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中国では中古のプレステ5が10万円…歴史的円安を投資の大チャンスに変えるためのマネー知識

プレジデントオンライン / 2022年11月15日 13時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ilbusca

いまお金を増やすには、どんな知識が必要か。経済アナリストの森永康平さんは「歴史的な円安で、日本のモノに対する需要はかつてなく高まっている。いま投資をする際には、そのことを踏まえておく必要がある」という――。

※本稿は、森永康平『大値上がり時代のスゴイお金戦略』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

■円高・円安を気にせず投資したいときは…

2022年秋時点では円安が報じられていますが、筆者はこのままずっと円安が続く、つまり、円の価値が外貨に対して下落し続けるとは考えていません。たとえば、米国が利上げをしすぎて景気が減速すれば、利上げをやめて、場合によっては利下げに転じることもあるでしょう。その際、仮に日本が金融緩和をやめて、遅ればせながら少しずつ金融政策を引き締め気味に転換していけば、現在とは逆に円高が進んでいくと考えます。

為替市場というのは一方向に進行し続けることはなく、円安に振れることもあれば円高に振れることもあり、その時々に応じて期待できるリターンが高くなるような投資手法を選択することができればいいのですが、やはり多くの方にとっては、日々の生活を送るなかで市場の動向を見ながら投資手法を考える時間などないでしょう。

理想的には円高や円安を気にしないでできる投資手法があればいいのですが、そのような都合のいい投資手法はあるのでしょうか。

■ひとつ目のおすすめは「つみたて投資」

ここでは2つの投資手法を紹介します。ひとつ目は「つみたて投資」です。年間の投資額が40万円以内ならつみたてNISAを活用し、投資額が40万円を超える場合は、その部分を普通の証券口座で運用するといいでしょう。それでは、なぜつみたて投資がいいのでしょうか。

世の中にはマイナスサムゲーム、ゼロサムゲーム、プラスサムゲームという考え方があります。一番分かりやすいのはゼロサムゲームで、たとえば2人が各自100円ずつ出してジャンケンをしたとします。勝ったほうが場に供託された200円を総取り、負けたほうは100円を没収される。つまり、各自が使ったお金の合計と、各自の損益の合計が同じになるのがゼロサムゲームです。

マイナスサムゲームは競馬や宝くじがいい例でしょう。みんなが馬券やくじを買うために使った金額の合計から一部を運営が差し引いて、残った金額を当たった人に配分していくわけですから、各自の損益の合計は使ったお金の合計よりも少なくなります。

■長期でプラスサムゲームの恩恵を受ける

プラスサムゲームは理論上、株式投資がそうなる可能性があります。仮に株価が右肩上がりで上昇していけば、全員が投資に使った金額以上の利益を得ることができます。そんな都合のいいことがあるか、と思うかもしれませんが、短期間で考えればプラスサムゲームになる確率は低いですが、10年、20年という長期間で考えれば、世界の経済が成長し続ける限り、いくつもの企業の株価から算出される株価指数も上昇し続ける可能性が高くなります。

よって、日本の株式市場なら日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)、米国の株式市場ならNYダウやS&P500などの株価指数に連動するインデックス投信を淡々と長期間つみたてればよいのです。ちなみに、これらの株価指数を構成している銘柄は時代を代表する銘柄に入れ替えられていく作業が発生するため、何も考えずに投資していても勝手に株価指数の中身がリフレッシュされていきます。

当然、その構成銘柄の中には円高のほうが恩恵を受ける銘柄もありますが、逆に円安のほうが恩恵を受ける銘柄もあるため、いちいち円高だとか、円安だなどと為替を気にする必要もありません。

取引のためのラップトップを使用してのトップビュー。
写真=iStock.com/tadamichi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/tadamichi

■2つの指標で「穴場株式」を探す

もうひとつの方法は個別の株式に投資する方法です。こちらは銘柄分析に少し時間を割いてもいいという方にオススメの投資手法になります。多くの人が注目していて過剰評価されているような銘柄ではなく、割安に放置されている銘柄を探します。その際に2つの指標を見ましょう。

ひとつはPER(株価収益率)です。PERは、株価を1株あたりの利益で割って求めます。株価が会社の利益の何倍まで買われているかを表す株価指標で、その値が低いほど、実態と比べて株価が割安と判断ができる指標になります。

たとえば、ある会社の株価は1000円で、1株あたりの利益が100円なら、PERは10倍ということになります。同じ株価でも、1株あたりの利益が50円なら、その会社のPERは20倍ということになりますから、この場合は前者のほうが割安と判断できます。

PERを用いてその会社が割安かどうか判断する場合は、その会社のPERが、その会社が属している業界・産業の平均PERと比較して低いかどうかを見て判断しましょう。

■割安で放置されている銘柄には何かある

つぎに見るのがPBR(株価純資産倍率)です。PBRは株価を1株あたりの純資産で割って求めます。PBRの見方は単純で、1倍を下回っていれば割安ということになります。

なぜなら、理論的にはPBRが1倍を下回っている会社があるのなら、その会社の株を100%買い占めて、そのまま解散してしまえば、100%の株を買い占めるのにかかった金額以上の資産を売却して儲けることが可能だからです。分かりやすくいえば、1万円札が入っているお財布を5000円で買うようなことでしょうか。

しかし、ただPERが業界平均より低いから、またはPBRが1倍を下回っているからといった理由だけで投資する銘柄を選ぶのは危険です。なぜなら、本来であれば割安なら投資家が放っておくはずがないのに、割安に放置されているのには何か理由があるからです。

