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トップ5%社員の年間読書量48冊、一般社員は2冊…40代で開花する人が20代から続ける3つの習慣

プレジデントオンライン / 2022年11月18日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Rawpixel

人事評価「トップ5%」の社員は、20代をどのように過ごしたのか。延べ2万人の言動データを5年にわたり収集・分析したクロスリバー代表の越川慎司さんは「トップ5%人材に共通する要素として、20代から“偶然を引き寄せる”ことが習慣化されている点が挙げられる」という──。(第2回/全5回)

■モチベーションを低下させる人事部の施策

「将来やりたいことなんてありません」

「キャリアディスカッション」と称される、上司と部下の話し合いを定期的に行っている企業は多いことでしょう。部下のキャリア開発を支援したいと思う上司、そして離職率改善を目指す人事部が、そうした社員の意向を聞く場を設定しているのです。

しかし、儀式的なキャリアディスカッションはむしろ、メンバーのモチベーションを下げるだけだと言ったら驚かれるでしょうか。

この変化の激しい時代に、3年後、5年後の自分を想像するのは、決して容易なことではありません。自分の明確な目標を持たないメンバーもいるでしょう。中には目の前の仕事をこなすだけで精いっぱいで、長期的な視点を持てないメンバーもいます。

■5%社員は「内省」し、未来を見据える

5%社員は、20代・30代の時に行ったキャリアディスカッションについて、「自分にできること」を内省する場と位置付けていました。「何をしたいか」の前に、「何ができるようになったか」を振り返って自己評価していたのです。

もっとはっきり言えば、過去の自分と現状を振り返って、「良かった点」と「悪かった点」を内省しながら次に未来のことについて考えていたそうです。

「将来目指したいキャリア像や、希望する仕事内容、なりたい役職を20代で明確にしなくてもいいのではないか」と総合商社の5%社員が発言していました。

確かに、私自身の経験を振り返っても、20代のうちに、あるいは3年前や5年前でさえ、現在の自分の姿が想像できていたかというと、そんなことはありませんでした。

■キャリアは「偶然の出会い」で生み出される

実際に「キャリア」は、計画された通りに構築されていくより、なにか偶然の出会いによって思いもよらずに生み出されることが多いのです。

たとえば、オフィスの廊下で、すれ違った隣の部門のリーダーに話しかけられ、雑談したことがその後の人事異動に影響を及ぼしたり、雑誌で興味を持ったオンラインセミナーに参加してみたところ、自分がワクワクするキャリアモデルに出会ったり……。

はたまた、街角でばったり学生時代の友人に再会し、飲みに行ったところ相手の話に触発されて、もともとは文系なのに最新プログラミングの勉強を始める、といったケースもあります。

「偶然の出会いによって興味を駆り立てられ、結果的にそれが自分のキャリアに影響を与えることになるのはよくあることです」

調査に協力してくれたメガバンクに勤める5%社員が、そんなふうに話していたのが印象的でした。

■5%社員の読書量は「年48冊」、一般社員は「年2冊」

5%社員は、「読書術」にも共通点がありました。1年の読書量が平均48冊の5%社員、一方、平均2冊の一般社員。このように、読書量が圧倒的に多いのも5%社員の特徴です。

興味深いことに、さらに本の選び方、そして読み方にも一般社員と異なる傾向が観察されました。

年に48冊読む5%社員は、その70%以上をリアル書店で購入していました。お気に入りの著者の新作や急ぎで調べる必要があるものはネット書店で購入しますが、しかし、月に2度ほど書店に立ち寄り、3~4冊まとめて購入していたのです。

■5%社員が書店の実店舗を訪れる理由

5%社員が書店に出向くのには理由が2つあります。

書籍の売れ行きランキングを見て、ビジネストレンドを確認するのが1つ。もう1つは、「偶然の出会い」を必然のものとするためです。

「これを買おう!」といった指名買いであれば、ネットが便利。しかし、書店をぶらつくと興味・関心をかきたてられる「面白そうな本」に出くわすことがあります。店頭のPOPや特設コーナーの平積みにふと足を止め、手にして「はじめに」と目次を読んで興味があれば購入してしまいます。

