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「ロケット開発はパクリでいい」ひろゆきが絶賛するイーロン・マスクの"抜け道思考"

プレジデントオンライン / 2022年11月18日 11時15分

2022年1月、パリにて撮影。 - 撮影=松永学

論破よりも問題解決が得意だというひろゆき氏が、問題解決スキルが高い人物として挙げたのが、イーロン・マスクと宮本武蔵だ。かたや世界の注目を集める天才起業家、かたや日本史上最強と謳われる剣豪。一見、何の共通点もなさそうな2人のどこが超優秀なのか。ひろゆき氏が2人の天才に見た“抜け道思考”を紹介する――。

※本稿は、西村博之『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■ロケット開発もパクりでよくね?

最近もツイッター社の買収騒動などで世の中を騒がせているイーロン・マスク。

電気自動車をつくっているテスラ・モーターズのCEO(最高経営責任者)で、スペースXというロケット開発会社を創業して民間で初めて国際宇宙ステーション(ISS)へ有人飛行を実現させたことでもよく知られています。

天才起業家や稀代の変人などと言われたりしていますが、僕が彼を優秀だなと思うのは、問題解決力が高いからです。

彼がロケット事業を始めるまでは、宇宙開発は民間企業には手を出せない、国の威信をかけた国家事業でした。人工衛星を1機打ち上げるには約2億ドルかかるなど、ロケットの開発や打ち上げに膨大なコストがかかっていました。

ただ、1961年にソ連が世界初の有人宇宙飛行を成し遂げてからすでに60年経っていて、ロケットを宇宙に飛ばすための原理原則はもうわかっているんですよね。だから、イーロン・マスクは宇宙ビジネスに参入するときに、「どんなロケットをつくるか」ではなく、「ロケットをいかに安く、早くつくるか」に注力したんです。「いかに効率的にロケットを生産する体制をつくるか」を考えた。

そこで彼が出した答えが、「別にロケットを1から自分たちでつくらなくてもよくね?」でした。

スペースXは、ロケットエンジン企業の開発チームをはじめ、アメリカの優秀な技術者を次々に引き抜いて、わずか2年でコピーのエンジンをつくりました。

「成功例をパクる」という問題解決のテクニックを、イーロン・マスクも使っているわけです。

さらに、それまでのロケットエンジンは約100万点ともいわれる部品を職人が手作業などで組み立てて製造していたのですが、スペースXは3DプリンターなどのIT技術を駆使してコストをかなり削減しました。

■短期間かつ低コストの仕組みを発明

2020年には、スペースXの再使用ロケットが話題になりました。

それまでロケットの機体は1回打ち上げるたびに使い捨てられていたのですが、スペースXはロケットの一部や丸ごとを繰り返し使用できるようにしたんです。それによって、宇宙への輸送コストは100分の1に下がるとイーロン・マスクは言っています。

見事に短期間かつ低コストでロケットを生産する仕組みを、彼は発明したんです。

イーロン・マスクは長期的な視点でゴールを設定したからこそ、大きな成功を手にできたわけです。

ほかにも、がんばってロケットを開発しているベンチャーはありますが、打ち上げの成功までで終わってしまっていて、短期的なゴールしか見えていないんですよね。

それだと、国際宇宙ステーションへ何度も荷物を輸送しようとしたら、毎回新しいロケットを製造しないといけません。おそらくイーロン・マスクは、短期間、低コストでロケットを製造できる仕組みをつくったほうがビジネスになると見越していたのだと思います。

やはり問題解決力の高い人は、長期的な視点でゴールを設定していることがわかります。

■二刀流は合理的な考えから生まれた

イーロン・マスクは現役で活躍しているビジネスマンですが、歴史上の人物にも問題解決力の高い人はたくさんいます。

なかでも、僕が超優秀だなと思うのは、宮本武蔵です。

言わずと知れた、戦国時代から江戸初期に活躍した、日本史上最強ともいわれる剣豪ですね。佐々木小次郎との巌流島の決戦でわざと遅刻したという有名な話は創作なのですが、実際の宮本武蔵はとにかく強かったんです。

なにせ、生涯に60回以上、真剣勝負をしていながら、一度も負けたことがありません。あの時代に無敗のまま長生きして、最期は老衰で死んだ、というだけでも優秀ですよね。

武蔵といえば両手に刀を持つ二刀流でも知られていますが、じつは、あれも合理的な考えから編み出された戦法なのです。

戦(いくさ)のときには、馬に乗って右手で手(た)綱(づな)を握って左手で刀を振らないといけないような状況もあります。そうした利き手が使えないときに、「右利きだから左手じゃ斬れません」なんて言っていたら殺されますよね。

だから武蔵は、「利き手じゃない左手でも刀を使えるようになったほうが強いよね」と考えた。二刀流は、生き残るために編み出された、至極当たり前の結論だったんです。

■敵に囲まれたらダッシュで逃げろ

亡くなる前に剣術の奥義をまとめた『五輪書(ごりんしょ)』には、それ以外にも武蔵流の独自の戦略がいろいろと書かれています。

たとえば、戦(いくさ)で多数の敵に囲まれたらどうするか?

1対10とかになった時点で、ふつうなら無理ゲーって思いますよね。

でも、天下無双の武蔵は違います。

多数の敵を前にしたときにどうするかというと、まずダッシュで逃げるんです。

当然、敵は追ってきます。でも、10人いたら足の速さはまちまちなので、1人目に追いつかれたらその敵と闘うんです。すると、その瞬間は1対1になります。そして次に来た2人目、その次に来た3人目と闘っていく。集団戦になってきたら、また逃げて1対1をつくり出す、という戦法です。

要するに武蔵は、1対多数の状況でも、時間軸で見たら1対1の連続でしかない、と説いているわけです。

たとえ右と左から斬りかかられたとしても、完全に同時ということはないので、先に当たりそうな刀をまず避けて、次に当たりそうな切っ先を避ける。そして敵に隙(すき)があればそちらから斬るというように、時間を切り分けて1人ずつ斬っていけば、理論的には何人相手でも戦えるという考え方です。

「足が速くないと成り立たない戦法だよね」というツッコミの余地はありますが、とても合理的な考え方ですよね。

■複数タスクは武蔵流でさばく

この武蔵の戦法は、現代のビジネスにも置き換えられます。

複数の業務が重なって、やらなければいけないタスクがいくつもあると、パニックになったりしますよね。そういうときには、武蔵の対集団戦のように、複数の業務を切り分けて考えればいいのです。

西村博之『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)
西村博之『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)

このとき時間軸にするのは、締め切りです。

まずは締め切りがいちばん早い作業に全力で取り組んで、それ以外の仕事のことはいっさい忘れます。その作業が終わったら2番目に締め切りが早い作業にまた全力を注ぐ。それが終わったら次の作業という方法が、じつはいちばん効率がいいのです。

世間的には卑怯者(ひきょうもの)というイメージもある宮本武蔵ですが、じつは超合理的な思考法の持ち主なんです。

僕も、ずるくても効率的な方法があればそちらを選ぶ人間なので、宮本武蔵の考え方にはとても共感できます。

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ひろゆき(ひろゆき)
2ちゃんねる創設者
東京都北区赤羽出身。1999年、インターネットの匿名掲示板「2 ちゃんねる」を開設。2015年に英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。YouTubeチャンネルの登録者数は155万人。著書に『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)、『なまけもの時間術』(学研プラス)などがある。

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(2ちゃんねる創設者 ひろゆき)

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