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3位は菅田将暉、2位は有村架純&高良健吾、1位は……フジテレビ「月9」ドラマ「俳優ランキング」ベスト3

プレジデントオンライン / 2022年10月22日 17時15分

フジテレビ社屋(写真=https://www.flickr.com/people/maguisso//CC-BY-2.0/Wikimedia Commons)

フジテレビの月曜9時のドラマ枠「月9」。日本のドラマ史を代表する作品を放送してきた伝統ある放送枠だが、ここで最も評価されるべき俳優は誰か。ドラマ偏愛コラムニストの吉田潮さんが選んだ「月9」ドラマ「俳優ベスト3」とは――。

■「月9=恋愛モノ」の時代は過ぎ去っている

朝ドラ・大河・日曜劇場以外に、固定のドラマ枠として語られることが多いのが「月9」だ。短縮形の愛称の親しみやすさに加えて、トレンディドラマや恋愛ドラマでヒット作を連発した全盛期の印象が強いからだろう。

80年代後半はトレンディドラマ黄金期で、“ぷっつん”やら“びんびん”の「擬音系職業モノ」、「君」シリーズ(瞳をタイホしたり恋したり、嘘をついたり)が話題になった。

90年代に入ると、バブル期の浮かれた空気を抑えた恋愛ドラマが主流に。『東京ラブストーリー』(1991年)、『101回目のプロポーズ』(1991年)、『ロングバケーション』(1996年)、『ラブジェネレーション』(1997年)、『やまとなでしこ』(2000年)あたりが今でも多くの人に語り継がれている。視聴率も20~30%という時代で、たとえ見ていない人でも、月9=恋愛モノという刷り込みがある。

では今はどうか。日本のドラマを見ない人、華々しい月9を知らない世代も増えた。オシャレな人々の素敵ライフに興味もなければ、ドラマに恋愛要素は不要と感じる人も増えた。みなさん、とっくに「月9はこうでなきゃ」という呪いから解放されているのだ。

過去の月9ブランドにこだわっているのは、実はオールドメディアと中高年だけで、全体的には「面白ければ枠はどうでもいい。TVerやサブスクで見るから、月曜も9時も関係ない」というのが実態ではなかろうか。

■主流は堅実なメディカル路線と本格ミステリー

実際、ここ数年の月9は、メディカルもしくはミステリーが主流だ。枠を変えて月9に移動した『コード・ブルー』(2008・2010・2017年)のヒットを皮切りに、窪田正孝主演で放射線技師を描いた『ラジエーションハウス』(2019・2021年)、上野樹里主演で東日本大震災を描き続けた『監察医 朝顔』(2019・2020年で、season2は2クールぶち抜き)、波瑠主演で夜勤医師の憂いを描く『ナイト・ドクター』(2021年)、そして10月にスタートするのは吉沢亮主演「PICU 小児集中治療室」である。

命と向き合い、激務をこなす医療従事者をメインに、心温まるエピソードをお届け。医療系といえば『ドクターX』や『DOCTORS』など、テレ朝のシリーズモノが強いのだが、令和の月9が背中を追っている形だ。

また、ミステリーのはしりは『ガリレオ』(2007・2013年)あたりと思われるが、この数年、人気俳優を起用した本格ミステリーの台頭が目立つ。ディーン・フジオカ主演の『シャーロック』(2019年)、菅田将暉主演の『ミステリと言う勿れ』、綾瀬はるか主演の『元彼の遺言状』(2022年)と続いている。さんざん煽って視聴者に考察とSNSの書き込みを促す流行りのスタイルではなく、くせの強い切れ者の主人公に推理を託し、その一挙手一投足に集中できるミステリーでもある。

「シン・月9」のブランドイメージはまだ定着していないかもしれないが、確実に生まれ変わっていることがわかる。

■見ることができない月9のひそかな名作

まずは、もう一度じっくり見たいと思う月9作品をあげておく。

DVD化されていない作品や、現段階でFOD(フジテレビオンデマンド)にもその他のサブスクにもあがっていない作品が中心だ。

最初にあげておきたいのは『リップスティック』(1999年)。

主演は三上博史。舞台は少年鑑別所、不良少女(広末涼子)の再生の物語だが、いろいろと衝撃的な内容で、月9史上最も不穏な問題作とされた記憶がある。DVD化されていないので、余計に見たい。

そして『ランチの女王』(2002年)。

故竹内結子が主演のドラマで、元不良の女性が洋食屋の4兄弟(堤真一・江口洋介・妻夫木聡・山下智久)と親交を深め、過去と決別する物語。竹内のさっぱりした元ヤンっぷり、内に秘めた強い意志は新しいヒロイン像と感じたし、竹内の元カレを演じた森田剛も強烈な印象を残した。

また、『流れ星』(2010年)も異色作だった。

主人公の竹野内豊が病気の妹を救うために、借金を抱えた風俗嬢の上戸彩に偽装結婚&臓器提供をもちかける。はすっぱな上戸には強烈なクズ兄(稲垣吾郎)がいて不幸の元凶に。恋愛ドラマに分類されにくい作品だったが、純粋な善意の行方について考えさせられた。

