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「いい人」のままでは永遠に幸せにはなれない…自己肯定感の低い人が間違えている「自分軸」の作り方

プレジデントオンライン / 2022年10月24日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ipopba

どうすれば幸福に生きられるのか。心理カウンセラーの中島輝さんは「自分のことを自分で決めるという『自己決定感』をもつことが重要だ。自分の判断を自分以外の何かにゆだねてしまうと、幸福感はどんどん減ってしまう」という――。

※本稿は、中島輝『「知らんがな」の心のつくり方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■周囲に「振りまわされる」人の3つのパターン

誰かに道を決めてもらっていると、自分で自分の幸福感を知らないうちに減らしてしまいます。それはあまりにもったいないこと。

他人や世の中が決めた“正解”に振りまわされてしまうのは、主に次のようなパターンがあります。

1 自分が経験して学んだ知恵ではなく、他人から与えられた知識を優先してしまう
2 自分が決めた規律ではなく、社会的な同調を優先してしまう
3 自分の個性や特質、強みではなく、社会的な成功を優先してしまう

この3つのパターンに見られるのは、すべてのものごとを固定観念や既成概念で決めているということです。

1のパターンは、自分に自信を持てていません。自分が経験して学んできた知恵はこの世で唯一無二の貴重なものにもかかわらず、それを大切なものとして扱うことができなくなってしまうのです。そんなときほど、他人の発言や他人から与えられた知識に頼りがちになります。

■成功そのものを追い求めていては幸せになれない

2のパターンは、自己肯定感のひとつ「自己決定感(自分で決定できる感覚)」が不足しています。1のように他人から与えられた知識を優先していると、自分のことを自分で決められなくなり、自己規律が持てなくなってしまいます。

すると、とにかく失敗したくないために、周囲に合わせようとしてしまいます。そのほうが楽だし、ときに得をすることもあるからです。それによって、ますます自分でものごとを決められなくなる悪循環に陥ります。

ただ、心の奥底には、本当に自分がしたいことやありたい姿があるものなので、そのイメージ像と実際の言動にギャップが生じてつらくなってしまう。投げやりになったり、生きる力も湧かなくなったりします。

3のパターンもよく見られ、「承認欲求」が強くなり過ぎている状態です。2のように社会的な同調を優先していると、程度の差こそあれ、一般社会的な成功を目指すようになります。自分のオリジナリティや卓越性ではなく成功そのものを求めるようになり、世の中の人が「すごい」「うらやましい」「あの人のようになりたい」と思うような姿にとらわれて、自分の個性、特質、強みといった大切なものに目が向かなくなるのです。

■マイナスの状態ばかりが続くわけではない

すると、たとえ社会的な成功を収めても、心に虚しさが残り続けます。「文化的催眠」と「同調圧力」に負けて振りまわされている状態です。さらに、その嫌な気分を打ち消そうとしてより社会的な成功を目指してしまうため、いつまでも幸福になれない負のループにはまってしまいます。

もちろん、人生を生きるなかでは、誰しも自分を肯定できないときもあると思います。どれだけタフな人でも心の状態が下がり気味のときはあり、これら3つのパターンに陥ることはあります。

ただ、そんなマイナスな状態のときでも、心に「あいまいさ」があれば、周囲に振りまわされることを減らせます。心や感情はそもそも揺れ動く「あいまい」なものだと知っているので、いま自分がマイナスの状態であることを客観視でき、その状態もいずれ変わっていくことがわかるからです。

まさに、前稿で述べた、「森を見てから木を見る」ことができるため、一時的にネガティブになって少々振りまわされたとしても、すぐに自力で元に戻れるでしょう。

うっそうとした森のなかで延々と迷わずに、ほどなくして自分を取り戻すことができるはずです。

■他人に振り回されないための2つのコツ

では、他人や周囲のことが気にならないようにするには、具体的にどうすればいいのか。

わたしの臨床経験をもとに、周囲に振りまわされることが多い人の特徴をたどっていくと、振りまわされないコツを見出すことができます。

周囲に振りまわされないコツ1

「Be(なんのため)」「Have(~をもちいて)」「Do(~しよう)」を決める

まず、自分が「なんのため」に、「~をもちいて」、「どのように行動していくか」を決めることです。他人が決めた目標や評価ではなく、あくまで「自分のための目的」を持つと心に決めましょう。

