なぜPCに4枚以上の付箋を貼る人は仕事ができないのか…仕事をためる人が誤解している2つのルール
プレジデントオンライン / 2022年10月18日 10時15分
※本稿は、安田修『仕事と勉強にすぐに役立つ「ノート術」大全』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
■管理できないタスクはストレスのもとになる
社会人になったばかりの頃の私は、ノートも付箋(ふせん)も使わず、メモすらとっていませんでした。大学生まではそれで何の不都合もありませんでしたし、ノートなどなくても仕事はこなせると考えていたのです。
いわれたことを覚えておいて、重要なことからやればいい。マルチタスクといっても同時に上司から指示される仕事なんてせいぜい2つか3つ、それを忘れることなんてあり得ない、と。
そのやり方は、社会人として働き始めるとあっという間に破綻しました。覚えておかないといけないことがとにかく多いんです。
タスクは上司からの指示だけではありません。長期間に渡る複数のプロジェクトに組み込まれ、それぞれの作業に締め切りがあり、議事録や会議室予約などの細々したこと、同僚やお客さまからのちょっとした頼まれごとが発生し、そうしている間にもメールが届き、電話が鳴ります。
ぎりぎり覚えておける量だとしても、残りは何をしないといけないのかと考えながら一日を過ごすのはストレスで、翌日に持ち越す仕事のことを帰宅しても考え続け、イライラしていました。週末もゆっくり休めず、「世の中は、思っているより複雑なんだな」と意気消沈していました。
■PCに貼る付箋は3枚まで
必要に迫られてタスクや仕事のポイントをノートにメモするようになった私は、あるときから付箋を使い始めます。
やらないといけないこと、つまりタスクを1つずつ付箋に書いて、パソコンの画面などに貼るようになりました。
タスクが終わったら剥がして捨てる。これでもう忘れることはないだろうと。ただ、このやり方だと、付箋が無限に増えるのです。そして「いつまでも剥がれない付箋」、つまり先延ばしされて終わらないタスクが出てきます。付箋の存在自体がストレスになってきます。
パソコンの画面に付箋が表示されるアプリケーションを使っていた時期もありましたが、このストレスはほとんど変化しませんでした。
『仕事のミスが激減する「手帳」「メモ」「ノート」術』(鈴木真理子/明日香出版社)には、パソコンに貼る付箋は3枚までとあります。理由は、付箋の枚数が増えると「優先順位がつけにくくなるから」。そして「ずっと貼ったままでは新鮮さが失せて景色のようになってしまう」からということです。
そうなんです。あまりに大量の付箋は意識から消えて「見えなく」なります。付箋が劣化して剥がれ落ち、なくなることも何度もありました。PCや机に付箋を大量に貼っていると、周りから見ていかにも仕事ができなさそうな感じがするのも気になっていました。
■書き出すのは“今日やること”だけにする
そのうち、ある程度の大きな付箋を使っていくつものタスクをそれに書き、横線で消すやり方になっていきました。あれ? これだとノートで良くないか? と思いながら。
今の私は週に1度くらいの間隔で、把握しているタスクを全てノートに書き出しています。そうすると、やらなければいけないことの全体像や相対的な重要度が見えてきます。締め切りも書いて整理するようにします。
大切なのはその段階で、「やらなくて良いこと」をあらかじめタスクリストから落とすことです。つまり、やらないと決めるということです。
その上で毎朝「今日やること」をそのノートから大きめの付箋に書き写し、それに集中します。
ちなみに、先述の『仕事のミスが激減する「手帳」「メモ」「ノート」術』に書いてある「お願いごとはフセンに書いて渡す」というのは、私もサラリーマン時代にはよくやっていました。上司に渡す資料にも、付箋で補足情報を書いたりしていました。
口頭でいっただけのことは忘れますし、相手にメモを書いてもらうのも不親切なので、こういう場面では付箋が活躍します。ちょっと懐かしくなりました。
■2分以内で終わる仕事はいちいち書かない
その日増えたタスクは、いったん付箋にメモしておきます。すぐできることはすぐやってしまえばいいですね。『全面改訂版 はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』(デビッド・アレン/二見書房)に書いてある2分ルールも参考になります。
2分ルールとは、飛び込んできた、あるいは思いついたタスクをすぐやるか迷ったとき、「そのタスクが2分以内に終わるなら、今すぐ片付けろ」というシンプルなルールです。
受信したメールや電話に返信するか、資料を印刷してしまうか、そういう細々としたタスクってたくさんありますよね。それをいちいち付箋に書いて「先延ばし」するのではなく、すぐやってしまうというものです。
何でもかんでもすぐやっていたら、いつまでも重要なタスクに手がつきませんから、判断の根拠として2分で終わるかどうかというのはわかりやすくて良いですよね。
これでようやく、大量の仕事を捌きながらもタスクに追いまくられることがない、ゆとりのある生き方ができるようになりました。このタスク管理法は起業してからも、大いに役立っています。
■付箋管理のデメリット4つ
『残業ゼロのノート術』(石川和男/きずな出版)には、「やることノート」1冊に15分単位のタスクをバッファやルーチンを含めて最大35コマで書き出し、終わった順に赤ペンで印を付けるという方法を提唱しています。
付箋だと、
・目につきすぎる
・気にならなくなるリスク
・過去の振り返りができない
・(ノートのほうが)タスクの期限がわかりやすい
という4つの理由を挙げて、タスクはノートで管理するべきだとしています。この4つは、本当にそうですね。
『「すぐやる人」のノート術』(塚本亮著/明日香出版社)では、「タスコン(タスクコントロール)ノート」が紹介されています。
A4ノートをヨコに使い、そこにタスクを記入した付箋を貼り付けて使うのです。付箋の良いところは、「いつも優先順位を考えながらタスクの優先順位を変えられること」だと著者はいいます。緊急度や重要度で付箋の色を分けて使うとのことです。
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経営コンサルタント
1976年北海道生まれ、北海道大学経済学部卒。大学卒業後、日本生命入社。15年勤務を経て、シナジーブレインを設立。会員約2200人のコミュニティ・プラットフォーム「信用の器フラスコ」代表。起業家であると同時に、起業支援とビジネス仕組化の専門家。フラスコノート会を主催、フラスコノート・コーチ資格を認定。オンラインサロン「フラスコノート・ラボ」「ダーウィン」など多数のコミュニティの立ち上げ、運営に関与。ノートを駆使した学習により中小企業診断士・証券アナリストなど難関資格にも多数合格。著書に『書けば理想は実現できる 自分を変えるノート術』(明日香出版社)、『新しい副業のかたち』『新しい起業のかたち』(以上、MdN)などがある。
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(経営コンサルタント 安田 修)
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