「この案件はどうしますか?」部下からの相談に対し、超一流上司と二流上司で決定的に違う「返信」のルール
プレジデントオンライン / 2022年11月29日 9時15分
※本稿は、宮本剛獅『1%の超一流が実践している 仕事のシン哲学』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
■「メールとは、相手と何度もやり取りするもの」ではない
「メールに時間を取られる」というのは、ビジネスマンに共通した悩みです。同じ相手と、何度もやり取りを繰り返す人も珍しくありません。
それが毎日の仕事を忙しくしている原因の一つになっています。
メールを受信したら、可能な限り早く返信するのがマナーですから、仕事ができる人は素早い返信を心がけていますが、早く返信するだけでは、メールにかかる時間は短くなりません。
文面を書いて送る→相手の返信を読む→また文面を書く……という作業は同じですから、その手間を省く必要があります。
ビジネスマンの多くが「メールとは、相手と何度もやり取りするものだ」と思い込んでいますが、超一流はその固定観念を否定しています。
相手と何度もメールをやり取りするのは時間のムダと考えて、できるだけ一度で済ませるような工夫をしているのです。
■超一流が行うメール術
一通のメールには、その先に想定できることがいくつも隠れていますから、先回りして返信することで、ムダなやり取りを避けています。
「この案件はどうしましょうか?」と部下から相談メールが来たら、超一流は「それはこうしよう」と返信するだけでなく、その後の展開を予想して、明確な指示を付け加えます。
「先方にこう言われたら、こう伝えてほしい。こっちにこう聞かれたら、こうやりましたと伝えるために、先に資料を送っておくといいね」
対応策を先に伝えておけば、その後は報告を受けるだけで済むのです。
■やり取りを必要最低限に減らす工夫
超一流のメール術には、もう一つ特徴があります。
「報告はこれこれが終わってからでいいよ」と、次のメールを送るタイミングを先に伝えておくことです。
メールのやり取りが増える原因の一つが、途中経過を知らせる「報告メール」です。細かいプロセスまで確認する必要はなく、段階ごとの進捗状況を把握しておきたいだけならば、明確な区切りをあらかじめ伝えておくことで、お互いに不要なメールを送らなくて済みます。
やり取りを必要最低限に減らす工夫をすれば、メールに時間を取られることから解放されるのです。
■仕事が遅い人は、仕事に取りかかるまでが遅い人
ビジネスマンにとって、「仕事が遅い」というのは、「仕事ができない」とイコールの意味を持ちます。
仕事が遅い人は、必ずしも作業のスピードが遅いわけではありません。
そのほとんどは「やる」と決めてから、実際に行動するまでに時間がかかるため、結果として遅くなっているのです。
仕事が速い人は、例外なく仕事に取りかかるまでの時間が短く、すぐに始めることで、素早く作業を終えています。
その違いは、「頭の切り替え方」に理由があると考えられます。
頭を切り替えるというのは、やる気を起こすといった感情の問題ではなく、脳をどのように使うかというイメージの問題です。
パソコンで例えると、仕事が遅い人は頭の中にフォルダーを一つしか持っておらず、あらゆる情報をそこに押し込んでいます。
一つのフォルダーがさまざまな情報で一杯になっていますから、コップに水が満杯になっているのと同じで、新たな水(情報)を注ぎ込むことができません。
つねに容量オーバーを起こしている状態のため、それを処理するのに余計な時間がかかっているのです。
■仕事が速い人の脳内で起きていること
仕事が速い人は、頭の中に新規フォルダーを作って、さまざまな情報を適切に分類していますから、情報が混乱することはなく、「やる」と決めた瞬間から素早く動き出すことができます。
超一流の場合は、新規フォルダーを次々と作るだけでなく、処理が終わった情報や、保留する情報は外付けのメモリーに移して保存しています。
頭の中のフォルダーに余力を持たせていますから、いくらでも新しい情報を入れることができます。
さらに、すべてを素早く処理することによって、頭の中を軽い状態に保っているので、処理速度が遅くなることもなく、つねに良好なパフォーマンスができる状態を維持しているのです。
上手に頭を切り替えて、素早く仕事に取りかかるためには、頭の中に新規フォルダーを作り、新たな情報を明確に分類しながら素早く処理する……というイメージを持つことが有効です。
■失敗をしないことは成功に結びつかない
ビジネスの世界では、仕事ができる人ほど数多くの失敗をしています。
たくさんの失敗を経験することで、ある意味では「失敗慣れ」していますから、どんな事態に直面しても、動揺したり、落ち込んだりすることはありません。
それは、失敗をしないことが、必ずしも成功に結びつかないことを知っているからです。
失敗を怖がって安全策だけを選択していたのでは、大きな仕事はできません。
「仕事に失敗は付き物」と割り切って、その失敗から何を学べば、成功の手がかりをつかめるか……だけを見つめているのです。
■イーロン・マスクの「ファイティング・スピリット」
世界一の大富豪といわれるイーロン・マスクは、失敗を積極的に受け入れてきた経営者の代表格です。「失敗は貴重な学習材料であり、そこから何を学び、どれだけ早く改善策を見つけ出せるかが重要だ」と考えています。
![イーロン・マスク公式Twitter](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/d/3/1200wm/img_d30efe4e6f2651a850e710908a08510b284721.jpg)
彼が航空宇宙メーカー「スペースX」を設立し、初めて宇宙ロケットを打ち上げたのは2006年のことです。
3回連続で失敗して、「もし次も失敗したら資金が尽きる」というところまで追い詰められました。
個人の資産で売れるものはすべて売り払い、ほぼ無一文という状態になりながらも、落ち込む社員に対して彼はこう宣言しました。
「私はこれまでもこれからも、決してギブアップしない。息をしている限り、生きている限り、事業を続ける」
その執念が実り、最後の資金をかき集めて行った4回目のチャレンジ(2008年)で、ようやく打ち上げに成功しています。失敗を恐れない覚悟があるからこそ、大きな成果を得ているのです。
超一流は失敗を恐れないだけでなく、倒れてもすぐに立ち上がって歩き出す「ファイティング・スピリット」に溢れています。
どんな大きな失敗をしても、必ず自力で立ち上がります。
日本人には、転んだら誰かが助けてくれるまで待つような「甘え」がありますが、それでは誰かに踏みつけられるだけです。人に踏まれる前に自分の力でさっさと立ち上がり、前を向いて歩み出す強さが必要です。
仕事をしていれば、誰でも失敗することはあります。失敗したことに落胆するのは仕方がありませんが、それを「必要悪」と前向きに考えることができれば、その失敗から検討材料を見つけられるだけでなく、ムダに落ち込むことの無意味さも理解できるのです。
■あなたは何のために働いているか
「仕事とどう向き合っていくか?」を考えることは、自分の生き方を改めて見つめ直すことでもあります。
何のために、何を求めて仕事をするのか?
