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早起きした人だけが得られるボーナスがある…「67歳でも見た目は40代」の名物医師が毎朝4時に起きるワケ

プレジデントオンライン / 2022年11月30日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/oatawa

健康でいるためには、どんなことが必要なのか。医師の南雲吉則さんは「早寝早起きだ。特に早起きをすると、『体内時計』『交感神経』『幸せホルモン』の3つを活性化でき、いいことづくめだ」という――。(第3回)

※本稿は、南雲吉則『体を冷やせば健康になる』(光文社)の一部を再編集したものです。

■健康長寿を実現するミトコンドリアモードとは

私たちのあらゆる活動を支える主なエネルギーは、「ミトコンドリアモード」と「糖質モード」という2つの方法で産生されていることはお話ししました。

それぞれの特徴をもう一度おさらいします。

◎ミトコンドリアモード

ミトコンドリアを活性化することで、酸素と脂肪を燃焼し、持久力のある大量のエネルギーをつくり続けることができる。ただし、瞬発力はない。

◎糖質モード

細胞質で、酸素を使わずに糖質だけを分解してエネルギーを産生する。エネルギーを瞬発的に生み出すが、量は少なく、持久力がない。

どちらも私たちにとって必要なエネルギーの産生方法ですが、どちらをメインに動かしていくかは、その人の生活によって違ってきます。若々しさを保ったまま健康長寿を実現させるために選びたいのは、ミトコンドリアモードです。

ミトコンドリアモードで生きていると、酸素と一緒に脂肪もがんがん燃やしていけますし、細胞は若々しく、がんも防げます。また、詳しくは後述しますが、「若返り遺伝子」を働かせ、寿命を延ばしていくことも可能になります。つまり、若々しいまま健康長寿を実現できるのです。

ですから、私はいつも自分の行動には、こう問いかけます。「この行動は、ミトコンドリアモードか?」すると、これから起こす行動が、自らの健康長寿に必要なことか、不必要なことかが、はっきりと見えてきます。

ミトコンドリアモードのスイッチを入れるのは、「寒さ刺激」「空腹」「有酸素運動」「睡眠」の4つです。これらが適切に行われる行動は、体をミトコンドリアモードにします。このように、自らの行動に対して、「ミトコンドリアモードか?」と自問する習慣をまずは持つ。

それが若返りへの第一歩になります。

■睡眠で大切なのは、長さではなく質

私は、自らの健康増進のために、ジムなど特別な場所に通うことはしていません。生活そのものが若返りのためのステージととらえているからです。

その最初のステージとなるのが、早朝に布団から飛び出すとき。「さあ、ミトコンドリアモードで今日もがんばるぞ」自分にそう声をかけます。

早寝早起きは、ミトコンドリアの活性化に欠かせない生活習慣です。ときどき「睡眠は長いほうが長生き」という人がいますが、1日12時間を睡眠時間に費やしてしまえば、人生の半分を寝て過ごすことになります。それはかなりもったいない生き方ですね。

睡眠で大切なのは、長さではなく質です。睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があります。レム睡眠の「REM」とは「急速眼球運動(RapidEyeMovement)」という意味で、脳は夢を見ながら強く活動し、記憶の整理をしています。

明け方になると、このレム睡眠になります。レム睡眠時は脳が覚醒し、熟睡はできません。

では、いつ寝るとよいのでしょうか。夜10時から夜中の2時までが「睡眠のゴールデンタイム」です。このとき脳は「ノンレム睡眠」状態になります。ノンレム睡眠とは熟睡の状態を指し、脳は完全に休息モードになります。寝入りばなはノンレム睡眠でぐっすり休めて、脳からは成長ホルモンが分泌されます。それによって、「寝る子は育つ」というように、子どもは体が成長します。

一方、大人にとっての成長ホルモンは「若返りホルモン」です。肌や消化管の粘膜を修復し、がんを予防する作用もあります。しかも、成長ホルモンはミトコンドリアを介して、酸素と一緒に脂肪を燃焼し、体をミトコンドリアモードにします。寝入りばなに体温が上がって寝汗をかくのはこのためです。