そこで、これらの割安指標を見たうえで、さらに最低でも数年間は増収増益を続けていて、しかもそれなりの営業利益率を維持しているような企業を探すことが重要です。ここに時間がかかるわけですが、手間をかけるからこそ、投資におけるリスクを低減させることができるのです。

さらに欲張れば、「配当性向」が高いとなお良いですよね。NISAで買えば配当金にかかるはずの税金も非課税になります。配当性向とは、会社が当期純利益のうち、どれだけを配当金の支払いに向けたかを示す指標です。配当性向は、1株あたりの配当額を1株あたりの当期純利益で割って求めます。

好業績にもかかわらず、割安で配当性向の高い銘柄を探して投資をしておけば、為替が円高だとか、円安ということをそれほど気にする必要もないでしょう。

■円安時代の買い物の「極意」

円安になると海外から輸入するモノの値段が上昇するため、国内のインフレ圧力が高まります。一方で、円安になることで従来は海外からの訪日観光客が増えるというメリットが生じるはずなのですが、コロナ禍が続く間は難しいでしょう。

このように、円安になるとメリットとデメリットの両方が同時に生じるのですが、私たちは普段の買い物においては何を意識すればいいのでしょうか。

■日本のモノが高く売れる「Buyee」

最近のトレンドとして、メルカリなど中古品のマーケットプレイスを活用してお得な買い物をするというものがあります。それには中古品を安く買うというだけではなくて、自分が新品で買ったものを出品するというケースも含まれます。つまり、欲しいものを買って、ある程度使って満足したり飽きたりしたら、中古品のマーケットプレイスで売るのです。

昨今の円安によって、海外の人から見ると日本のモノを割安に買える機会が訪れているため、「Buyee」など海外向けのECサイトを経由して日本人が出品したモノが高く取引されています。日本人がメルカリやヤフオク、楽天ラクマなどのECに出品すると、海外の購入希望者の代わりにBuyeeが購入・発送・翻訳などを請け負ってくれるのです。

フリーマーケットアプリ
写真=iStock.com/loveshiba
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/loveshiba

自分が新品で買って、ある程度使ったものを出品するだけでなく、大掃除をしたときに出てきた未使用のブランドものや、もらったけれど飲まないまま置いていたウイスキーなども高値で売れる可能性があります。実際にBuyeeを見ていると、セイコーやカシオなど日本のブランドものが高値で取引されています。

■「安物買いの銭失い」という古の教訓

この一連の現象から学ぶことは、“価値があるものを買うことが、結果としてトータルではお得になるかもしれない”ということです。昔から「安物買いの銭失い」という言葉がありますが、賃金が上がらないのに物価が上昇しているからといって、なんでもかんでも、とにかく安いものを買えばいいというわけではないということです。

実は筆者も、何度もこの格言を痛感するような失敗を繰り返しています。節約しようと思って、とにかく安いものを買った結果、すぐに壊れてしまったり、全然美味しくなくてすべて食べきれなかったりするのです。

一方で、値段が高かったとしても、長く使えたり、やはり値段相応に満足度が高かったりするわけです。しかも、先ほど紹介したBuyeeなどのサービスを考えれば、それなりに価値のあるものを買っておけば、将来それなりの値段で売ることも可能になるのです。

■中国では中古のプレステ5が10万円

円安によって、日本のモノに対する需要がどれぐらい高まっているか、いまいちイメージが湧かない方もいるでしょう。最近筆者が見た転売市場の話を紹介したいと思います。転売を推奨する話ではなく、あくまで円安によって海外では日本のモノを買おうとする人たちが増えて需要が高まっているという事例の紹介であることを強調しておきます。

森永康平『大値上がり時代のスゴイお金戦略』(扶桑社)
森永康平『大値上がり時代のスゴイお金戦略』(扶桑社)

たとえば、日本ではプレイステーション5は約6.5万円、ニンテンドースイッチ(有機ELモデル)は3.8万円で売られていますが、中国ではそれぞれ約8.7万円、約5.3万円で販売されています。円安によって割安感が強まっているだけでなく、人気のゲーム機は世の中に出回っていないため、プレミアムをのせても売れてしまいます。

筆者が中国の中古品ECサイトを見てみたところ、プレイステーション5が10万円近くで出品されているケースもあり、倍とまではいきませんが、それに近い価格で売られています。中国の場合は地理的に近いために輸送コストが低いこともありますし、電源プラグも日本のものをそのまま使えるのがよいのでしょう。

■商品価値や海外からの需要もしっかり考える

株式投資でもPERやPBRだけを見て割安な銘柄に投資するのではなく、しっかりと増収増益なのか、営業利益率は高いかなど企業の営業状態もあわせて確認しましょうと述べましたが、根本的には同じことだと思います。

ただ単に値札だけを見て、安いからといって買うだけだと損をしてしまう可能性もあります。そのモノ自体が持っている商品価値や、円安を活用するために海外からどれぐらいの需要があるのかを考えて買い物することで、結果的には中長期の目線でトクをするかもしれないのです。

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森永 康平(もりなが・こうへい)
株式会社マネネCEO、経済アナリスト
証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾などアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、事業責任者やCEOを歴任。その後2018年6月に金融教育ベンチャーの株式会社マネネを設立。現在は経済アナリストとして執筆や講演をしながら、AIベンチャーのCFOも兼任するなど、国内外複数のベンチャー企業の経営にも参画。著書は『スタグフレーションの時代』(宝島社新書)や父・森永卓郎との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)など多数。

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(株式会社マネネCEO、経済アナリスト 森永 康平)

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