食事は1日1食、家具はすべてダンボール…4年半で2000万円を貯蓄した会社員の"驚きの節約術"
プレジデントオンライン / 2022年10月30日 11時15分
※本稿は、くらま『すごい貯蓄 最速で1000万円貯めてFIREも目指せる!』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■お金を貯めることだけを考える「節約マシン」に
私は数年前まで、借金まみれでした。そんな自分の人間性や生活ぶりが、ほとほと嫌になりました。そこであるとき、プライドとか見栄を全部なくして、「自分は日本一のくず人間だ」と思うようにしたのです。そしてお金で苦しまない自分になることを決意しました。
「自分以下はいない。だからもうここから這い上がるしかない」、そう覚悟を決めました。私の好きな漫画『進撃の巨人』(諫山創、講談社)にアルミン・アルレルトというキャラクターがいます。彼の名言「何かを得るためには何かを捨てなければいけない」――。この言葉が心に刺さり、お金がかかるものは全部捨てました。そして、そこから圧倒的な節約生活を開始しました。
具体的には、家具を持たない。もう全部、段ボールでいい。テレビも持たない。食事も1日1食にして、なるべく食費を下げました。節約して、貯蓄するマシンになったのです。生活費は1カ月で5万円以下になりました。そして、社会人1年目。正社員として就職して、初めてもらった給料が手取り20万円以上もありました。ものすごい感動でした。
それまでバイトで5万円とか8万円とか、多くても11万円とか、そういった金額しか見たことがなかった私が、「こんなにお金を一気にもらえるのか!」とびっくりしたのです。「あっ、これなら、もしかしたら、借金を返せるかもしれない」と、そんな希望が湧いてきました。すでに節約マシンとして支出を減らすことは継続的にできていたので、そこからは「収入を多くする」という2つ目の課題に挑戦したのです。
■本業と副業で収入を増やし、あっという間に100万円の貯蓄に成功
副業OKの会社を選んでいたので、正社員として週5日働いたあとに、割のいい時給1500円以上のアルバイトもして、月に5万円から10万円余計に稼ぐようになりました。
正社員とアルバイトの掛け持ちで、1日だいたい12〜16時間など、そんなレベルで働きづめでした。本当にもう、寝ているか仕事しているかという、起きているときはずっと働いている状況でした。
一方で、本業の収入も増やすことを考えて、社内の資格を取り、それで月5000円の資格手当をもらえるようになりました。とにかく自分ができること全部をやって収入を上げていきました。結果として、社会人1年目からすでに、月30万円から35万円の収入を得ることができました。
生活費は5万円以下なので、最低でも30万くらいは余りました。するともう面白いくらいに預金残高が増えて、あっという間に100万円を貯めることができたのです。「何でこんなにお金が貯まるんだ!」。びっくりして、そして、その成功体験がまた新たな成功体験を生んで、ますます貯蓄と節約が楽しくなったのです。
本業中もアルバイト中も、頭の中ではずっとお金の計算をしていました。「今、この時給がいくらだから、今日働いたらいくらになる」「何カ月後にはこれくらいお金が貯まる」ということをずっと計算し、「じゃあ1年後に借金は返せるな」と。
■『闇金ウシジマくん』を見て初心を忘れずに貯蓄に励んだ
それと同時に、漫画『闇金ウシジマくん』(真鍋昌平、小学館)の映画とドラマを毎日、毎日、ずっと見て、「ここに出てくる多重債務者は全部、自分自身だ」と思い込むようにしていました。そうやって節約開始時の志を忘れないようにしてきたのです。そうした結果、確実にお金が貯まり、そして確実に、着実に、お金の悩みというのは小さくなり始めました。
そしてお金の悩みが小さくなっていくにつれて、私には一つの生き方というか、渇望するものが出てきました。それは、「平穏な日常を取り戻したい」ということ。小学生の頃のように純粋な気持ちで、うれしいことはうれしい、悲しいことは悲しい、と、ちゃんと感情を持てるような人間になりたいと思ったのです。
やっぱり、経済的余裕とともに精神的余裕こそが大切だと。そこを意識して改善するようになった結果、心身ともに安定しました。また、お金に余裕ができると、それが防弾チョッキみたいになって、不安がなくなり、何があっても動じなくなりました。家計と人格と習慣、この3つが整い始めました。すると、自分の収入から80%を貯金できるようになりました。
■1年間で約300万円の奨学金を完済
人格の面では、人に対して思いやりを持てるようになってきました。「そんな当たり前のこと?」と思うかもしれませんが、恥ずかしながらお金に余裕がなかった頃は人をまったく思いやることができませんでした。ですがお金に余裕が生まれ始めてからは、家族、友達に対して余裕をもった視点で対応できるようになりました。
さらに、自堕落な生活だった自分に、運動の習慣、料理する習慣、ちゃんと仕事に行って働く習慣、勉強する習慣、こういった「いい習慣」がつき始めたのです。もちろん、節約する習慣も。
おかげで、心と体の健康を維持することができ、1年間で250万円から300万円のお金を蓄財することに成功しました。大学進学の奨学金も社会人1年目ですべて返すことに成功しました(借金384万円のうち72万円は結局使いませんでした。また、大学を卒業してニートやフリーターをしていた期間に24万円ほど返済していました。残った借金は288万円。これをこの社会人1年目ですべて返しました)。
ついでに、過去、返済を滞納していたお金も一括で払いました。そこから、「自分以外にもこういったお金の悩みを抱えている人はいるんじゃないか」と問題意識のようなものを持つようになりました。周りの何人かの人に聞くと、「お金に困っていたり、貯金できない人が実は身近にものすごくいる」ということが分かったのです。
■周囲が「お金が貯められないような習慣」をしていることに気づく