人生の目的といったような、大きなものに限りません。日常生活のなかの、ちょっとした判断や決断の一つひとつに、ぜひ「なんのため?」と丁寧に問いかけてみてください。

そして、いったん目的を定めたら、それを実行するための手段を考えましょう。なるべく具体的な行動に落とし込むことがポイントです。

この「Be・Have・Do」を意識し続けていると、やがて自分だけのスタイルがおぼろげに見えてきます。自分の個性、特質、強みといったものが少しずつわかってくるでしょう。

■「自分がすべきこと」に立ち返ってみる

周囲に振りまわされないコツ2

「Must(自分がすべきことはなにか)」「Can(そのためにできることはなにか)」「Will(もっとしたいことはなにか)」の順番を確かめる

次に、「自分がすべきことはなにか」、もしできていなかったら「そのためにできることはなにか」、さらに「もっとしたいことはなにか」の順番で、さらに自分を見つめてみましょう。

周囲に振りまわされてしまう人は、自分と他人とを比べたり、他人が気になったり、その言動を見過ぎたりしています。ですから、自分がすべきことに立ち戻ってみて、具体的にできることを考えていくのです。

「なんとなく周囲に振りまわされている」
「最近ちょっと自分らしくないかも……」

ふとそんなことを感じたら、このふたつのコツに立ち戻って、自分に対して「大丈夫かな?」「守れているかな?」といってあげましょう。そうするだけでも、周囲に振りまわされることが減っていき、自分の道を進んでいく手掛かりを掴めると思います。

野生の白い草の花の花の花の花の花の背景が花。シンプルで自然の美しさ。人生のインスピレーションのインスピレーションの概念のための背景。
写真=iStock.com/Maria Marganingsih
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Maria Marganingsih

■周囲が気になるのは、自分で決めることができないから

そもそも、なぜ他人のことが気になってしまうのかというと、「人生でなにをやるのか」「いつやるのか」「どのようにやるのか」といったことが、自分の力で決められなくなっているからです。

先述の3つのパターン(自信がない、承認欲求が強過ぎる、権威や地位を気にする、集団・組織での立ち位置が気になる……)に陥っていて、「自己肯定感」が低くなってしまっているからです。

そうならないためにも、ぜひ折に触れて、「周囲に振りまわされないコツ」に立ち戻ってほしいのです。習慣になるくらいまで1と2のコツに立ち戻って考え、行動する癖がつくと、少しずつ他人のことが気にならなくなっていきます。

自分本来の個性や能力を十分に発揮するためには、なによりもまず自己肯定感を高めて、心を整えていくことが欠かせません。

■「ブレない自分軸なんていらない」

周囲に振りまわされないためには、「ブレない自分軸」が必要だといわれることがあります。「信念」「信条」「信じる道」と言い換えてもいいですが、いわゆる自己啓発やコーチングの世界では、この自分軸が「あいまい」ではいけないとされます。

でもわたしは、いつも、「ブレない自分軸なんかいらないよ」とみんなにアドバイスを送っています。

木にたとえると、ブレない自分軸は、いわば一本の大木です。強く頑丈なように見えますが実は案外もろい面があり、嵐などがくるとあっさり倒れることもある。それこそ近年の自然災害では、大木が次々と倒れる光景をニュースなどで見る機会も増えました。

要するに、平時なら信念や「ブレない自分軸」も役に立ちますが、パンデミックのような非常時や先の見えない時代においては、ほとんど耐性がなくて役に立たないのです。

また、いったん倒れてしまうと、ゼロベースからつくり直さなければならず、新たに信念を持つのは容易ではありません。

■どれだけブレたって問題ない

それよりもわたしは、「しなやかな自分軸」を持つことをおすすめしています。自分軸を持つのがいけないのではなく、まるで竹のようにしなる、強靭な自分軸を持つのがポイントです。

