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「野球を知らなくても野球番組の司会はできる」島田紳助が実践していた"賢い知ったかぶり"のやり方

プレジデントオンライン / 2022年10月31日 11時15分

島田紳助さん(写真=時事通信フォト)

勉強不足でその場の話題についていけないときはどうすればいいか。大手広告代理店で管理職をつとめる後田良輔さんは「お笑い芸人の島田紳助さんがお手本になる。話題の全体を把握していなくても、細部について熱く語ることができれば、その話題に詳しい印象を与えられる」という――。

※本稿は、後田良輔『ミスを最大のチャンスに変えるリカバリーの技術』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

■プロ野球に詳しくないのに野球番組を担当していた島田紳助

知っているべきことを知らなかった(勉強不足)
×知ったかぶりした
○そもそもの根本のゴールを確認し、それに基づき対応した

島田紳助さん。ダウンタウンの松本人志さんに、「僕は、この方がいなかったら、今、ここにいないと思います」と言わしめた伝説のお笑い芸人です。彼の特徴のひとつに、「何でも知っている」「賢い」と思われる話術がありました。

しかし本人曰く、「タレントなんて頭悪いし、時間もないし、努力するのも嫌いだし(途中割愛)。一分野につき一カ所を掘り下げて、全部を知っているような顔をすればいい」とのこと。実際、彼は「プロ野球珍プレー・好プレー大賞」という番組の司会を17年やっていましたが、プロ野球のことはほとんど知らなかったそうです。

ただ、周りからはマニアレベルで知っていると思われていました。その秘密は、みんなが知っている選手ではなく、微妙に聞いたことのあるマイナーな選手についてのみ勉強し、熱く語るという手法にありました。

2021年のメジャーリーグでたとえると、大活躍した大谷翔平選手ではなく、別の選手について熱く語るイメージです。人は「えっ? なんでそこ?」という情報があると思わず食いつき、マイナーなものの魅力を熱く語る姿に、「こいつ、めっちゃ詳しい」と思うものです。実は詳しいのはマイナーなことだけで、全体のことは知らなかったとしても。

■「細部を熱く語る」というテクニックは仕事でも使える

この「全体を知らなくてもいい。細部を熱く語る」というテクニックは、私たちの仕事にも使えます。たとえば打ち合わせ、社内外の会議など、事前に勉強しておかなくてはいけないことは山ほどあります。でも現実的にすべてを把握するのは無理ですよね。

そんなとき、VIPたちは勉強不足を知ったかぶりで切り抜けるのではなく、相手が求めている根本のゴールを確認し、それに貢献できる「自分が語れる別の事例」を熱く語ることで、相手の悩みに貢献していました。

相手はあなたに勉強してほしいわけではありません。自分の悩みや課題を解決し、安心させてほしいと思っています。その観点で考えれば、自分の知っている情報でゴールに貢献できれば問題ないのです。大切なのはすべてを勉強することではなく、持っている知識で相手の課題に貢献することです。

GATE(Goal、Action、Technology、Emotion)の公式で整理すると、次のようになります。

ゴール
相手の課題に貢献する。
アクション
自分の得意分野で、相手の悩み解決に役立つ情報を伝える。
テクノロジー
そもそも相手が求めるゴールの根本を把握し、自分が詳しい分野の中でゴールに貢献できるたとえ話や事例を「別の事例の話になりますが」などと言いながら話す。たとえば、相手が50代で自分が20代、議題がコロナ後の動きであれば、経済の動きを勉強していなくても、自分の周囲から最近の若い人の動きなどを話すイメージです。
エモーション
得意分野を語ったとしても、その事柄についての勉強不足は事実です。「次までに○○についてもっと勉強しておきます」など、反省の姿勢を見せましょう。

■賢くなるのではなく、「賢いんちゃうかな?」と思われればいい

アドリブで打ち合わせに臨(のぞ)むと失敗しやすくなります。相手や周りの人に、「事前に読んでおくべき資料はありますか?」などと確認しておくことで、勉強不足での失敗を避けられる可能性もあります。

「僕たちは賢くなる必要はないんです。『賢いんちゃうかな?』って思われたらそれでいいんです」と島田紳助さんは言いました。ビジネスも同じです。大切なのは、相手があなたに価値を感じること。

■一瞬で消えるタレントと、長く売れる人はなにが違うのか

「時間を守る」「メモを取る」どれもビジネスパーソンにとって当たり前のことですが、意外とおろそかにしている人が多いものでもあります。そして、これらの基本を徹底しないことが原因で失敗し、評価を落とす人がいます。

私はこれまで3000人のVIPと交流し、彼らの成功の秘密を研究してきました。その中で発見したことの1つに、彼らは「プラスを積み上げるより、マイナスを減らすことを重視している」ということがあります。「信頼を失うのは一瞬、取り戻すのは一生」と言われるように、基本を徹底しないと損をします。たとえば、「一発屋」と呼ばれる一瞬だけ売れて消えていくタレント。

