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「××さんは知り合いです」ではダメ…転職面接で著名人の名前を出すときに勘違いしてはいけないこと

プレジデントオンライン / 2022年11月9日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fizkes

転職面接において大事なことは何か。人材コンサルタントの井上和幸さんは「これまでの職務で培った人脈を伝えることだ。応募先の企業に経歴や職務遂行能力を強くアピールできる。ただし著名人の名前を出すときには注意が必要だ」という――。

■転職者がもっと有効活用すべき「ある資産」

転職活動にあたって常に意識すべきなのは、応募先企業が何を求めているかです。

企業各社が応募者に求める、魅力感じるものは「専門力資産(経験・知識・スキル)」「人間力資産(資質・人間性・タイプ)」、そして「人脈力資産」の3つの保有資産です。

「専門力資産」は多くの人が自覚的であり(ただし、しっかり棚卸しとすり合わせができている人は案外少ないですが)、「人間力資産」については意識できているか否かは人によりけり、まちまちです。

そして、ほとんど意識されていないとみえるのが「人脈力資産」です。

幹部やリーダーの皆さんの転職を支援していて「もったいないな」「もっと有効活用すれば良いのに」と最も感じる資産です。コロナ禍を受けてその重みは一段と増しています。

■応募先企業が最も確認したいこと

最近リファレンスチェックが重視されるようになっています。その人が「本当に実績を持っているのか」「周囲から人望を得ているのか」を知るための手だてとして、これまで一緒に働いたことのある人からのレビューを貰って、人となりの確認をしようということです。

そもそも応募時や面接時に職歴を開示する際に、それにまつわる人脈も自分から開示できている人は少ないのですが、これは非常にもったいないことです。

職務経歴書上でも面接時においても、業務経験の話をする際、どのような人たちとどのような関係性を持って働いてきたのかを、自分から面接・面談相手に積極的に開示し、伝えることを重視しましょう。それだけでも応募先相手の反応は大きく変わります。

知識や意欲はもちろん重要です。即戦力としての活躍を求められる皆さんに対しては、必要な関係者と業務を進めることができることこそ、応募先企業が確認したいところです。

それには、あなたが仕事を通じて、さまざまな関係者との間に長らく培ってきた関係性・信頼性、つまり人脈力資産を示すことが、その何よりの証明書となるのです。

■「人脈力資産」を示す具体的な方法

お勧めしたいのは、面接時に、あるいはその前の書類選考の段階においても、あなたがどのような人脈を持っているかということについて積極的に開示していくことです。

たとえば、以下のように話すとよいでしょう。

●営業職

どの企業と取引していたかだけでなく、カウンターパートとなっていた人はどのような部署のどのような職責の人だったのか。

特に深く入り込んでいた案件では、取引先とどのようなコミュニケーションをしていたのか。

●商品やサービスの企画・開発・製造部門

どのようなパートナー、ベンダーと付き合ってきたのか。

「どの企業」ではなく、「どのような人」に委託してきたのか。その人たちの実績はどのようなものなのか。

●本社管理部門

他部門(部署)とどのようなやり取りをしてきたのか。社長や役員、事業部門の責任者などとどのような関係性をもっていたのか。

まずはこうした社内外の人たちとの付き合いについて棚卸しを行い、職務経歴書上でも面接時においても、業務経験の話をする際、面接・面談相手に伝えることを重視してください。それだけでも応募先相手の反応は大きく変わると思います。

■「誰を知っているか」ではなく「誰に知られているか」

先のような人脈の開示をしていると、面接中にこんな会話になったりします。

【面接者】「ああ、Aさんとご一緒にやられていたんですね。Aさんには当社でも、事業部でとてもお世話になっていますよ」

【あなた】「御社でもつながりがおありなのですね。Aさん、気さくでとても良い人ですよね。プロジェクトに絡んで、何度か食事をご一緒しましたが、仕事を離れた趣味も多彩で、お話を聞いているだけで、とても勉強になっています」

