「お前はママに似ちゃったから…」中学受験全落ちの娘に笑いながら言った大卒の夫を見限った45歳高卒妻の屈辱
プレジデントオンライン / 2022年10月18日 11時15分
■熟年離婚の決定打…夫が妻に放った「迂闊なひと言」
熟年離婚の割合が急増しているニュースが話題になった。離婚する夫婦の「5組に1組」が熟年離婚というのは過去最高の割合で、約30年前に比べ約1.5倍にも増えている。
前回は、最近相談案件が増えている「それでも別れたくない妻」のケースを紹介したが、もちろん妻だけではなく「別れたくない夫」もいる。不思議と、妻に離婚を切り出された夫の多くは「なぜ妻が別れたいと言うのか見当もつかない」と口にする。つまり、一緒に暮らしてきた妻の気持ちの変化に気づいていなかったことになる。
いったい、どんな夫の言動が妻の「別れたい」という決意を固めさせたのか。実際にあった事例を基に、熟年離婚にいたったパターンを3つ紹介しよう。
■【CASE1】出産後10キロ以上太った妻からの大逆襲
「きっかけは、ママ友の浮気が近所で噂になったことだった」と振り返るのは、専業主婦のY奈さん(49歳)。同じマンションに住む4歳年下のママ友が、子供のサッカーのコーチとラブホテルに出入りするところを知り合いに何度も目撃されていたことが噂の発端。マンションの集まりがあると、しばらくはその噂で持ち切りだったという。
「そのママ友は美魔女コンテストにも出場するくらい、45歳という年齢の割に若くて美人。サッカーチームのコーチがめちゃくちゃイケメンだったことも、マンションの住人たちの格好の話題の的になっていました」
Y奈さんが夫にキレたのは、その集まりの席で大勢を前に、妻のY奈さんの容姿をバカにする発言をしたことだという。美人のママ友の浮気の話の流れで「その点、ウチはまったく浮気の心配はしなくて済むから安心ですよ。なにしろ子供を産んでから10キロ以上太ったんだから、『話が違うだろ』って感じですよね」とY奈さんのことを笑いながらけなしたのだった。
Y奈さんいわく、「それまでも夫が私をバカにする発言にはたびたび傷ついてきました。『何を着てもダサいよね』『そんなにスタイルが悪くて恥ずかしくないの?』などと言われるたびに、『そういうふうにイジるのは本気で傷つくのでやめてほしい』と抵抗してきたのですが、それでも一向にやめてもらえませんでした。家のなかでだけなら我慢ができたものの、人前でけなされることは許しがたいことでした」
Y奈さんは、その集まりの帰り道のエレベーターのなかで「私のことを軽んじることしかできない夫なら、もう別れても後悔しないかも」と思ったという。
![問題のある中年夫婦](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/8/c/1200wm/img_8ca6e5b2fe6728df08cd46738f54ab44477398.jpg)
じつはY奈さんにも浮気相手がいるのだった。
「3年前から関係が続いている相手の男性は3歳年上のバツイチで現在は独身。いつも私のことを『いつもかわいくしているね』『なんでそんなに肌がきれいなの?』とほめてくれる。夫とのことも聞かれたので正直に打ち明けたところ、『僕はY奈さんとお子さんのこと、もっと大切にするよ。旦那さんと別れて僕と結婚してほしい』と言われ続けるようになりました」
以前は夫婦関係を修復するように努力をしてきたというY奈さんだが、まったく変わろうとしない夫にあきらめの気持ちが大きくなる半面、新しい幸せな人生を歩むことを考えはじめているという。
■【CASE2】待望の第一子の妊娠、流産の末たどりついた結論
会社員のK美さん(44歳)は大学卒業後、就職した会社で出会った1歳年下の夫と結婚。「22歳と若くして結婚したこともあり、子供は自然にできるものだと思っていた」と話すK美さんは、30歳を過ぎた頃になって婦人科を受診。以降、不妊治療をしてきたという。
「夫はもともと子煩悩な性格で、甥や姪のことも誰よりもかわいがっていました。自分が長男ということもあり、結婚当初から『両親が元気なうちに孫の顔を見せて安心させたい』と話していました」
なかなか子宝に恵まれなかった夫婦に、待望の第1子を授かることになったのはK美さんが43歳の時のこと。夫婦は大喜びしたものの、ほどなくして流産してしまったのです。
「あの時の悲しみは言い表しようがないし、今でも思い出すのがつらい。でも、もっと傷ついたのが夫からのなにげない言葉の数々でした」
流産のショックで何日も会社を休み、ベッドから出てくることができないK美さんに対し、夫がかけた言葉は、「妊娠がわかった時、K美が仕事を辞めていればこんなことにはならなかったかもしれないね」だったという。K美さんいわく、「まるで私が悪かったような言い方をしてきた夫に驚きと怒りでいっぱいになり、返す言葉もありませんでした」
![それぞれが腕を組んで険悪な空気が漂う、ソファに座る中年夫婦](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/6/5/1200wm/img_653fb8ba5f03e1d3320af7f5fa33263b457383.jpg)