新しい働き方を模索するには、自分自身に問いかけてみる必要があります。
仕事ができる一流の人は、「お金」や「肩書」、「社会的地位」や「名誉」を追いかけて仕事をしています。
仕事で結果を出すことで、その目的は達成できますが、逆の見方をすれば、結果を出さない限り、その目的はいつまでも達成できません。
自分の目的を達成するためには、結果を追い求めることしか選択の余地がありませんから、彼らは忙しく仕事をしているのです。
![お金のトラブルについて考える人](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/9/6/1200wm/img_961dd52c1598c0d0e92fcd8bc21353df396308.jpg)
■二流は、何のために仕事をしているかわからない
仕事ができない人は、何のために自分が仕事をしているのか、その目的を見失っている人がほとんどです。
「お金」や「時間」、「ノルマ」に追いかけられて、何とか無事に一日を終えることだけが目的になっています。
自分の目的を「追い求める」のではなく、日常の業務に追いかけられていますから、「仕事がキツイ」とか「毎日が面白くない」と感じるのも無理はないのです。
■超一流は人生を「楽しむ」ために仕事をしている
意外に思うかもしれませんが、超一流は「お金」や「肩書」、「名誉」などを手に入れることを最優先に考えていません。彼らは「自分の人生を最大限に楽しむこと」を目的にして、毎日の仕事と向き合っています。
莫大(ばくだい)な収入や肩書は目的ではなく、あくまで仕事の結果に過ぎないと考えているのです。
超一流は、自分の人生を「楽しむ」ために仕事をしています。
人生を楽しむために、仕事があり、会社があり、家族や友人がいる。
人生を楽しむことが、すべての中心にあります。
![宮本剛獅『1%の超一流が実践している 仕事のシン哲学』(クロスメディア・パブリッシング)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/f/7/1200wm/img_f79d5b0bb0b2dde755c1bfa201ce10f3246614.jpg)
自分の楽しさを追い求めているから、記録を塗り変えようが、莫大な収入を得ようが、さらに精力的に仕事をします。
お金や偉くなることに固執しないから、毎日を明るい気持ちで過ごせるのです。
彼らは、目の前の仕事、今やっている仕事を全力で楽しもうとしています。
大変でツラいことも含めて、そのすべてを楽しんでいます。
仕事のために、自分の人生をつぶすようなことは絶対にしない……という生き方は、これからの働き方を考える上で大きなヒントになります。
----------
人材コンサルタント
25歳でプロテニスプレーヤーを引退後、外資系金融会社のモルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックスでセールスに従事。その後、企業の事業再生などに携わった後、独立。人材紹介業を中心とした株式会社人材コンサルティング&カンパニーを起ち上げ、1000社以上のクライアント企業の採用コンサルティングや、1万人を超える求職者の転職サポートを行う。
----------
(人材コンサルタント 宮本 剛獅)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
おとなしい人でも成功者になれる?世界的な成功を収めた人たちのひとつの共通点【脳科学者が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月19日 11時0分
-
人生を生き抜くために必須! 困難に柔軟に対応できる「レジリエンス力」 どうやって高める?
オトナンサー / 2024年7月13日 8時10分
-
せっかちなのに丁寧な「できる人」の仕事術 「考える手間」を減らして時間を確保する方法
東洋経済オンライン / 2024年7月12日 16時0分
-
「ウツウツ、イライラ」から抜け出すたった1つの方法
PHPオンライン衆知 / 2024年6月28日 11時50分
-
3分以内にできる仕事を寝かせるのはビジネスマン失格…デキる人が仕事を振られた瞬間考えていること
プレジデントオンライン / 2024年6月27日 8時15分
ランキング
-
1昨年度の郵便事業896億円の営業赤字、前年度の4倍超…封書やはがき減収・集配や運送委託費増
読売新聞 / 2024年7月25日 18時13分
-
2日経平均は7日続落し1200円超安、今年最大の下げ 米株安・円高進行で
ロイター / 2024年7月25日 15時38分
-
3RIZIN「手越祐也の国歌独唱を批判」は失礼なのか 手越が辞退し、選手に批判が集まっているが…
東洋経済オンライン / 2024年7月24日 19時30分
-
4自動車や鉄鋼、中国事業を縮小 日本企業、販売低迷で転換へ
共同通信 / 2024年7月25日 19時4分
-
5基礎的財政収支が25年度に黒字化、内閣府が試算提示へ…税収増で8000億円程度の黒字見込み
読売新聞 / 2024年7月25日 22時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)