私自身が借金生活を送り、まったくダメな人格と行動と生活習慣をもっていたのにもかかわらず、お金を貯められるようになり、人格や習慣も整ってきたところで冷静に周りを見てみると、案外、自分の親だったり、友人・知人などいろんな人が、お金が貯められないような習慣をしていることに気づきました。考え方だったり、発言だったり、持っているものだったり、すべてがお金を貯めることとは真逆のことをしている人が多いと気づいたのです。
そこで、貯蓄や節約の重要性を伝えたい、それが誰かのためになって、さらには日本をよくすることにもつながるんじゃないかと思い、YouTubeで発信を始めました。そして、その予想はあたり、観てくださる方が順調に増え、今に至ります。
野村総合研究所の推計によると、日本の世帯の80%は資産3000万円を持っていないそうです。しかし、私はそうした統計を知る前に、自分と自分の周りを見て、そうなってしまう世の中の法則に気づいてしまいました。そう、お金のない人は、ずっとお金のない状態をループするということに。
■もっとも突破が難しく重要なのが「100万円の壁」
お金を貯められる人は貯められるし、貯められない人は貯められない。そして貯められない人は一生貯められなくて、ずっと貧困をループする。そして、かつて私が陥っていたのは、まさにこの貧困のループだと分かりました。
借金や預金残高だけではありません。生活習慣も行動も考え方も全部が貧困につながっていると分かったのです。ここから抜け出す方法がただ一つあります。どこかで覚悟を決めて、圧倒的に節約して、貯蓄することです。どこかの時点で一点突破するんです。
具体的に言うと、前述した「お金をめちゃくちゃ使わないか」「お金をめちゃくちゃ稼ぐか」「お金をめちゃくちゃ増やすか」、この3つです。社会に出たばかりの当時の私に何ができるか、自分の環境では何が一番適切かと考えたときに、「お金をめちゃくちゃ使わない」、当時はただこれ一つだったわけで、まずはそれをひたすら実践したのです。
圧倒的に使わないでお金を貯める。このためのステップとして、ちょっと話を変えて、私が繰り返し主張している持論をお伝えします。たとえば、1000万円以上の貯蓄を作る過程には、金額に応じて3つの壁が存在すると考えています。まずぶち当たるのが「100万円の壁」、次に「500万円の壁」、そして「1000万円の壁」です。
それぞれの壁の乗り越え方にはコツがあります。しかし、最も突破が難しく重要なのが、意外にも「100万円の壁」なのです。「なんだよ、100万円程度かよ」などとあなどってはいけません。現時点で貯金が100万円に満たないという方。まずは本気で100万円を貯めてみてください(すでに貯めているぞという方も、500万円、1000万円とさらに増やしていくために、読んでいただけたらと思います)。
■「100万円貯められる人」になれるかどうかで人生が決まる
一生お金に困らない人になれるか、貯められない人のまま貧乏で一生を終えるのか、その分岐点は「たった100万円」にかかっていると私は断言します。
至極当然なことを言いますが、世の中の富豪やお金がある人というのは「100万円が貯められた人」なのです。1000万円貯蓄している人も1億円貯金している人も、100万円が貯まった瞬間が必ずあったはず。そして、みんな見栄や体裁を考えて家計の話を大っぴらにしないから気づかないだけで、今の日本では100万円貯められている人のほうが少数派なのです。
たった100万円を貯めるということが、実は本当に難しいことなのだと分かるデータを紹介しましょう。「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]令和3年」によると、金融資産保有額の100万円未満と非保有者の割合は、単身世帯で47%にのぼります。
さらに年齢と中央値を見ていくと、20代の中央値は20万円、30代56万円、40代92万円、50代130万円、60代460万円となっていることが分かります。平均値だけで見ると気づきにくいのですが、100万円を持っていない人というのは実はこれだけ多いのです。
■「100万円の壁」を越えられなければ、一生お金に苦しみ続ける
加えて同調査の2人以上世帯を見ると、金融資産の保有額100万円未満と非保有者を合わせた割合は30.1%。金融資産保有額の中央値を見ると20代63万円、30代238万円、40代300万円、50代400万円、60代810万円です。これでは老後資金2000万円が必要と言われて多くの人が憤るのも当たり前。貯蓄額が足りず、お金の悩みを抱えることになる人がとても多いのです。
ほとんどの人は、貯蓄が大切であることや老後に2000万円必要らしいということはどこかで聞いたり学んだりしてきたのではないかと思います。それでも貯められていない……。このように見ていくと、100万円の壁は一見低く感じるけれど、実際に乗り越えようとしてみたらなかなか高いハードルなのだと思いませんか?
この壁を突破できない人は永遠に超えられず、手元のお金が減っては増え、増えては減るのを繰り返し、一生お金に苦しみ続けます。私自身がまさにその負のループのどん底にハマり、抜け出すために現在のような貯蓄生活にたどり着き、見事脱却することができたのです。
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会社員
ファイナンシャルプランナーの資格を有する会社員。東京都内で一人暮らしをしながら、社会人1年目で奨学金約300万円を完済。4年半で貯蓄2000万円を達成する。その貯蓄術やお金のノウハウを発信するYouTubeチャンネル「倹者の流儀」が大きな話題に。自身の成功・失敗体験を踏まえた本音の教訓と、分かりやすい解説で、多くの支持を得ている。著書に『すごい貯蓄 最速で1000万円貯めてFIREも目指せる!』(KADOKAWA)がある。
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(会社員 くらま)
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