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「母子家庭で息子2人を東大に」壁に穴をあけても叱らない肝っ玉シングルマザーの"10年ワンオペ教育"

プレジデントオンライン / 2022年11月27日 11時30分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ranmaru_

子供がすいすい東大に合格する母親はどんな教育をしているのか。「プレジデントFamily」編集部は、シングルマザーで息子2人を東大に入れたたかせみほさん、長男が東大、次男が京大に進んだ母学アカデミー学長の河村京子さん、4人の子供全員が東大医学部の佐藤ママこと佐藤亮子さんに、家庭でのとっておきの学習法や育て方を聞いた――。(後編/全2回)

※本稿は、『プレジデントFamily2022年秋号』の一部を再編集したものです。

■Q 子供が「調子に乗った」ときはどう言いましたか

●佐藤家

調子に乗ることはあまりなかったですね。

●河村家

自分が頑張ったときは、調子に乗ってもいいんじゃないですか。私も調子に乗るほうなので(笑)。次男はよく「自分は天才だ!」と言っていましたが、「そう思っているのね」と流していました。

賞を取ったとき、取れなかった人もいるのだから、自慢しちゃダメ、という親もいると思いますが、努力の結果の賞なのだから、素直に喜んでいいと思います。もちろん、「おまえはダメだな」など、人を蔑(さげす)むような言動をしたときは、それは違うよ、と伝えました。

●たかせ家

漢字検定で表彰されたとき、公文で学年をかなり先取りしていたときなど、調子に乗っているな、と感じたことはあります。「僕、やったよ」とか「僕、すごいよね」とか。家の中で大いに喜ぶのはいいけれど、外でそれをすると自慢になっちゃうよ、と伝えました。頑張っても伸び悩んでいる子もいるはず。その子の気持ちも考えてねと。

スイミングの進級テストで、次男が長男を抜かした時期があるんです。そのときもかなり得意げでした。それは家の中でのことではあったけれど、お兄ちゃんの気持ちを想像してみて、と言いましたね。

頑張った結果なので、嬉しい気持ちもわかるし、子供だから自慢もしたくなると思うのだけれど、それを聞いたり見たりして、嫌な思いをする人がいるかもしれない。そういうことを伝えました。

■Q 「これだけは叱ったこと」は何ですか

●佐藤家

字を丁寧に書かなかったときは、きつく叱りました。小学校の高学年になると、手慣れてきちゃって「続け字」にしちゃうんですよね。「ダメでしょ!」と、消して書き直しさせました。

特に、中学受験の勉強は、速く解くことが第一になり、丁寧さは二の次になってしまう。でも、試験問題の答案こそ、丁寧に書くことが大事ですよね。試験官の先生に内容が伝わらなければせっかく正解していてもペケですから。ただ、丁寧でもゆっくり書いていては問題をこなせません。「速く丁寧に」、ダブルタスクでさせました。

もう一つ叱っていたことは、物を投げること。リビングで4人が一緒に勉強していたので、「消しゴムちょうだい」とか「定規貸して」の後、投げて渡すんです。物によっては当たるとケガをしますから。

●河村家

叱る前に、子供と約束事を決めていました。例えば、長男と次男は、ものすごく激しいきょうだいゲンカをしていましたが、「ケンカの際、武器は使わないこと」を決めていました。歯や爪も武器とみなして、これもダメ。

だから、きょうだいゲンカをしていても、その約束を守っている間、私はまったく関与しません。ケンカをして、壁に穴をあけたこともありましたが、それも見ているだけ。叱っても穴は埋まりませんしね(笑)。

ただし、約束を破ったときは、「あ、今武器を使ったね。この手が武器を使ったのだから、手を叩くね」と言ってパチッと。噛みついたときは、ほっぺをギュッと。叱るのではなく、罰則がある、という感じです。

●たかせ家

交通ルールを守らないなど命に関わるとき、遊びでケガをしそうになったときは厳しく叱りました。

次男は2歳上の長男のマネをよくしていました。お兄ちゃんが高いところからジャンプすると、同じことをします。小さい頃の2歳差って、運動能力や体力はかなり違いますから、危ないんですよね。小さい子が一緒にいるときの遊びについては、よく注意していました。

『プレジデントFamily2022年秋号』(プレジデント社)
『プレジデントFamily2022年秋号』(プレジデント社)

あと、兄弟ゲンカについては高校生の頃のことですが、兄弟二人で入っていたお風呂場が一面、血の海になったことがあります。ちょっとした諍(いさか)いがあったらしく、長男が次男を殴っちゃったんです。それが勢いあまって次男の鼻に当たり、鼻血がドバっと(笑)。