最後は、裏稼業の人々を描いた『極悪がんぼ』(2014年)。

尾野真千子主演、クズ彼(三浦翔平)に借金を背負わされ、謎のコンサル会社で悪事に加担させられる女の物語。社長役の小林薫のほか、椎名桔平、三浦友和、竹内力が裏社会で暗躍する人々をリアルに演じていた。

『極悪がんぼ』
FODホームページより
『極悪がんぼ』 - FODホームページより

過去に配信していた作品もあるけれど、もう一度ねっとり見たいので、FODその他のサブスクでぜひ配信をお願いしたく。

■やっと本題、月9主演俳優マイベスト3

ここまで引っ張っといてなんだが、今回のお題は「月9主演俳優ベスト3」。これは作品ベスト3と言い換えてもいい。主演もよかったが、サブキャラクターも秀逸で、この座組をずっと見ていたいと思わせる作品でもある。

第3位 差別やマウントをしない、おしゃべりな菅田将暉

ついこの前やっていた『ミステリと言う勿れ』(2022年)である。

原作漫画のイメージとちょっと異なるタイプの顔立ちだったが、私の中では久能整というキャラクターにぴたっとハマった。無理をして人に合わせたり、媚びたりしない。かといって傲慢(ごうまん)ではない。老若男女、誰に対してもフラットかつ丁寧に接し、差別やマウントはしないし、正義をふりかざしたりもしない。とにかく、ようしゃべる。しゃべるけれども、内容は不快ではなく、むしろ深い。友達も恋人もいないが、充実した学生生活を送っている。令和を象徴する男性像として、新鮮だった。

ドラマに恋愛不要と思う人にとって、こんなに心地よいキャラクターがいただろうか。世の中を「モテ・非モテ」に分断してきた恋愛至上主義にとって代わる画期的な作品の中で、菅田は見事なアイコンになったと思う。続編を待つ。

第2位 東京に抗い、飲み込まれ、踏ん張る地方出身の若者 有村架純・高良健吾

『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016年)のW主演のふたりである。

北海道で養父母に育てられた音(有村)と福島で祖父に育てられた練(高良)。幼いときに親を亡くした共通点もあり、日常の感覚がシンクロするふたりの、順風満帆ではない恋模様を描いた作品だ。芯の強さと他者への配慮と純朴さにあふれるふたりが、東京で暮らすことによって、変化と不変の両極を見せる。

ふたりのおぼこさを際立たせたのは、脇を固めたキャラクター(高畑充希・森川葵・坂口健太郎・西島隆弘・高橋一生)だ。それぞれにも屈折した過去や生い立ちがあり、嘘をついたり、斜に構えたり、マウントしたりで精一杯の虚勢を張る姿に胸がしめつけられた。平成最後の清貧格差残酷物語という一面もあり、他の恋愛ドラマにはない独特のトーンがあったと思っている。

■ラブコメ史上最高傑作といえる作品

そして、まったく迷うことなく、即答できるのが1位だ。

第1位 杓子定規で努力を惜しまない女と屁理屈武装の怠惰な男 杏・長谷川博己

月9で最も好きな作品で、ラブコメ最高傑作と思うのは『デート』(2015年)。

『デート』
FODホームページより
『デート』 - FODホームページより

杏が演じたのは、結婚を目標に猪突猛進する国家公務員の藪下依子。賢さや真面目さ、ダサさや頑固さがすべて魅力的。あそびや余白がない女性がこんなにも可愛らしく、愛おしく感じたのは初めてかもしれない。甘さや媚びを感じさせない杏が適役だったし、比類なき月9ヒロインとして歴史に名を残すべきだと思っている。

一方、長谷川が演じたのは、一生働かずに生きるために結婚相手を探す自称高等遊民の谷口巧。口だけ達者な怠け者も、ここまで開き直ると逆に崇高に。腹立たしさもあるが、弱さや脆さを自覚しているせいか、なんだか微笑ましくもある。

不器用きわまりない恋愛不適合者のふたりを、親や友達や恋敵がなぜか支えて温かく見守っちゃう。笑って泣けて切なくて愛おしいと思えた傑作だった。

人それぞれの月9考、月9観がある。今後会う人にはいちいち「月9マイベスト」を聞いてみようかな。その返答次第で、月9の真価がわかるかもしれない。

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吉田 潮(よしだ・うしお)
ライター
1972年生まれ。千葉県船橋市出身。法政大学法学部政治学科卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。2010年4月より『週刊新潮』にて「TVふうーん録」の連載開始。2016年9月より東京新聞の放送芸能欄のコラム「風向計」の連載開始。テレビ「週刊フジテレビ批評」「Live News イット!」(ともにフジテレビ)のコメンテーターもたまに務める。

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(ライター 吉田 潮)

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