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なぜあなたは「認められていない」と不満をもつのか…「自分らしい生き方」が見つかる3つの質問

プレジデントオンライン / 2022年10月31日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/recep-bg

自分らしい生き方を見つけるには、どうすればいいか。英ガーディアン紙のオリバー・バークマン記者は「生活や仕事の中で、ちょっとした不快に耐えるのがいやで、楽なほうに逃げてはいけない。快適な衰退よりも不快な成長を目指したほうがいい」という――。

※本稿は、オリバー・バークマン著、高橋璃子訳『限りある時間の使い方』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■時間を支配しようとするほど苦しめられる

時間を支配しようとする態度こそ、僕たちが時間に苦しめられる原因である。

いつか時間を手なずけたい、という願いを持つのは理解できる。時間が思い通りにならないのは誰だって不安なものだ。でも残念なことに、その願いが叶うことはけっしてない。

あまりにも限られた人生のなかで、あらゆる要求に対応し、すべての重要な計画を成しとげるなんて、どんなに頑張っても絶対に不可能だ。だから、人生は必然的に、厳しい選択の連続になる。

限られた時間を思い通りにコントロールできず、正確に予測することさえもできない僕たちは、この先もずっと未来への不安を抱えつづけるだろう。つねに不確かさを感じながら、何が起こるかわからない未来を無力に待ち受けるしかない。

■人生を生きはじめるための3つの質問

もっと時間や人生について具体的に理解するために、次の3つの質問について考えてみてほしい。

すぐに答えが出なくてもかまわない。詩人リルケの有名な言葉を借りるなら、重要なのは「問いを生きる」ことだからだ。

真摯(しんし)に自分に問いかけるだけでもいい。そのときあなたは、すでに自分の置かれた現実に向き合い、限られた時間を精いっぱい生きはじめていることだろう。

<質問1>

生活や仕事のなかで、ちょっとした不快に耐えるのがいやで、楽なほうに逃げている部分はないか?

自分にとって重要なものごとに取り組むときには、不安がつきものだ。

目の前には厄介な現実が立ちはだかり、未来はどう転ぶかわからない。挑戦は失敗に終わるかもしれない。自分の才能のなさが露呈するかもしれない。恥をかき、気まずい会話をし、せっかくの期待を裏切ってしまう可能性も高い。誰かとの関係にコミットするなら、自分の心配だけでなく相手の心配まで降りかかってくる。どこまでも負け戦だ。

そんな不安から逃げるために、人は現実逃避の道を選びがちになる。先延ばしにする、気晴らしに時間を費やす、コミットメント恐怖症になる、急に片づけを始める、一度に大量のプロジェクトを引き受ける、といった具合だ。

これらはすべて、自分が主導権を握っているという幻想を維持するための手段である。

また、一見違うように見えるけれど、心配性もそれと大差はない。考えてもどうにもならないことをあれこれ心配して、あたかも自分がものごとを決める立場にいるかのような幻想にしがみついているだけだ。

心理療法家ジェイムズ・ホリスは、人生の重要な決断をするとき、「この選択は自分を小さくするか、それとも大きくするか?」と問うことを勧める。そのように問えば、不安を回避したいという欲求に流されて決断するかわりに、もっと深いところにある目的に触れることができるからだ。

たとえば、今の仕事を辞めるかどうかで悩んでいるとしよう。そんなとき「どうするのが幸せだろうか」と考えると、楽な道に流される。あるいは、決められずにずるずると引きずってしまう。

一方、その仕事を続けることが人間的成長につながるか(大きくなれるか)、それとも続けるほどに魂がしなびていくか(小さくなるか)と考えれば、答えは自然と明らかになるはずだ。

できるなら、快適な衰退よりも不快な成長をめざしたほうがいい。

■無理な基準を自分に課すのは暴力的な行為

<質問2>

達成不可能なほど高い基準で自分の生産性やパフォーマンスを判断していないか?

いつの日か時間を自由自在にできるはず、という幻想を持っている人は、時間の使い方について達成不可能な目標を自分に課してしまいがちだ。

現実には、無限にやってくる要求にすべて対応できるほど効率的なやり方など存在しない。仕事や家庭、社交、旅行、政治活動にそれぞれ「充分な」時間を費やすことは、まず不可能だ。

うず高く積まれた書類の束の横で頭を抱える女性
写真=iStock.com/Bignai
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Bignai

いつかそれが実現できると思って、つねにそのための準備をしていれば、ある種の安心感は得られるかもしれない。でもそれは、偽りの安心感だ。

もしも救いがけっして来ないことを知っていたなら──つまり、あなたの基準は永遠に達成できず、充分な時間は永遠に手に入らないことが確かだとしたら──あなたは今日、自分の時間をどう使うだろうか?

