという目標に対して、父親が朝、ランニング練習に付き合ってくれた」「児童会役員に立候補するときにポスター作りを手伝ってくれたり、演説原稿を一緒に考えたりしてくれた」「思考力を測る試験を受けたいと言ったときに、問題集を買ってくれた」というコメントがあった。
新しい目標を見つけた子に対し、タイミングを逃さず親がうまくサポートした好例だろう。
「進路や習い事などを自分で決めてきましたか?」という質問には65%がYESと答えた。
「週末のスケジュールのようなささいなことでも、習い事や進学する学校を決めるような大きな場面でも、大切なのは自分で決めるように導くことです。自分で決めてきた経験が多いと幸福度が高くなることが研究でわかっています」
親が情報を探したり、助言をしたりする必要はあるかもしれないが、最後は自分で決めた、というプロセスが大事だ。
■【チャレンジの内容と親からやってもらったサポート】
●女子1人で男子のサッカーチームに入ろうとしたとき、体験レッスンに連れて行ってくれ、練習への送り迎えや、自主練習の相手もしてくれた。なでしこジャパンブームの前だったので、「女の子なのに」と言われなかったのは当たり前ではなかったかもしれない(法学部4年)
●自由研究で装置を自作するのを、否定せずに見守ってくれた(農学部4年)
●英検の面接練習では、親が面接官役になって練習し、その後いろいろなアドバイスをくれた(理科2類1年)
●計算大王と呼ばれる希学園(進学塾)の恒例行事で、毎年計算大王になろうとチャレンジして、親は姉のときの過去問を印刷してくれ、姉は一緒に勝負形式で解いてくれた(文科一類1年)
●サッカーやピアノなどの習い事は私が言い出したものはやらせてくれました。通えるように送り迎えや食事の時間をずらすなどしてくれていた(理学部大学院生)
■【これまで「自分で決めてきたこと」】
●中高一貫校に在籍していたが、高校受験をして公立の高校に進学した(農学部5年)
●小学生のとき、兄弟2人が週5日競泳の選手コースで練習する中、私だけは体験レッスンに参加したその日に「絶対にやりたくない」と参加を拒否した(法学部4年)
●小1のときあまりにひらがなができなくて、公文に行くことを決めた(工学部4年)
■【小学生時代の日課】
日記を書く
ピアノの練習をする
朝走る
百ます計算
朝、公文式を1時間する
漫画を描く/バスケットボールの練習
家族がチャレンジを応援した 85%
小学校時代、習慣にしていたことがある 43%
進路や習い事などを自分で決めさせた 65%
※アンケート:2022年7月にトモノカイの協力を得て、現役の東京大学の学生・大学院生150人にWEBアンケートを実施。
EVOL株式会社代表取締役CEO。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科附属SDM研究所研究員。IPPA(国際ポジティブ心理学協会)会員。夫の前野隆司・慶應義塾大学大学院SDM研究科教授とともに、ウェルビーイングを研究し、ワークショップやコンサルティング、研修や執筆活動などで幅広く活躍。著書に『最新の「幸せの研究」でわかった しなやかで強い子になる 4つの心の育て方』など。
(プレジデントFamily編集部 構成=浦上藍子)
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