このような会話が飛び交うことが、特に上位職になればなるほど自然と増えるのが、私が経営層・幹部層の案件に携わっていて、とても楽しいひとときです。

当たり前のことですが、どんなに大きな事業やプロジェクトであっても、いや、だからこそ、それはしごく個別的な人と人とのご縁やお付き合いで動いている、回っているということを実感する瞬間です。

人脈とは「誰を知っているか」以上に「誰に知られているか」。いわゆるリファレンスの確かな人こそ、企業が採用したい人です。

■面接官が好意を持つ話の内容

最近は外資系企業のみならず日系企業でも採用可否の最終判断においてリファレンスチェックが行われるケースも増えています。それを代行するようなサービスもいくつか登場しています。

そのリファレンスチェックは、日常的なところからの情報収集ではなく、「裃(かみしも)を着せたヒアリング」とならざるを得ないのが現状です(照会を頼まれた人が、その相手を悪くは言えませんよね)。

ですから、本来的には面接において、上記のような会話の中で、突っ込んだ人脈話ができるほうがお互いに望ましいです。そのほうが応募先企業からの信頼獲得度合いははるかに大きいでしょう。

形式張ったリファレンスチェックの依頼の前に、「御社のBさんに私のことをぜひ聞いてみてください」と言えると素敵ですね。いずれにしても、これらのことを通じて、あなたの真の人脈力、人望が問われることに相違はありません。

■面接前に人脈の棚卸しを行うべき

こうした価値を改めて自覚したうえで、転職活動において自身の人脈を見つめ直してみてほしいと思います。これまであなたを支えてくださった人たち、今後も有益な付き合いを続けてくれるであろう人たちは誰か。

テーブルの上に乱雑な空白のカードとラップトップ。
写真=iStock.com/kyoshino
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kyoshino

その人たちを、自身の人脈力資産の基盤として考えた際に、次の新天地は今、考えているもので良いか。もしかしたらもっとあなたの人脈力資産を生かして活躍できる別の場があるかもしれません。

あるいは、その人脈力資産のネットワーク内の人たちに、今回の転職について相談してみると、自分では気が付かなかった方向性、可能性や、新たなご縁のチャンスがあるかもしれません。

■「まわりに好かれる人」は簡単には倒れない人

繰り返しとなりますが、真の人脈とは「誰を知っているか」ではなく、「誰に知られているか」です。知られているといっても、「悪名高き」では当然困ります。

「○○さんは△△について詳しい」「面白い人だ」「実力がすごい」「信頼できる、相談できる」……。こういった「好かれる、頼られる」タイプの知られ方であることが大事です。

「知られ力」のある人というのは、万が一なにかに困ったときには、その人脈に連なる人たちが支援・救助してくれるから、「倒れにくい」という強みがあります。周囲が「失敗したままにさせてくれない」ともいえるでしょう。

■知っている有名人自慢をしても意味はない

人脈というと「自分が知っている有名人や偉い人自慢」となってしまう人がいますが、当然、これはいただけません。

人脈とは、WIN-WIN、GIVE&TAKE、お互いが良い関係性や影響、あるいは具体的な支援などをイーブンに与え合うことで成り立ちます。まず自分から相手に、貢献できるものを与える。その積み重ねと信頼からのみ、真の人脈は築かれます。

本質的な人脈の価値をしっかり把握して、転職および今後のキャリアに臨みましょう。

活躍している経営者の皆さんや、頭ひとつ抜けている幹部・リーダーたちは皆、人脈力資産の価値を正しく知り、それを最大限に活用して成果を上げ続けている人たちなのです。

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井上 和幸(いのうえ・かずゆき)
株式会社 経営者JP、人材コンサルタント
早稲田大学政治経済学部卒業後、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。その後、リクルートエグゼクティブエージェントのマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。2万名超の経営人材と対面してきた経験から、経営人材の採用・転職支援などを提供している。著書は『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)など。

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(株式会社 経営者JP、人材コンサルタント 井上 和幸)

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