長男が慌てて、真剣に「ごめん、ごめん」と謝っていましたが、子供の頃の喧嘩と違い、高校生は力もかなり付いています。長男は次男を怪我させた自分のパワーに驚いていたようでした。私も最初は驚きましたが、兄弟喧嘩ができる環境は「兄弟の衝突によって互いに力加減を学んだり、双方の考えの違いを知ることができるので、とても大切なことだな」とむしろありがたく感じております。

■Q 子供が「頑張った」ときどう褒めましたか

●佐藤家

子供の成績が上がったとき、頑張ったときは、サラッと褒めました。うんと褒めると、ほかの子が同じ状況になったとき、ややこしいことになるのです。親だって、いつも同じ精神状態ではないでしょ。気分のいいときも悪いときもある。同じような結果を出したのに、私の気分で褒め方が違うと、その子に悪いですから。だから、どんなときも「サラッと」。

結果がいいときは親がうんと褒めて、悪いときは親がシュンとなるのでは、親が喜ぶから頑張るようになります。親とは関係なく、自分のために頑張れる子であってほしいと思いました。

●河村家

頑張ったとき、目標を達成したときは、「お母さん、嬉しい」と、私の気持ちを伝えました。マラソン大会で去年よりタイムが縮んだとか、前より順位が上がったとか。

ただ、人と比べることはしません。誰かに勝ったとか、何番以内に入ったとか、そういうことでは褒めませんでしたね。これはかなり意識していました。

小学生時代に人と比べることをすり込んでしまうと、一生辛いと思うんですよね。「誰かに勝つ」のではなく、「自分が立てた目標に向かって努力する」ようになってほしいと思っています。

●たかせ家

息子たちが通っていた小学校には、「筆算検定」(校内)や「漢字検定」など、みんなで取り組む“頑張らせる仕組み”がありました。いずれも、頑張った分、成果がしっかり出るので、やりがいもあったようです。

級が上がったときは、嬉しそうに報告してくるので、めちゃくちゃ褒めました。髪の毛がぐちゃぐちゃになるくらいに頭をなでたり。とにかく、大げさに褒めました。

子供って、お母さんに褒めてもらいたい、お母さんの笑顔が見たいから頑張れると思うんです。それに応える意味で、うんと褒めました。

■Q 賢い子が育った「わが家のルール」は何ですか

●佐藤家

「きょうだいのことはみんなで応援」「遊びは4人で」。これがわが家のルールです。

リビングにある長方形のコタツ、1辺に1人ずつ座ればいいのに、長辺の一つに息子3人が並んで座って勉強するんです。その隙間に娘が潜り込んでいって、常に密、接触が多いきょうだいでした。「おまえ、入ってくるなよ〜」と言いつつも、わいわいと楽しそうでしたね。身体的、物理的に近い関係なので、自然と応援したくなる雰囲気なんです。

コタツの中
写真=iStock.com/ahirao_photo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ahirao_photo

遊びも4人で。長男と4番目の娘とは7歳の差があります。男の子3人に女の子1人。上3人の好きなことばかりしていると、娘が一人ポツンとなってしまうので、常に娘に合わせて遊んでいました。トランプやカルタもルールを教えながらね。

4人いると、毎年入れ替わりで受験生がいるんですが、全員でその子を応援していました。

●河村家

「自分のことより家族のことを優先する」のがわが家のルールです。

その一つとして、お手伝いをさせていました。お箸を並べる、ご飯をよそう、新聞を持ってくる、トイレを掃除するなど、私が書き出した一覧表があるんですが、誰が何をするかを毎学期ごと、きょうだいで話し合って決めていました。一人が6種類くらい担当していたと思います。

完璧じゃなくてもいいんです。トイレ掃除なんて、ブラシを突っ込んだらOK。でも、3日もサボっていると汚れが目立ってきます。そうなると家族が嫌な気分になりますから、「おい、そろそろやばいぞ」など声を掛け合って……。次の日はピカピカになっていましたね。

長男と次男は中学受験をしましたが、受験は自分のため、お手伝いは家族のためなので、受験期間中も普段通りにさせていました。

●たかせ家

「勉強が終われば遊べる」がルールでした。1分でも早く終われば遊べるので、集中するんです。先に遊んでしまうと、疲れてしまって勉強する気にはなりませんからね。「遊び」というニンジンをぶら下げました。

「食卓の準備はみんなで」というルールもありました。食器を並べる、ご飯を盛り付けるなど。みんなで準備したほうが早く食べられるので、積極的に手伝ってくれました。

また、「わが家のルール」ではないのですが、中学でサッカー部に入ってからは、部の方針として「1日一つ、家の手伝いをする」がありまして、息子たちは洗濯物をたたんでくれるようになりました。助かりましたね。体育会系の部活は、それだけでも洗濯物が増えますしね。それは大学生になった今も続けてくれています。

■Q 「家庭の雰囲気」のつくり方は?