■早起きは体にとって「徳」なことばかり

昔から日本人は、朝目覚めると、お天道様に手をあわせてきました。「早起きは三文の徳」といって、朝遅くまで寝ていることを嫌いました。では、早起きすると、どんなよいことがあるのでしょうか。

人間は本来、昼間働いて夜休む「昼行性」の動物です。朝の光が目に入ってくると、脳内の松果体という器官が刺激され、体内時計がリセットされます。

次に、活動時に働く交感神経がオンになって、体が「お仕事モード」になります。すると、ミトコンドリアが産生したエネルギーによって、心拍数や血圧が上がり、全身に力がみなぎって活動的になるのです。

しかも、朝日を浴びると、「幸せホルモン」と呼ばれる「セロトニン」が脳内にだくだくと分泌されます。これによって、一日中、幸せを感じられます。

つまり早起きは「体内時計」「交感神経」「幸せホルモン」の3つを活性化できます。これこそまさに「三文の徳」です。

■夜の10時前に寝て、朝の4時ごろ起きる

体内時計がリセットされてから14時間経つと、今度は「お休みモード」の副交感神経がオンになります。心拍数や血圧は下がり、休息の時間が訪れます。

幸せホルモンのセロトニンは、「睡眠ホルモン」と呼ばれる「メラトニン」に変化します。メラトニンは自然な睡眠へと誘導する働きがあります。このように、早起きをすれば早く眠くなるサイクルが、人体にはインプットされています。

私は夜の10時前に寝て、朝の4時ごろに目を覚まします。私の始業時間は朝10時ですから、なんと6時間、一日の4分の1の時間を、誰にも邪魔されず自分のためだけに使えるのです。この時間を「人生のボーナス」と私は呼びます。

白い背景に分離された4時の目覚まし時計を握る手
写真=iStock.com/USGirl
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/USGirl

寝つきが悪い人は、休日にウキウキするイベントを企画しましょう。子ども時代の遠足を思い出し、暗いうちに起きて支度をし、一日クタクタになるまで遊べば、体はミトコンドリアモードになります。夕方帰宅したら風呂に入って早く寝る。休日の夜に早寝をすれば、翌日から早寝早起きが可能になります。

■長生きの秘訣は体の軽量化

早寝早起きは、成長ホルモンの働きによってがんの予防にもなります。ミトコンドリアが増えるので、空腹や寒さ刺激、有酸素運動にも強くなります。何より、ミトコンドリアモードになった体で一日をスタートできるので、脂肪が燃焼しやすく、ダイエットに最適です。

世間には、「小太りくらいが長生きの秘訣」との意見もありますが、それを鵜呑みにして、こたつの中で甘いものを食べてゴロゴロしていて健康になった人はいません。

体を軽量化しなければ心臓や骨、関節への負担が増し、心身の苦痛は膨らみみます。

心臓の大きさは体の大小と関係なく、こぶし大しかありません。骨格も同様です。胸のレントゲンを撮るときのフィルムの大きさは「大角サイズ」といって太った人も痩せた人も同じです。

相撲取りだからといって特大サイズのフィルムを使うわけではないのです。心臓と骨格を変えることができないなら、体を軽量化することこそが、たくましく生きる秘訣。そのためには、ミトコンドリアモードで脂肪を燃焼するのが一番なのです。

■筋トレとウォーキング、やせるのはどっち

どうすると、体を上手に軽量化できるでしょう。「消費カロリーを増やすと痩せる」という人がいます。これは正しいのでしょうか?