竹は地中に根をたくさん張り、中は空洞で節目もあるためそう簡単には折れません。大きくしなっても、いつでも元に戻れる強靭さを備えています。実際に、むかしから「地震があったら竹やぶに逃げろ」といわれるほどです。まわりの環境が大きく変化するときは、細くてもしなやかなほうが、強さを発揮できます。

ここでお伝えしたいのは、ブレない自分軸や信念などは必要なく、「どれだけブレてもいい」ということ。

しなやかな自分軸があれば、ブレても自分で元に戻れるし、なにかに振りまわされても簡単には折れません。なんなら、ブレた先で出会ったなにかを、めいっぱい楽しんでもいい。それはそれでいつもとは違った新しい体験を得ることができ、その体験がもっとあなたを強くしなやかにしてくれるでしょう。

■自己肯定感の総量を増やしていく

わたしたちは、いくらでもたくさんのことに興味を持っていいし、未知のものごとにどんどん挑戦したほうがいいのです。

「ブレない自分軸」にこだわっていると、いつまで経っても変わらない自分のままです。「これはこう」と決めることは、ある意味ではとても原理的な態度であり、自分で自分の可能性を潰しかねません。

もちろん、確固たる自分軸によって、なにが起こってもブレずに強く生きていける人はそれで構いません。でも、そんなふうにいかない人がほとんどですよね? 信念や「ブレない自分軸」がいい意味のこだわりになればよいのですが、たいていの場合は頑固さに変わってしまい、どんどん生きづらくなってしまいます。

そうではなく、強い風に吹かれて大きく揺れ動いたとしても、大きくしなってまた元に戻ればいいだけのこと。これからの時代には、そんな「しなやかな自分軸」のほうが大切なのは間違いありません。

葉のある緑の竹の木のクローズアップ。
写真=iStock.com/baona
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/baona

「しなやかな自分軸」を持つためには、わたしたちが生まれつき持っている自己肯定感を、できるだけ高めていくことが必要です。

生まれつきといっても、生育環境や時代背景、意識的なトレーニングなどの後天的な要素によっても自己肯定感は高くなったり低くなったりします。そのため、たとえいま自己肯定感の総量が低くても、それは高めていくことができるので安心してください。

■何歳からでも遅いということはない

ここで、あなたの自己肯定感の総量をチェックしてみましょう。

中島輝『「知らんがな」の心のつくり方』(KADOKAWA)
中島輝『「知らんがな」の心のつくり方』(KADOKAWA)

自分の自己肯定感の総量レベルを知るだけでも、自分の心の揺れ動きを客観的に掴みやすくなります。

そのうえで、自己肯定感の6つの感は何歳からでも高めることができるので、「しなやかな自分軸」をつくるのにもっとも効果的な方法となります。

具体的な方法は『「知らんがな」の心のつくり方』(KADOKAWA)で紹介しますが、少しずつ「しなやかな自分軸」をつくっていけば、周囲の環境の変化に対して柔軟に対処できるようになります。状況把握能力が上がり、誰とでも調和が取れるようになるので、もっともっと楽に生きていくことができます。

そんな強くしなやかな姿は、まさに「あいまいさ」に通じています。

いまは、先が見えないカオスな時代です。そんな予測不能な環境においては、ブレない一本の木を立てようと頑張るのではなく、カオスのなかでブレながら、むしろブレた先でも楽しみながら、軽やかに経験を積んでいく「しなやかな自分軸」のほうが役に立つでしょう。

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中島 輝(なかしま・てる)
心理カウンセラー
自己肯定感アカデミー代表、トリエ代表。困難な家庭状況による複数の疾患に悩まされるなか、独学で学んだセラピー、カウンセリング、コーチングを10年以上実践し続ける。「奇跡の心理カウンセラー」と呼ばれメディア出演オファーも殺到。著書に『何があっても「大丈夫。」と思えるようになる自己肯定感の教科書』『書くだけで人生が変わる自己肯定感ノート』『自己肯定感diary 運命を変える日記』(すべてSBクリエイティブ)、『1分自己肯定感 一瞬でメンタルが強くなる33のメソッド』(マガジンハウス)、『習慣化は自己肯定感が10割』(学研プラス)などがある。

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(心理カウンセラー 中島 輝)

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