その後も毎晩泣き続けていたK美さんに、夫は「いつまでも泣いていたって、赤ちゃんが生き返るわけじゃないんだからK美も頑張らないと」と笑顔で励ましてきたとのこと。「もちろん、夫の言うことは頭では理解できました。それでも現実を受け止めきれなくて苦しんでいるのに、なぜ夫だけ前に進むことができるのか。笑顔になれるのか。私を励まそうとしていたのかもしれないけれど、当時の私は一緒に涙を流してくれることを望んでいた」
それからというもの、K美さんは夫と別れることを考えているという。
「悲しい出来事を乗り越えて絆を深める夫婦もいるかもしれませんが、私は夫との距離がかえって遠くなった気がしてなりません。ただ、夫に対して申し訳ないという気持ちもあります。『若い女性と再婚したら子供のいる人生を歩めるのでは』と」
現在、K美さんは後悔のない人生を送るための選択肢のひとつとして前向きな離婚を考えているところだ。
■【CASE3】「昭和のオヤジ」が見放される時
「娘の高校受験が終わったら、『離婚してほしい』と切り出す予定です」
淡々と話すのは会社員のN子さん(45歳)。学生の時、バイト先で知り合った有名大卒の6歳年上の夫とは、今年で結婚生活23年目を迎える。
N子さん夫婦には独立したばかりの息子のほかに、現在中学生の娘がひとりいる。じつは、N子さんが離婚を真剣に考えたきっかけは娘がまだ小学生の時のことだった。
「私は高卒で結婚しました。出産後はじめて正社員として今の会社に就職したのですが、待遇やキャリアの重要性を思い知るようになり、『娘にはいい学校に行って、ちゃんと勉強をしてほしい』と思うようになりました。そのためにも、娘には私立の中学を受験させたかった」
夫にそのことを話すと「女の子は付き合う男次第で将来が変わる。だから、勉強するより見た目を磨いたほうがいいに決まっているだろ」と取り合ってもらえなかったという。
「もともと6歳年上でモラハラ傾向のある夫は、いわゆる『昭和のオヤジ』。これからは女性だって自分の夢を持ち、自立して生きていく時代だといくら説明しても、理解するどころか耳を貸そうともしない態度に腹が立つばかりでした」
それでも、あきらめきれなかったN子さんは大学までエスカレーター式で進学できる私立の女子校の中学受験を娘にさせたが、残念ながら“全落ち”して失敗に終わった。落胆している娘に向かって、夫はこう言い放ったという。
「オレの優秀遺伝子を受け継いでいれば絶対合格したのにな。残念ながらママに似ちゃったんだから、お前はもう勉強方面はあきらめるしかないな(笑)」
夫の言葉を隣で聞いていたN子さんは屈辱で涙をとめることができなかった。
「夫の言葉を信じたのか、その日以降、娘は私の言うことを聞かなくなりました。『ママの言う通りにしても、どうせうまくいかないから』と。それでも受験に失敗したのは悔しかったようで、今は自分で探してきた塾に通い、同じ女子校に高校から入学することを目指して猛勉強中です」
一方で、N子さんは日を追うごとに夫のことが嫌いでたまらなくなっているとのこと。
「娘の中学受験でハッキリしたのは、夫は私に対するリスペクトの気持ちはかけらも持っていないということ。もう、この人との未来は描けないと感じたので、娘が受験に合格したら私も新しいスタートを切ろうと思う。そのためにも今は離婚後の安定した生活を維持する目的で、密かに投資をして自分名義の貯蓄を増やしています」
![別々の道を歩き出す夫婦](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/7/c/1200wm/img_7c46ff5708cab0c07c5946ffa2439d5c369442.jpg)
■「夫婦生活は夫が主導権を握るもの」という古い考え方
かつては「結婚したら一生、添い遂げるもの」という価値観が一般的だったが、今は3人に1人は離婚をする時代。離婚する夫婦の5組に1組は20年以上一緒に暮らしてきた夫婦の熟年離婚という実情もある。
だが、これは必ずしも悲観的なこととは言えないかもしれない。なぜなら、夫の庇護の下でしか行動できなかった女性たちが、離婚という道を選ぶことで、「自分らしく生きられる」「自由を手にすることができる」「経済力に不安もない」ということをかなえられるようにもなったからだ。
「夫婦生活は夫が主導権を握るもの」という古めかしい考え方を持っている男性は、今回紹介したケースのように「なぜ妻が別れたいというのか見当もつかない」という事態にもなりかねない。円満な夫婦関係を継続するためには、そうした価値観を今すぐアップデートする必要があるかもしれない。
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夫婦問題研究家・パートナーシップアドバイザー
NPO日本家族問題相談連盟理事長。株式会社カラットクラブ代表取締役立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。これまでに25年間、3万件以上の相談を受ける。『最新 離婚の準備・手続きと進め方のすべて』(日本文芸社)『再婚で幸せになった人たちから学ぶ37のこと』(ごきげんビジネス出版)『離婚カウンセラーになる方法』(ごきげんビジネス出版)など著書多数。
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(夫婦問題研究家・パートナーシップアドバイザー 岡野 あつこ)
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