●佐藤家

子供が生まれたら、温かくて、美味しくて、安心して眠れるような環境で育てると決めていました。子供を叱らない、きょうだいの比較もしない。そして私は、できる限り笑っていようと。

それは概(おおむ)ねできたように思うのですが、夫婦ゲンカはたまにしていました(笑)。原因のほとんどは子供のこと。パパにお迎えを頼んだのに時間に遅れるとか。「子供だけにしておいたら危ないでしょ」と。パパはほとんど反論しないので、ケンカというより私が一方的に怒っている形なんですけど、年に1度くらい、パパが反論することがあるんです。すると子供たちが「パパ、ママに謝っとけ」って(笑)。

夫婦ゲンカはあえて子供たちの前でしていました。パパのいないときにパパの悪口を聞くのは、子供もいやですよね。それに、夫婦でも意見が違うことがあることを子供に伝えておきたくて。水面下でケンカしていて、表面だけニコニコしているほうがいびつですよね。

パパは仕事優先、ママは子育て優先という役割分担でしたし、ケンカの原因のほとんどが子供たちのことだったので、子供たちはいつも私の味方でしたけどね(笑)。

●河村家

子供の言動と私の機嫌を切り離すようにしていました。子供が宿題をしなくても、それは彼の問題で、私には関係ないと。もちろん、気にはなりますよ。一緒にやったり、おやつで釣ったり、宿題をするよう工夫はしますが、それでもしないときもありますよね。そのときにイラッとしたら、私の負け。心の中に星取表を作って、「あ〜、黒星ついちゃった」とゲーム化して、機嫌が表に出ないようにしたのです。

子育てって、諦めると楽になるんだといつからか悟りました(笑)。算数ができなくても仕方がない。それでも生きている大人はたくさんいますから。

また次男の話になりますが、彼は大学に8年間通っています。院ではなく学部生として。でも彼の人生は彼のもの。わが子ですが、隣の子くらいの距離感で付き合っています。

●たかせ家

長男が10歳、次男が8歳のときに別居し、その後に正式離婚。シングルマザーとして一人子育てでしたので、仕事のストレスも含め、しんどいときは多々ありました。

ただ、子供たちと一緒のときは、時間に追われることもありますが、それ以上に彼らに癒やされることが多かったので、その間は辛いことも忘れていられました。だから、子供の前でイライラしたり暗い気持ちになったり、ということはなかったと思います(たぶん……)。

自分のことに向き合うのは、子供が寝た後です。仕事で起こった問題点を整理したり、次にすべきことを考えたり。考えているうちに、急に悲しくなったり、不安になったり、落ち込んだりするのですが、そんなときは、早めに寝るようにしました。起きていると余計なことまで考えちゃうので。一晩寝て、起きたら、そこにはもう子供たちがいるので、気持ちを切り替えて、新しい一日をスタートさせました。

ただ、本当にしんどいときはお風呂場で思い切り泣きました。デトックスです。泣いてすっきり。その日にあった辛いことは、その日のうちに解決するようにしていました。

風呂は命の洗濯よ
写真=iStock.com/brazzo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/brazzo
▼シングルマザー子育て たかせみほさん
『シングルマザーで息子2人を東大理Iに 頭がよくなる「ルーティン」子育て』
『シングルマザーで息子2人を東大理Iに 頭がよくなる「ルーティン」子育て』

『シングルマザーで息子2人を東大理Iに 頭がよくなる「ルーティン」子育て』の著者。

子供たちの今

長男(24歳):東大工学部合格、工学系研究科修士課程修了後、AI系企業に就職

次男(22歳):東大工学部4年生。数学を究めるために理学系研究科修士課程に進学予定

▼3男1女が東大理3合格 佐藤亮子さん
『4人の子どもを東大理三に合格させた佐藤ママが教えるわが子の知能と心を育てる「読み聞かせ」!』
『4人の子どもを東大理三に合格させた佐藤ママが教えるわが子の知能と心を育てる「読み聞かせ」!』

『4人の子どもを東大理三に合格させた佐藤ママが教えるわが子の知能と心を育てる「読み聞かせ」!』ほか著書多数。

子供たちの今

長男、次男、三男:医師として活躍中

長女:医学部6年生

▼母学アカデミー学長 河村京子さん

『わが子が東大・京大に現役合格! 子どもの学力は12歳までの「母親の言葉」で決まる。』ほか著書多数。

『わが子が東大・京大に現役合格! 子どもの学力は12歳までの「母親の言葉」で決まる。』
『わが子が東大・京大に現役合格! 子どもの学力は12歳までの「母親の言葉」で決まる。』

子供たちの今

長男(27歳):東大工学部に現役合格。在学中に起業。現在大手IT企業に勤務

次男(25歳):京大理学部に現役合格。数学を究め、現在は次のステップに向けて準備中

長女(22歳):中学在学中にイギリス留学。ロンドン大学に進み、今秋卒業。日本で就職予定

(プレジデントFamily編集部)

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