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20分以内にご飯を完食する人は要注意…カレーとラーメンが太りやすい「カロリー以外の理由」

プレジデントオンライン / 2022年11月12日 14時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Peopleimages

「よく噛んで食べなさい」と言われるのはなぜか。医師の今井一彰さんは「唾液には抗菌作用や抗炎症作用のある物質が含まれているので、たくさん噛んで唾液をたっぷり出すことが重要だ。また、よく噛むと満腹中枢が刺激されるので肥満防止にもなる」という――。

※本稿は、今井一彰『名医が教える 炎症ゼロ習慣』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

■「よく噛んで食べる」のすごい効果

「よく噛んで食べなさい」。先生や両親などから、だれもが一度はこう注意されたことがあるでしょう。聞き飽きたという人も多いでしょうが、実はこの昔ながらの教えは、慢性炎症の予防や改善に役立つことを知っていましたか?

その秘密は唾液にあります。

食べ物を噛んでいると、その刺激が脳に伝わって、反射的に唾液が分泌されます。この唾液には、体のサビ(活性酸素)を除去するはたらきがあるのです。唾液には抗酸化作用のあるペルオキシダーゼという酵素が含まれているんですね。

さらに、唾液には抗ウイルス・抗菌作用を持つ物質も含まれています。唾液には体にとって悪い菌が侵入しないように防ぐ役割もあるわけです。

■唾液には歯周病を抑えるはたらきもある

唾液がたっぷり出ていると、炎症を引き起こす感染症にかかりにくくなります。

たとえば、歯周病も感染症の一種で、慢性炎症をともないますが、唾液にはこの歯周病の原因となる歯周病菌の増殖を抑えるラクトフェリンとラクトペルオキシダーゼという成分が含まれています。これらの成分は歯周病菌だけでなく、多くの病原菌への抗菌作用、抗炎症作用などがあると言われています。

さまざまな健康効果を持つ唾液ですが、20代をピークにして、その分泌量は徐々に減少します。赤ちゃんはよだれでベタベタになりますが、年をとると口の中は乾燥しやすくなりますよね。唾液が十分に分泌されているのは、健康な証拠。毎回の食事の際、「ひとくちで30回噛む」ことを目安に、唾液を出すことを意識してほしいものです。

よく噛んで食べるコツのひとつは、ひとくちの量を少なめにすること。口のなかに入れる量が多いとよく噛めないので、早めに飲み込んでしまいがち。噛む回数が減ってしまうからです。ひとくちを控えめにして、よく噛んで味わって食べるようにしましょう。

■「やわらかい食べ物」で陥る悪循環

炎症を抑えてくれる唾液。十分に出すためにはよく噛んで食べることが大切ですが、食事中に噛む回数は昔よりもずいぶん、減少しています。あるデータによると、一食の咀嚼回数は、鎌倉時代は2654回だったのが、20世紀のはじめごろだと1420回、現代になると620回と大幅に減っているそうです。

その大きな理由のひとつが、食べる物のかたさ。現代の食卓では、カレーやハンバーグ、ポテトサラダ、パスタやラーメンなど、やわらかくて、あまり噛まなくても食べられる食べ物が増えているからです。

やわらかいものばかり食べていると咀嚼に必要な筋肉が衰えて、かたいものが食べられなくなり、さらに筋肉が衰えて……という悪循環に陥ってしまいます。

カレーとラーメン
写真=iStock.com/Gyro
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Gyro

■よく噛むことは肥満防止につながる

毎日の食卓に、かたくて噛みごたえのある食品も並べるように意識しましょう。

たとえば、根菜類やナッツ類、乾物などを積極的に使ったり、ひき肉や薄切り肉よりもかたまり肉、麺類よりもお米(とくに玄米)を選ぶとよいですね。

素材を大きめに切ったり、加熱時間を短くしたり、調理のしかたによって噛む回数を増やす工夫をしてみましょう。また、薄味のほうがよく噛んで味わうようになり、咀嚼回数を増やせます。

よく噛んでゆっくり食べれば、肥満の予防にもなります。人が「おなかいっぱい」と感じるのは、脳の満腹中枢を刺激する「レプチン」というホルモンが分泌されてから。これは食事を始めてから約20分後です。噛む回数が少なく早食いの人は、満腹と感じる前に必要以上の量を食べて、太りやすい傾向があります。

愛知県内に住む男女4742人を対象にした調査では、食べるスピードが速いほど肥満度(BMI)が高い傾向にあり、さらに20歳のときと比べて、将来の肥満度の増加量も高くなるという結果が出ています。肥満防止のためにも、よく噛んで食べることが重要だということが科学的に証明されているのです。

■「小麦粉」は腸を傷つけ、炎症を引き起こす

普段、主食としてよく口にしているパン、うどん・ラーメン・パスタなどの麺類ですが、実は、体に慢性炎症を引き起こす原因になることがあります。これらの共通点は、「小麦からつくられている」ところです。