5%社員は「やっぱり良かった本」ではなく、「意外に良かった本」が自分のキャリアに影響を与えることを理解しています。

私自身、キャリア人生を決定付けた書籍『イノベーション・オブ・ライフ』や『SPIN式販売戦略』は、訪れた書店で偶然手にしたものでした。

■職場では「あいさつ」と「歩き回り」を習慣に

5%社員は、社内であれ、書店のような出先であれ、とにかく歩き回ります。じっと座っているのではなく、動き回って多くの人と情報に触れています。

越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)
越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)

社内でなにかを依頼する際も、メールやチャットではなく、相手のデスクへ出向いて話しかけます。また、社内を歩き回るときは会った人に大きな声であいさつをしています。

「おはようございます! 出社時間、早いですね!」
「こんにちは! 先週はありがとうございました」
「お疲れさまです。先週のプレゼンはダメだったのですが、次回リベンジします!」

元気なあいさつに、仕事上の感想や自分自身の思い(感情)を付け加えることで、円滑な人間関係を構築していました。

声を掛けられる側の立場になって考えると、理由はすぐにわかると思います。いつも元気にあいさつしてくる後輩が、なにかで苦労しているなら「助けたい」と思うのが人情というものでしょう。

彼らは、あいさつと自己開示によって、「周囲の巻込力」を高めていたのです。

■30代以降は「チーム」で解決する、成果を出す

「歩き回っているほうが人との接点が増えて、チャンスをものにすることができる」と発言していた5%社員がいました。

「私は実力がなく、運だけで生きています。その運は人からもたらされます」と言っていた人もいました。

自分一人の努力と根性で成果を出せるのは20代まで。複雑な課題を解決するには「個人戦」では無理で、「チーム戦」で挑まなければなりません。

20代からチームで働くことに慣れている社員は、30代・40代でも成果を出し続けています。

■「能力」なのか、「運」なのか

他の人よりちょっとだけスキルが高いと、それに頼って個人プレーに走る人がいます。

ある通信会社の若手エース社員Aさんは、努力と根性で個人スキルを磨きました。20代は優秀な成績を残したのですが、30代後半から失速してしまい、昇進・昇格には恵まれませんでした。

片や、元気なあいさつと歩き回りで人間関係を構築していた小売業のBさんは、20代は伸び悩んだものの、30代前半で開花。社内調整と巻込力で社外からも認められるプロジェクト・マネージャーになりました。40代で執行役員になった今でも、「実力はなく運だけです」と口にします。

その一方で、相手に迷惑をかけないようにと、周囲に助けを求めずに自分で抱え込んでしまい体調を崩す人もいます(20代の私もそうでした)。

■あいさつの有無で親密度が変わる

ある精密機器メーカー、食品小売り、不動産仲介会社とで言動分析を行ったところ、あいさつをし合って会話をする人同士と、あいさつをしない人たちとでは、その後の親密度に差が出ることが判明しました。

あいさつと感情共有に、そうした効果があることに気付いている5%社員は、テレワークでも問題なくチームメンバーと共同作業を進めていました。

5%社員は、30代・40代になっても、そしてコロナ禍でも歩き回る習慣を続けており、散歩もしくはジョギングを週2回以上する人の割合は一般社員の6倍でした。

5%社員は有酸素運動を習慣にして体調と精神を整えているので、成果を出しやすいのではないでしょうか。

■5%社員はデジタル空間でも歩き回る

テレワークは業務効率を高め、場所にかかわらず共同作業ができる点で、大きなメリットをもたらします。一方で、物理的な対面接触回数が減少しますので、人間関係を広げていくのは困難です。

そこで5%社員は、偶然の出会いを必然のものとするために、デジタルの中でも歩き回っていました。

コロナ禍で一気に膨れ上がったウェブセミナーですが、とくに平日の夕方は無料の学習型のセミナーが盛んに開催されていました。実際に足を運んで参加するのは難しいようなセミナーにも、気軽にワンクリックで参加ができるようになりました。