ごろごろ寝ているときの消費カロリーは1時間で60キロカロリー。てくてく散歩しているときは3倍の180キロカロリー。どちらが痩せるでしょうか。答えは散歩です。みなさん、正解です。

では、息をこらえてがんばって筋トレをすると、散歩の倍の360キロカロリーも消費できます。筋トレと散歩、痩せるのはどちらでしょう。答えは、散歩です。

消費カロリーは少ないのに、どうしてでしょう。

今、ヒントをいいました。息をこらえた運動は「無酸素運動」。このときに燃焼するのは筋肉中のグリコーゲンという糖質です。糖質モードのときにミトコンドリアは働かず、脂肪は燃焼しないので痩せないのです。

これに対して、心拍数と息が上がらない散歩は「有酸素運動」。酸素と一緒に脂肪を燃焼するミトコンドリアモードなので、脂肪を減らせるのです。

ジョギングしているスポーティなアジア人
写真=iStock.com/itakayuki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/itakayuki

■最高の運動は歩くことである

体表のアウターマッスルは「白筋」ともいい、糖質モードで瞬発的な運動をします。反応が速いので「速筋」ともいいます。

体幹のインナーマッスルは「赤筋」ともいい、ミトコンドリアモードです。ミトコンドリアモードは脂肪燃焼の反応が起こるまでに時間がかかるので「遅筋」と呼びます。

短距離走は糖質モードなので、ムキムキの筋肉質の体が有利です。一方、ミトコンドリアモードは体幹のインナーマッスルを動かします。ですから散歩をしても、体表のアウターマッスルはムキムキになりません。むしろ、手足はヒョロッと細くなります。

しかし、体幹が鍛えられるので、健康的に若々しく生きていくには有利です。体の軽量化にもなります。つまり、ミトコンドリアモードにするために最高の運動は、「歩く」ことなのです。

■生活そのものを若返りのステージにする

では、1日にどのくらい歩くとよいのでしょう。「1日に1万歩」「8000歩で十分」などとよくいわれますが、私の場合、歩数はとくに調べません。

生活そのものが若返りのステージですから、歩ける場所は歩く。それだけです。

南雲吉則『体を冷やせば健康になる』(光文社)
南雲吉則『体を冷やせば健康になる』(光文社)

たとえば、私はマンションの7階に住んでいます。朝起きたら、階段を使って1階のポストまで新聞をとりに行きます。そして、新聞を読みながら、階段で7階の自宅まで戻ります。これが毎朝の日課です。

もちろん、エレベーターを使ったほうが、どれだけ楽かわかりません。でも、エレベーターに乗ることは、体をミトコンドリアモードにするでしょうか。一回、体に楽をさせれば、ミトコンドリアが活性化する機会を一回失うことになります。そのぶん、老化が進み、若返りは遠ざかります。

外出先でも、なるべく階段を使うようにしています。駅の階段も、疲れているときには「エスカレーターに乗りたいな」と思うこともたびたびあります。でも、そんなときにはすかさず考えます。「エスカレーターって、ミトコンドリアモードだろうか?」すると、答えは自ずと決まります。

元気のあるときには、階段を2段飛びでパッパッパッと駆け上ります。たくさんの人が疲れた顔でエスカレーターに乗っている横を、自分は2段飛びで上っていく。「これこそ、ミトコンドリアモードだぜ」

これはなかなかに気持ちのよいことです。自分の若々しさを自覚できることもあって、ちょっぴりうれしくなります。ミトコンドリアモードを日ごろから鍛え、体が若返ってくれば、階段を駆け上ることも夢ではなくなります。

休日には、仲間たちと皇居の周りを1周歩きます。皇居1周は約5キロメートルでちょうど1時間。皇居外周というすばらしい景色を目にしながらのウォーキングは、心も体もリフレッシュさせてくれるのです。

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南雲 吉則(なぐも・よしのり)
医学博士 乳腺専門医/ナグモクリニック総院長
1955年生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京女子医科大学病院、東京慈恵会医科大学附属病院を経て、ナグモクリニックを開業。著書に『「空腹」が人を健康にする』など。2019年、鎌倉・稲村ヶ崎に自らがプロデュースする「日本料理 吟」をオープン。

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(医学博士 乳腺専門医/ナグモクリニック総院長 南雲 吉則)

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