自分の場合は仕方ないんだ、と反論する人もいるだろう。不可能だとしても、とにかくやらなければ大惨事が起こるんだ、と。たとえば、「不可能なほどの仕事をこなさなければ、クビになって収入源がなくなる」とあなたは言うかもしれない。でも、本当にそうだろうか。

不可能な量の仕事は、どうやったって不可能なはずだ。たとえ大惨事が起ころうと、できないことができるようになるわけではない。それなら、できないという現実を見つめたほうがよほど健全なのではないだろうか。

誰も達成できない(そして多くの人が他人には要求しようと思わない)ような基準を自分に課すのは暴力的な行為だ、とイッド・ランダウは指摘する。人道的見地からいっても、そんな努力は今すぐにやめたほうがいい。

無理な基準など、ぜんぶ地面に投げ捨ててしまおう。

その瓦礫のなかから重要なタスクだけをいくつか拾い上げ、今すぐに始めよう。

■人生はいつでも途中経過ではなく本番だ

<質問3>

ありのままの自分ではなく「あるべき自分」に縛られているのは、どんな部分だろうか?

有限性に直面するのを避ける方法として、もうひとつありがちなのが、現在の生活を「いつかそうなるべき自分」への途中経過と捉える態度だ。今が人生本番であるという気まずい真実から目をそらし、親や世の中の期待に応えられる自分になるまでは、準備段階のつもりでいるのだ。

いつか正しい自分になれたら、そのときこそ人生はもっと安心で確実なものになるだろう。

こういう態度は、一見わかりにくい形で現れることもある。たとえば政治や地球環境の危機が解決するまでは、楽しみを先延ばしにしようという生き方だ。

地球の大問題と立ち向かう以外に、やるべきことなど何もない。それを放置して人生を楽しむなんて、利己的だしまちがっているじゃないか、と。

どちらも「あるべき自分」を想定し、それを誰かに認めてもらおうとしている点では大差ない。しかし、いつまでも他人の承認を求めていていいのだろうか。

心理療法家のスティーブン・コープは言う。

「人はある年齢になると、衝撃的なことに、自分がどんな生き方をしようと誰も気にしていないことに気づく。人の期待に応えることばかり考え、自分を後回しにしてきた人にとって、これは非常に恐ろしい発見だ。自分のことを気にしているのは自分だけなのである」

安心するために誰かに認めてもらおうという試みは、はじめから無駄で、不要なものだったのだ。なぜ無駄かというと、人生はつねに不確かで思い通りにならないからだ。そしてなぜ不要かというと、誰かに認めてもらうまで生きはじめるのを待つ必要なんかどこにもないからだ。

心の安らぎと解放は、承認を得ることからではなく、「たとえ承認を得ても安心など手に入らない」という現実に屈することから得られる。

誰に認めてもらわなくても、自分はここにいていい。

そう思えたときに、人は本当の意味で、善く生きられるのだと僕は思う。

■時間をどうやって過ごすと「楽しいか」を問い続ける

「こうあるべき」というプレッシャーから自由になれば、今ここにいる自分と向き合うことができる。自分の強みや弱み、才能や情熱を認め、その導きのままに進んでいくことができる。

オリバー・バークマン著、高橋璃子訳『限りある時間の使い方』(かんき出版)
オリバー・バークマン著、高橋璃子訳『限りある時間の使い方』(かんき出版)

危機的な世界を救いたいというあなたの情熱は、ひょっとすると政治や社会運動を通じてではなく、親戚のお年寄りの世話をしたり、作曲をしたり、お菓子を焼いたりすることを通じて実現できるかもしれない。

僕の義理の弟は、ラグビー選手みたいにたくましい南アフリカ人でありながら、バターと砂糖で繊細なフロスティングを施し、受けとる人に驚きと喜びを与えるようなパティシエとして働いている。そんな些細な行動こそ、危機に直面した世界へのささやかな貢献になるかもしれない。

瞑想指導者スーザン・パイヴァーは、時間をどうやって過ごしたら「楽しいか」という不慣れな質問が、なんだか居心地の悪いものであることを指摘する。けれど少なくとも、その答えを頭ごなしに否定しないでほしい。

自分が楽しいと思えることが、最善の時間の使い方かもしれないのだから。

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オリバー・バークマン ガーディアン記者
イギリスの全国紙ガーディアンの記者として、外国人記者クラブ(FPA)の若手ジャーナリスト賞などを受賞した気鋭のライター。著書『解毒剤 ポジティブ思考を妄信するあなたの「脳」へ』(東邦出版)が世界各国で話題を呼んだ。ガーディアン紙で心理学に関する人気コラムを毎週執筆中。ニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルといったアメリカの有名紙、雑誌『サイコロジーズ』や『ニュー・フィロソファー』にも記事を寄せている。ニューヨーク在住。

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(ガーディアン記者 オリバー・バークマン)

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