ウェブセミナーの中には製品やサービスを売り込むためのセミナーもありますが、5%社員はインプットの場だと割り切って数多くのセミナーに参加していました。

「学習の場に足を運ぶのは、20代から定期的にやってました」
「ビジネスのヒントは社内ではなく社外にある。30代で見つけたヒントをもとにしてヒット商品を開発しました」

このような経験を口にする5%社員が多いのです。

オンライン会議中の女性
写真=iStock.com/filadendron
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/filadendron

■5%社員の97%がオンラインセミナーに参加経験あり

20代・30代で社外の人に触れる習慣を身に付け、40代・50代でも継続しているのが5%社員でした。ですから、コロナ禍でもウェブセミナーに積極的に参加します。

セミナーには当たり外れがありますが、5%社員は「怪しい」と思うと、すぐに退席して時間を無駄にしません。

約1万7000人のビジネスパーソンに対してアンケートを取ったところ、オンラインセミナーに参加したことがある人は全体の62%でした。5%社員に特化すれば97%。

セミナーに定期的に参加している人は、一般社員が22%なのに対して、5%社員はその3倍にあたる65%でした。5%社員は20代・30代で社外の人と情報に触れる習慣を身に付け、コロナ禍でも継続していました。

ウェブセミナーに定期的に参加するなど、デジタル世界でも活動量を増やし、「偶然の出会い」を引き寄せています。

つまり5%社員は、職場やデジタル空間でも積極的に動き回り、人と情報に多く触れることで、自分のキャリアに影響を与える「偶然の出会い」を必然にしていたのです。

■「可愛いがられる」力

偶然の出会いでキャリアが決まると考えている5%社員は、社内だけではない社外の人間関係の構築に注力します。

人間関係がこじれてストレスを感じることもあるでしょう。しかし、5%社員は「自慢ばかりしてマウンティングしてくる人や、怪しい人がいたらすぐに距離を置く」という習性があります。

最初からすべてを疑って人との接触を完全遮断するのではなく、興味・関心を起点に人と知り合って、ヒューマンネットワークを広げていき、心が疲れると感じたら距離を置くようにしています。こうして構築した社外のネットワークで幸運を引き寄せ、仕事で成果を出し続けているのです。

一方、社外に目を向けることなく、上司や役員の機嫌を取って評価される人もいます。社内で人間関係を構築して情報収集したり、上司に気に入られるためにいやいやゴルフに付き合ったり。

こうして20代で「可愛いがられる人材」になれば、30代・40代で重責に抜擢(ばってき)されることもあるでしょう。しかし、自分のキャリアを特定の人に依存するのはリスクもあります。

■キャリアは偶然の出会いで決まる

20代で役員に気に入られて課長に抜擢された製造業のCさんは、その後会社が外資企業に買収され、50代になったいまでも課長のままです。

20代で「変わり者」と噂されたIT企業のDさんは、異業種での人間関係構築に注力し、30代でトップ5%営業となり、40代の現在はグループ企業の代表を務めています。

自分のキャリアは「偶然の出会い」で決まります。

その偶然を必然のものとするために、20代のうちから歩き回って行動量を増やし、人や情報に触れる機会を意図的に増やしていきましょう。

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越川 慎司(こしかわ・しんじ)
株式会社クロスリバー代表
元マイクロソフト役員。国内および外資系通信会社に勤務し、2005年に米マイクロソフト本社に入社。2017年にクロスリバーを設立し、メンバー全員が週休3日・完全リモートワーク・複業を実践、800社以上の働き方改革の実行支援やオンライン研修を提供。オンライン講座は約6万人が受講し、満足度は98%を超える。著書に『AI分析でわかったトップ5%リーダーの習慣』、『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』(共にディスカヴァー・トゥエンティワン)、近著に『29歳の教科書』(プレジデント社)がある。

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(株式会社クロスリバー代表 越川 慎司)

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