小麦のほか、大麦やライ麦などの穀物には「グルテン」というたんぱく質が含まれています。このグルテンの消化がスムーズにできない「グルテン不耐性」の人や、過敏に反応してしまう「グルテン過敏症」の人がいて、グルテンをとり続けていることで腸に慢性の炎症が起きてしまうことがあるのです。

慢性炎症が起きた腸の内壁は本来持っているバリア機能が低下して、毒素を通しやすくなります。その結果、体中に慢性炎症が広がってしまうリスクもあります。実は、日本人の約8割はグルテンに合わない体質だとも言われています。

■まずは1カ月、グルテンフリーの生活を

そこで、取り入れるとよいのが「グルテンフリー」の食生活。グルテンを含む食品をできる限り食べない食事法で、プロテニス選手のノバク・ジョコビッチ選手などが実践していることからも有名になりましたね。

「100%グルテンフリー」ステッカーの貼られたパン
写真=iStock.com/Stephen Barnes
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Stephen Barnes

ただし、小麦はしょうゆや味噌などの調味料などにも含まれて、すべてのグルテンを排除することは困難です。まずはパンや小麦を使った麺類、餃子、お好み焼きなどを控えて、ごはんを主食としたメニューを心がけるところから始めてみましょう。

最近は、米粉を使ったパンやこんにゃく麺、グルテンフリーのパスタなども増えてきているので、上手に活用しましょう。十割そばやオートミールもグルテンを含まないので、積極的に食べてOKです。当然のことですが、ケーキやドーナツ、クッキーなどの小麦を使ったお菓子は控えて。

グルテンフリーの生活を始めてみると、「胃腸の調子がよくなった」「食後の眠気がなくなった」「肌の調子がよくなった」など、体調がよくなる人も少なくありません。それは、それまでグルテンによる慢性炎症が起こっていた証拠。まずは1カ月、グルテンを控える食生活を試して体調をチェックしてみましょう。

■「牛乳」が健康によいとは限らない

学校給食の定番、牛乳。かつては自宅に届けてくれる牛乳配達も一般的で、だれもが毎日のように飲んでいました。しかし実は、牛乳は慢性炎症を引き起こしやすいと言われています。

その原因というのが、牛乳に含まれる「カゼイン」というたんぱく質。カゼインは消化されにくく、小腸にとどまる時間が長くなるため、腸に負担がかかり、腸に炎症を起こすと考えられています。そのため、前述のグルテンと同様に、とりすぎると、腸のバリア機能が低下して、そこから毒素が血液中に侵入してしまい、体に毒素や炎症が広がってしまうことがあるのです。

そのため、海外を中心に、グルテンフリー同様、「カゼインフリー」の食生活を送る人も増えてきています。牛乳の代わりに利用されるのは、豆乳やアーモンドミルクなどで、カゼインフリーのヨーグルトやチーズ、アイスなどが日本でも市販されています。

■カルシウムは牛乳以外からも十分とれる

一方で、牛乳や乳製品をとらないとなると、栄養面で気になるのが、カルシウム不足です。牛乳にはカルシウムが豊富で、さらに他の食品よりもその吸収率がよいことで知られています。また、そのまま飲むだけでよいので、カルシウム補給のために牛乳をとっているという人も少なくないでしょう。

今井一彰『名医が教える 炎症ゼロ習慣』(飛鳥新社)
今井一彰『名医が教える 炎症ゼロ習慣』(飛鳥新社)

けれども、心配は無用です。牛乳以外の食品からでもカルシウムを十分にとることはできます。

カルシウムが多く含まれている食品には、大豆製品や小魚、海藻類、緑黄色野菜などがあります。たとえば、もめん豆腐半丁(150g)には180mg、納豆1パック(50g)には45mg、さくらえび大さじ1杯には100mg、小松菜1/4束(95g)には162mgのカルシウムが含まれています。

成人男性に推奨されるカルシウム量は1日650〜800mg、成人女性は650mgですから、こういった食品を組み合わせて必要量をまかなうようにしましょう。

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今井 一彰(いまい・かずあき)
みらいクリニック院長
1995年山口大学医学部卒業。同大救急医学講座に入局し、集中・救急治療に従事する。2006年みらいクリニック院長に。学生時代より興味を持っていた、東洋医学の研鑽を積む。東洋医学会認定漢方専門医。NPO法人日本病巣疾患研究会副理事長。加圧トレーニングスペシャルインストラクター。あいうべ体操(息育)、ゆびのば体操(足育)二つの「ソクイク」で病気にならない体つくりを提供している。著書に『足腰が20歳若返る 足指のばし』『免疫力を上げ自律神経を整える 舌トレ』(かんき出版)、『名医が教える 炎症ゼロ習慣』(飛鳥新社)など多数。

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(みらいクリニック院長 今井 一彰)

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