私は広告会社という仕事柄、旬なタレントと交流することが多いのですが、長く活躍されるか、一瞬で終わるかは3分も一緒にいれば、すぐにわかります。長く活躍される方は、見た目が派手でキャラが型破りであっても、裏ではとても丁寧で礼儀正しい方ばかり。撮影現場のアシスタントたちにも、一人ひとりのところに出向き、「今日はよろしくお願いします」などと、挨拶したりします。

一方、一瞬で消えるタレントは、とても横柄。マネージャーを3人くらい連れて歩き、自分の世話をさせ(いわゆるパシリですね)、カメラが回っていないところでは、言葉遣いも乱暴。テレビではこのような行為は映りませんが、目の前にいる制作現場のスタッフはその言動を見ています。その結果、スタッフの信頼を失い、おのずと仕事が減り、当然のように消えていきます。

うなだれる男
写真=iStock.com/KatarzynaBialasiewicz
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/KatarzynaBialasiewicz

■“当たり前”を積み重ねることが成功の秘訣

信頼構築に才能はいりません。童話「うさぎとかめ」のかめのように、当たり前のことを1つずつ実践するだけでOKなのです。そうすることで、気づけば、とんでもないところまで誰でも到達できます。

重要なのは、うさぎのように自分の長所を過信し、途中で手を抜かないこと。たった一度の手抜きで、これまで積み重ねた信頼を失う人が本当に多いのが、世の中の現実です。人生はマラソンです。一瞬のスピードの速さも魅力的ですが、それが長く続かないのであれば意味がありません。

当たり前のことを徹底し、マイナスを減らす。そして長く走り続ける。基本を徹底すれば誰でも大器晩成になれます。当たり前のことを当たり前にするだけで成功が約束されているのですから、やらない手はないですよね。

■人がもっとも成長するタイミングは失敗の直後である

VIPと交流し、彼らの成功の秘密を研究する中で発見したことの1つに、彼らは「失敗の旬を意識している」というものがあります。魚介類や野菜には、食べ頃の時期の「旬」があります。たとえば冬の味覚と言われるカニ。旬の冬に食べると、ほかの時期とはまったく異なる別次元の美味しさを堪能することができます。

ほとんどの食材は、冷凍技術のおかげで一年を通して食べることができる時代ですが、旬は別もの。同じ食材とは思えないほどの美味しさを私たちに提供してくれます。この食べ物と同じ「旬」が、失敗にも存在するとVIPは考えているのです。

「失敗は成長の母」とは昔から言われているように、失敗の痛みを経験することで、それを回避するための新しい知恵を身につける習性を人は持っています。「その習性を最大化させることはできないか?」とVIPは考え、導き出した結論が、「人がもっとも成長するタイミングは失敗の直後である」ということです。

■成長の機会は、目の前の失敗の直後に存在している

失敗した直後は、誰でも嫌な気持ちになり、なるべく早く忘れたいと思うものです。人によってはお酒に逃げる人もいるかもしれません。

後田良輔『ミスを最大のチャンスに変えるリカバリーの技術』(明日香出版社)
後田良輔『ミスを最大のチャンスに変えるリカバリーの技術』(明日香出版社)

しかしVIPはそうした気持ちにぐっと耐え、あえて失敗の直後に、「なぜ失敗したのか?」「どうすれば良かったのか?」と深く考えていました。なぜなら失敗の直後以上に、危機意識を真剣に持ち、問題に向き合える時期は存在しないから。成長の機会とは、与えられるものではなく、自分で失敗の中から見いだすものです。

彼らは、成長に最適な旬に、今後のリカバリーに取り組まないのは損だと考えていたのです。「失敗の原因を素直に認識し、『これは非常にいい経験だった。尊い経験になった』というところまで心を開く人は、後日進歩し成長する人だ」と、松下幸之助は言っています。失敗にも旬があります。松下幸之助が言うように、失敗の原因を素直に検証しましょう。

それも失敗した直後の「旬」の時期に。それがあなたを成長させる最良の方法です。最適な成長の機会は、過去や未来にあるわけではなく、目の前の失敗の直後に存在しているのです。

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後田 良輔(うしろだ・りょうすけ)
大手広告代理店管理職
1972年生まれ。大手3大広告代理店に営業職として勤務し、「誰でも使える気配り術」を駆使する気配りのプロフェッショナル。特別丁寧に接しなければならない顧客との交流で磨かれたスキルと、「東京・名古屋・大阪」のビジネス三大都市で、実際に勤務して身につけたリアルな経験を組み合わせ、独自の「誰でも使える気配り術」を開発。その結果、飛び込み営業成功率72.6%、累計30億円以上の商談を獲得。『逆境を活かす! 就活面接「エモロジカル理論」2015年度版』(実務教育出版)、『落ちこぼれでも3秒で社内エースに変わる! ぶっちぎり理論38』、『気配りの正解』(ともに、ダイヤモンド社)、『ミスを最大のチャンスに変えるリカバリーの技術』(明日香出版社)などがある。

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(大手広告代理店管理職 後田 良輔)

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