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「あとでね」と言ってはいけない…子供にため込んでいるものを吐き出させる"東大親"の物凄い技

プレジデントオンライン / 2022年10月16日 11時30分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ranmaru_

「がんばれる子」が育った家庭にはどんな秘密があるのか。プレジデントFamily編集部が東大生150人に育った家庭の方針や親の声かけ・働きかけをアンケート調査。慶應義塾大学大学院で幸福について研究する前野マドカさんが調査結果を分析したところ、東大生の親には「ポジティブな姿勢を育てる」「ありがとうの心を育てる」「チャレンジ精神を育てる」「自分らしさを尊重する」という4つの共通点があることがわかった。今回は、どのように「自分らしさを尊重する心」を育てるのか、を紹介しよう――。(第4回/全4回)

※本稿は、『プレジデントFamily2022年秋号』の一部を再編集したものです。

■東大生の親の共通点:子供の「自分らしさ」を尊重する

〈ため込んでいたものを全部聞いてもらって、心が楽になりました〉(文科三類1年)
親も完璧を目指さない。苦手も丸ごと受け入れて

自分の話を親によく聞いてもらったと思っている東大生は9割近い。

「子供は、親が真剣に向き合ってくれているかどうかを敏感に感じ取るものです。親が自分の話をきちんと聞いてくれるということは、自分が受け入れられているという感覚につながります」(慶應義塾大学大学院で幸福について研究する前野マドカさん、以下同)

働いていたり、きょうだいがいたりすると忙しく、子供の話をじっくり聞く時間がないという人も多いだろう。

前野さんは、「大切なのは時間の長さよりクオリティー」と断言する。たとえ寝る前の数分だけでも、子供としっかりと向き合えば、その気持ちは必ず伝わるという。

子供が「ねえねえ、聞いて!」と言ってきたとき、すぐに時間がとれないこともあるだろう。そんなときは、「あとで」とその場しのぎで先送りするのではなく、「寝る前にゆっくり話そうね」「週末にふたりでお出かけして話そう」などと、予定を設定しよう。

「すぐにではなくても必ず約束を守る、ということが大切です」

また「自分のいいところをわかってくれていた」は91%とこちらも高い割合に。「親はきょうだいや友達、近所の人とあなたを比べましたか?」に対しては60%が「比べなかった」と答えた。

「友達やきょうだいと比較されると、その人のようにがんばろうと思うのではなく、『自分はその人より劣っている』『自分は愛されていない』といったマイナスイメージとなってしまいます。それでは自分を受け入れてもらっているとは感じません。また『自分の子供時代は外で走り回っていたのに、なんでうちの子はインドアなの? 社会性がないのでは』と自分の子供時代と無意識に比べて心配する人もいると思います。不安になる気持ちはわかりますが、比較することで子供のモチベーションを下げてしまうのは同じこと。それぞれの子の個性や成長のペースがあると思ってのんびり構えましょう」

前野さんは、親世代に、自分は受け入れられてこなかったと感じている人が多い傾向にあるという。

「理想的な親像を目指して、仕事も家事も子育ても、全部きちんとやらなければ! とがんばりすぎている親御さんが多いですが、そんなふうに気負わなくて大丈夫です。子供の前で、親だってできないことがあるという姿を見せてもいいのです。親にも苦手なことがあると知った子供は、自分の苦手なことも負い目に感じず、ありのままの自分を認められるようになります。親自身が自分を受け入れ、肩の力を抜くことも大事ですね」

■【家族に話を聞いてもらい「楽になったエピソード」】

●友達付き合いのことを相談して新しい視点をくれた(農学部4年)

『プレジデントFamily2022年秋号』(プレジデント社)
『プレジデントFamily2022年秋号』(プレジデント社)

●常にいろんなことを考えていて、全部口に出すと友達には引かれるな~と思っていたことを帰宅後、怒涛(どとう)の勢いで話していました。基本聞き流してもらっているのですが、考えたことを話すことでストレス解消になっていました(文科三類2年)

●体のコンプレックスについて相談し慰めてもらった(工学部3年)

●小学校低学年で、私が苦手な子に対し冷たくしてしまったことを悔やんでいたとき、自分でそのことを家族に話した(理科一類1年)

●テストで酷い点を取ってしまったとき、普段はいい点を取るとほめてくれる親だが、そう落ち込むようなことではない、大丈夫と慰めてくれた(文科三類2年)

■【尊敬する人を「家族」と答えた人は26%】

1位 両親、父、母、兄姉 22票
2位 友人 11票
3位 先生 10票

「尊敬する人は?」の質問に関して、両親、父、母、兄など家族を挙げた東大生は26%。編集部の想像以上に多かった。

「(両親)仕事や家事に全力で、家族に対して愛情が深いから」「(母)一番身近な働く女性のロールモデルだから」「(父)自分の目標にひたむきに努力できる人だから」などの理由があった。

「家族は一番身近な存在で、いいところも悪いところもさらけ出している関係。その間柄で尊敬の気持ちが芽生えるというのは、家族がほどよい距離感だということを表しています。愛情が少なすぎても、愛情過多で親子の距離が近すぎても尊敬は生まれませんから」(前野さん)

有名人では孫正義氏(ソフトバンクグループ社長)、山中伸弥氏、野依良治氏(ともにノーベル賞受賞者)、落合博満氏(元プロ野球選手)、武豊氏(JRA騎手)などの名前が挙がった。

子供の話をよく聞いた 86%
子供のいいところを家族はわかっている 91%
きょうだいや友達と子供を比べなかった 60%

※アンケート:2022年7月にトモノカイの協力を得て、現役の東京大学の学生・大学院生150人にWEBアンケートを実施。

教える人 前野マドカさん
EVOL株式会社代表取締役CEO。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科附属SDM研究所研究員。IPPA(国際ポジティブ心理学協会)会員。夫の前野隆司・慶應義塾大学大学院SDM研究科教授とともに、ウェルビーイングを研究し、ワークショップやコンサルティング、研修や執筆活動などで幅広く活躍。著書に『最新の「幸せの研究」でわかった しなやかで強い子になる 4つの心の育て方』など。

(プレジデントFamily編集部 構成=浦上藍子)

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